| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

世界をめぐる、銀白の翼

作者:BTOKIJIN
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第一章 WORLD LINK ~Grand Prologue~
  響鬼 ~待ち受ける闇~



響鬼たちと蒔風は病院に来ていた。

倒された鬼たちの内、勝鬼と弾鬼は意識がなく、集中治療室にいて話どころか面会も出来ない。
しかし裁鬼は身体は動かせないものの、まだ意識はあり、話をすることが出来た。



「裁鬼、一体なにがあった?お前ら三人が纏めてやられちまうなんて」

「響鬼さん・・・・違かったんです。あの魔化魍は・・・普通じゃなかった・・・」

「どういうこと?」

「最初は・・・順調だったんです・・・でも、途中から、馬鹿に強い・・・・いや、あれは強いなんてものじゃない・・・・・俺達が、鬼だと思ってしまうほど、凶悪だった・・・・」

「そんな・・・・裁鬼さん!しっかりしてくださいよ!相手は魔化魍でしょ!?音撃で倒せなかったんですか!?」

「ああ、そいつはなんとか三人で倒したんだ・・・・・三人がかりで、何とか・・・・でも、その後に・・・・・あんなのがいるなんて思いもよらなかったんだ・・・・・」

「なにが・・・出たんですか?」


蒔風が聞いた。
裁鬼は蒔風の存在には疑問を持たず、答えた。

いや、もしかすると、そんな余裕はなかったのだろう。


「三首の・・・・巨大な犬が・・・あれは、ありえない・・・・・あんな魔化魍・・・みたことが・・・・・」

そこまで言うと限界を迎えてしまったのか、裁鬼は気を失って眠り込んでしまった。


「裁鬼さん!」

「大丈夫だ。おそらく話し終えて、気が抜けてしまったのだろう」

「でも、裁鬼さんたちが見た魔化魍って、なんなんすか!?」

「首が沢山あるのはいくつか知ってますが、巨大な犬となると・・・・」

「ケルベロスだ」

まったく心当たりのない特徴。
唸り声を上げる彼等に対し、蒔風がさらりとその正体を言う。



「は?ケルベロス?」

もちろんその名前は何度か聞いたことがあった。しかしそれは魔化魍ではなく完全にフィクションのものであったはず。
蒔風がさらに説明をする。


「そう。まあ、「奴」の使役獣だ。ディスクアニマルみたいなものです」

ディスクアニマルとは、鬼たちが使う調査、探索、戦闘等に使える他目的武器だ。
元は円盤型で待機しているが、起動させると鷹、狼、猿、蛇、蛙などを模した形に変形して動き出し、鬼の意志に従って活動する。




それを知った威吹鬼が驚愕の声を上げる。

「つまり「奴」は化け物を飼ってるってことですか!?」

「魔化魍だけでも三人を凌駕するほど強いのに、さらにそんな化け物までいるなんて・・・・勝ち目ないっすよ~!」




「いや、大丈夫です」

「どうして?」


「オレも同様の召喚・・・・使役獣を所持しています。オレのと「奴」のとは全部出し合っても互角。それならまっすぐぶつかり合った方がいいだろうから、そこはホイホイと使ってこないだろうかと」

「うーん、でもさ、そんだけ強いなら、なんで三人を倒すだけにしたんだろ。こう言っちゃ何だけど、殺そうと思えば殺せたはずでしょ?」

「おそらく、誘ってます」

「誘う?」

「三人がやられた場所。そこは確か・・・」



「半年前、俺達が儀式を行った場所に近い。というか三人はそこの遺跡を調べに行ってたんだ」

「そこに・・・・「奴」がいる」

「本当にっすか!?」

「はい。ここまで鬼に甚大な被害が出れば、あとは自然と儀式を行える鬼は絞られてくる。そして響鬼さんは太鼓の鬼で一番の手練れです。そこで「奴」は響鬼さんを殺すつもりなんでしょう」

「じゃあ、響鬼さんは「たちばな」にいてください!」

「轟鬼・・・」

「そんな「奴」のところにわざわざ行く必要ないっすよ!自分達がなんとかします!」

「普通の「オロチ」ならそれで大丈夫かもしれません。しかし今回は違います」

「なにがですか?」

「「奴」がいる。まあその間はオレが守ればいいんですが・・・・今回の「オロチ」はその遺跡から「奴」が自分自身の波長を流し込んだことによって起こったものでしょうし・・・・」

「そんな!」

「清めの音を叩き込めるならその逆のものも出来るはずです。まぁ言うほど簡単なことじゃないが、「奴」ならやってのけるだろうでしょうし」

「・・・・・・」

轟鬼は絶句している。
清めの音を叩き込むだけならば、弦の音撃戦士の轟鬼でも簡単なことである。



しかし大地に叩き込むとなると、太鼓を極めた響鬼程の者であっても大変なことである。
それをこの世界に来たばかりの者が、しかも清めの音ではないものを送る。

そんなことをやっている「奴」に対して具体的な脅威を感じたのだ。


響鬼も威吹鬼も、轟鬼程ではないが、驚いていた。





「オレには清めの音を叩き込むような太鼓の技は持ってない。かといって響鬼さんは「奴」に対抗できない。なら答えは簡単だ」

「まさか!響鬼さんと蒔風さんの二人でやるつもりですか!?」

「自分たちも行くっすよ!!」

「・・・・・わかりました。では周辺に湧いてくる魔化魍の駆除をお願いします。オレは「奴」を」

「んで、オレが太鼓だな?」

「はい。響鬼さんをオレが守ります。轟鬼さんと威吹鬼さんには護衛をつけるので、その者と一緒に動いてください」

「よっし!!そうときまれば、明日行くか!!」

「明日ですか!?」

「善は急げって言うでしょ?はやくどうにかしないと、弾鬼たちは倒れちゃってんだからさ」

「それもそうですね」

「よぉ~っし!!がんがりますよぉ~!!!」

「今回は勝手に置いていかないでくださいね?響鬼さん」

「わかったよ。よし、みんな。がんばろう!!」

『おおーーー!!!』




---------------------------------------------------------------------------------

「さて、餌はまいた。あとは来るのを待つだけだ・・・・・・」


「奴」は遺跡の前で待つ



「さてさて、どう来るのかなぁ??ひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!!」










to be continued


 
 

 
後書き

・今度は置いて行かないでくださいよ
以前のオロチの際、その任務の大変さから死者が出ると予測された。
そのため、余計な死者は出したくないとして響鬼が一人で現場に向かった。

ちなみに、本来人柱となるのは威吹鬼の筈であった(彼の家は代々鬼であった大御所であるという責任から)



アリス
「次回。世界を清める音撃炸裂!!!」

ではまた次回








僕たちには、ヒーローがいる 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧