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英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅰ篇)

作者:sorano
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第1章~ 新学期~初めての実習~  外伝~麗しき留学生達の入部~

4月6日―――



特科クラス”Ⅶ組”のオリエンテーリングから数日後、プリネはツーヤと共に部活の見学周りをしていた。



~トールズ士官学院・本校舎2階~



「それにしても意外ですね。マス、いえプリネさんが部活動をしようと思うなんて。」

プリネと共に廊下を歩いているツーヤは目を丸くしてプリネを見つめ

「フフ、せっかく学院に入学したのだから部活動もしてみたいしね。ツーヤも自分が入りたい部活があれば、そっちに入ってくれてもいいのよ?滅多な事が無い限り”今の私達”は”唯の学生”なのだから。」

見つめられたプリネは微笑みながら答えた。



「お気遣いありがとうございます。ですがあたしはプリネさんと同じ部活に入るつもりですよ。例え今のあたし達が唯の学生でもあたしはプリネさんの”パートナー”なのですから。それに……正直な事を言うと、あたし一人で入ると心細いですし、第一皆さんにいつも注目されているので、この状況で一人で入るのはちょっと……」

「フフ、なるほど。貴女の気持ち、痛い程わかるわ……」

ツーヤの言葉に苦笑したプリネは多くの生徒達が自分達を注目している事に気付きながらも一切動じず歩き続けていた。



「あの方がかの”姫君の中の姫君(プリンセスオブプリンセス)”………か、可憐だ……!」

「社交界の華と言えばアルフィン皇女だけど、こうして実物を見るとプリネ姫も負けていないな……」

一部の貴族男子生徒達はプリネの可憐な容姿に表情をうっとりさせ

「”姫君の中の姫君(プリンセスオブプリンセス)”は俺達平民に対しても分け隔てなく接するって話だけど、試しに話しかけてみようかな……ひょっとしたら友達になってくれるかもしれないし、関係が進めば……!」

「無理無理。あの”姫君の中の姫君(プリンセスオブプリンセス)”だぜ?絶対婚約者とかいるって。アタックするんだったら元々は平民出身の”蒼黒の薔薇”の方がまだ可能性はあると思うぜ?」

一部の平民男子生徒達もプリネを見つめてそれぞれ会話し

「プリネ姫もそうだけど、”蒼黒の薔薇”もとても綺麗な方よね……」

「しかも凛々しいし!う~、サインを貰いたいわ………」

「ラウラさんと”蒼黒の薔薇”……どちらを取ればいいのか、究極の選択だわっ!」

また女子生徒達はツーヤを見つめてそれぞれうっとりさせていた。



「ハア……この調子だとその内、”以前と同じ状況”になるかもしれませんね……」

女子生徒達の熱い眼差しを肌に感じ、会話を聞いていたツーヤは自分が街に出た時、高確率で多くの女性達に囲まれた事を思い出して疲れた表情で溜息を吐き

「フウ……できれば高嶺の花のような扱いをせず、普通の学生として接してほしいのだけど……リベールと違って身分制度が濃く出ているエレボニアではやっぱり難しいわね。」

ツーヤに続くようにプリネも疲れた表情で溜息を吐いた。そして二人が歩いていると何かの楽器の音が聞こえてきた。



「あら、この音は……」

「ヴァイオリンですね。一体誰が弾いているのでしょうか?」

「―――あの教室から聞こえてくるわ。少し見学していきましょう。」

「はい。」

そして二人は”吹奏楽部”のプレートが扉に付いてある教室の中に入った。



~吹奏楽部~



二人が教室に入るとそこには多くの部員達や吹奏楽の担当教官――――メアリー教官が見守っている中、エリオットがヴァイオリンを弾いていた。

(エリオットさんだったのね……)

(そう言えばエリオットさんのお姉さんは自宅でピアノ教室を開いているという情報がありましたけど……その関係でエリオットさんも音楽を嗜んでいるのでしょうか?)

(恐らくそうでしょうね。)

(ほう………あの年でありながらもそれなりの腕前だな。フム、今から育てれば将来は立派な演奏家になれるかもしれんな。)

ヴァイオリンを弾いている主がエリオットだと知った二人は興味深そうな様子でエリオットを見つめ、プリネの中でエリオットの演奏を聞いていたアムドシアスはエリオットの腕前に感心していた。



「フウ……」

エリオットがヴァイオリンを弾き終えるとその場にいる全員は拍手をし

「素晴らしい演奏だったよ、エリオット君。フフ、ヴァイオリン奏者としてこれから互いに頑張って行こうな。」

「はい、部長。って、あれ。君達は……」

吹奏楽部の部長の賛辞の言葉に頷いたエリオットは扉付近にいるプリネとツーヤに気付いて目を丸くし

「プ、”姫君の中の姫君(プリンセスオブプリンセス)”……!」

「それに”蒼黒の薔薇”もいるわよ!?」

「どうして吹奏楽部に……」

「もしかしてお二人はこの部に入るつもりなのかしら!?」

エリオットに続くようにプリネとツーヤの存在に気付いた他の部員達はそれぞれ驚きの表情で騒ぎ始めたが

「皆さん、静粛に。皆さんのお気持ちは良くわかりますが、お二人は今は一学生としてこのトールズ士官学院を通っているのですよ?あまり騒いでいたら、お二人に悪いです。」

手を叩いて自分達を注目させたメアリー教官の注意を聞いた後互いの顔を見合わせ、興味深そうな様子でプリネ達を見つめながら黙り込んだ。



「お気遣いありがとうございます、メアリー教官。」

「フフ、気にしないで下さい。私は士官学院の教官として当然の事をしたまでです。それでマーシルンさんとルクセンベールさんは吹奏楽部の見学ですか?」

プリネの感謝の言葉に微笑んだメアリー教官は二人を見つめて尋ねた。

「はい。廊下を歩いていたらヴァイオリンが聞こえてきたので、誰が弾いているのか少し気になりましたので。」

「アハハ……そんなに上手くなかっただろう?」

プリネの答えを聞いたエリオットは苦笑しながら答えた。



「そん――――」

そしてエリオットの言葉にプリネが答えかけたその時

「そんな事はないぞ、人間よ。その年でありながら、中々のものだった。」

「わあっ!?って、貴女はあの地下の時に現れた……」

アムドシアスが突如プリネの傍に現れ、アムドシアスの登場にエリオットは驚いた後ある事を思い出した。



「あ、あの……一体どなたでしょうか?それに今一瞬プリネさんの身体が光った気がしましたが……」

「アムドシアス、貴女ね……部員の皆さんが驚くからせめて現れる時は前もって言って。」

アムドシアスの登場に部員達が驚いている中、メアリー教官は戸惑いの表情で尋ね、プリネは疲れた表情で溜息を吐いた。



「フム。見た所がお前がこの場の責任者のようだが……一体この場所は何をするところだ?もしやここは音楽家を育てる所か?」

するとアムドシアスは興味深そうな表情で部員達がそれぞれ手に持つ楽器を見つめて一瞬目を光らせた後メアリー教官に尋ねた。

「フフ、少し違いますね。ここは”吹奏楽部”と言って音楽が好きな生徒達が集まって、みんなで協力して演奏する部活です。」

「でも、ただ演奏するだけでなく年に数回あるコンクールでの入賞を目指して、みんなで頑張る部活ですよ。」

アムドシアスの質問に苦笑したメアリー教官が答え、吹奏楽部の部長である男子生徒―――ハイベルが説明を捕捉した。



「ほう!音楽家としての腕前を上げる場所か!素晴らしい!――――ならばちょうどいい!プリネ!この”吹奏楽部”とやらにお前も入って、お前の持つ素晴らしき音楽の腕前を高めろ!これを機会にお前に演奏家としての腕前を高めさせるために芸術を愛する魔神たるこの我が直々に指導してやろう!勿論、他の者達も良き演奏家へと育て上げる為にこの我が力を貸そう!」

「えええええええっ!?」

「い、いきなりですね……」

嬉しそうな表情で言ったアムドシアスの提案にエリオットは驚き、ツーヤは大量の冷や汗をかいて表情を引き攣らせ

「ハア………色々と問題があるわよ。アムドシアス、貴女は音楽を含めた”芸術”が好きな事はわかっているけど、専門的な指導ができるのかしら?」

プリネは呆れた表情で溜息を吐いた後尋ねた。



「フッ、芸術を愛する魔神たるこの我を舐めてもらっては困るな。―――そこの人間、名前はなんと言う。」

「へっ!?エリオット・クレイグですけど……」

アムドシアスに突如名指しされたエリオットは驚いた後答え

「先程の演奏についてだが―――――」

そしてアムドシアスはエリオットに先程自分が聞いたエリオットの演奏の治すべき点や良かった点等、専門用語を交えて教えた。



「まあ……私でもわからなかった所まで気付いているなんて……」

「す、凄い……」

「帝都にある音楽院の講師と比べても遜色ないんじゃないでしょうか?」

アムドシアスの指摘を聞き終えたメアリー教官は感心し、エリオットとハイベルは驚き

「さ、さすがは”芸術を愛する魔神”を名乗っているだけはありますね……」

ツーヤは大量の冷や汗をかいて表情を引き攣らせていた。



「どうだ?これで文句はあるまい?」

メアリー教官達の様子を見て口元に笑みを浮かべたアムドシアスはプリネを見つめ

「あのね……まだまだ問題はあるわよ。第一この部活はメアリー教官や吹奏楽部の方達の許可だって必要だし、それ以前にいくら知識があるとはいえ部外者の貴女が部活の指導なんて――――」

見つめられたプリネは呆れた表情で答えかけたが

「私は別にいいですよ、マーシルンさん。」

「え……」

「メ、メアリー教官??」

メアリー教官の答えを聞いて呆け、エリオットは戸惑いの表情でメアリー教官を見つめた。



「私は他の部活の顧問を掛け持ちをしていまして、ずっと吹奏楽部の生徒達を指導できないんです。指導をできない間の代わり―――いえ、私以上の知識を持つ方が手伝って下さるのなら、とてもありがたいお話です。」

「し、しかし。例えメアリー教官が良くても部員の方々はそうは思わないのでは……」

メアリー教官の説明を聞いたプリネは戸惑いの表情をみせたその時

「僕達も構わないよ。エリオット君の指導を見る限り、アムドシアスさんの指導力は相当のものだし、何より僕達と同じ音楽を愛する方だ。みんなは反対かい?」

ハイベルが答えた後部員達を見回して尋ねた。すると部員達は互いの顔を見合わせた後アムドシアスを見つめ、『お願いします!』と全員が言い、賛成の様子を見せた。



「…………………」

部員達の反応にプリネは呆け

「うむ!よい心がけだ!」

アムドシアスは力強く頷いた。

「ど、どうしましょう、プリネさん……」

その様子を見ていたツーヤは冷や汗をかいてプリネを見つめた。

「フウ、仕方ないわね。まあ、同年代の方達と一緒に演奏するという体験は今までした事がないし、いいわ。ツーヤ、貴女もいいかしら?」

「はい。フルートの腕前を上げるのにちょうどいいですし。」

「え。じゃあ………」

プリネとツーヤの会話を聞いて何かを察したエリオットは目を丸くして二人を見つめると二人はメアリー教官を見つめ

「―――メアリー教官。特科クラス”Ⅶ組”、プリネ・カリン・マーシルンの吹奏楽部の入部を許可して頂けないでしょうか?」

「同じく特科クラス”Ⅶ組”、ツーヤ・ルクセンベールの吹奏楽部の入部を許可をお願いします。」

それぞれ入部を申し出た。



「はい、構いませんよ。」

「ようこそ、吹奏楽部へ。」

二人の申し出にメアリー教官はハイベルと共に笑顔で二人の入部を受け入れ、部員達は二人の入部に騒ぎ始めた。



こうしてプリネとツーヤは吹奏楽部に入部する事になり……さらにプリネから一連の流れを聞いて頭痛を感じたリウイがプリネの頼みによってアムドシアスを士官学院の吹奏楽部の臨時副顧問という形へと手配した……………なお、最初はアムドシアスに戸惑っていた部員達だが、アムドシアスの的確な指摘や指導、アムドシアス自身の演奏家としての腕前に感心し、瞬く間にアムドシアスを尊敬するようになった……… 
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