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英雄伝説~焔の軌跡~ リメイク

作者:sorano
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第34話

~遊撃士協会・ロレント支部~



「ふふ、まさにグッドタイミングな時に来てくれたわね。この中で一番久しぶりなのはアネラスかしら。」

リベールの中でも精鋭部隊と言ってもおかしくないルーク達が来た事に心強さを感じるアイナはアネラスに視線を向け

「あ、はい。よろしくお願いします!」

アネラスは頷いた後これからの活躍を期待させるかのように力強く答えた。

「ええ、よろしく。フレンさんもまた、よろしくお願いしますね。」

「ああ、相棒のアーシアに負けないようにどんどん働くつもりだから期待していいぜ。」

「ふふ、お言葉に甘えて期待させてもらいますね。それと……とうとう正遊撃士になったわね、レン。貴女が最年少正遊撃士になる事は確信していたけど、まさかこんなにも早くなるなんてね。」

フレンの力強い言葉に微笑みながら頷いたアイナは”特例”続きの天才少女を見つめた。



「うふふ、アイナお姉さん達が本部に口利きしてくれたのお蔭でなれたようなものよ。ありがと♪」

「まあ、私達――――リベール各支部の受付達もまさか”特例”とはいえ、規定年齢にも達していない貴女が正遊撃士……それも最初からE級になれるとは思わなかったわよ?相変わらず私達の予想以上の結果を出す娘ね。」

笑顔で言ったレンの感謝の言葉を聞いたアイナは常に自分達の予想を大きく上回り続けるレンを苦笑しながら見つめた。

「次の目標は最年少S級正遊撃士になる事だから、期待して待っていてね♪」

「クク、その時になったらまた記事になるだろうな。」

「ハハ……レンの場合だとマジでそうなりそうだよな。」

「ホントよね……一体この娘は最終的にどこまで行くのかしら?」

「うーん、私も早くおじいちゃんから”皆伝”を貰えるようにもっと剣の修行をしないとな~。」

レンの普通に考えたら達成する事が非常に難しい目標を聞いたレンをよく知る者達はそれぞれの想いを抱えていた。

「ふふ、その時が来るのを楽しみにさせてもらうわ。さてと、挨拶はこれくらいにして早速、状況を説明させてくれる?」

「ええ、お願いするわ。」

「それで霧が発生したのはいつぐらいからなんだ?」

アイナの言葉に頷いたシェラザードとルークはそれぞれ仲間達と共に気を引き締めてロレントに発生した謎の霧の詳細を尋ねた。



「……霧が発生したのは今日の明け方くらいになるわ。最初はうっすらとモヤがかかった程度だったけど……みるみるうちに濃くなって視界を(さえぎ)るほどになったの。」

「どういう原因で発生したのか現時点では分かりませんか?」

「ええ、今のところは。ロレント市の全域を覆っているのは確かなのだけど……」

アネラスの疑問にアイナは頷いた後考え込んだ。

「霧にも色々種類があるからな。沖合いで発生して海岸に流れてくるものもあれば、盆地で発生するものもあるしな。」

「確かロレント地方の地形は盆地よね?」

フレンの話を聞いたレンはある事に気付いて周囲の者達に尋ね

「ええ、どちらかと言うと。単なる自然現象である可能性も否定できないわね。」

「ああ。今までこんな事なかったからな。あまりにも変だ。」

故郷の異変を感じ取っていたシェラザードとルークはそれぞれ真剣な表情で答えた。

「現時点であなたたちに要請したい仕事はせいぜい溜まっている依頼を片付けてもらう程度よ。」

「う、う~ん……他にもする事ってありませんか?それだけではこの霧が起きた原因がわからないと思いますし……」

普段通りの仕事をするだけではロレントの異変を解決できない事に気付いていたアネラスは不安そうな表情でアイナに尋ねた。



「うーん、そうね。強いて言うなら、街道の様子を調べてきてほしいくらいかしら。」

「街道の様子を調べる?」

アイナの口から出た意外な頼みにルークは首を傾げた。

「さっきも言った通り、霧はロレント市全域を覆っているんだけど……町外れの方にも結構、広がっているみたいなの。今後のことを考えると発生範囲がどのくらいか知っておきたいのよね。」

「………なるほどね。陸路を確保する為ね。」

アイナの説明を聞き、察したレンは頷いてアイナを見つめ

「あっ!」

「確かにな……霧が晴れるまで定期船は動かないって飛行船公社が放送で言っていたから、いざという時の為に陸路の確保は必要だな。」

レンの推測で何かに気付いたアネラスは声を上げ、フレンは頷いた後真剣な表情でアイナを見つめた。



「ええ、そういうこと。南のエリーズ街道、西のミルヒ街道、北のマルガ山道。この3つの道で、どこまで霧が続いているか確かめてきてくれる?」

「了解。そのくらいお安い御用だわ。それじゃあせっかく5人もいるんだし、二手に分かれて手分けして溜まっている依頼をこなしながら、街道の様子を見てきましょう。」

「ああ。」

その後ルーク、レン、フレンの組み合わせとシェラザード、アネラスの組み合わせに分かれ、それぞれのチームは溜まっている依頼の消化を始めた。



~ロレント市~



「あーっ!?レンじゃねえか!」

「レンちゃん!それにルークお兄ちゃんも!」

市内を走り回って遊んでいた少年達はルーク達に気付くと驚きや嬉しそうな表情で駆け寄って来た。

「よ、ルック、パット。久しぶりだな。」

「うふふ、そんなに大声を上げるなんて。よっぽどレン達に会いたかったのかしら?」

「そんな訳ねえだろうが。いきなり出てきたからびっくりしただけだろう。」

小悪魔な笑みを浮かべるレンの言葉を聞いた少年の一人―――ルックは呆れた表情で言ったが

「うふふ、確かにルックが最も会いたかったのはエステルだったものね。レンやお兄様しかいなくて、残念だったわね♪」

「なっ……!?ふざけた事、言ってんじゃねえ!」

(クク、バレバレだっつーの。)

レンにからかわれると顔を真っ赤にして声を上げ、ルックの顔を見たフレンは口元に笑みを浮かべていた。



「あれ……でも……ルックはエステルおねえちゃんを待ってたんじゃなかった?」

その時もう一人の少年―――パットが首を傾げて尋ね

「あら♪」

「ば、ばか!そんなこと言ってねーよ!」

パットの疑問を聞いたレンは小悪魔な笑みを浮かべ、ルックは焦った様子でパットを睨んだ。

「クスクス、今のパットの言葉、エステルに伝えたらエステルは何て言うでしょうね♪」

「ふ、ふざけた事言ってんじゃねーよ!それよりレン!今日こそ決闘だ!どっちが本当に強いのかハッキリさせるぞ!」

「ルックったら、相変わらず身の程知らずねえ?レン、もう正遊撃士になったのよ?」

「なっ!?」

「ええっ!?」

同年代の知り合いの少女が正遊撃士になった事に驚いた二人はそれぞれ声を上げて驚いた。

「レンの言う通りだぜ。レンが今服に付けている紋章を見て見な。」

「え?あっ!ルークお兄ちゃんと同じ正遊撃士の紋章だ……!」

「クッソ―!また先を越されたぜ!何でレンはよくて、俺達は遊撃士になっちゃ駄目なんだよ!?」

ルークの言葉を聞き、レンの服に付いている正遊撃士の紋章を見たパットは驚き、ルックは悔しそうな表情でレンを睨んだ。



「そんな事もわからないから、まだまだ貴方達はお子様なのよ。それよりもエステルから聞いたわよ~?レンとお兄様が出張に行っている間に”翡翠の塔”に行って、さんざん町の人達に心配をかけた挙句、エステルやヨシュア、それにパパに助けてもらったんだって?」

「うっ………エ、エステルの野郎~!余計な事をレンに吹き込みやがって……!」

「レ、レンちゃん………」

しかし小悪魔な笑みを浮かべるレンの口から出た自分達にとって図星となる話を出された二人はそれぞれ冷や汗をかいた。

「レンみたいに小さい頃から”一人前”になりたいのなら、まずは誰にも心配をかけさせない事ね。自分自身も守れないんじゃ、誰かを守る事なんてできないわ。これぐらいの話なら、貴方達でもわかるんじゃないの?」

「……ちっ………わ、わかったよ。決闘は今度にしてやらぁ!」

「ご、ごめんね、レンちゃん。暗くならないうちにお家に帰るから。」

「うふふ、そうしてくれた方がレンや町の人達の心配事も少なくなるから助かるわ。」

そしてレンは微笑みながら自分達から去って行くルックとパットを見つめ、ルーク達と共に再び街を歩き始めた。



~居酒屋・アーベント~



「いらっしゃいませ~。あれ?レンじゃない!それにルークさんも!」

ルーク達が昼食を取る為に居酒屋に入って席につくとルーク達に気付いた娘は驚いた様子で話しかけてきた。

「よ、エリッサ。」

「うふふ、久しぶりね、エリッサ。」

「よかった~。やっと訓練が終わったのね。心配したよ~。なかなか帰ってこないんだもん。あれ?エステルは??」

娘―――エリッサは二人の姿を見かけた後エステルがいない事に気付いて首を傾げた。

「エステルは今、仕事の関係で他の地方で働いているぜ。」

「そうなんですか……ちょっと残念です。ようやくエステルに会えるかな~って思ってましたから。」

「そう言えばエリッサ。エステル、正遊撃士になってようやく仕事着でスカートをはくようになったのよ?」

「嘘!?あのエステルが!?どんな仕事着なのか凄い気になってきたよ~!」

自分が知る限りスカートをはいた姿を見た事のない友人の心変わりにエリッサは驚いた後エステルの今の服装を思い浮かべた。



「うふふ、やっぱり恋をすれば例えエステルでも女の子らしくなったんじゃないのかしら?」

「エステルが恋!?相手はもしかしてヨシュア!?」

「ええ♪エステルは大好きなヨシュアを探す為にも今、頑張っている所よ♪」

「そっか~。ヨシュアの事で心配していたけど、相変わらず前向きで安心したわ、さすがはエステルね。私も早くヨシュアが見つかるように女神(エイドス)にお祈りしているから、レン達も頑張ってね。」

「ああ。」

「ありがと♪」

「え~と……そろそろ注文、いいか?」

レン達の会話に入れなかったフレンは気まずそうな表情でエリッサを見つめて尋ね

「あ、す、すいません!今、ご注文をお聞きしますね!」

フレンに尋ねられ、仕事中である事にようやく気付いたエリッサは慌てた様子で注文を取り、ルーク達は昼食を取って居酒屋を出た後いくつか依頼をこなしながら霧の状況を確かめ、町に戻るついでに実家に戻った。



その後ルーク達は霧の調査と依頼を片付けている途中にブライト家に顔を出してレナにお茶をご馳走してもらった後、仕事に戻り、溜まっていた依頼をある程度片付け、霧の調査を終えたルーク達はギルドに報告しに行く為にロレントに戻った…………… 
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