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Blue Rose

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第七話 姉としての責任その十二

 しかしだ、優花に強い声で約束したのだった。
「もうね」
「僕に何があっても」
「一緒よ、いいわね」
「姉さんがそこまで言う理由はわからないけれど」
 それでもとだ、優花は。
 姉のその確かな声にだ、普段の彼女のことからも信頼を感じて言った。
「頼むね」
「ええ、それじゃあね」
「わかったよ、ただ一人でしなければならない時は」
「あるのよ」
 このこともだ、優子は答えたのだった。
「どうしてもね」
「そうした時もあるんだね」
「だから姉さんある人に言われたの、一人でもやっていく強さはね」 
 それはというのだ。
「持っておけってね」
「一人でも」
「そう、けれど私はお父さんとお母さんがいなくなっても」
 それでもというのだった、優花を見つつ。
「優花がいてくれたから」
「僕がいたから」
「救われてたのよ」
「僕何もしてなかったよ」
「何言ってるのよ、家事はかなりしてくれたし」
 その優花に微笑んで話した。
「それにね」
「それに?」
「ずっと私の傍にいてくれたじゃない」 
 両親を失った自分のというのだ。
「凄く助かったのよ、姉さんも」
「それは僕の方がだよ」
「私がいたからっていうのね」
「何でもしてもらったから」
「つまりお互い様ってことね」
「そうなるかな」
「けれど私もなのよ」
 互いにということを認識したうえでの言葉だった。
「優花に助けてもらってたのよ」
「そうなんだね」
「精神的にもね、一人だとね」
 若しもだ、自分だけだったらというのだ。
「どうなっていたかわからないわ」
「お医者さんにもかな」
「なれなかったかもね」
「そうだったんだ」
「少なくとも八条大学には入ってなかったわ」
 そこの医学部にはというのだ。
「そして今の病院にもいなかったわ」
「お医者さんになっても」
「成績はそこまであったけれど」
 八条大学医学部に合格するまでだ。
「遺産や保険金もあったから」
「お父さん達が残してくれたね」
「奨学金も受けて学業も続けられたけれど」
「それでもなんだ」
「一人ではね」
「ここにいられなかったんだ」
「そうだったと思うわ」 
 自分のことを振り返って言うのだった。
「防衛医大を受けていたかも知れないわ」
「自衛隊のだね」
「あそこは常に誰かが傍にいるから」
「姉さん淋しがりだから」
「ええ、そうだったかもね」
 こう優花に話すのだった。
「優花がいてくれたから」
「今の姉さんがあるんだ」
「そうなのよ」
「そうなんだ、今の僕もだけれど」
 優花にしてもというのだった。
「姉さんがいないとね」
「こうなっていなかったっていうのね」
「そう思うよ、二人だから」
「今の私達があるのよ、神様は一人で乗り越えられる時は一人でいさせてくれるけれど」
 信仰の話にもなった、優子は自分の信仰からも話したのだ。 
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