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デビルシスター

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6部分:第六章


第六章

「えっ、また!?」
「またって何よ、または」
 学校の帰り道において。未来は携帯で姉の言葉を聞きながら困った顔になっていた。左手で携帯を聞いていて荷物は背中に背負っている。
「それが姉に向かって言う言葉!?」
「そうじゃなくて。昨日したばかりじゃない」
 うんざりとした顔で姉に言うのだった。
「昨日お姉ちゃんのお家の中全部お掃除したばかりじゃない」
「昨日は昨日よ」
 しかし電話の向こうの優は言う。
「今日じゃないわよ」
「今日じゃないって」
「お掃除は毎日するものよ」
 優は言うのだった。
「わかったら来なさい。いいわね」
「行きたくないんだけれど」
「じゃあ今からあんたの携帯にウィルス送るけれどいい?」
 断ったらこう言ってくる有様だった。
「それでも。いいかしら」
「わかったわよ」
 勿論姉が送るウィルスが彼女特製の洒落にならないものであることはわかっていた。彼女はウィルスを作ることも得意としているのを知っているからだ。
「それじゃあ」
「そうよ。今すぐね」
 また妹に対して言ってきた。
「わかったわね」
「はあい」
「おトイレも台所もお風呂もね」
「わかったわ」
 困り果てた顔で姉の言葉に頷く。そうしてとぼとぼと姉の新居に向かいそのうえでその家を全て掃除する。そんなことを毎日しているうちに。
「何かあんた今度は」
「お掃除も上手くなったじゃない」
「ねえ」
 放課後の掃除当番をしている時にまた二人から言われた言葉であった。皆でモップや箒を持って掃除をしているがその中で未来の動きは卓越したものであったのだ。
 きびきびとしていて素早く尚且つ動きに無駄がない。しかもそれでいて上手くゴミを処理し奇麗に拭いている。完璧と言っていいものであった。
「何か余計にね」
「凄くなってるじゃない、お掃除まで」
「毎日やってるからよ」
 未来はいつもと同じうんざりとした顔で二人に顔を向けて述べるのだった。
「そう、毎日ね。お姉ちゃんのところで」
「また優さんなの」
「いいことばかり教えてもらってるじゃない」
「何処がよ」
 未来はまたうんざりとした顔で友達二人に言い返すのだった。
「あのね、私はね」
「どうかしたの?」
「それで」
「やりたくてやったわけじゃないのよ」
 このことを強調するのである。
「わかる?トルコ料理なんてそもそも普通に食べる?」
「普通は食べないからいいのよね」
「ねえ。変わっていてね」
 二人の言葉は相変わらず極めて能天気なものであった。
「だからいいのよ。あんたがトルコ料理作れるってわかったら」
「男の子だってついてくるかもよ」
「男の子も」
 未来は男と聞いて目の色が少し変わった。
「それって結構」
「いいでしょ?男の子はやっぱり料理に惹かれるからね」
「絶好のチャンスじゃない」
「そうね」
 言われて乗り気になってきた。そうしてさらに目を動かしたうえで顔を明るくさせてまた言うのだった。
「私いまのところ和食と中華とイタリアできるし」
「あとハンバーガー得意だったわよね」
「サンドイッチもね」
 そういうものを作るのはかなり得意なのである。
「フレンチはお金がかかるからあまりだけれど」
「けれどそれでも一通りできるじゃない」
「そしてそこにトルコ料理」
 二人の言葉は指摘するようになり実に明るい。
「いいじゃない。もう無敵よ」
「ほらほら、待望の彼氏ゲット」
「そんなにうまくいくかしら」
 しかし未来はここで弱気にもなるのだった。
「そんなに。いく?」
「少なくとも何もしないよりずっとましよ」
「そうよ。人間まず動いてからよ」
 二人で未来に話すがその口調は相変わらずとても能天気である。
「動かないと何にもならない」
「だからトルコ料理もね。身に着けて損はないわよ」
「何か今のところお姉ちゃんばかり徳してるけれど」
 彼女が作ったトルコ料理のおかげで優は映士の仲はさらに発展している。もう二人は結婚すら話し合っている。それはあくまで彼女だけで未来は今だ何もなしであった。
 
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