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英雄伝説~光と闇の軌跡~(FC篇)

作者:sorano
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第1話

~メンフィル王都・ミルス城内~

月日が経ちついに、ペテレーネはリウイの子を産んだ。
「ペテレーネ、無事か!」
お産の時部屋の外で待たされたリウイは新たな命の泣き声が聞こえるとすぐに部屋に入った。
そこには幸せそうな顔で赤ん坊を抱いているペテレーネとそれを優しく見守っているカーリアンの姿があった。
「リウイ、少しは落ち着きなさい。全くあなたったら子供が生まれるといつもそうなんだから……」
「ご主人様……はい、見ての通り無事です。それより見て下さい、この子がご主人様の子です……」

慌てている様子のリウイを見てカーリアンは呆れた。
そしてペテレーネは抱いていた子をリウイに見せた。
「仕方がなかろう。それよりこの子か……ほう……元気な子だ……それに魔力もリフィアに負けず劣らずあるようだな……きっと素晴らしい子に成長するだろう。性別はどっちだ?」
リウイは抱いていた子を渡されその子供の魔力を感じ取り驚いた。
「はい、女の子になります。」
「そうか……リフィアがいる以上恐らくこの子は王位継承者にはなれないが、正式な皇女扱いにはするから安心しておけ。」
「そんな!私はご主人様の子を授かれただけでも嬉しいのにそこまで気にして頂けるなんて……本当にありがとうございます!」
ペテレーネはリウイの優しさを感じ感謝した。

そしてリウイはある事に気付き、ある提案をペテレーネにした。
「ペテレーネ、いつまでもその呼び方はやめてはどうだ?」
「え、呼び方といいますと……?」
「その“ご主人様”だ。子供が産まれた以上その呼び方もおかしかろう。」
「え………でもご主人様はご主人様ですし……」
ペテレーネはリウイからの突然の提案に戸惑った。
「子供にとって父と母がお互い呼び合うのにはおかしかろう。お前ならば俺を呼び捨てにしてもいいのだぞ?」
「あら、それなら私も呼び捨てにしていいわよ?お互いリウイの子を産んだし、私とあなたは長年の仲間じゃない。」
「そんな!お2人を呼び捨てにするなんて恐れ多いです!その……せめて名前でしたら……」
ペテレーネは2人の提案に恐縮し、その後小さな声で呟いた。

それを見てカーリアンは感心し、リウイは笑みを浮かべた。
「あなたって本当遠慮気味ねえ……」
「ならばこれからは俺の事も名前で呼べ。これは命令だ。」
「はい、わかりました……その……リ、リウイ様……」
ペテレーネは恥ずかしげにリウイの名前を呼んだ。それを聞きリウイは笑みを浮かべた。

そしてカーリアンがある事に気付いた。
「そういえばその子の名前はどうするの?」
「ふむ……名か。ペテレーネ、お前がつけていいぞ。」
「え、私がですか!?よろしいのでしょうか?」
ペテレーネはリウイの言葉に驚いた。
「構わん。お前が産んだのだから当然だ。シルヴァンの時は俺がつけたがほかの子はその子の母につけさせたしな。」
「わかりました………では、プリネというのはどうでしょう?」
ペテレーネは少し考え子供の名を言った。

「プリネ……珍しい名だな。どこからその名が出た?」
リウイは新たな子の名を聞きペテレーネに名の由来を聞いた。
「はい、プリゾア様の名前から頂いた名です。私にとってあの方はもう一人の母親のような方でしたから……女の子が生まれたらこの名前にしようかなとずっと思っていたんです。」
「なるほどな……わかった、今日からこの子は「プリネ・マーシルン」だ。ペテレーネ、お前もマーシルンを名乗ってもいいぞ?」
「いえ、お気持ちはありがたいのですがそれだけはできません。リウイ様の妃でその名を名乗っていいのはイリーナ様だけであると私は思っていますから。」
「そうか……」
「そうね……ペテレーネの言うとおりだわ。」
王族の名を名乗っていいと言われたにも関わらずそれを断り、その断った理由を知り
ペテレーネのその忠誠心にリウイは感心し、またカーリアンもその言葉に賛成した。

「ペテレーネ!産まれたそうじゃの!余の新たな妹はどこじゃ!」
「エヴリーヌの妹……どこ?……」
そこに新たな妹の誕生で興奮しているリフィアと秘かに期待しているエヴリーヌが部屋に入って来て部屋は賑やかになった。
その後、ファーミシルスやシルヴァン等リウイの縁者や家臣が次々にやって来て賛辞を述べた。

そして神格者の子で、帝国の新たな皇女の誕生にレスぺレント地方の人々は喜び、記念に国を挙げた祭り等を行ったのでレスぺレント地方は一時期賑やかになった……

そして賑やかなレスぺレント地方に一つの魂が彷徨って来て太古の迷宮、「ブレア―ドの迷宮」の中にある不思議な魔法陣に入り消えた……

~クロスベル自治州・ウルスラ病院~

同じ頃、ディル・リフィーナとはまた異なる世界の大陸、ゼムリア大陸の様々な貿易がされている自治州、
クロスベルでも新たな生命が誕生した。
ある夫妻の夫は病室の前でうろうろしてる時、そこから新たな生命の初声が聞こえた時、
いてももたってもいられなく病室の中に入り、子供を抱いている妻の姿を見て安心し、笑顔で妻に近づいた。
「よくやった!本当にかわいい子だよ……」
「ええ……見て、この金の瞳と髪はあなた似ね……」
「そうか!でも女の子だからきっとお前に似て美人になるさ!」
「もう、あなたったら……」
赤ん坊を見て赤ん坊の将来を語り合っている夫妻が目を少し離している間に別の世界から来て
彷徨っていた先ほどの魂が赤ん坊の中に入り、その事に気付かない夫妻は赤ん坊の名を考えていた。

「名前はどうしようか……?」
「一応、考えてあるわ。エリィ、セリーヌ、イリーナ。どれがいいかしら?」
「どれもいい名だね。迷うな……」
夫は妻が提案した名前に迷い、一通り考えた後ある名前に決めた。

「そうだな……イリーナはどうだろう?なんとなくその名にしたらこの子は身分のある男性に嫁いで幸せになる気がするんだ。」
「イリーナ……いい名ね。偶然かしら、私もその名を口にした時、そう思ったわ。」
「決まりだな!今日からこの子の名は「イリーナ」!「イリーナ・マグダエル」だ!」
夫は決めた名を口にし、妻もその名を口にし赤ん坊を祝福した。

名を決める時、妻が「イリーナ」の名を口にした時、赤ん坊が反応したのは誰も気づかなかったことだった……

そして数年後……… 
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