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英雄伝説~光と闇の軌跡~(FC篇)

作者:sorano
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第50話

その後ルーアンのギルドに戻ってヨシュアと共に報告していたエステル達だったが、そこにアガットが帰って来てロッコ達は関係ない事を伝えると有無を言わさず孤児院の火事事件をエステル達から取り上げて、さっさと出て行った。そしてエステル達は納得のいかない表情でジャンに今までの調査結果を報告をした。



~遊撃士協会・ルーアン支部~



「うん、良く調べてくれたみたいだね。でも、さっき言った通り、今度の件には色々と事情があるんだ。申しわけないが、この報告で捜査は終了とさせてもらうよ。」

「で、でも……。院長先生とあの子たちのために何かしたいと思ってたのに……。……こんなのって……」

「エステル……」

「エステルさん……」

「「「………………」」」

冷静に言うジャンの言葉にエステルは落ち込んだ表情をし、エステルを見たヨシュア達はかける言葉はなかった。

「………………………………。あの、ジャンさん。遊撃士の方々というのは民間の行事にも協力して頂けるんですよね?」

そこにしばらく黙って考えていたクロ―ゼがジャンに話しかけた。

「ああ、内容にもよるけど。王立学園の学園祭なんか大勢のお客さんが来るらしいからうちが警備を担当してるしね。」

「でしたら……。エステルさん、ヨシュアさん。その延長で、私たちのお芝居を手伝って頂けないでしょうか?」

「え……?」

「それって、どういうこと?」

クロ―ゼの依頼にエステルとヨシュアは驚いた。



「毎年、学園祭の最後には講堂でお芝居があるんです。あの子たちも、とても楽しみにしてくれているんですけど……。とても重要な2つの役が今になっても決まらなくて……」

「も、もしかして……」

「その役を、僕たちが?」

「はい、このままだと今年の劇は中止になるかもしれません。楽しみにしてくれているあの子たちに申しわけなくて……。そこで昨夜、学園の生徒会長にお2人のことを話したんです。そしたら、すごく乗り気になって連れてくるように言われて……。あまり多くはありませんが、運営予算から謝礼も出るそうです。」

「ど、どうしてあたしたちなの?自慢じゃないけど、お芝居なんてやった事ないよ?」

クロ―ゼの説明に驚いたエステルは尋ねた。

「片方の、女の子が演じる役が武術に通じている必要があって……。エステルさんだったら上手くこなせると思うんです。」

「な、なるほど……。うーん、武術だったらけっこう自信はあるかも……でも、武術ができる女の子だったらプリネもそうだけど?」

「その事なんですけど……実はプリネさんにも手伝っていただきたいのです。」

「私が……ですか?」

エステルに説明したクロ―ゼはプリネを見て答え、プリネはクロ―ゼの言葉に驚いた。

「はい。実はお芝居の武術なんですがレイピアを使ったお芝居になるんです。ですから、レイピアを武器に使うプリネさんにご教授の方をぜひ、お願いしたいのです。」

「別に私はいいのですがレイピアでしたらクロ―ゼさんも使うのでは?お芝居の内容を知っているクロ―ゼさんが教えた方がいいと思うのですが……」

「私は護身程度にできるぐらいですから……ですから私とエステルさん、両方を見てもらいご教授をお願いしたいのです。」

「…………どうしましょう、リフィアお姉様。」

クロ―ゼの言葉にプリネは迷い、リフィアに聞いた。

「余はいいと思うぞ。それに同じ年頃の者達と協同して芝居を成功させる事はお前にとってもよい体験になるはずだ。ルーアン市内の事は余やエヴリーヌに任せてお前はエステル達と共に行くがよい。」

「ん。お姉ちゃんに任せて、プリネは楽しんできて。」

「お2人とも……ありがとうございます。フフ………学園生活には少しだけ憧れていたんですよね。まさかこんな形で体験する事になるとは思いませんでした。」

リフィアやエヴリーヌの言葉にプリネは感謝し、これから行くジェニス王立学園で待っている芝居の準備に期待した。



「確かにエステルにピッタリだし、レイピアの使い手として上手いプリネが教えたらさらに成功率はあがるね。それでもうひとつの役は?」

「そ、それは……。私の口から言うのは……」

ヨシュアの疑問にクロ―ゼは戸惑った。クロ―ゼの様子が気になり、ヨシュアは続きを促した。

「言うのは?」

「……恥ずかしい、です。」

「そ、それってどういう意味?」

「もー、ヨシュアってば。しつこく聞くと嫌われるわよ。お祭りにも参加できるし、あの子たちも喜んでくれる……。しかもお仕事としてなら一石三鳥ってやつじゃない!こりゃ、やるっきゃないよね♪」

クロ―ゼの答えに嫌な予感がしたヨシュアはさらに尋ねたがすっかり立ち直ったエステルに流された。

「ちょ、ちょっと待ってよ。ジャンさん、こういうのもアリなんですか?」

「もちろん、アリさ。民間への協力、地域への貢献、もろもろ含めて立派な仕事だよ。リフィア君やエヴリーヌ君もいるし、アガットが来たおかげでそれなりに余裕も出来たし……。よかったら行ってくるといい。」

慌ててジャンに尋ねたヨシュアだったが、ジャンは笑顔でクロ―ゼの依頼を肯定した。



「やったね♪」

「ふう……。何だかイヤな予感がするけど。あの子たちのためなら頑張らせてもらうしかないか。」

「フフ、今から楽しみです。」

ジャンの言葉にエステルは喜び、ヨシュアは溜息をついた後気持ちを切り替え、プリネは期待した。

「後の仕事は余やエヴリーヌが他の遊撃士を手伝って完遂しておこう。だからお前達は学園に向かうといい。」

「ん。」

「ありがとう、リフィア、エヴリーヌ。クロ―ゼさん、道案内よろしくね♪」

「はい。」

そしてエステル達はクロ―ゼが生活するジェニス王立学園に向かい、到着するとまず学園長に挨拶するために、学園長室に向かった。

~ジェニス王立学園・学園長室~



「学園長。ただいま戻りました」

「クローゼ君、戻ったか。おや、そちらの君たちは……」

ジェニス王立学園長――コリンズはエステルやヨシュア、プリネに目をやった。

「初めまして、学園長さん。」

「遊撃士協会から来ました。」

「よろしくお願いします。」

「ほう、まだ若いのに遊撃士とは大したものだ。孤児院で火事があったそうだがもしや、その関係で来たのかね?」

「はい、実は……」

そしてクロ―ゼはコリンズに火事の事件を含め、エステル達が学園に来た経緯を説明した。

「そうか……。大変なことになったものだ。わしらも、何らかの形で力になれるといいのだが……。………………………………。まずは、学園祭を成功させて子供たちを元気づけること……。そこから始めるしかないだろうな。」

「はい……。そこで、お芝居についてはエステルさんとヨシュアさん、そしてプリネさんに協力していただこうと思いまして。」

「いい考えだと思うよ。エステル君、ヨシュア君、プリネ君。どうかよろしくお願いする。」

「あ、はい!」

「微力を尽くさせて頂きます。」

「私もできる限りの事はさせていただきます。」

コリンズの言葉にエステル達は姿勢を正して答えた。

「劇に関しては、生徒会長のジル君に全てを任せている。監督も担当しているから詳しい話を聞くといいだろう。わしの方からは……寮の手配をしておこうか。」

「「え……」」

「寮、ですか?」

コリンズの言葉にエステルとプリネは驚き、ヨシュアは驚きながら尋ねた。

「何と言っても学園祭までほとんど時間がない。おそらく毎日、夜遅くまで練習する必要があるだろう。そうなると、泊まる場所が必要になるのではないかな?」

「あ、なーるほど……」

「それは助かります。」

「ありがとうございます、学園長。」



キ―ン……コーン……カーン……コーン……



「ちょうど授業も終わりだな。さっそく、生徒会長に紹介してあげるといいだろう。」

学園のチャイムを聞いたコリンズはクロ―ゼに言った。

「はい。エステルさん、ヨシュアさん、プリネさん。次は生徒会室に案内しますね。」

「うん、それじゃ行きましょ。」

そしてエステル達は生徒会室に向かった。



~ジェニス王立学園・生徒会室~



「は~、忙しい、忙しい。各出店のチェックと予算の割り当てはOK……。招待状の発送も問題なしと。」

生徒会長のバッジをつけた眼鏡をかけた制服の少女――ジルは書類を見て呟いた。

「残る問題は、芝居だけか……。このまま見つからなかったら俺たちがやる羽目になるのかね。」

副会長のバッジをつけた制服の少年――ハンスは溜息をついた。

「私はともかく、あんたは問題外でしょうが。衣装合わせをした時のおぞましい恰好といったら……」

「言うなっての……。俺も思い出したくないんだから」

「ただいま。ジル、ハンス君。」

衣装合わせの事を思い出し身を震わせながら呟いたジルの言葉に同意して溜息をついている所にエステル達を連れたクロ―ゼが生徒会室に入って来た。

「あ、クローゼ!?火事の話、聞いたわよ。大変だったそうじゃない。」

「院長先生とチビたちは大丈夫だったのか?」

「ええ……。怪我をした子もいたけど運良くイーリュンの信徒の方がいらっしゃって傷を治してくれて一応、みんな無事でした。ただ、孤児院の建物が完全に焼け落ちてしまって……」

「そうか……」

「元気出しなさいよ。悩んでいたって仕方ないわ。チビちゃんたちが楽しめるように学園祭を成功させないとね。」

クロ―ゼの説明にハンスはかける言葉はなかったがジルは前向きにクロ―ゼを励ました。

「うん、テレサ先生にもそんな風に注意されちゃった。だから、全力で頑張るつもり。」

「あんたが本気を出せば百人力だから期待してるわよ。ところで、さっきから気になってるんだけど……。その人たち、どちらさま?」

ジルはエステル達に目をやって尋ねた。



「初めまして。あたし、エステルっていうの。」

「ヨシュアです、よろしく。」

「プリネです。エステルさんとヨシュアさんの仕事をサポートさせていただいています。」

「それじゃ、あんたたちがクローゼの言ってた……!」

ジルはエステル達が名乗り出ると驚いた。

「ふふ、約束通り連れてきたわ。2人とも協力してくださるって。それとプリネさんにはエステルさんにフェンシングを教えて貰うためにいっしょに来てもらったわ。」

「いや~、助かったわ!初めまして、エステルさん、ヨシュアさん、プリネさん。私、生徒会長を務めているジル・リードナーといいます。今回の劇の監督を担当してるわ。」

「俺は副会長のハンスだ。脚本と演出を担当している。よろしくな、3人共。」

「うん、こちらこそ。」

「よろしくお願いします。」

「私は直接劇に関われないと思いますがお手伝いする事があったら何か遠慮なく言って下さい。」

「う~ん、それにしても……」

エステル達に自己紹介をしたジルはエステル達をじっくりと見た。



「な、なに?」

エステルは戸惑いながら尋ねた。

「さすが遊撃士だけあってスポーツも得意そうな感じね。エステルさん、剣は使える?」

「そんなに上手くないけど多分、大丈夫だと思うわ。棒術がメインだけど父さんに習ったこともあるし、それにプリネにも教えて貰うもん。」

「へ~…………ん?そういえばさっきクロ―ゼも言ってたけど、プリネさん、フェンシングが出来るの?腰にさしてあるのってレイピアよね?」

ジルはプリネの腰にさしてあるレイピアに気付いて尋ねた。

「ええ。ただ、私の剣技はお父様譲りなので競技用ではなく実戦用ですが………」

「実戦って……プリネさんの家庭って剣術の道場か何かか?」

プリネの言葉に驚いたハンスは尋ねた。

「ううん。プリネはメンフィルの貴族なの。」

「彼女の父親は凄い剣士でもありますから、彼女は幼い頃から父親から護身用に教えてもらったそうです。だから今の彼女の剣技は大人顔負けの腕をしています。」

「メンフィルの!?おいおい……じゃあ、もしかして彼女は”闇夜の眷属”なのか!?」

エステルとヨシュアはプリネの仮の正体を説明し、それに驚いたハンスは声を上げて興奮気味に尋ねた。

「ええ。」

プリネは恥ずかしそうにしながら答えた。

「すげーな、クロ―ゼ……まさか、”闇夜の眷属”も連れてくるとは思わなかったぜ。」

「そんな……私は何もしていません。ダメ元で頼んでみたらプリネさんが快く了解してくれただけですから……」

「…………閃いたわ!まずエステルさん。あなたには、クローゼと剣を使って決闘してもらうわ。」

「け、決闘!?」

「もちろんお芝居で、ですよ。」

何かに閃いたジルはまずエステルに劇の役割と何をするか言った。ジルの言葉にエステルは驚いたが、クロ―ゼが補足した。



「クライマックスに2人の騎士の決闘があるのよ。まあ、劇の終盤を彩る迫力のあるシーンなんだけど……。クローゼと勝負できるくらい腕の立つ女の子がいなくてねぇ。この子、フェンシング大会で男子を押しのけて優勝してるし。」

「へ~、すっごい!」

ジルの説明にエステルは感心してクロ―ゼを見た。

「ちなみに、決勝で負けたのはそこにいるハンスだけどね~」

「悪かったな、負けちまって。ちなみに俺が弱いんじゃない。クローゼが強すぎるんだよ。」

「あ、あくまで学生レベルの話ですから……。本職のエステルさんやプリネさんには足元にも及ばないと思います。」

溜息をつきながら話すハンスにクロ―ゼは苦笑しながら、答えた。

「またまた、謙遜しちゃって。でも、そういう事ならちょっとは協力できるかも。クローゼさん、頑張ろうね♪」

「はい、よろしくお願いします。」

「う~ん……クロ―ゼさんがそこまでの腕なら正直私は必要ないと思うのですが……」

クロ―ゼの腕を知ったプリネは苦笑いをしながら答えた。

「フッフッフ……そこはご心配なく!プリネさんも当然劇に参加してもらうわ!」

「え……私が……劇に?」

ジルの言葉にプリネは驚いた。

「おい、ジル。余っている役なんてもうないだろ?」

ジルの様子を不審げに思ってハンスは尋ねた。



「今、閃いたのよ!蒼騎士オスカーと紅騎士ユリウスの剣の師匠であり誰もが見惚れる騎士団長!名前はそうね……『剣帝ザムザ』の主人公、ザムザでどうかしら?」

「「「「…………………」」」」

嬉しそうに説明をするジルをエステル達は呆けてジルを見た。そしていち早く立ち直ったハンスがジルに慌てた様子で尋ねた。

「おいおいおい……!ここで役を増やすとか何、考えてんだ!?ようやく役が揃ったってのにここで新しい役なんて増やしたら今までの練習がパアになるだろ!?」

「どっちみち、主役クラスが抜けてたから大した事ないわよ。今までの流れに少し加えるだけだし。」

ジルは涼しい表情でハンスの反論を打ち破った。

「でもな……!」

「あら、あんたは孤児院の子供達を喜ばせたくないの?役が増えればその分、さらに面白くなるのに。」

「グッ!」

ジルの言葉に図星をつかれたかのようにハンスはその場でのけ反った。

「それにあんた、言ってたじゃない。『せっかく今回の面白い趣向を先生方に認めて貰えたのに、学園生の中で”闇夜の眷属”がいないから少し残念だぜ。』って。」

「あーもう!わかった!わかりましたからこれ以上言うのはやめてくれ!」

「わかればいいのよ、わかれば♪」

降参したハンスを見てジルは満足げに頷いた。



「あの……本当に大丈夫なのですか?急に役を増やしたりして……」

2人のやり取りを見て心配したプリネは尋ねた。

「大~丈~夫!必ず成功させるわ。だからプリネさんも急で悪いんだけどがんばってもらえないかしら?」

「……わかりました。私にできる精一杯の力を出させていただきます……!」

「がんばろうね、プリネ!」

「はい、お互いがんばりましょう、エステルさん。」

「ハハ……それにしても……。女騎士の決闘なんて、なかなかユニークな内容だね。それに女性騎士団長なんて珍しくてお客の目を引きそうだね。」

エステルとプリネの会話に微笑ましく思ったヨシュアは劇の内容について仮の感想を言った。

「女騎士に女性騎士団長?3人に演じてもらうのはれっきとした男の騎士役に騎士団長役だぜ?」

「え。」

ヨシュアの感想に以外そうな表情で答えたハンスの言葉にヨシュアは驚いた。

「しかし、ヨシュアさんの方は文句のつけようがないわね……。期待してもいいんじゃない?」

「ああ、悔しいが同感だぜ。」

「???」

「えっと、その劇……どういう筋書きなのかな?」

ヨシュアを見る目が妖しいジルの言葉にハンスは頷き、エステルは2人の言葉に首を傾げ、ヨシュアは嫌な予感がしながらも尋ねた。



「題名は『白き花のマドリガル』。貴族制度が廃止された頃の王都を舞台にした有名な話なの。貴族出身の騎士と平民出身の騎士による王家の姫君をめぐる恋の鞘当て……。しかもこの3人、身分は違うけどお互い幼なじみの関係にあってね。それに、貴族勢力と平民勢力の思惑と陰謀が絡んできちゃうわけよ。まあ、最後は大団円、文句なしのハッピーエンドだけどね。」

「へ~、面白そうじゃない♪」

「ええ、中々いいお話ですね。」

「そ、それで……。どうして女の子が男性役を?」

劇の内容をジルが説明し、それを知ったエステルとプリネは期待したがヨシュアは不安そうな表情で尋ねた。

「それが、今回の学園祭ならではの独創的かつ刺激的なアレンジでね。男子と女子が、本来やるべき役をお互い交換するっていう趣向なのさ。」

「男女が役を入れ替える?へ~、そんなのよく先生たちが許してくれたわね。」

「性差別からの脱却!ジェンダーからの解放!そして新しく現れた異世界の種族との協力!…………とかなんとか理屈をこねて無理矢理押し通したちゃったわ。本当は面白そうっていう、それだけの理由なんだけど♪」

「ジルったらもう……」

「ほんと、こんなヤツが生徒会長とは世も末だよな。」

力説した後、無邪気に笑うジルにクロ―ゼは苦笑し、ハンスは溜息をついた。

「あはは♪うん、確かに面白そうかも。」

「エ、エステルさん。私達はいいかもしれませんが、この流れで行くとヨシュアさんが……」

ジルの考えにエステルは笑って同意したが、プリネは横目でヨシュアを見て言いかけた所にヨシュアが青褪めて会話に割って入った。

「ちょ、ちょっと待った!その話の流れで言ったら……。僕が演じなくちゃいけない『重要な役』っていうのは……」

「いやぁ、ホント助かったぜ」

「クローゼ、ありがとね。いい人たちを紹介してくれて♪」

「あ、あはは……。ごめんなさい、ヨシュアさん……」

そしてエステル達は早速衣装合わせや劇の練習をするために自分の役割を知り絶望したヨシュアを連れて、講堂へ向かった……… 
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