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英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅰ篇)

作者:sorano
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第19話

~ルナリア自然公園・奥地~



「はあっはあっ………」

「と、とんでもなかったわね……」

「……さ、さすがにもうダメかと思ったよ……」

「はあっ、はあっ……だが……何とか撃退できたようだ。」

戦闘が終了するとベルフェゴールとミルモはそれぞれの主の身体へと戻り、戦闘が終わった事に安堵と共に疲労が襲って来たリィン達は地面に膝をついて息を切らせ

「皆さんが無事で何よりです……」

唯一人疲れている様子は見せなく、地面に立っているプリネは疲弊していながらも無事の様子のリィン達を確認して安堵の溜息を吐いた。



「―――リィン。今しがた見せたのは?」

そして息を整え、立ち上がったラウラは魔獣に止めを刺した時のリィンの奥義を思い出して尋ね

「ああ……修行の賜物さ。今まで実戦ではロクに使えなかったんだが……何とかコツが掴めたんだ。」

尋ねられたリィンは自分が放った奥義の正体を説明した。



「そうか……」

「えへへ……やっぱりリィンは凄いな。」

「いつもここぞという時にやってくれるものね……」

「いや……みんなのおかげさ。今の魔獣にしたって……みんなの力を合わせなければとても敵わなかっただろう。この勝利――――俺達A班全員の”成果”だ。」

エリオットとアリサに感心されたリィンは恥ずかしそうな表情で答えた後、先程の戦闘を思い出し、静かな表情で答えた。



「……えへへ……」

「ふふっ、そうね……」

「皆の成果か……」

「!(この気配、足音は………!やはり来たわね……)」

エリオット達が強敵との戦いの勝利に喜んでいる中、どんどん自分達に近づいて来る多くの人の気配を感じたプリネは厳しい表情で自分達が歩いてきた方向を見つめた。



「……と、とんでもねぇ……」

「ぐっ……こんな連中が出てくるとは……」

「あの野郎……話が違うじゃねえか……」

一方リィン達の戦いを見ていた偽管理員達はそれぞれ信じられない表情でリィン達を見つめていた。



「”あの野郎”……?」

そして偽管理員の一人が呟いた言葉を聞いたリィンが偽管理員達に視線を向けたその時、笛の音が聞こえてきた!



「え……!?」

「こ、これって……」

「……面倒な者達が駆け付けてきたようだな。」

笛の音を聞いたアリサとエリオットは驚き、ラウラは厳しい表情をしていつの間にか、自分達の背後にいる領邦軍を睨んだ。



「いたぞ……!」

「連中も一緒だ!」

そして領邦軍は偽管理員達達を包囲せず、なんとリィン達を包囲した!

「手を上げろ!」

「抵抗は無駄だぞ!」

「くっ……」

「何故、そこの彼らではなく我らを取り囲むのかな……?」

領邦軍に降伏勧告をされたリィンは唇を噛みしめ、ラウラは厳しい表情で質問した。



「口答えするな……!」

「学生だからと言って手加減するなと思うなよ!」

「へ、へへ……」

「頑張ったみてえだがここまでのようだなァ?」

リィン達を包囲する領邦軍を見た偽管理員達は勝ち誇った笑みを浮かべ

「か、完全にグルじゃないか………」

「……呆れ果てたわね。」

「…………まさかここまで腐敗していたとは。」

エリオットは信じられない表情をし、アリサとプリネは呆れた表情で領邦軍を見つめた。



「―――何の話かな?確かに、盗品もあるようだが彼らがやった証拠はなかろう。可能性で言うならば……”君達”の仕業という事もあり得るのではないか?」

「ええっ!?」

「……そこまで我らを愚弄するか。」

「本気でそんな事がまかり通るとでも……?」

隊長が口にした信じられない言葉にエリオットは驚き、ラウラとリィンは厳しい表情で隊長を睨んだ。



「わきまえろと言っている。ここは公爵家が治めるクロイツェン州の領内だ。これ以上、学生ごときに引っ掻き回されるわけにはいかん。手を引かぬというならば……このまま容疑者として拘束し、バリアハート市に送ってもいいが?」

「くっ……」

「最悪ね……」

隊長の言葉を聞いたリィンは唇を噛みしめ、アリサは怒りの表情で隊長を睨んだ。



「ああ、そうそう。そちらの女子生徒にはバリアハート市まで同行してもらうぞ?公爵閣下にとって、そちらの女子生徒は”今後”の為に役に立つからな。」

「……………」

そして口元に笑みを浮かべた隊長に見つめられたプリネは厳しい表情で隊長を睨み

「なっ!?」

「ええっ!?そ、それってまさか……!」

「ちょ、ちょっと、ちょっと!?その娘が誰なのかわかっていて発言しているの!?」

「メンフィル帝国と外交問題が発生する可能性があるのがわかって発言しているのか!?」

隊長の言葉を聞いて領邦軍がプリネを拘束しようとしている事を察したリィンとエリオットは驚き、アリサは信じられない表情をし、ラウラは厳しい表情で警告した。



「フン、”魔王”と言えど人の子……愛娘の為に強気になれないと思うが?それにこれは公爵閣下の”勅命”だ。」

アリサとラウラの反論に嘲笑した隊長は懐から書状を出し

「”アルバレア公爵家”の印がされてある……正真正銘”アルバレア公爵家”の勅命書だ……!」

書状に押されてある豪華な印の部分を見たラウラは厳しい表情で呟き

「クッ……!」

「国家間の修復の為にわざわざエレボニアに留学して来たプリネを人質にしようとするなんて……どこまで腐っているのよ……!」

「ど、どうしたらいいの……!?」

ラウラの言葉を聞いたリィン達はそれぞれ厳しい表情をしたり不安そうな表情をした。



「やれやれ……アルバレア公爵も思い切った事をしたものだ。”百日戦役”の続きでもしたいのか?」

その時呆れた様子の聞き覚えのある青年の声が聞こえ

「!?何者だ!姿を現せ!!」

声を聞いた隊長は周囲を警戒して声を上げ

「え――――」

「こ、この声って……!」

「ま、まさか……!」

声を聞いたリィンは呆け、アリサとエリオットは驚いた後周囲を見回した。するといつの間にか木の枝に立っていたレーヴェがリィン達の前に飛び込み

「―――セイッ!!」

「ぐああああああっ!?」

「ぎゃあああああっ!?」

剣で周囲を薙ぎ払うと共に凄まじい斬撃波を放ってリィン達を包囲していた領邦軍の兵士達を吹っ飛ばし、レーヴェの斬撃波を受けた兵士達は大量の血を噴出させながら地面に叩きつけられ

「………………」

レーヴェはプリネの前に出て剣を構えて冷徹な視線を領邦軍に向け

「あ―――」

「レオンハルト教官……!」

「ど、どうしてここに……!?」

レーヴェの姿を見たリィンは呆け、ラウラは驚きの表情で声を上げ、アリサは信じられない表情で尋ねた。



「――忘れたか。俺の本来の役割はプリネ皇女の護衛だ。お前達”Ⅶ組”の成長を阻害せぬ為に今まで手は出さないでいたが………さすがに見過ごせない事態になったからな。こうして介入させてもらった。」

「そ、そう言えばレオン教官はツーヤと同じプリネ姫の護衛役だったよね……!?」

「ああ……」

レーヴェに問いかけられてある事を思い出したエリオットは驚きの表情でリィンに尋ね、尋ねられたリィンは頷いてレーヴェを見つめた。



「き、貴様、何者だ!?その紋章―――メンフィル帝国の軍人か!?何故メンフィル帝国の軍人がここに……いや、ここをアルバレア公爵家が治めるクロイツェン州だと理解していての狼藉か……!?」

一方隊長は怒りの表情でレーヴェを睨んで怒鳴り

「フン、狼藉をしているのはどちらだ?―――それと先に言っておくがここで俺達が暴れ、貴様らを滅した所でエレボニア帝国は俺を”犯罪者”扱いできないどころかメンフィル帝国に対して、謝罪を求める事もできん。」

「何だと!?」

レーヴェの発言に驚いた隊長がレーヴェを睨んだその時、レーヴェは懐から書状を出し

「――――メンフィル皇女プリネ・カリン・マーシルン並びにプリネ皇女と”契約”している使い魔達。プリネ皇女親衛隊長ツーヤ・ルクセンベール並びに副隊長レオン=ハルト。以上の者達がエレボニア皇帝、ユーゲント・ライゼ・アルノールの名において自分達を襲う者達と戦闘、処刑並びに拘束した際の罪は”相手が貴族、軍人、平民関係なく”問わない。」

「なっ!?」

「ええっ!?」

「ユ、ユーゲント皇帝陛下直々の勅命書……!?」

「王印がされてある……という事は本物の勅命書か……!一体どういう事なのだ……!?」

レーヴェが取り出した書状の説明を聞いたリィンとアリサは驚き、エリオットは信じられない表情をし、書状に押されてある王印を見たラウラは信じられない表情でレーヴェとプリネを見つめた。



「―――とある方に私達の留学を依頼された時にお父様が出した条件の一つです。お父様もこうなる事は予測していましたので……」

「ええっ!?」

「で、でもどうやってユーゲント皇帝陛下にあんな勅命書を書かせる事ができたの……!?」

「……まさか。プリネ達の留学を依頼した人物というのはエレボニア皇族の方なのか?」

(一体誰が……)

プリネの説明を聞いたアリサは驚き、エリオットは戸惑い、ラウラは真剣な表情でプリネを見つめ、リィンは考え込んでいた。



「な、なななななななっ!?」

一方レーヴェが取り出した書状の内容を知った隊長は狼狽え

「た、隊長……!ど、どうすればいいのですか……!?」

兵士達は混乱した様子で隊長に判断を促し

「う、うるさい!あんな書状、偽物に決まっている!かかれ――――ッ!!」

「オオオォォォォオォ――――ッ!!」

そして混乱している様子の隊長の指示を受け、残りの兵士達はレーヴェに突撃した。しかし!



「―――雑魚が。その傲慢な意志、全て砕け散らしてやろう……!はぁぁぁぁぁぁぁ………!」

「なっ!?」

「か、身体が……!?」

「こ、凍り付いて行く……!?」

膨大な闘気を込めた剣をレーヴェが地面に突き立てると襲い掛かって来た兵士達全員は殺気や闘気によって発生した氷に覆われ

「滅!!」

「ガハッ!?」

レーヴェが強烈な一撃を地面に流し込むと兵士達は全員地面に倒れて2度と起き上がらなくなった!



「う、嘘!?あれだけいた兵士達が一瞬で……!?」

「す、凄すぎる……!」

「なんて剣気だ……!」

「下手をすれば父上に届くかもしれないな……」

レーヴェの奥義―――絶技・冥皇剣を見たアリサとエリオットは驚き、リィンは信じられない表情をし、ラウラは真剣な表情でレーヴェを見つめ

「……どうやら殺しは避けてくれたみたいね。」

地面に倒れている兵士達から聞こえてくる呼吸が聞こえたプリネは安堵の溜息を吐いたが

「ああ。まあ、例えここで殺さなくても今後無事でいられる保証はないがな。」

「……そうね。」

レーヴェの言葉を聞き、複雑そうな表情で頷いた。



「な、なななななななっ!?おい!私だ!応援を……早く応援をよこ―――」

一方一瞬でやられた部下達の様子を混乱した様子で見つめた隊長は携帯通信用のオーブメントを取り出して通信をしたが

「無駄だ。」

「ガッ!?」

一瞬で詰め寄ったレーヴェのみねうちによって地面に崩れ落ちて気絶した!



「…………………」

そしてレーヴェは気絶した隊長の懐を探って隊長が先程リィン達に見せたアルバレア公爵の勅命書を取り出して懐に収め

「―――もういいぞ。全員、出て来い!」

周囲を見回して声を上げ

「ハッ!」

レーヴェの声に反応するかのように次々とメンフィル兵達が姿を現した!

「なっ!?あの紋章は―――メンフィル帝国!」

「ええっ!?」

「こ、今度はメンフィル兵……!?」

「一体何が……」

メンフィル兵達の登場にラウラ達は驚き、リィンは呆けた様子でメンフィル兵達を見つめた。

「―――領邦軍の連中を一人残らず拘束しろ。」

「ハッ!」

そしてレーヴェの指示によってメンフィル兵達は領邦軍の兵士達を拘束し始め

「ええっ!?りょ、領邦軍の兵士達を……!?」

「レオンハルト教官!一体何故彼らを拘束するのですか!?」

メンフィル兵達の行動を見たアリサは驚き、ラウラは真剣な表情でレーヴェを見つめて尋ねた。



「奴等はプリネ皇女を拘束・拉致をしようとし、挙句の果てには冤罪まで押し付けた”賊”だ。メンフィル帝国の軍人として皇族の身を狙い、皇族を侮辱した”賊”は拘束して当然だと思うが?」

「それは…………」

レーヴェの正論を聞いたラウラは複雑そうな表情をし

「その……どうしてメンフィル兵達がこんなにたくさん、ケルディックにいるんですか?」

エリオットはおずおずとレーヴェを見つめて尋ねた。



「―――”貴族派”と”革命派”の対立が激化し始めているこのエレボニアにメンフィルという新たな勢力を動かす事ができる”要”となるプリネ皇女が自国領にいる事がわかっていて、強引な性格や政策で知られているアルバレア公爵が何らかの策を講じている可能性が考えられたからな。昨夜、領邦軍の詰所に潜入した所、アルバレア公爵自身からプリネ皇女拘束の命が下ったとその領邦軍の隊長が口にしていた。そして俺はその計画を阻止する為にリウイ陛下に許可を貰い、部下達を昨夜の内にこのケルディックに呼び寄せただけだ。」

「…………………」

「という事は今回の件、既にお父様の耳にも入っているのね……」

レーヴェの口から出た驚愕の事実にリィンは口をパクパクさせ、プリネは静かな表情で呟き

「そ、そんな……じゃあ本当にアルバレア公爵が……」

アリサは信じられない表情をし

「他国の皇族誘拐に加えて皇族に冤罪を押し付けた罪は余りにも重い……しかも既にリウイ陛下に知られているとなると、エレボニア帝国は何らかの形でメンフィル帝国に”謝罪”を示さないと完全に外交問題へと発展するだろうな……」

「も、もしかして”戦争”とか……?」

重々しい様子を纏って呟いたラウラの話を聞いたエリオットは不安そうな表情をした。



「なっ!―――そこで一体何をやっているのですか!?」

その時驚いた様子の涼しげな女性の声が聞こえ

「え―――」

「――来たか。」

女性の声を聞いたリィンは呆け、レーヴェは冷静な表情で声がした方向を見つめた。すると灰色の軍服を身に纏い、武装した軍人達がその場に駆けつけ

(あの者達は……)

(間違いない……!”鉄道憲兵隊(T・M・F)”だ!)

(帝国正規軍の中でも最新鋭と言われている……)

軍人達の正体を知っているラウラ達は驚きの表情で軍人達―――鉄道憲兵隊を見つめた。すると隊を率いていると思われる可憐な容姿を持つ女性将校が現れてレーヴェを睨んだ。



「”氷の乙女(アイスメイデン)”クレア・リーヴェルト大尉……」

女性将校―――クレア大尉の姿を確認したプリネは真剣な表情でクレア大尉を見つめた。

「―――メンフィル帝国プリネ皇女親衛隊副隊長レオン=ハルト少佐。一体何故領邦軍の兵士達を拘束しているのですか?それにこれ程の数のメンフィル兵達の入国の許可は報告に受けていません!」

そしてレーヴェはクレア大尉にメンフィル兵達や自分達の行動の正当性を説明した。



「―――証拠としてプリネ皇女拘束、誘拐を指示したアルバレア公爵家の勅命書に加え、俺を含めたプリネ皇女以下数名がそれぞれに害なす者達への抵抗権並びに拘束権を認めるユーゲント皇帝陛下の勅命書もある。これでもまだ文句はあるのか?」

「クッ………!ならばせめて拘束した領邦軍の身柄をこちらに引き渡してください!こちらで詳細な調査を行います!」

レーヴェに2枚の勅命書を見せられ、反論を封じられたクレア大尉は唇を噛みしめてレーヴェを睨んで言ったが

「その必要はない。今回の件、メンフィル帝国は”エレボニア帝国との関係を悪化させない為”にも内密にユーゲント皇帝やアルバレア公爵を交えて”穏便に”処理するつもりだ。よって、貴様ら”鉄道憲兵隊”や”情報局”……――いや、”鉄血宰相”の出る幕はない。”エレボニア帝国の為”にも今回の件は”知らなかった事にする”方が得策だと思うが?」

「なんですって……!?」

「それとも下手に藪をつついて、世界中に国家間の関係の修復の為に留学して来た他国の皇女を拘束、誘拐しようとした上冤罪まで押し付けたエレボニア帝国の卑劣さを知らせたいのか?」

「クッ…………!」

不敵な笑みを浮かべるレーヴェに見つめられたクレア大尉はレーヴェを睨み

「フッ、心配しなくても捕えた領邦軍共は後で全員生きている状態でエレボニア帝国側に引き渡すつもりだ。その後はそいつらを好きにするがいい。」

クレア大尉に睨まれたレーヴェは静かな笑みを浮かべて言った。

「副隊長!領邦軍の拘束、完了しました!あちらの賊共はいかがなさいますか?」

「捨て置け。奴等の処遇に関しては鉄道憲兵隊にさせておけ。それに奴等も”元々そのつもり”でこの場に来ただろうしな。」

「ハッ!」

「……………」

メンフィル兵の質問に答えたレーヴェに視線を向けられたクレア大尉は唇を噛みしめてレーヴェを睨んでいた。

「もうこの場に用はない。―――総員、”帰還の耳飾り”による撤収を。」

「ハッ!」

そしてレーヴェとメンフィル兵達はメンフィル帝国が開発した魔法道具―――”帰還の耳飾り”を使って拘束した領邦軍と共に次々とその場から消えた!



「なっ!?」

「ええっ!?」

「き、消えた……」

「これは一体……」

レーヴェ達が消えた事にクレア大尉やアリサ達は驚き

「―――”帰還の耳飾り”。登録した場所に一度だけ帰還できる転移魔術が込められたメンフィル帝国で開発された魔法道具だ。奇襲や緊急脱出用にも使える応用性が高い魔法道具で、メンフィル軍では重宝されている物だ。」

レーヴェ達が消えた理由がわかっていたリィンは目を伏せながら答えた。

「リ、リィン……?」

「どうしてそんな事をリィンが……」

「それに何故軍で活用されている事を知っている?」

リィンの説明を聞いたアリサとエリオットは戸惑い、ラウラは真剣な表情でリィンを見つめた。



「……………」

アリサ達に見つめられたリィンは複雑そうな表情で黙り込み

「――リィンさん。話しても構いませんよ。私もそうですが、お父様達も”例の件”を話す事は禁じてはいませんし。」

「それは……」

プリネに促され、複雑そうな表情でアリサ達を見回した。



「た、大尉。我々はどうすれば……」

その時鉄道憲兵隊の隊員の一人が戸惑いの表情でクレア大尉に判断を促し

「………そちらの者達を拘束しなさい。元締め達の話によればプリネ姫を含めたそちらの学生さん達が犯人である可能性は絶対にあり得ません。盗品も回収し、速やかに持ち主に返却するように。」

「イエス、マム!」

気を取り直したクレア大尉の指示に敬礼で答えた後偽管理員達を拘束し始め

「ク、クソッ……」

「い、一体どうなってんだよ!?」

「は、話が違うじゃねえか!」

「何でメンフィルが出てきてあいつらを拘束するんだよ!?」

拘束されている偽管理員達はそれぞれ悔しそうな表情をし、クレア大尉はリィン達に近づいてきた。



(綺麗な人……)

(こ、こんな人が鉄道憲兵の……?)

((………………………))

クレア大尉の可憐な容姿を正面から見たアリサとエリオットは驚き、ラウラとプリネは真剣な表情でクレア大尉を見つめていた。

「―――犯人拘束のご協力、ありがとうございました。帝国軍・鉄道憲兵隊所属、クレア・リーヴェルト大尉です。トールズ士官学院の方々ですね?調書を取りたいので少々お付き合い願えませんか?」

クレア大尉はリィン達に名乗った後、先程レーヴェに向けた見た者が凍えるような厳しい表情が無かったかのような誰もが見惚れるような柔らかな微笑みを浮かべてリィン達を見つめた。



その後リィン達はクレア大尉達と共にケルディックに戻り、鉄道憲兵隊の調書の協力をし始めた。 
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