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英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅰ篇)

作者:sorano
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第6話

リィン達が先へと進んでいると戦いの音が聞こえてきた。



~旧校舎~



「この音は……」

「ああ、剣戟の音だ!」

「お、おい……!?」

「ま、待ってよ~……!?」

戦いの音に気付いて急行するリィンとガイウスをマキアスとエリオットは慌てた様子で追いかけた。リィン達が戦いの音がした場所に到着すると、そこには魔獣に囲まれたユーシスが騎士剣で華麗に戦い、次々と滅していた。

「こ、これは………」

「……凄い剣さばき………」

「どうやら助太刀の必要はなさそうだな。あれもエレボニアの剣術なのか?」

ユーシスの戦いぶりにマキアスとエリオットが驚いている中、ガイウスはユーシスと同じ剣士であるリィンにユーシスが使う未知の剣術を尋ねた。

「ああ、貴族に伝わる伝統的な宮廷剣術………それもかなりの腕前だろう。」

「あれ……?リィン、よく知っているね……?留学生なのにエレボニアの貴族の剣術を。」

留学生のリィンがエレボニアの剣術を知っている事に気付いたエリオットは不思議そうな表情でリィンを見つめて尋ね

「あ、ああ。剣を目指していたら誰でも知る事さ。エレボニアの宮廷剣術は歴史ある剣術だし。」

エリオットの質問を聞いたリィンは若干焦った様子で答えた。

「はあああっ!」

そしてユーシスは最後の魔獣を斬り捨てた。

「ふう………――――それで、何の用だ?」

「くっ………」

疲れた様子をみせない澄ました顔で自分達を見つめるユーシスの態度にマキアスは唇を噛みしめ

「いや……お見事。」

リィンはユーシスの戦いを称賛した後、エリオット達と共にユーシスに近づいて自己紹介を始めた。



「リィン・シュバルツァー。さっきは名乗る暇もなかったから自己紹介をしておくよ。」

「ど、どうも……エリオット・クレイグです。」

「ガイウス・ウォーゼルだ。よろしく頼む。」

「ユーシス・アルバレア。一応、改めて名乗っておこう。」

リィン達が名乗った後自分も名乗ったユーシスはマキアスに気付き、嘲笑してマキアスを見つめた。

「フッ、それにしてもなかなか殊勝な心構えだな?」

「な、何がだ?」

「あれだけの啖呵を切ったくせに連れだってくるとは………大方、すぐに頭を冷やして殊勝にも詫びを入れたのだろう。いやはや、”貴族風情”にはとても真似できない素直さだ。」

「ぐっ、何様のつもりだ……!?その傲岸不遜な態度……君達貴族はみんな同じじゃないか!特にアルバレア公爵家といえば、帝国で一、二を争う大貴族………さぞ僕達平民のことを見下しながら生きてるんだろう!?」

ユーシスの挑発に対し、かつて自分の家族の身に起こった貴族関係の不幸な出来事を思い出したマキアスは怒りの表情でユーシスを睨んで怒鳴った。

「―――そんなことをお前に言われる筋合いはないな。レーグニッツ帝都知事の息子、マキアス・レーグニッツ。」

「!!」

しかし目を細めて自分を見つめるユーシスの言葉にマキアスは顔色を変えた。



「帝都知事……?」

「ああっ、そういえばレーグニッツって……!」

「帝都ヘイムダルを管理する初の平民出身の行政長官………それがお前の父親、カール・レーグニッツ知事だ。―――ただの平民と言うには少しばかり大物すぎるようだな?」

「だ、だったらどうした!?父さんが帝都知事だろうとウチが平民なのは変わらない!君達のような特権階級と一緒にしないでもらおうか!?」

ユーシスに問いかけられたマキアスは一瞬焦った後怒りの表情で怒鳴った。

「別に一緒にはしていない。だがレーグニッツ知事といえばかの”鉄血宰相”の盟友でもある”革新派”の有力人物だ。」

「っ…………」

「そして宰相率いる”革新派”と四大名門を筆頭とする”貴族派”は事あるごとに対立している。――――ならば、お前のその露骨までの貴族嫌悪の言動……ずいぶん安っぽく”わかりやすい”と思ってな。」

「このっ………!」

嘲笑を浮かべたユーシスの挑発にマキアスは怒りの表情でユーシスに近づき

「ちょ、ちょっと!?」

「………!」

今にも掴みかかろうとしているマキアスの様子を見たリィンはマキアスを背中から両手で捕まえた。



「ぐっ……!」

「―――気持ちはわかるがちょっと落ち着いてくれ。そちらも……少し言葉が過ぎるぞ?」

「売られた喧嘩だ。」

「………~~っ………―――もういい!わかったから離してくれ!」

そしてリィンがマキアスを離すとマキアスは顔を俯けて考え込み

「………すまない。少し頭を冷やしてくる。君達は代わりにそいつと行くといい。」

疲れた表情でリィン達を見回した後その場から去って行った。

「あ………」

「…………………………」

「―――今のは言い過ぎだ。親の話題を持ち出すなんて余り品がいいとは思えないぞ?」

「フン……確かに口が過ぎたようだ。俺もまだまだ修行が足りんな。」

リィンに諌められたユーシスは鼻を鳴らして意外な言葉を口にした。



「へ―――」

ユーシスの口から出た言葉を聞いたエリオットは目を丸くした。

「……なんだ、その意外そうな表情は。」

「いや、だって……公爵家の若様なんでしょう?なのにそんな殊勝な……って、すみませんゴメンなさい!」

「ふう……無用に畏まるな。身分の区別はあるとはいえ、士官学院生はあくまで対等――――学院の規則にもあっただろうが。」

「そ、そうだけど……じゃなくて、そうですけど!」

「……………………」

恐縮している様子のエリオットを見たユーシスは呆れた表情で溜息を吐いてエリオットを見つめていた。

(……どうやらエレボニアでは身分がかなり重要らしいな?)

(ああ……古い国だからな………)

”平民”と”貴族”のやり取りを見つめて疑問に思ったガイウスの問いにリィンは頷いた後目を伏せて考え込んだ後、ユーシスに問いかけた。

「――――ユーシス。君の方はどうするんだ?マキアスはああ言ってたけどこのまま俺達と同行するか?」

「フン、本当は一人で行くつもりだったが……ヤツと同じ行動をするのも癪だ。同行させてもらうぞ。」

「ええっ!?」

リィンの問いかけに答えたユーシスの意外すぎる答えを聞いたエリオットは驚き

「…………」

エリオットの様子に気付いたユーシスは目を細めてエリオットを見つめた。

「ど、どうぞどうぞ!歓迎させていただきます!」

「やれやれ……」

「まあ、行くとするか。」

その後ユーシスを加えたリィン達が探索を続けていると剣戟の音が聞こえてきた!



「剣戟………!」

「………………」

剣戟を聞いたリィンは驚き、ユーシスは考え込んだ後やがて走り出し、ユーシスに続くようにリィンとガイウスも走り出し

「あ、待ってよ~!」

3人の行動を見たエリオットは慌てた様子で3人を追って行った。そして4人が到着すると、なんと多くの魔獣達に囲まれたプリネとツーヤが戦っていた。

「十六夜――――”斬”!!」

ツーヤが抜刀すると一瞬でツーヤの目の前の多くの魔獣が真っ二つにされて絶命し

「――――フェヒテンケニヒッ!!」

プリネは襲ってきた魔獣の攻撃を軽やかに回避した後、そのまま踏み込んで魔獣の喉元に細剣を突き立てて絶命させ、二人は次々と襲い掛かる魔獣達を剣を一閃して滅していた!

「ほう…………噂通りの腕前か。」

「す、凄い………確かに二人とも強すぎるね…………」

二人の戦いを観戦していたユーシスは感心し、エリオットは驚き

「あれが異世界の剣術なのか?」

「ああ…………確かツーヤさんの剣術は我流で、プリネさんの剣術は皇家―――リウイ陛下直伝の剣術だ。」

「が、我流!?じゃ、じゃあ”蒼黒の薔薇”は自分で技とか思い付いているの……!?」

「なるほど………あれが音に聞こえし”剣皇”直伝の剣術と言う訳か………」

ガイウスの疑問に答えたリィンの説明を聞いたエリオットは驚き、ユーシスは目を細めてプリネを見つめていた。

「斬!!」

「セイッ!!」

そして二人は傷一つ負う事なく戦闘を終わらせ、リィン達の方に振り向いた。



「あら……貴方達は。」

「皆さん、ご無事だったんですね。」

リィン達を見たプリネは目を丸くし、ツーヤは微笑んだ。

「見事だ………―――俺の名はガイウス・ウォーゼル。よろしく頼む。」

「え、えっと……エリオット・クレイグです……!そ、そのよろしくお願いします……!」

「ユーシス・アルバレア。一応、改めて名乗らせて頂く。」

「―――ツーヤ・ルクセンベールと言います。よろしくお願いします。」

「―――プリネ・カリン・マーシルンと申します。エリオットさん……でしたね?そんなに固くならなくてもいいですよ。今後共に机を並べる仲になるのですから。」

ガイウスとエリオット、ユーシスが名乗るとツーヤとプリネも名乗り、エリオットの恐縮した様子にプリネは苦笑しながら答えた。



「で、でも……あのメンフィル帝国のお姫様なんだよね………じゃなくて、なんですよね!?お姫様に対して、失礼を働く訳にはいきませんし……!」

「フフ、今は一留学生の身分ですのでそんなに畏まらないで下さい。せっかく同じクラスになったのですから、皆さんとはもっと親しくなりたいと思っていますし。」

「う、うん………」

「そう言えば……他の人達はどうしているんですか?」

「実は―――――」

そしてリィン達は今までのやり取りを説明した。



「そうですか……………確かにレーグニッツ知事を父に持っている事も関係しているかもしれませんが、エレボニア貴族であるユーシスさんどころか、他国の皇族や貴族である私とツーヤを含めた身分の高い方達に嫌悪感を持っている事からして、恐らく過去に身分の高い方達に何か酷い事をされたのかもしれませんね。」

「………………………」

考え込みながら呟いたプリネの推測を聞いたユーシスは目を伏せて黙り込み

「え、えっと……二人は今まで何をしていたんだい?」

話を変えるかのようにリィンは戸惑いの表情で2人を見つめて尋ね

「先程ラウラさん達と会って、探索と共に単独行動している人達の捜索をしていたんです。………まあ、今までの話を聞く所、マキアスさんを最優先で探した方がいいかもしれませんね。」

リィンの疑問にツーヤは答えた後苦笑いをした。

「確かに………」

「一人で魔獣がいる所をうろつくなんて危険だもんね……」

ツーヤの話にガイウスは頷き、エリオットは不安そうな表情をした。



「それにしてもずっと気になっていたんですが……エレボニア帝国では身分制度ってそんなに重要なんですか?」

「そ、それはそうだよ!貴族の人達が国を支えているんだし。」

「実力主義のメンフィルに住んでいたら、疑問に思うのも仕方ないよ。」

ツーヤの疑問を聞いたエリオットは一瞬ユーシスに視線を向けた後答え、リィンは苦笑しながらツーヤを見つめた。

「実力主義だと………?メンフィルほどの大国が貴族による政治をしていないのか?」

一方リィンの話を聞いて眉を顰めたユーシスはプリネ達を見つめて尋ねた。



「確かに貴族の方達も政治を司っていますが………それはちゃんと政治家としての能力がある方達です。平民の方でも実力があれば政治家になれますし、皇家が認めれば皇族との結婚も可能ですよ。」

「ええっ!?へ、平民が皇族と結婚できるの!?」

「はい。―――例えば”癒しの聖女”と称えられているティアお姉様の母親は生粋の平民ですから。」

「へっ!?い、”癒しの聖女”ってあのイーリュン教の……!?」

「姉………―――なるほど。確かに”癒しの聖女”は”英雄王”リウイ・マーシルン皇帝の娘の一人だったな。」

プリネの説明を聞いたエリオットは驚き、ユーシスは考え込んだ後真剣な表情にプリネを見つめた。



(平民と皇族が結婚できるのは、そんなにありえない事なのか?)

(ああ………身分制度が強く影響するエレボニアからしたらとても考えられない事だろうな……)

エリオットの様子を見て小声で尋ねたガイウスの疑問にリィンは目を伏せて答えた。

「まあ、皇家であるマーシルン家自体が元は”平民”ですから、他の国と比べると特殊なのかもしれませんね。」

「皇家が元平民だと……?一体どういう意味だ?」

そしてプリネはリィン達にメンフィル帝国の建国や成り立ちを軽く説明した。



「ええええええええええっ!?は、反乱を起こして国を乗っ取った挙句、更にそこから戦争を仕掛けてきた国全てに勝って国を大きくしたの!?」

「だからこそ”大陸最強”の異名か……」

「ああ………………」

「………なるほど。だから”実力主義”か。文字通り”実力”で国を創り、栄えさせているようだしな。」

説明を聞いたエリオットは信じられない表情で声を上げ、静かな表情で呟いたガイウスの言葉にリィンは頷き、目を伏せて黙り込んでいたユーシスは目を見開いて静かな表情でプリネを見つめて尋ねた。



「はい。まあ、”四大名門”の貴族であるユーシスさんにはとても認めたくない事実かもしれませんが……」

「フン、他国がどういう政治体制をしているかは帝国貴族である俺には関係のない話だ。そこらの貴族共と一緒にしないでもらおう。」

苦笑しながら自分を見つめるプリネに問いかけられたユーシスは鼻を鳴らして答えた。

「あ、そう言えばさ。あの噂って本当なの?”姫君の中の姫君(プリンセスオブプリンセス)”には山のような縁談が来ているって。」

その時ある事に気付いたエリオットはプリネを見つめて尋ねた。



「ええ、確かに多くの縁談は来ていますがお父様が全て断っていますからお見合いすらした事がありませんよ。ちなみに縁談相手の中にはエレボニア帝国の皆さんも知っている方もいますよ。」

「へ………一体誰なの?」

「――――エレボニア帝国皇子、セドリック・ライゼ・アルノール皇子です。」

「なっ!?」

「ええええええええええええええええっ!?セ、セドリック殿下に縁談があったの!?しかもその相手が”姫君の中の姫君(プリンセスオブプリンセス)”だなんて!?」

「まあ確かに”姫君の中の姫君(プリンセスオブプリンセス)”ならば”帝国の至宝”と称えられているセドリック殿下のお相手として相応しいな。」

プリネの口から出た予想もしていなかった名前を聞いたリィンとエリオットは驚き、ユーシスは納得した様子で頷いてプリネを見つめたが

「ちなみに”アルバレア公爵家”からも私の婿相手としてユーシスさんの縁談も来た事があったそうです。」

「何だとっ!?」

苦笑しながら答えたプリネの説明を聞いて目を見開いて驚いた。



「そ、そうなんですか?」

「さ、さすが”姫君の中の姫君(プリンセスオブプリンセス)”…………」

「フフ。という事はユーシスもプリネと結婚する可能性があった訳か。」

「アハハ、まあ、”四大名門”だからね。でも”四大名門”の息子が婿入りって、さすがは皇族だなあ。」

一方ツーヤは戸惑いながらプリネとユーシスを見比べ、リィンは大量の冷や汗をかいて表情を引き攣らせ、静かな笑みを浮かべて呟いたガイウスの推測を聞いたエリオットは冷や汗をかいて苦笑していた。



「プリネ。一つ聞きたい事がある。」

「はい、何でしょう?」

(うわっ。早速呼び捨てしているよ。相手は皇女様なのに。)

(本人が良いと言っているのだから、そんなに驚く事もないと思うが……)

ユーシスが皇族であるプリネを呼び捨てしている事にエリオットは驚き、エリオットの小声が聞こえたガイウスは不思議そうな表情をしていた。



「父上は一体いつ頃そちらに縁談を申し込んだんだ?」

「えっと、確か……8年前ぐらいにそんな話があった事をお父様から聞いていますが……」

「8年前………(ちょうど俺がアルバレア公爵家に引き取られた年か………)」

プリネの話を聞き、何かに感付いたユーシスは考え込んでいたが

「何か気になる事があるのか?」

「―――いや、特にない。」

リィンに話しかけられると気を取り直して考えるのを中断した。



「では私達はマキアスさんを探してから地上に向かうつもりなのでこれで失礼します。」

「そちらも頑張ってください。」

「あ、ああ。」

プリネとツーヤに微笑まれたリィンは戸惑いながら頷き、二人はリィン達から去って行き、リィン達は地上に進む階段を探していると地上へと続く終点に到着した。



「……どうやらここが地上に通じる終点らしいな。」

「ああ、陽も差し込んでいるし、間違いないだろう。」

扉から漏れ出ている陽の光を見て出口だと判断したガイウスの意見にリィンは頷き

「フン、とんだ茶番だったな。大帝ゆかりの士官学校と聞いたからどんな試練が待ち受けているかと思ったが拍子抜けもいいところだ。」

ユーシスは鼻を鳴らして答えた。



「そ、そうかな~。結構ムチャクチャだと思うけど。……でも”Ⅶ組”か。一体どんなクラスなんだろうね?」

「そうだな……(身分や立場もバラバラだし留学生や年少者までいる……何か意図があるのか……?)」

エリオットの疑問を聞いたリィンがその場で考え込み始めると何かの音が聞こえ、リィンは考えるのを止めてエリオット達と共に周囲を見回した。



「なんだ……?」

音を聞いたユーシスが眉を顰めたその時、何かに気付いたガイウスがある方向を見つめて警告した。

「あれだ……!」

ガイウスが見つめる方向をリィン達が注目すると石像と化していた翼が生えた巨大な魔獣の像が本物の魔獣と化し、動き出した!



「あれはまさか……―――”石像兵(ガーゴイル)”か!?一体どうして士官学院の旧校舎の地下に……!」

異世界にしか存在しないはずの魔獣の存在にリィンは驚いた後厳しい表情をし

「な、なにそれっ!?」

「古の伝承にある迷宮の守護者だ……!」

リィンが叫んだ魔獣の種類に混乱しているエリオットの言葉を聞いたユーシスは厳しい表情で迷宮の守護者を見つめながら説明した。すると石の守護者(ガーゴイル)――――”イグルートガルム”は飛びあがってリィン達の目の前に着地し、リィン達を睨んで咆哮を上げた!



「はわわわわわっ!?」

見た事のない巨大な魔獣に敵意を向けられたエリオットは慌て

「……帝国というのはこんな化物が普通にいるのか?」

「少なくとも古い伝承の中だけだ!大体そういう伝承の存在が普通にいるのはこのゼムリアではなくメンフィル―――異世界のはずだ!」

ガイウスの疑問を聞いたユーシスは目の前の存在に信じられない思いを必死に抑えるかのように大声を上げて否定した。



「くっ……!」

そしてリィンは目の前の巨大な存在を排除しない限り地上へ脱出できない事を悟ると覚悟を決めて太刀を構え、リィンに続くようにエリオット達も武器を構え

「―――いずれにせよ、こいつを何とかしない限り地上には戻れない……!みんな、何とか撃破しよう!」

「了解だ……!」

「相手にとって不足はない!」

「め、女神さまっ……!」

リィンの号令を合図に戦闘を開始した! 
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