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究極変態スナイパーブリーフ13

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2部分:第二章


第二章

「な・・・・・・何っ!?」
 髪は角刈りでありカミソリの様な鋭い目をしている。眉毛がやたら濃くしかも妙な感じに曲がっている。鼻が高い。顔に彫はあるがそれでもその肌の色に髪や目が黒いことから彼がアジア系だとわかり。とりあえず彼の顔には何の問題もなかった。
 全身傷だらけでありあちこちに毛が生えているのが見える。胸毛にすね毛が実に嫌な感じで目立っている。そもそも何故身体の傷や毛が見えるかというとである。
 服はまずコートであった。クリーム色のトレンチコートを両手で派手に拡げてみせてきている。足には黒いナイロンの靴下に黒皮の靴があるだけである。
 首にはネクタイだけが絞められている。そして着ているものは何と下着だけだ。おまけにその下着が白ブリーフだ。尚且つ全く洗っていないのか黄ばんだ後がこれでもかという程浮き出ている。異様を通り越して最早筆舌に尽くし難い格好で月光を背に受けて蟹股でそこに立っているのであった。
「やあ、ブリーフ13」
 しかし年配の男は平然としていた。
「待っていたよ」
「そうか」
「早速話には入りたいがいいかね」
「うむ」
 しかもブリーフとネクタイだけのその男を見ても全く平気である。若い男は彼がおかしくなったのではないかと本気で思った。だがそれは違っていた。
「ああ、そうだ。今回の仕事だが」
「既に報酬は受け取っている」
「そうだ。だからこそ是非頼む」
 強い声と目の光であった。それを見れば間違いなく正気だとわかるものであった。
「そしてターゲットはだ」
「今この国に来ている国際的麻薬シンジケートの領袖達だな」
「その通りだ。流石だな」
 ブリーフ男の言葉を聞いて微笑んでさえいた。
「では早速な」
「・・・・・・・・・」
 ここで年配の男が右手を差し出す。しかしブリーフ男は手を差し出さなかった。まだその両手でコートをはだけさせ股間を誇示した蟹股で立っているのであった。
 しかもだった。年配の男はそんな彼を見て。あることに気付いたのだった。
「そうだったな、済まない」
「済まない?」
「利き腕は人には預けないのだったな」
 彼はそのことを思い出したようだった。
「それではだ」
「うむ」
 右手を引っ込めてすぐに左手を差し出す。そうしてその手で握手をするのだった。
 そのうえでブリーフ男は二人の前から姿を消した。若い男は何処かへと消えた彼のことを思い出しながら。そのうえで年配の男に対して言うのであった。
「長官、あの」
「そうだ、彼だ」
 年配の男は彼の呆然としたような問いに答えてきた。
「彼がブリーフ13だ」
「ブリーフ13・・・・・・」
「年齢、経歴、国籍、一切の個人情報は不明だ」
 はっきり言えば不審者である。
「しかしだ。引き受けた仕事は必ず果たしてくれる」
「それが彼なんですか」
「そうだ、それがブリーフ13」
 そしてまたこの名前を出すのであった。
「彼なのだよ」
「しかし。あの姿は」
「気にするな」
 年配の男は彼の姿についてはこう言うのみだった。
「あれが彼のポリシーなのだ」
「ポリシーですか、あれが」
 ここでまたあのコートの下のネクタイと白ブリーフだけの格好を思い出す。しかも傷やら毛やらがやたら見えるその姿をだ。尚且つブリーフから毛がこれでもかとはみ出ていておまけに黄ばんでいる。そんな姿をである。
「あれが彼の」
「彼についてあれこれ言うのは止めておくことだ」
 ここで忠告が入った。
「それはいいな」
「それは何故ですか?」
「彼は他人に自分のことを知られることを嫌う」
 このことを話すのだった。
「だからだ。このことは言わないことだ」
「そうなのですか」
「そして考えても駄目だ」
 忠告はさらに深いものになっていた。
「考えても仕方のないことだ。いいな」
「仕方のないこと」
「私が言うのはこれだけだ。さて」
 年配の男はここまで話すと立ち上がったのだった。そのうえでまだベンチに座っている若い男に対して穏やかな声をかけるのだった。
「後は仕事が終わる話を聞くだけだ」
「それだけですか」
「三日だな」
 期日まで述べたのだった。
「三日のうちに話が終わる」
「三日で」
「三日後にはシンジケートの領袖達は皆急死している」
 不審死を表現するのにもってこいの言葉が出された。
「それだけだ。ではな」
「後はそれを聞くだけで」
「全てが終わるのだ。では帰るか」
「そうですか。これで」
 彼等の話は終わり夜の街から消えた。そうして次の日。渋谷の街をネクタイにブリーフ一枚の男がいた。彼は周囲の目も気にせず平然と歩いていた。
 
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