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英雄伝説~光と闇の軌跡~(FC篇)

作者:sorano
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第3章~黒のオーブメント~ 第64話

ツァイスへと続くトンネル道、カルデア隧道は暗さのせいもあり、オーブメントの魔獣避けの灯で道を照らされていても道にはそこそこの数の魔獣がいて、エステル達を見つけると襲って来た。これまでの旅で強くなったエステルとヨシュア、歴戦の強さのリフィア達、見た目が幼いながらも竜のミントやツーヤにとって苦戦する敵ではなかった。



~カルデア隧道~



「はっ!」

「せいっ!」

魔獣の攻撃範囲外からエステルが棒で攻撃するとタイミングよくヨシュアが一瞬で魔獣に近付き、追撃をかけて次々と魔獣を倒し

「……ゆけい!」

「キャハッ♪」

リフィアとエヴリーヌは戦っている場所がトンネル道であるため、辺りに衝撃を与えかねない強力な魔術を抑えて、下級魔術――追尾弾や弓技――精密射撃で一撃で魔獣を次々と葬り

「ふっ、はっ、セイ!……ハァッ!」

プリネは魔獣達を皇技――フェヒテンイングやフェヒテンバルで次々と華麗に倒していった。一方心配であったミントとツーヤは予想以上に戦えてた。

「たぁっ!」

「ハァッ!」

ミントが魔獣に剣で斬りつけ、ツーヤが刀で魔獣の手足の一部を斬った所を

「やぁっ!」

ミントが突きで突進するクラフト――ピアスドライブで止めをさした。攻撃した後硬直していたミントに近くにいたを魔獣が襲ったが

「貫け!……アイスニードル!」

ツーヤが放った魔法によってミントを襲おうとした魔獣は足元から突然出て来た氷によって貫かれ、致命傷を負ったところをミントがクラフトを使った。

「あっち行けぇっ~!」

身体を回転させた勢いの片足に魔力を纏わせて目標に傷を負わせると同時に吹っ飛ばすクラフト――バーストショットによって蹴り飛ばされた魔獣は壁に当たった所を

「そこっ!」

ツーヤは突きの構えで力を溜めて放ったクラフト――溜め突きで魔獣に止めを刺した。

「フゥ。油断は禁物だよ、ミントちゃん。」

「えへへ……ありがとう、ツーヤちゃん!」

辺りの魔獣を倒し終えて安堵の溜息をついているツーヤにミントは笑顔でお礼を言った。



「ふえ~。2人とも初めての戦いの割には結構戦えるわね……魔術まで使うとは思わなかったわ……」

「そうだね。息もピッタリだったし。」

戦闘が終わりミント達の戦いを横目で見ていたエステルは驚き、ヨシュアは2人のコンビネーションに感心していた。

「えへへ、だってミントとツーヤちゃんは会ってからずっといっしょにいる友達だもん!だからパパとママみたいに仲良く戦えるんだ!」

「え。」

「へ!?ちょっと待って……ママはあたしの事だからいいとして、パパってもしかして……ヨシュア?」

ミントの言葉にヨシュアは驚き、エステルは驚いた後尋ねた。

「違うの?パパの名前、ママと同じだからパパだと思ったんだけど……」

エステルの様子が不思議に思い、ミントは首を傾げながら答えた。

「ち・が・う・わ・よ!ヨシュアはあたしの弟!第一、あたしはまだ結婚なんてしていないわ!」

「そうなの?」

「ハハ……エステルの言う通りだよ、ミント。」

「第一その……弟と結婚なんてできる訳ないでしょ。」

「何を言っておる。兄妹同士でも結婚できるぞ?」

「へ?」

リフィアの言葉にエステルは目を丸くした。

「忘れたのか?余の両親は元々腹違いの兄妹の関係だったのだぞ。」

「加えてエステルさんとヨシュアさんは血が繋がった姉弟ではないんですよね?でしたら普通に結婚できると思いますが……」

「…………………」

「エステル?どうしたんだい、顔を俯かせて。」

「ママ、風邪をひいたの?顔が真っ赤だよ?」

リフィアやプリネに正論を言われ、ヨシュアと結婚した風景をつい思い浮かべてしまったエステルは顔を真っ赤にさせて俯き、ヨシュアはその様子を不思議に思い声をかけ、ミントはエステルに近寄って顔が真っ赤になっているエステルの顔を見て首を傾げた。

「な、なんでもないわよ!それよりこの話はお終い!ヨシュアはあたしのそのこ、恋人とかじゃなくて弟だからね!だからミント、パパとかいっちゃダメよ!みんなに勘違いされるんだから!」

「?うん。」

無理やり話を終わらせたエステルにミントは首を傾げながら頷いた。



「……………」

(ヨシュアさん、何だか辛そうにしていませんか、ご主人様。)

(そうね……………まさか。)

エステルの言葉を聞いて、どこか哀愁が漂っているようにみえるヨシュアを見てツーヤはプリネに囁き、囁かれたプリネはヨシュアの様子を見て感づいた。

(どうしてヨシュアさんが辛そうにしているかわかったんですか、ご主人様。)

(ええ。……フフ、でも今のあなたにはまだちょっと早いかもしれないわね。)

(?よくわからないのですが……)

(その内あなたにもわかる時が来るわ……だから今はそっとしておきましょ。)

(?はい。)

微笑みながら答えたプリネの言葉にツーヤは首を傾げながら頷いた。

(フム……あの2人の結婚式に参加した際の祝いの言葉を今から考える必要があるな……)

(うわー……リフィアの頭の中ではエステルとヨシュアが一緒になる事が決定してる……エヴリーヌ、知~らないっと。)

一方早とちりしたリフィアは2人が未来には夫婦になると思い、小声で独り言を呟き、それが聞こえたエヴリーヌは面倒事を避けるために知らないフリをした。

「(ハァ……全部、聞こえてるよ……)それよりそろそろ行こうか。昼ごろにはツァイスに着きたいし。」

プリネ達の小声の会話や独り言が聞こえていたヨシュアは心の中で溜息をつき、気を取り直してエステル達に言った。

「そうね。じゃあ、行きましょうか。」

そしてエステル達はツァイスに向かって足を進めた。しばらく歩くとツァイス方面から走って来る足音と声がした。



「はぁはぁ……。い、急がなくっちゃ……」

「あれ……?」

「……誰か来るみたいだね」

聞き覚えのない声が道の先から聞こえたエステル達は足を止めた。すると赤を基調とした作業着を着たミントやツーヤぐらいの体が小さい少女が走って現れた。

「あ……」

少女はエステル達を見ると、立ち止まった。

「やあ、こんにちは」

「どうしたの、そんなに急いで?」

「あ、はい、こんにちは。あの、お姉さんたち、この道を通ってきたんですか?」

ヨシュアやエステルに話しかけられた少女は礼儀正しく答えた後、尋ねた。

「うん、そうだけど?」

「あのあの、だったら途中に消えた照明を見ませんでした?トンネルの壁についている照明のことなんですけど……」

「む~……ごめん。ちょっと気付かなかったか。」

少女に尋ねられたエステルはすまなさそうな表情で答えた。

「消えた照明はなかったけど、川を2つ越えたところで調子が悪そうなのは見かけたよ。」

「それですっ!や、やっぱり思ったとおりだよ~……。すみませんっ。わたし急がなくっちゃ!」

ヨシュアの答えを聞いた少女は慌ただしくルーアン方面に向かって走って行った。

「ツァイスの女の子かな。変わった格好をしてたね。ずいぶん慌てていたけど……」

「うーん。なんか気になるわね~。ね、ヨシュア。ちょっと追いかけてみない?」

「そう言うと思ったよ。たしかに女の子を1人で行かせるのは危険そうだからね。付いていった方が良さそうだ。」

「そうね……ミントやツーヤは事情が特殊だし、実際戦えるからいいとして……あの子、どう見ても普通の女の子に見えたし心配だわ。」

「決まりですね。では、急ぎましょう。子供の足とは言え、油断はできません。」

「うむ!」

「ん。」

「はーい!」

「わかりました。」

そしてエステル達は来た道を引き返して急いで女の子の後を追った。

女の子を追って急いで道を引き返したエステル達はしばらく戻ると女の子を発見した。

「はうぅ~っ……」

そこには女の子に気付かず消えかかっている照明に魔獣が群がっていた。女の子はその様子を見て、思わず声をあげた。

「も、もうこんなに集まって来ちゃうなんて~……。このままじゃ壊されちゃう……。こ、こうなったら……」

女の子はどこからともなく、ややサイズが小さい導力砲を取り出して魔獣に向けた。

「方向ヨシ、仰角20度……。導力充填率30%……。……いっけええっ!」

魔獣の群れは野生の危機感で女の子が撃った導力砲の砲弾を避けた。

「そ、それ以上近づいたら今度は当てちゃうんだから!ほ、本当に、本気なんだからっ!」

女の子は導力砲を魔獣に向けて精一杯強がったが、魔獣達は獲物を女の子に変えてじりじりと詰め寄って来た。

「あう……。ぎゃ、逆効果だったかも……」

詰め寄って来る魔獣の群れを見て女の子は後ずさった。そして群れの中の一匹の魔獣が女の子に襲いかかろうとした時

「てりゃあああっ!」

エステルが飛び込んで棒で女の子に襲いかかった魔獣を吹っ飛ばした。そして続くようにヨシュアやプリネ達が女の子を守るような位置で武器を構えた。

「え……。あ、さっきの……!」

女の子はエステル達を見て驚いた。

「話はあとあと!いいから下がってて!」

「とりあえずこいつらを追っ払うからね!」

「余に任せるがよい!」

そしてエステル達は魔獣の群れと戦闘を開始した!



「ハァァァ……!旋風輪!!」

「そこだ……!絶影!!」

エステルが棒で魔獣の群れを一気にダメージを与えるとヨシュアがすかさず止めを刺し

「とうっ!」

「出でよ、ソロモンの魔槍!……死愛の魔槍!!」

「暗黒の槍よ!……狂気の槍!!」

「落っちろ~!……サンダーボルト!!」

「貫け!……アイスニードル!!」

エヴリーヌは弓矢で、リフィアやプリネは暗黒魔術の槍で、ミントやツーヤは自分達しかできない独特の魔法でエステルやヨシュアの攻撃を受けてない魔獣達を仕留めたり、重傷を負わせた所を

「風よ、切り裂け……旋刃!!」

エステルの風の魔術によって残った敵を殲滅した。



「こ、こわかった~っ……。あのあの……ありがとうございますっ。おかげで助かりました。」

魔獣達が倒されて安心した女の子はエステル達にお礼を言った。

「あはは。無事で何よりだったわね。でも……ちょっと感心しないわよ?魔獣を挑発するなんて危ないことしちゃダメじゃない。」

「あ、でもでも……。放っておいたら照明が壊されちゃうと思って……」

エステルのちょっとした注意に女の子は申し訳なさそうな表情で答えた。

「そういえば……。どうして、あの魔獣たち、消えた照明に群がっていたのかな?」

「前に街道灯を交換した時にも同じことがあっただろう?オーブメントの中にある七耀石の回路は魔獣の好物だからね。だから街道灯には、魔獣よけの機能が付いているんだけど……。その機能が切れたら逆に狙われやすいってわけさ。」

女の子の言葉からある事が気になったエステルにヨシュアが説明した。

「あ、なーるほど。でも、それにしたって無茶するにも程があるわよ。大ケガしたら危ないでしょ?」

「エステルの言う通りだ。無茶はほどほどにするのが一番だが、やりすぎてしまうと自らの身を滅ぼしてしまうぞ?」

「あぅ……ご、ごめんなさぁい。」

ヨシュアの説明に納得したエステルだったが、女の子を再度リフィアと共に注意した。注意された女の子はしゅんとした。

「リフィアが無茶するなって言っても説得できないと思う。いっつも、お兄ちゃん達やエヴリーヌを巻き込んで無茶をしているのに。」

「……聞こえておるぞ、エヴリーヌ。余を鉄砲玉扱いするでない!」

「あ、あはは…………」

エヴリーヌの呟きが聞こえたリフィアは怒り、プリネは何も言わず苦笑した。

「まあまあ、そのくらいで。第一、無茶するなとか君が言っても説得力ないしね。」

「そこっ、水をささないのっ!まあいいや……。あたし、エステルっていうの。」

「僕はヨシュア。2人とも、ギルドに所属している遊撃士なんだ。」

「わあ、それであんなに強かったんだ……。それでそこの方達はどなたなんでしょうか?」

エステルとヨシュアが遊撃士と知った女の子はミントに負けない可愛らしい笑顔で納得した後、リフィア達を見た。

「余の名はリフィア!しかと覚えておくといい!」

「……わたし、エヴリーヌ。よろしくね。」

「プリネと申します。私達は事情があってエステルさん達の仕事のお手伝いをさせて頂いているんです。」

「そうなんですか……遊撃士や軍人でもないのに強いんですね。」

「そりゃあそうよ。プリネ達はなんたって”闇夜の眷属”なんだから!」

「なんで、そこで君が得意げになるんだか………」

「わあ……凄い!話には聞いていたけど”闇夜の眷属”に会ったのは初めてです!えっと……そちらの2人もそうなんですか?」

プリネ達が異世界の人種と知ると女の子はキラキラした顔でプリネ達を見た後、ミントやツーヤを見た。

「えっと、まあそんなもんよ!ミント。」

ミント達の正体をはぐらかしたエステルはミントに自己紹介するよう促した。

「はーい!ミントだよ!よろしくね!」

「……あたしの名前はツーヤ。プリネ様にお仕えしています。」

ミントは元気よく名乗り、ツーヤは静かに名乗り出た。

「あのあの、申し遅れました。わたし、ティータっていいます。ツァイスの中央工房で見習いをさせてもらってます。」

(ん?聞き覚えのある名前だな……)

(お姉様もですか?実は私もそうなんです。)

そして最後に女の子――ティータは自己紹介をした。ティータの名前を聞き、リフィアとプリネは聞き覚えのある名前に首を傾げた。



「へー、それでそんな格好をしてるんだ。それじゃあ、ティータちゃん。ツァイスに戻るんだったらあたしたちと一緒に行かない?」

「そうだね。また魔獣が出たら大変だし。」

「ほ、ほんとですか?ありがとーございますっ。えっと、ちょっとだけ待ってもらってもいいですか?あの照明を修理しちゃいますから。」

エステルとヨシュアの申し出にお礼を言ったティータは消えかかっている照明を見て頼んだ。

「あ、たしかにこのまま放っておくのは危なそうだもんね。でも、どうしてここの照明が切れそうなんて分かったの?」

「あ、端末のデータベースを調べていたら偶然見つけて……。手違いで、整備不良だったものがそのまま設置されたみたいなんです。」

「なるほど……。早く見つかって良かったね。」

「(端末?でーたべーす?)」

「「??」」

ティータの説明を聞き、興味がなく聞き流しているエヴリーヌ以外、ヨシュア達は理解をしている様子だったがエステルやミント、ツーヤは何の事かわからず首を傾げていた。そしてティータは照明に近付いて作業をした。

「……んしょっと。」

作業が終わり消えかかっていた照明がハッキリと点灯した。

「はい、これでいーです。お待たせしちゃいました。」

「わあ……ティータちゃんって凄いんだ!」

「へえ~、凄い。ずいぶん手際良いのねぇ。」

「うむ。見事な手際だな。」

「さすが、あの中央工房で見習いをしてるだけはあるね。」

「えへへ……。大したことはしてないです。クオーツの接続不良を直して導力圧を調整しただけですから。」

エステル達に褒められたティータは照れながら説明した。

「???なんか充分、大した事のように聞こえちゃうんですけど……」

ティータの説明にエステルは不思議そうな顔で尋ねた。



「そんなことないですよー。えとですね。わかりやすく説明すると……オーブメントの内部にはクオーツって言う結晶回路がはまっているんですけど、それがきちんとユニット部に接続されていないと、生成された導力が行き場を失ってしまって、結果的に想定された当初の機能が発揮できなくなってしまうんです。それが街道灯の場合は光と魔獣除けの………………」

「ス、ストップ!」

詳細な説明をどんどん語るティータの説明に耐えきれず、エステルはティータを制した。

「せ、説明はまたにしてそろそろ出発したいかな~。うんうん。こんな所で立ち話もなんだし。」

「あ、それもそーですね。ちょっと残念ですけど……」

「(ホッ………)」

説明を一端止めたティータを見てエステルは安堵の息を吐いた。

「はは、それじゃあ改めてツァイスに向かうとしようか。」

エステルの様子を見て、ヨシュアは苦笑しながら全員に先に進むよう促した。

「オッケー!」

「はいっ!」

「ええ。」

「うむ。」

「ん。」

「はーい!」

「はい。」

そしてエステル達はティータを護衛しながらツァイスに向かった……… 
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