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英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅰ篇)

作者:sorano
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第10話

4月21日――――



~士官学院・グラウンド~



「―――それじゃあ予告通り”実技テスト”を始めましょう。前もって言っておくけどこのテストは単純な戦闘力を測るものじゃないわ。『状況に応じた適切な行動』を取れるかを見るためのものよ。その意味で、何の工夫もしなかったら短時間で相手を倒せたとしても評点は辛くなるでしょうね。」

「―――力づくで戦闘には勝っても真の勝利は得られない。この”実技テスト”にはそれを教える意味も込めてある。」

「フン……面白い。」

サラ教官とレーヴェの説明を聞いたユーシスは不敵な笑みを浮かべ

「……単純な力押しじゃ評価には結びつかないわけね。」

「難しいですね……今まで力と力のぶつかり合いをしてこなかったあたし達には。」

「そうね……一体どんな内容なのかしら?」

アリサ、ツーヤ、プリネはそれぞれ真剣な表情で考え込んでいた。



「ふふ―――それではこれより4月の”実技テスト”を開始する。リィン、エリオット、ガイウス。まずは前に出なさい。」

「はい……!」

「い、いきなりかぁ。」

「―――承知。」

サラ教官に名指しされた3人はそれぞれ前に出た。



「――各自、戦闘準備は既にできているな?」

「「はい!」」

「いつでも大丈夫だ。」

レーヴェの確認に3人は頷き

「ふふ、よろしい。――それじゃあ、とっとと呼ぶとしますか。」

3人の反応に頷いたサラ教官は指を鳴らした。すると何もない空間から宙に浮く人形兵器が現れた!



「これは……!?」

「ま、魔獣!?」

「いや……命の息吹を感じない!」

突如現れた異形の存在にリィン達は驚き

(人形兵器……よね。一体どうしてあんな物が……)

(まさか”結社”が関わっているのですかね……?)

「…………………」

プリネとツーヤ、レーヴェはそれぞれ真剣な表情で人形兵器を見つめていた。



「ええ、そいつは作り物の”動くカカシ”みたいなもんよ。そこそこ強めに設定してあるけど決して勝てない相手じゃないわ。たとえば―――ARCUSの戦術リンクを活用すればね。」

「あ………」

「それが狙いですか……!」

サラ教官の助言を聞いたエリオットとリィンは察した後ガイウスと共にそれぞれの武器を構え

「条件は誰も戦闘不能にならない事よ!―――それでは始め!」

サラ教官の号令を合図に戦闘を開始した!



「みんな、頑張って!」

戦闘開始早々エリオットは仲間や自分達の耐久力を上昇させる為に魔導杖でクラフト―――エコーズビートを発動した。するとリィン達の全身に光の淡い膜が覆い、そこに敵がリィンに突撃した!

「っ!」

エリオットのクラフトによって防御能力を高められていたリィンは敵の突撃を太刀で受け止めても怯まず敵を押し返そうとしていた。



「セイッ!」

そこにガイウスが側面から十字槍を突き出して攻撃を加えて注意を自分に向けさせ

「四の型―――紅葉切りっ!!」

敵が自分から離れた隙を狙ったリィンが一瞬の動作で敵に近づいて抜刀してダメージを与え

「そこだよっ!」

リィンが攻撃を加えるとリィンと”戦術リンク”を結んでいたエリオットはすかさず魔導杖を振るって導力波による弾丸を放って敵に命中させた!



「……………」

3人の攻撃によって傷ついた敵はリィン達を一気に沈める為に魔法(アーツ)の駆動を開始した。

「!ガイウス!俺と戦術リンクを。」

「承知!」

そしてリィンの言葉を合図にリィンとガイウスは戦術リンクを結び

「四の型―――紅葉切りっ!!」

リィンは再び一瞬で詰め寄って抜刀した。すると抜刀による強烈な一撃で全身を揺らされた敵は魔法(アーツ)の駆動を中断してしまい

「そこだっ!!」

そこに戦術リンクによるガイウスの連携攻撃が命中し

「アークス、駆動!アクアブリード!!」

更に二人の攻撃の最中にオーブメントの駆動を終えたエリオットのアーツも命中した。



「エリオット、ガイウス。この調子で行くぞ!」

「うん!」

「ああ!」

そして3人はそれぞれ協力して敵と戦い、何度か傷つきながらも一人も戦闘不能になる事なく敵を倒して消滅させた!



「フウ……」

「……よし。」

「な、何とか勝てたぁ……」

「うんうん、悪くないわね。戦術リンクも使えたし、旧校舎地下での実戦が効いているんじゃないの?」

戦闘を終わらせてそれぞれ安堵の溜息を吐いて武器を納めているリィン達を褒めるかのようにサラ教官は拍手しながら笑顔をリィン達に向けた。



「はは……そうかもしれません。」

サラ教官の労いの言葉にリィンは苦笑し

「ほう……?」

「むむ、いつの間にそんな対策を……」

ラウラとマキアスはそれぞれ興味ありげな様子でリィン達を見つめた。

「―――それじゃあ次!ラウラ、エマ、ユーシス、前に出なさい!」

その後実技テストは順調に進み、残りはプリネとツーヤだけになった。



「はあはあ……」

「お、思った以上に苦戦させられたわね……」

「やっぱり”戦術リンク”が鍵になるみたいですね……」

「チッ、面倒なものを。」

戦闘による疲労でマキアスやアリサ、エマがそれぞれ息を切らせている中、ユーシスは疲労している様子を見せない代わりに舌打ちをして不愉快そうな表情をした。



「さてと。―――最後よ!プリネ、ツーヤ、前に出なさい!」

「「はい。」」

サラ教官に名指しされた二人は前に出た。

「あんた達の場合だと同じ内容をやらせても、すぐにクリアするでしょうから、特別な内容を考えてあげたわよ。」

「アハハ………この場合、感謝するべきなんでしょうかね?」

「ある意味嫌な特別扱いですね……」

口元に笑みを浮かべたサラ教官の言葉を聞いたプリネは苦笑し、ツーヤは疲れた表情で溜息を吐いた。



「あんた達の相手はあんたよ――――レーヴェ。」

「ええっ!?」

「レ、レオン教官自らですか!?」

サラ教官の言葉にエリオットとマキアスは驚き

「……………」

生徒達が驚いている中、レーヴェは一切動じずプリネとツーヤの前に出てきた。



「フフ、模擬戦とはいえ、こうして剣を合わせるのはボースの廃坑の時以来かしら?」

「あの時からまだそんなに経っていないのに、何だか懐かしい気分ですね。」

「フッ、いくら二人で挑むとは言えあまり油断はしない方がいいと思うが?」

何かを思い出すかのように懐かしそうな表情で話しかけてきた二人にレーヴェは静かな笑みを浮かべた後剣を構えて闘気を練り始めた!



レーヴェが闘気を練ると同時にプリネとツーヤは戦術リンクを繋いだ後それぞれ闘気や魔力を練り始め、3人が練り続けている闘気や魔力によって周囲の空気が震え始めた!

「これは………!」

「あの3人が練る”気”を恐れるかのように風や空気が震えているな。」

「ああ……父上が本気を出した時に感じる空気と同じだ。あの二人もそうだがレオン教官もあれ程の闘気を練る事ができるとは……」

「驚いた。レーヴェはわかっていたけど、あの二人も”化物”クラスなんだ。」

周囲の異変に気付いたリィンとガイウス、ラウラはそれぞれ真剣な表情をし、フィーは目を丸くし

「ええっ!?」

「ひ、人が出す闘気でく、空気が震えるって……」

「幾ら何でも非常識すぎないか!?」

「ど、どう考えても私達と同じ”人”とは思えないですね……」

「確かにな。しかし娘でこれ程なのだから、父親の”英雄王”自身は一体どれ程の腕前なのだ?」

人が空気を震わせるという信じられない行動にエリオットは驚き、アリサは表情を引き攣らせ、マキアスは疲れた表情で指摘し、エマは苦笑し、ユーシスは真剣な表情でプリネを見つめていた。

「――戦闘時間は5分で更に条件は戦闘不能者を出さない事よ。それでは始め!」

そしてサラ教官の号令を合図に3人は戦闘を開始した。3人の戦いは余りにも圧倒的で、プリネとツーヤがそれぞれの身に秘められる身体能力を惜しげもなく生かして決して常人には見えないスピードでレーヴェに襲い掛かり、対するレーヴェは2対1という不利な戦いながらも、互角に戦い、時には分け身も使用して戦い、3人の戦いは硬直し、やがて戦闘の終了の合図を告げるサラの号令がかかると、3人は戦闘を終了した。



「フウ。戦術リンクを使っていなかったら、危なかったわ。」

「さすがはレーヴェさんとしか言いようがない強さでしたね。」

戦闘を終了したプリネとツーヤはそれぞれ一息つき

「フッ、僅か5分で遅れをとっては親衛隊副隊長の名が泣いてしまうからな。そう易々と遅れをとるつもりはない。」

対するレーヴェは静かな笑みを浮かべていた。



「な、何なんだ、今の戦いは!?」

「3人共まるで瞬間移動をしているかのように、動きがほとんど見えなかったよね……?しかもレオン教官なんか、分身していたし……」

一方マキアスとエリオットはそれぞれ信じられない表情で3人を見つめ

「私も早く3人に追いつけるように精進せねばな。」

「幾ら何でもあの3人に追いつくのはほぼ不可能だと思う。」

「フィ、フィーちゃん……」

「非常識な戦いとしか言いようがないな。」

3人を見つめて呟いたラウラの言葉に答えたフィーの言葉を聞いたエマは冷や汗をかき、ユーシスは呆れた表情で溜息を吐き、また周囲の人物達も驚いたり絶句したりしてレーヴェ達を見つめた。



「フフ、あんた達にはまだ早かったわね。さてと。リィン、前に出なさい。あんたはこの間の自由行動日にあたし達に迷惑をかけたから、その罰を今からしてもらうわよ。」

驚いている様子のリィン達をサラ教官は苦笑しながら見つめた後口元に笑みを浮かべてリィンを見つめ

「うっ……わかりました。」

「アハハ……頑張って、リィン。」

エリオットの応援の言葉を背に受けたリィンは前に出た。リィンが前に出るのを確認したサラ教官は指を鳴らした。すると先程戦った人形兵器が数十体現れた!



「なっ!?」

「なんて数だ……」

「きょ、教官!?幾ら何でもこれはやりすぎなのでは……」

目の前に現れた数十体の人形兵器達を見たリィンは驚き、ガイウスは呆け、マキアスは驚いた後サラ教官に指摘した。



「あんた達、忘れたのかしら?リィンはいざとなったら”助っ人”が使える事を。」

「”助っ人”だと……?」

「あ。もしかして……!」

サラ教官の言葉を聞いたユーシスは眉を顰め、ベルフェゴールの事を思い出したエリオットが声を上げ

「………”実技テスト”にベルフェゴールを手伝せていいのですか、教官。」

ベルフェゴールを使っていい事に気付いたリィンは驚きの表情で尋ねた。



「”実戦”を想定したテストでもあるからね。――――これは圧倒的不利な数に囲まれた時、どうやって生き残るかを見る物よ。3分間、そいつらからの攻撃を耐えて戦闘不能になっていなければいいわ。」

「さ、3分も耐えなきゃ駄目って……一体でも凄く強いのに……」

「普通に考えても無理よね……?」

「うむ。多勢に無勢としか思えない。幾ら一人の力が秀でているとはいえ、限界があるだろう。」

サラ教官の説明を聞いたエリオットは表情を引き攣らせ、アリサは不安そうな表情をし、ラウラは頷いた後真剣な表情で言った。



「フフ、普通ならそうだけど私相手に”多勢に無勢”なんて諺は当てはまらないわよ♪」

その時ベルフェゴールがリィンの傍に現れ

「手伝ってくれるのか?ベルフェゴール。」

ベルフェゴールの自分からの登場にリィンは目を丸くして尋ねた。

「ええ。私の事をここまで侮られたんだから、”魔神”としてちょっとは力を示しておかないとね♪」

「……わかった。―――合図をお願いします。」

ベルフェゴールの返事に頷いたリィンはベルフェゴールと並んでサラ教官に視線を向けた。



「ふふ、やる気があって何よりだけど、この数相手にどこまで奮戦してくれるのかしら?―――それでは始め!」

リィンに視線を向けられたサラ教官はベルフェゴールの普通なら無謀としか思えない言葉を思い出して苦笑した後号令をかけた。



「うふふ、面倒だから一瞬で終わらせてあげるわ♪」

号令がかかると同時にベルフェゴールは周囲の空気を震わせる程の片手に膨大な魔力を一瞬で溜め込んで空へと掲げ

「―――――雑魚は消え失せなさい。ルン=アウエラ!!」

不敵な笑みを浮かべて空へと掲げた片手を無造作に震った。するとその時眩い閃光が走った瞬間、町全体を轟かせる程の轟音と大地震が起こると共に超越したドーム型の大爆発が起こり、爆発による煙が消えると数十体の人形兵器達は塵も残さず消滅しており

「フフ、またいつでもいらっしゃい♪」

超越的な魔術攻撃を放ったベルフェゴールは魅惑的な笑みを浮かべてウインクをした。

「…………………」

ベルフェゴールの圧倒的な攻撃にサラ教官を含めたその場にいる多くの者達は口をパクパクさせていた。



「な、何なんだ、今のは!?」

「せ、戦車や戦闘用の飛行艇に搭載されてある導力砲でもあんな威力は出せないんじゃないの!?」

そして我に返ったマキアスとアリサはそれぞれ表情を青褪めさせ

「余りにも圧倒的すぎる攻撃だな……」

「……”魔神”はたった一人で国一つを滅ぼせる程の力を持っているという話をプリネ達から聞いた時は何の冗談かと思ったが、これを見たら納得できるな……」

「しかも撃った本人が平然としている様子からして、まだまだ余力を残しているね。」

ラウラとユーシスはそれぞれ真剣な表情でベルフェゴールを見つめ、フィーは静かな表情で呟き

「……あの時彼女が手加減してくれなかったら、オレ達は一瞬でこの世から消滅していただろうな。」

「や、止めてよ、ガイウス。想像するだけでも恐ろしいのに……」

真剣な表情で呟いたガイウスの言葉を聞いたエリオットは不安そうな表情をし

(これが伝承上しか存在していない”七大罪”の一柱である”魔王”の力………一体どうしてそれ程の存在がリィンさんに………)

エマは真剣な表情でベルフェゴールを見つめた後、不安そうな表情でリィンを見つめた。

「あ、圧倒的な魔力でしたね。下手をしたらエクリアさんやペテレーネさんとも並ぶか、それ以上じゃないですか?」

「ええ……さすがは”七大罪”の一柱を司る”魔神”ね。」

「フッ、あの時、奴の気まぐれでシュバルツァーと契約していなかったら、俺達の方に甚大な被害が出ていただろうな。」

一方ツーヤは表情を引き攣らせ、ツーヤの言葉に頷いたプリネは真剣な表情でベルフェゴールを見つめ、レーヴェは静かな笑みを浮かべてベルフェゴールを見つめた。



「はい終わりっと!どう?私と”契約”して、改めてよかったと思うでしょう?」

「あ、ああ。え、えっと……サラ教官、これで一応クリアしたという事でいいでしょうか?」

微笑むベルフェゴールに視線を向けられたリィンは戸惑いながら頷いた後サラ教官を見つめて尋ね

「ええ。まさかこのあたしが相手の強さを推し量れなかったとはね……」

尋ねられたサラ教官は頷いた後疲れた表情で溜息を吐いた。



「フフ、貴女みたいな”お子様”に私の強さを推し量れる訳ないじゃない♪」

「へえ?まさかこのあたしを”お子様”扱いする命知らずが存在するなんてねえ?まあ確かに何百……いえ、何千年生きているかわからない”お年寄り”にとったら20代のあたしなんて”お子様”でしょうけどねえ?同じ女として、骨董品レベルの年代を生きているのにどうやってそんな”若作り”ができているのか、是非聞きたいわ。」

しかしからかいの表情で自分を見つめて言ったベルフェゴールの言葉に顔に青筋を立てたサラ教官は不敵な笑みを浮かべてベルフェゴールを見つめ

「あら、もしかして私の美しさに嫉妬しているのかしら?人間の女って難儀な生物よねえ?人間は他の種族と違って比較的老化が早いから、必死になって男にアプローチをしないと貴女みたいな中古品はすぐに売れ残っちゃうし♪同じ女として同情するわ♪」

「誰が中古品で売れ残りですって!?」

「ベ、ベルフェゴール!?」

からかいの表情でサラ教官の怒りを次々と買うような発言を次々と口にするベルフェゴールにリィンは慌てだし

「うふふ、それじゃあまた用があったら呼んでね、ご主人様♪」

慌てだすリィンや自分を睨むサラ教官の様子をからかいの表情で見つめたベルフェゴールはリィンの身体の中へと戻って行った。



「見てなさいよ……いつか絶対にその余裕そうな面を恐怖に変えて、あたしを舐めた事、後悔させてやるんだから……!」

ベルフェゴールがその場から消えるとサラ教官は怒りの表情で呟き、サラ教官の物騒な発言を聞いたその場にいる全員は冷や汗をかき

「ハア……場をかき乱すだけ乱して、自分は逃げるなんて。契約しているこっちの身にもなってくれよ……」

(うふふ、期待して待っているわ♪)

リィンは肩を落として疲れた表情で溜息を吐き、サラ教官の呟いた言葉を聞いていたベルフェゴールはからかいの表情でサラ教官の見つめていた。



「え、えっと、サラ教官。リィンさん達が戦った相手は一体何なのでしょうか?」

その時場の空気を変える為にプリネがサラ教官を見つめて尋ね

「そ、そう言えば……!」

「機械……?見た事ないかも。」

プリネの言葉を聞いたアリサとフィーはそれぞれ自分達が戦った人形兵器達を思い出した。



「んー、とある筋から押し付けられちゃった物でね。あんまり使いたくないんだけど色々設定できて便利なのよね~。ま、ちゃんとテストの役に立ったし、結果オーライということで♪」

(色々事情がありそうだけど話すつもりはなさそうだな……)

笑顔で答えを誤魔化すサラ教官をリィンは呆れた表情で見つめていた。



「―――さて。”実技テスト”はここまでよ。先日話した通り、ここからはかなり重要な伝達事項があるわ。君達”Ⅶ組”ならではの特別なカリキュラムに関するね。」

「!!」

そしてサラ教官の口から出た今まで気になっていた言葉が出ると全員真剣な表情でサラ教官に注目した。



「ふふ、さすがにみんな気になってたみたいね。それじゃあ説明させてもらうわ。君達に課せられた特別なカリキュラム………それはズバリ、”特別実習”よ!」

「と、”特別実習”……ですか?」

サラ教官の口から出た未知なる言葉を聞いてクラスメイト達と共に黙って考え込んだ後、クラスメイト達を代表するかのようにエマが戸惑いの表情で尋ね

「……な、なんだか嫌な予感しかしないんだが……」

入学式でのオリエンテーリングの事を思い出したマキアスは表情を引き攣らせた。



「君達にはA班、B班にわかれて指定した実習先に行ってもらうわ。そこで期間中、用意された課題をやってもらうことになる。まさに特別(スペシャル)な実習なわけね♪」

「学院に入ったばかりなのにいきなり他の場所へ……?」

サラ教官の説明を聞いたエリオットは戸惑いの表情で尋ね

「……その口ぶりだと、教官達が付いてくるというわけでもなさそうですね?」

ある事に気付いたリィンは尋ねた。



「ええ、あたし達が付いていったら修行にはならないでしょ?獅子は我が子を千尋の谷にってね。」

「はあ………」

「ふむ、修行ならばむしろ望むところではあるが……」

説明を聞き終えたアリサは疲れた表情で溜息を吐き、ラウラは考え込み

「―――バレスタイン教官。結局、俺達に何時(いつ)、どこへ行けと言うんだ?」

ユーシスは一切動じていない様子で尋ねた。



「オーケー、話を進めましょ。さっきも言った通り、君達にはA班、B班にわかれてもらうわ。さ、1部ずつ受け取りなさい。」

そしてサラ教官はメンバー表を配った。



『4月特別実習』

A班・リィン、アリサ、ラウラ、エリオット、プリネ

   (実習地:交易地ケルディック)



B班・エマ、マキアス、ユーシス、フィー、ガイウス、ツーヤ

    (実習地:紡績町パルム)





「え―――――」

メンバー表に自分とアリサが一緒である事に気付いたリィンは呆け

「えええっ……!?」

アリサは驚きの表情で声を上げた。



(絶対狙って分けていますよね……)

(十中八九そうでしょうね。本当にこのメンバーで大丈夫かしら?)

クラスの雰囲気を悪くしているリィンとアリサ、ユーシスとマキアスがそれぞれ一緒の班である事にツーヤは表情を引き攣らせ、プリネは頷いた後苦笑しながら4人を見つめ

「ほう……興味深い班分けだ。」

ラウラは目を丸くしてメンバー表を見つめた。



「ケルディックとパルム……どちらもエレボニアの街なのか?」

「う、うん。ケルディックは東にある交易が盛んな場所だけど。」

「パルムは帝国南部にある紡績で有名な場所ですね……それと確かメンフィル領と隣接している場所でもありましたよね……」

ガイウスの疑問にエリオットと共に答えたエマは遠慮気味にプリネとツーヤを見つめ

「……あそこか。めんどくさいな。」

自分が行く場所の状況などを知っているフィーはつまらなそうな表情をしていた。

「ば、場所はともかくB班の顔ぶれは……!?」

「……あり得んな。」

(やれやれ。先が思いやられるな。)

一方マキアスは信じられない表情でメンバー表を見つめ、ユーシスは呆れた表情で呟き、二人の様子を見たレーヴェは溜息を吐いた。



「―――日時は今週末、実習期間は2日くらいになるわ。A班、B班共に鉄道を使って実習地まで行く事になるわね。各自、それまでに準備を整えて英気を養っておきなさい―――!」



そして数日後、ついに”特別実習日”が来た………! 
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