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英雄伝説~焔の軌跡~ リメイク

作者:sorano
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外伝~リオン・マグナスの新たなる始まり~

~遊撃士協会・ボース支部~



「……落ち着いたか、マリアン。」

「ええ………」

ジューダスの胸の中で泣き終えたマリアンはジューダスから離れ、涙をぬぐった。

「……………まさか、この言葉を君に告げる時が来るとはな。―――マリアン・フュステル。」

マリアンを見つめていたジューダスは静かな笑みを浮かべた後すぐに真剣な表情になってマリアンを見つめ

「エ、エミリオ……?」

突如フルネームで呼ばれたマリアンは戸惑いの表情でジューダスを見つめた。



「ヒューゴ・ジルクリストの息子、エミリオ・ジルクリストの名の元に今この時を持って、マリアン・フュステルをジルクリスト家のメイド長から解雇する。」

(ぼ、坊ちゃん!?一体何を!?)

「エ、エミリ……い、いえ、リオン様!ど、どうして……!」

「ちょっと!?あんた、マリアンさんの為に大切な仲間を裏切って死んだ上、今回の竜事件でもマリアンさんの為にあたし達に手を貸してくれたのに何でそんな事をするのよ!?」

ジューダスが告げた言葉を聞いたシャルティエとマリアンはそれぞれ信じられない思いでジューダスを見つめている中、エステルはジューダスを睨んだ。

「部外者は黙っていろ。―――今まで僕の世話をしてくれ……そしてジルクリスト家に仕えてくれてありがとう、マリアン。これからは僕の事は忘れて、”自分の幸せ”を求めて生きてくれ。」

エステルを睨んで指摘したジューダスは優しげな微笑みを浮かべてマリアンを見つめて自分の意志を伝えた。



「まさか貴方は……」

「……”自分のせいでリオン・マグナスを死なせてしまったという過去の鎖”から彼女を解き放つ為に敢えて彼女との”絆” を絶とうとしているのだろうね……」

「ハハ……参ったな……こんな優しくも哀しい愛に対して愛の伝道師たるボクでも二人にかける言葉が思いつかないよ………」

「エミリオ………」

(坊ちゃん……坊ちゃんは本当にそれでいいんですか……?)

ジューダスがやろうとしている事を察したクローゼとレイスは辛そうな表情でジューダスを見つめ、オリビエは疲れた表情で呟き、自分自身を過去から解放しようとするジューダスの意志を知ったマリアンは驚きの表情でジューダスを見つめ、シャルティエは辛そうな様子でジューダスに尋ね

「『リオン・マグナス』として再びマリアンに会えた時に伝えようと思っていた意志だ。それをようやく伝える事ができたんだ。悔いはない。」

(坊ちゃん………)

ジューダスの決意と優しさを知ったシャルティエはかける言葉がなく、黙り込んだ。

「―――マリアンの事をこれからも頼む。マリアンは僕が知る使用人達の中で最も優秀な人物だ。市長として多忙なお前の役にも立つだろう。」

(坊ちゃん……)

そしてジューダスはメイベル市長に視線を向けて頭を軽く下げ、プライドが高く、よほどの事がない限り他人に頭を下げない性格をしているジューダスがマリアンの未来の為に頭を下げている所をシャルティエは辛そうな様子で見守り

「……マリアンが優秀である事はこの1年を通してわかっていますし、彼女が我が家から去る事を希望しない限りずっと私達を支えて欲しいと思っていますが……貴方はこれからどうするおつもりなのですか?」

メイベル市長は静かな表情で答えた後マリアンを気にしながらジューダスに訊ねた。



「―――知れた事。僕と同じように謎の復活を遂げたバルバトスを僕の手で討つ。―――それだけだ。」

「……彼女からお主とバルバトスは何らかの因縁の間柄である事を説明してもらったが、何故お主はそのバルバトスとやらの討伐に執着しているのじゃ?」

ジューダスの答えを聞いたルグランはソフィに視線を向けた後訊ね

「……奴は己の欲望の為にスタン達によって救われた世界を……歴史を破壊しようとし、更には世界を救った事で”英雄”と称えられたスタンを殺し、スタン同様”英雄”と称えられた者達も殺そうとしたが、フォルトゥナが滅びた事でエルレインとバルバトスによって歪められた歴史が修正された。当然その修正には”スタンがバルバトスに殺害された歴史も無かった事”も入っている。そのお陰でスタンもカイル達と共に平和を過ごしているだろうが……もし、奴が再び僕達の世界に現れれば同じ事が繰り返される。――――スタン達によって救われた世界を……そして愛する女性(リアラ)が消えると理解していながらもフォルトゥナの核を破壊して歪められた歴史を修正したカイルによって救われた世界を壊そうとする事はこの僕が許さない!」

「お前……」

「友とその息子の為にお前はバルバトスを討とうとしているのか……」

「へっ、声がそっくりな事といい、上から目線で俺達を見下していた事といい、最初はあの銀髪野郎と同じ野郎と思っていたが、むしろその逆だったようだな。」

「ああ……友の為ならどんな困難にも挑む誰にも負けない熱い心や誰よりも仲間を想う心を持っているな。」

「……貴方もアスベルの想いを未来へと繋げる私のように”友達”の為にバルバトスを殺そうとしているんだ……」

ジューダスの揺るがぬ信念と決意を知ったルークは驚き、バダックは真剣な表情でジューダスを見つめ、アガットとフレンは口元に笑みを浮かべ、ソフィは静かな表情でジューダスを見つめていた。



「―――さよならだ、マリアン。」



―――さよなら、エステル。



(あ……)

そしてジューダスはマリアンに背を向けてマリアンに別れの言葉を告げ、それを見たエステルはヨシュアが自分から去って行った時の出来事を瞬時に思い出し

「ま……待っ………」

自分から去ろうとするジューダスを呼び止めようとしたマリアンだったが、自分とジューダスが一緒にいる事でジューダスがかつてのようにまた自分の為に死ぬかもしれないと思い、制止の言葉が出て来なかった。するとその時

「ダメ――――――ッ!」

エステルが慌てた様子でギルドの出入り口まで走り、両手を広げてジューダスの進む道を遮った。

「エ、エステル!?貴女、何をやっているの!?」

「うふふ、さすがエステル♪まさかこの絶妙なタイミングであの黒髪のお兄さんを見送るようになっていた空気を粉々に壊す行動に出るとはレンも予想できなかったわ♪」

「感心している場合じゃないでしょう……」

エステルの突然の行動にアーシアは驚き、からかいの表情になっているレンにシェラザードは疲れた表情で指摘した。



「……何の真似だ?どけ。」

エステルに行く道を遮られたジューダスはエステルを睨み

「ハア……ヨシュアといい、あんたといい、何であたしの周りの黒髪の男って人の気持ちを考えずにあたし達の前から姿を消そうとしているのかしら?―――あんたねえ!あんたの事でずっと苦しんで来たマリアンさんの気持ちも考えずに、何であんたにとってかけがえのない存在のマリアンさんとの縁を切ろうとしているのよ!?」

「エステルさん………」

溜息を吐いてジト目で呟いた後ジューダスを睨んで自分の為にジューダスを怒るエステルをマリアンは驚きの表情で見つめていた。

「貴様、さっきの僕の話を本当に聞いていたのか?僕の事で苦しみ続けたマリアンの為に僕はマリアンとの縁を切ったのだぞ?」

「それがダメだって言っているの!あんたがやろうとしている事はヨシュアの時と同じ自分一人で勝手に決めたエゴをマリアンさんに押し付けようとしているだけよ!」

「エステルさん……」

「お姉ちゃん……」

「「…………」」

自分とヨシュアの事を重ねているエステルをクローゼとティータは辛そうな表情で見つめ、ルークとレンは複雑そうな表情で黙り込んでいた。



「エゴだと……!?部外者の貴様に何がわかる!?」

「わかる訳ないでしょう!?そう言うあんたこそ、何でわからないのよ!?あんたにとって大切な友達のスタンさんやその人の息子のカイルって人や二人の仲間達とそれぞれ旅をしたのに、一度結んだ”絆”は無くならない事が何でわからないのよ!?」

「何……?――――どういう意味だ。」

エステルと互いに睨みあっていたジューダスだったが自分にとって大切な友や仲間を引き合いに出されると眉を顰めて、エステルに答えを促した。

「あんたはマリアンさんの為にスタンさんを裏切った事で、あんたはその人との縁が切れたと思っているでしょうけど、あんたの話だとそのスタンさんは自分達を裏切った事を一切責めずにあんたの事を”友達”と呼んで手を差し出したのでしょう?縁が切れていない何よりの証拠じゃない。」



このバカ野郎!何でそんなに頑固なんだよ!おまえ、間違ってるよ……!なあリオン!おまえ間違ってるよ!



黙れ……これは僕が自分一人で決めた事だ……



だからその自分ひとりってのが間違いだって言ってんだよ!どうしてそれがわからないんだ!?



スタン、危ないわ!



スタンさん!



来るな……



どうして何も相談してくれなかった!どうして一人でやろうとした!俺達、仲間だろ!友達だろ!どうして、どうして黙ってたんだ!



だから来るなと……



一人で抱えて!一人で苦しんで!何でお前だけ、辛い思いするんだよ!何でお前だけ、傷だらけになるんだよ!友達ってのは、苦しい時に助け合うもんなんだぞ……!どうしてそれがわからないんだよ!



……この期に及んで、おまえはまだ、僕の事を友達と呼ぶのか。



当たり前だろ!……なあリオン、今からでも遅くない。俺達と一緒に行こう。



何だと……



俺達ですべてを取り戻すんだ。神の眼も、そのマリアンって人も!



…………………お前という奴は……つくづく呆れ果てた奴だ……



リオン!わかってくれたんだな!



スタン……僕は……



まずは仲直りの握手だ、ほら!



「!!」

(あ……)

エステルの指摘によってかつてマリアンの為にスタン・エルロンを始めとした仲間達を裏切り、スタン達に敗北した後裏切った自分に対して未だ”友”と呼んで手を差し伸べて来たスタンを想い出したジューダスが目を見開いている中、ジューダスと同じようにかつての出来事を想い出したシャルティエは呆けた声を出し

「しかもその後その人の息子と出会って、一緒に旅をしてその時は最後まで付き合えたんでしょう?それもスタンさんと結んだ”絆”のお陰で、一度結んだ”絆”が無くならない事が証明されているじゃない!」



時空間のゆがみがはげしくなってる……歴史の、修復作用ね。



……?どういう事なんだい!?



神が消滅した事によって時の流れに関する、あらゆる干渉が排除されつつあるんだ。エルレインが行った神の降臨もバルバトスが企んだ英雄の殺害も。……そして僕達が今までしてきたこともすべてが、なかったことになる。



勿論、それに連動して私達の記憶も消える。今回の旅のことや、お互いの事も忘れる。つまり……はじめから出会わなかった事になるのよ、私達は。



全てはあるがままの姿に戻るってわけか……



それでも……それでも、絆は消えない。消えるなんてこと、みんなと一緒に旅して結ばれたこの絆が消えるなんて事、絶対にない……オレは、そう信じる!



「………………ぁ……………………」

(坊ちゃん…………)

そしてエステルのある言葉からフォルトゥナを滅ぼした事で起こった歴史の修正によって自分達が消える直前に叫んだカイル・デュナミスとエステルが重なったように見えたジューダスは微かな呆けた声を出して顔を俯かせて黙り込み、ジューダスの様子をシャルティエは静かに見守っていた。



「エステルさん……――――皆さん、申し訳ありませんが今だけエミ―――いえ、リオン様と二人きりにさせて頂けないでしょうか?どうしてもリオン様に伝えたい事がありますので……」

その時マリアンは決意の表情で申し出

「マリアン……?」

決意の表情で申し出たマリアンの行動の意味が理解できなかったジューダスは顔を上げてマリアンを見つめた。

「……わかったわ。みんな、そう言う訳だから……」

「うむ、邪魔者である儂らは退散せんとな。」

「ハハ、まさかあれ程の固い決意をしていたのに、すぐに説得して思い留まらせるとはさすが旦那の娘だな。」

そしてエステル達は次々とギルドから外へと出始め

「フフ、頑張りなさいね、マリアン。」

最後にギルドから出ようとしたメイベル市長はマリアンにウインクをした後外に出た。



「マリアン、一体何を……?」

全員が出て行き、マリアンと二人きりになったジューダスは戸惑いの表情でマリアンを見つめた。

「例え……例えジルクリスト家のメイド長でなくなっても、貴方の傍にいさせてください、リオン様―――いえ、リオン。」

「なっ、一体何故……」

マリアンの意志を知ったジューダスが狼狽えたその時

「ん………」

マリアンはジューダスの唇に自分の唇を押し付け

「!!!!!!!!!!?????」

(ええっ!?)

マリアンに口付けをされたジューダスは混乱した後石化したかのように固まり、その様子を見ていたシャルティエは驚いた。



「貴方を失った事でようやく私は自分の気持ちに気づいたの…………一人の女性として貴方を愛している事に。」

「マリアン…………」

「……スタンさん達の為に再び戦いに身を投じる貴方を止めるつもりはないわ。でも……戦いに疲れた貴方が帰って来る家に待って……そして帰って来た貴方のお世話をする貴方の使用人――――ううん、妻としてずっと貴方の傍にいてもいいかしら……?」

「マリアン………ああ……!」

思いが通じ合った二人は互いを抱きしめ

(よかったですね、坊ちゃん……長年の想いが通じて……う、ううっ…………)

意志ある剣はマスターの想いが通じた事を自分の幸せのように感じ、見守っていた。



「……………それで貴様らは一体いつまで盗み見をし続けるつもりだ。」

そしてジューダスはマリアンから離れると顔に青筋を立ててギルドの出入り口を睨んで呟き

「え……?」

ジューダスの呟いた言葉の意味がわからなかったマリアンが不思議そうな表情でギルドの出入り口を見つめた。

「アハハ………やっぱりバレていたのね。」

するとその時先程外に出て行ったエステル達がギルドに入って来た。



「フフ、おめでとう、マリアン。帰ったら貴女の婚約お祝いをしないとね。」

「メ、メイベル様!も、もしかして皆さん、全部見ていらっしゃったのですか……?」

メイベル市長に祝福の言葉をかけられたマリアンは顔を真っ赤にし

「え、えっと……すみません……」

「フフ、クローディアにはまだ早かったかな?」

「おめでとう、ジュー―――ううん、リオン。」

「フッ、主従を越えた互いを思い合う素晴らしい愛による”美”を見せてもらったよ。そんな二人に愛の伝道師たるこのボクが二人の新たなる門出を祝う歌を捧げさせてもらうよ♪」

顔を赤らめているクローゼをレイスは苦笑しながら見守り、ソフィは微笑みを浮かべて祝福の言葉を送り、髪をかき上げたオリビエはリュートを取り出して歌い始め

「うふふ、こんな事ならギルドの到る所に最新の隠しビデオを仕掛けておくべきだったわ♪そうしたらさっきのエステルに図星を突かれたリオンお兄さんの姿や恋愛小説のラブシーンよりも凄いラブシーンを残せたしね♪」

「もう、レンちゃんったら……」

「つーか、そんなのを残して何の為に使うんだよ……」

「というかあんたの財力を考えたら、本当にできるから洒落になっていないわよ……」

小悪魔な笑みを浮かべるレンの言葉を聞いたティータとルークは呆れた表情をし、シェラザードは疲れた表情で指摘した。



「貴様ら……!揃いも揃って……!」

「アハハ……―――――でも、これでわかったでしょう?一度結んだ”絆”が途切れるなんてことはないって。」

「……………チッ、何故こんな能天気な奴らにこの僕が何度も…………―――――おい。気が変わった。バルバトスを探すついでに、このリベールに暗躍している”身喰らう(ウロボロス)”の”計画”を阻止するのに、僕も今からお前達に手を貸してやる。ありがたく思え。」

エステルに見つめられたジューダスは黙り込んで舌打ちをしてエステルをスタン・エルロンやカイル・デュナミスと重ね合わせて小声で呟いた後その場にいる誰もが驚く言葉を口にした。

「何と……!」

「つまり”結社”の調査をする私達の仲間になってくれるという事でいいのかしら?」

ジューダスの加勢の申し出を聞いたルグランは驚き、アーシアは信じられない表情で訊ねた。



「フン、あくまで手を貸してやるだけだ。馴れ合うつもりはない。」

「ちなみに何で”雑魚”扱いしていた俺達に手を貸してくれる気になったんだ?」

「非常に遺憾だがそこの能天気娘にはマリアンの件も含めて大きな借りを作ってしまったからな。その借りを返すだけだ。」

「あ、相変わらず素直じゃないわね……―――まあ、いいわ。改めてよろしくね、ジュ―――いえ、リオン!」

フレンの質問に自分に対する毒舌も混ぜて答えたジューダス――――リオンの答えを聞いてジト目になったエステルはリオンを見つめて手を差し出したが

「………一つだけ言っておく。僕はお前のように図々しくて能天気で馴れ馴れしい奴が大嫌いなんだ!だからあまり馴れ馴れしく接してくるな!」

リオンはエステルの握手に応じず、エステルを睨んだ。



(あ、これは唯の照れ隠しですから誤解しないで下さいね。坊ちゃんのお友達のスタンやカイル達も貴女と似たような性格ですから。)

「アハハ、わかっているって。既に似たような性格のアガットがいるし。」

「ふざけた事を言うなと言っているだろうが、シャル!それにあんな暑苦しくて相手の力量もわからずに挑んで返り討ちにあうような無謀な男と僕を一緒にするな!」

「こ、このガキは……!それはこっちのセリフだ!テメェみてぇな、生意気でとんでもないひねくれストーカー小僧と一緒にされてたまるか!」

「ア、アガットさん~。せっかく仲間になってくれたんですから、喧嘩は止めましょうよ~。」

「つーか、マジでこの二人、似すぎだろ……」

「「僕(俺)をこんな奴と一緒にするな!」」

「うふふ、まさに息ピッタリね♪」

シャルティエの余計な口出しに苦笑しながら答えたエステルを睨むリオンをアガットは睨み、ティータはアガットを宥めようとし、呆れた表情で呟いたルークの言葉に反応して同時に声を上げたリオンとアガットの様子にその場にいる全員が冷や汗をかいている中レンはからかいの表情で呟き

「ハハ、ソフィや王子さんに続いて心強い味方ができたな。」

「ええ……フフ、これも”空の女神(エイドス)”によるお導きかもしれないわね。」

その様子を微笑ましく見守っていたジンの言葉にアーシアは頷いた。



「フフ……あ、エステル様。エステル様はプリンのレシピはご存知ですか?」

「な――――」

「へ?知らないけどどうして??」

そしてエステルに尋ねたマリアンの疑問を聞いたリオンは驚きの表情でマリアンを見つめ、エステルは首を傾げて尋ねた。

「プリンはリオンの一番の大好物ですので、今プリンのレシピを書いて渡しますので是非旅の間に作ってあげてください。」

「ブッ!?プ、プリンが大好物って……!」

マリアンの話を聞いたルークは噴き出した後笑いをこらえ

「あ、それとリオンはパフェやケーキ等基本デザートの類いは好物ですので、時々作ってあげてください。それとピーマン……はこの世界にありませんけど、ニンジンはリオンの嫌いな食べ物でいつも残していますので、ちゃんと食べるように言ってあげてください。」

「へえ~?ニンジンが嫌いで、プリンやケーキみたいなデザートが好物ねえ?うん、了解♪」

「フッ、年相応な部分もあるようだな。」

「ハハハハハハハハッ!!わ、笑いが止まらなくて腹がいてぇ!ハハハハハハハハッ!」

「うふふ、これは良い事を聞いたわね♪」

「え、えとえと……プリンはたくさんの人達が好きな食べ物ですから、別に気にしなくていいと思いますよ?」

「ちなみに私はカニタマがどんなに美味しい食べ物よりも大好きだから、カニタマも作ってね、エステル。」

そしてマリアンからリオンの好物等についての詳しい説明を聞いたエステルは口元をニヤニヤさせてリオンを見つめ、バダックは口元に笑みを浮かべ、ルークは腹を抱えて大声で笑い、レンは小悪魔な笑みを浮かべ、ティータは苦笑しながらリオンに慰めの言葉を送り、ソフィは真剣な表情でエステルを見つめて自分の要望を伝えた。



「余計な事を教えるな、マリアン!!」

リオンはマリアンを睨んで怒鳴り

(何を言ってるんですか!今後共にするエステル達は知っておくべきでしょう!スタン達と旅をしていた時、坊ちゃん、プリンを食べる機会が中々なくてとても辛い思いをしたでしょう?)

「へえ~、リオンはそんなにもプリンが大好きなんだ♪」

「貴様も余計な事を言うな、シャル!!」

更にマリアンに続くようにエステルに余計な事を教えたシャルティエを睨んで怒鳴った。



こうして……長年の想いがようやく通じ、新たなる”絆”を結んだリオン・マグナスは友の為に……そして自身の新たなる未来の為にエステル達の心強い仲間となった……………! 
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