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英雄伝説~光と闇の軌跡~(FC篇)

作者:sorano
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第3話

~ロレント市内~

ズドーン!ダダダダダ!キャア―!助けてくれ!逃げろ!
ディル・リフィーナとは異なる世界の大陸ゼムリア大陸にある小国、リベールの都市の一つロレント市内は戦場であった。なぜそのような事になったのは突如、エレボニア帝国がハーメルという村をリベール軍が襲ったと言い、戦争を仕掛けてきたのだ。リベール軍は劣勢ながらも軍人カシウス・ブライトが考えた作戦で反撃をし始めたのだ。この作戦でエレボニア帝国軍は崩れ始めたのだが、作戦により孤立した一部の部隊が半ばやけ気味にロレントを襲ったのだ。そしてあちこちで市民が戦闘に巻き込まれ、悲劇が生まれた。
そして、ある場所でも悲劇が生まれようとした。

「おかあさ~ん!」
「に……げ……て……エ……ステル……」
瓦礫に埋もれている女性はカシウス・ブライトの妻レナで呼びかけているのはその娘、エステルだった。
レナは砲撃によって崩れてきた瓦礫からエステルをかばい重傷を負い、正に命が風前の灯であった。
「誰か~助けて――!おかあさんが死んじゃう!」
エステルは必死で助けを呼んだが逃げる事に必死な市民達は誰も気付かなかった。
そこにリウイ達が転移してきた。

「ふ~ついたわね。あら、面白い事になってるじゃない。」
カーリアンは周りの戦闘を見て不敵に笑った。
「きゃは、久しぶりに遊べそう……」
エヴリーヌも周囲の状況を見て遊ぶ相手を見つけたような顔をした。
「報告では街中に出るというのはなかったんですがね……」
ファーミシルスは街中に出たのに気付いて呆れた顔をした。
「まだ、転移の固定が出来てないのだから仕方ないだろう……それより現状の把握をするぞ。」
リウイは周りを見て現状を把握しどう動くか考え始めたところ、その姿を見つけたエステルがリウイのマントをひっぱた。

「ねえ、おかあさんを助けて、お願い!」
「……なんだ、貴様は?」
マントをひっぱられた事に気付いたリウイはエステルに声をかけた。
「お願い!あそこにいるおかあさんを助けて!おかあさんが死んじゃう!」
エステルは瓦礫に埋もれているレナを指差してリウイに懇願した。

「リウイ!助けようぞ!それが余達王族の義務のひとつであろう!」
リフィアはレナを見てリウイに答えを求めた。
「(………母か)ああ。」
母の助けを懇願しているエステルを見て人間に追われ母に庇われた昔を思い出し、瓦礫のところに近寄った。
「さっさと片付けるぞ。カーリアン、ファーミシルス、悪いが手伝ってくれ。」
「しょがないわね~」
「ハ、了解しました。」
そして3人は協力して瓦礫からレナを出した。

「おかあさん!」
瓦礫から出された意識を失っているレナを見てエステルは縋りつくように泣いた。
「おかあさん!死なないで!お願い!」
「……リウイ様……」
それを見てペテレーネは懇願するような目でリウイを見つめた。
「わかっている。治療してやれ。」
「はい、わかりました!」
「余も力を貸そうぞ!」
リウイから許可をもらいペテレーネとリフィアはレナの所に近寄った。

「おかあさん、助けてくれるの?」
「ええ、今助けますからね。」
「安心するがよい。余の辞書に不可能という文字はない!」
泣きはらした顔をあげたエステルにペテレーネは優しく言ってリフィアと共に魔術を発動した。
「「暗黒の癒しを……闇の息吹!!」」
神格者であるペテレーネと、魔力の高いリフィアの手から放たれた紫色の光はレナの傷を完全に癒した。
そしてレナは目を覚ました。

「う……ん?あら、どうして傷が?」
レナは重傷だった傷が治っていることに気付き不思議がった。
「おかあさん!よかったよ~。」
「エステル……ごめんね心配をかけて……」
目が覚めたレナにエステルは抱きつき、抱きつかれたレナは受け止めエステルの頭をなでた。そしてそれを見ていたリウイ達に気付き話しかけた。

「あの……どちら様でしょうか?見た所帝国兵でもありませんし、かといってこちらに住んでいない方と見受けられていますが……」
「……ただの旅の者だ。」
レナの問いにリウイは適当に答えた。
「あのね、おかあさん。この人達がおかあさんを助けてくれたの。」
「そうでしたか……本当にありがとうございました。」
「礼はいらぬ。それが余達の義務であるからな。」
エステルから事情聞いたレナはリウイ達にお礼を言ったがリフィアのおかしな言動と
翼のついているファーミシルスを見てレナは疑問を持った。

「義務……?それにあなたは人間ですか?」
レナの疑問にどう説明するべきか考えていたリウイ達のところに複数の帝国兵達が包囲した。
「市民がいたぞ!殺せ!」
ズダダダダ!
帝国兵達は銃を構え一気に放ち、それを見たレナはエステルを抱きしめた。
「ハッ!」
「甘い!」
「遅いわよ!」
「させません!」
「させぬわ!」
「「「「「「「「な!!!!!!」」」」」」」
放たれた銃弾はリウイのレイピア、カーリアンの双剣、ファーミシルスの連接剣にはじかれ
リウイ達の横を通り過ぎた銃弾はペテレーネとリフィアの簡易結界に弾かれ兵達は驚愕した。

「まさか、いきなり攻撃してくるとはな……」
リウイが出す闘気に兵達は後ずさった。
「ク……臆するな!かかれ!」
「「「「「「「オオ!!」」」」」」

一人の兵の言葉に兵達はリウイ達の恐ろしさも知らずに襲いかかった。

「みな迎撃するぞ!」
リウイはレイピアを兵達に向けて号令をし
「ハイ!リウイ様!」
ペテレーネは杖を構えて詠唱をし始め
「ハッ!」
ファーミシルスは連接剣を構え
「ふふ、楽しませてもらうわよ!」
カーリアンも双剣を構え
「力持たぬ者を攻撃した上、余達に剣を向けたその罪……死して悔いるがよい!」
リフィアはペテレーネと並ぶような位置で杖を構えて詠唱をし始め
「きゃは、遊んであげる……」
エヴリーヌは弓を虚空から出し、片手に魔力の矢を作りだした。

「「「死ね―!」」」
「炎を味わえ!フレインバル!」
ゴオ!
「「「ぐああ……」」」
リウイに襲いかかった兵達はリウイの炎を纏ったレイピアによって急所をつかれた上、その身を炎が跡形もなく焼いた。

「相手は女子供がほとんだ!殺せ!」
「「「「オオッ!!」」」」
「ふふ、ファーミ、何人殺せるか競争ね?それェ!」
「フン、こんな雑魚共相手に何を言ってるのかしら?……まあ、あなたには負けないけどね!」
ズバ!ドス!
「「ガ!」」
「「ガあ……」」
軽口を叩きながらもカーリアンとファーミシルスは次々と兵達を葬っていった。
「うふふ、みんな死んじゃえ!」
ドスドスドス!
「「「グ……ア……」」」
遊び感覚のエヴリーヌが空中に向けて放った矢は空中で分散し複数の兵達の眉間や喉元に当たり絶命させた。

「大いなる闇よ……ティルワンの死磔!」
「古より伝わりし純粋なる爆発よ……落ちよ!エル=アウエラ!」
ゴォォォォ……ズドーン!
「「「「「ギ!………」」」」」
ペテレーネの暗黒魔術とリフィアの純粋魔術によって周りの兵達は跡形もなく消え去った。
リウイ達の圧倒的な強さに帝国兵達はなすすべもなく命を落とし、ついには突撃を命令した兵しか残らなかった。

「……さて、残るは貴様だけのようだな。」
「ヒ!な、なんなんだよ……貴様らはぁ!」
近づいて来るリウイに恐怖した兵は銃を何度も撃ったが、全てリウイの剣によって弾かれ弾切れになった。
「俺達<闇夜の卷族>に剣を向けた事をあの世で後悔するがいい!」
ズバ!
そして一瞬で相手に詰め寄ったリウイの剣が兵の首を通り、恐怖の顔をした兵の首が地面に落ちた。
「フン、雑魚が。あっけない。」
「ん~ちょっと物足りないわね。」
物足りなさそうな顔をしたカーリアンと死体に侮蔑の顔をむけたファーミシルスは武器を収め、ほかの仲間達も武器を収めた。

「あなたたちは一体……」
驚異的な強さを見せたリウイ達をエステルに死体を見せないように抱きしめたレナは呟いた。
「……いずれ我ら<闇夜の卷族>を知る時が来るだろう。せっかく助かった命だ。娘共々さっさとここから離れるがいい。」
「……わかりました。命を助けて下さって本当にありがとうございました。」
リウイの警告にレナはリウイ達に頭を下げた後、エステルを抱いて戦場から走り去った。

「それでこれからどうするのリウイ?」
レナ達を見送ったカーリアンはリウイにワクワクした顔で何をするか聞いた。
「少し待て。ファーミシルス、確かこの世界には3ヵ所の国があるそうだな?」
「ハッ、”カルバード共和国”、”エレボニア帝国”、そしてここ”ロレント”を持つ国”リベール王国”の3ヵ所の国が主体で、ほかは自治州等小国がちらばっているほどかと。先ほど助けた女性の話から推測すると我らを襲ったのはエレボニア帝国兵かと。」
「そうか……フ、この世界に拠点を作る手間が省けたな。」
「では……?」
リウイの言葉から先を予測しファーミシルスは不敵に笑った。
「ああ、ここロレントを”一時的”に我がメンフィル”保護領”にしここを拠点にエレボニアに攻め入る。ファーミシルス、お前は一端戻ってルース達を連れて来い。戻る転移門の場所は知っているだろう?」
「ハッ!すぐに連れて来てまいりますのでお待ち下さい!」
リウイの命令を受けたファーミシルスは翼を広げ空へ上がり転移門がある森のほうへ向かった。

「フフ、国を攻めるなんて”幻燐戦争”以来じゃないの?」
「勘違いするな。俺達は”襲われた”から対処するだけだ。ロレントもいずれリベールに返還する。まあ、”条件”は付けさせてもらうがな……」
久しぶりの戦争の気配で笑っているカーリアンの言葉をリウイは否定しながらも笑みを浮かべた。そしてリフィアのほうに顔を真剣な顔を向けた。

「リフィア、お前にとってこれが初めての国同士の戦争になるだろう。怖いのなら国に戻ってもいいぞ?」
「余を誰だと思っているのじゃリウイ?余は次期メンフィル皇帝、リフィア・イリーナ・マーシルン!余の辞書に後退の二文字はない!あっても消し去ってくれる!此度の戦いで得た知識を余の力にしてみようぞ!」
「そうか……ならばしっかり学べ。」
「当然じゃ!」
迷いのない顔で否定し、前向きな発言をしたリフィアにリウイは孫娘の将来を期待した。

そしてそこに先ほどメンフィルに戻ったファーミシルスに先導されたルース率いる陸兵軍団とシェラ率いる機工軍団が到着した。
「リウイ様!ご指示通り我らメンフィル軍、いつでも出れます!ご命令を!」
「ご指示を、リウイ様。」
命令を待つ2人にリウイは頷き、勇んでいる兵達の正面に立ち、レイピアを空高くへ振り上げ大きな声で号令をした。

「これより我らメンフィル軍はロレント市を”保護”しエレボニア帝国に進軍する!!一般市民達の保護と建物の消火を最優先にしろ!!力持たぬ一般市民を襲うエレボニア帝国兵に慈悲はいらぬ!!行くぞ!!!」
「オオオオオオオオオッオオオオオオオッ!!!!!!!!」
リウイの叱咤激励を受け、武器を掲げ勇んだ兵達は帝国兵との戦闘や一般市民の保護を行い始め、わずか2刻で市内の戦闘は終了した。

そしてリウイ達は市内の戦闘後の処理をし、市内にいくつかの部隊を残し1日後に来た援軍と共に破竹の勢いで帝国軍が守るエレボニア帝国とリベールの国境、ハーケン門を突破しエレボニア帝国に侵攻をし始めた。

何の前触れもなく、突如現れたメンフィル軍はゼムリア大陸全ての国に激震を走らせた……

 
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