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Blue Rose

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第七話 姉としての責任その八

「グソクムシは面白いな」
「そう思うんだね」
「青い薔薇は人工的だけれどな」
 品種改良を重ねて造ったものである、これは青いチューリップも同じだ。どちらの花にも青い色素を抑える遺伝子が含まれているからだ。
「グソクムシはな」
「自然とだからね」
「何年も食わなくてどうして生きているんだ」
「謎だね、本当に」
「深海生物ってな」
 グソクムシも含まれるこの生物達自体のことも言った龍馬だった。
「何かと謎多いな」
「凄い外見の生物も多いし」
「リュウグウノツカイにしても」
「あのお魚は謎だからだね」
「ときたま出て来るんだろ?」
「うん、海面にね」
「それでもわかってることはか」 
 そのリュウグウノツカイについてだ。
「僅かか」
「何か縦になって泳ぐらしいけれど」
「普通の魚みたいに顔を前にやって泳ぐんじゃなくてか」
「顔を上に向けてね」
 そうして立った様な姿勢、タツノオトシゴの様なそれでというのだ。
「泳ぐらしいよ」
「あの形でか」
「タチウオや鱧みたいな形なのにね」
「そうした形だったらな」
 所謂鰻タイプである、そうした細長い形の魚ならというのだ。
「普通鱧みたいに泳ぐのにな」
「僕もそう思うけれど」
「縦になって泳ぐんだな」
「そうみたいだよ」
「変なことだな」
「しかもね」
 優花はこの魚についてさらに話した。
「謎を突き止めようとしてもね」
「生態系とかのか」
「水族館で飼育しようとしてもね」
 それでもというのだ。
「すぐに死ぬらしいから」
「すぐにか」
「そう、一時間も経たないでね」
「すぐ死ぬか」
「そうしたお魚だから」
「全然わからないんだな」
「深海にいるだけでも調査とかしにくいのにね」
 それでもというのだ。
「そうしたお魚だから」
「謎だらけなんだな」
「そうらしいよ」
「グソクムシより謎だな」
「そうだよね」
「この目で見たいとも思うけれど」
「海面に出る時って嵐とかの前兆らしいから」
 そうも言われている、その目で見ること自体が極めて稀な魚であるが見れば見たで不吉の前兆とも言われているのだ。
「不思議なことにね」
「見たらか」
「あまりよくないことの前兆らしいよ」
「本当に変な魚だな」
「そうだよね」
「あのやたら大きくて頭に赤い紐が何本ある姿も」
 図鑑で見た姿だ、大きいもので五メートルあるという。
「変わってるけれどな」
「その外見だけじゃないからね」
「何かとな」
「そうだよね」
「まあ見たらな」
 万が一どころか億が一の可能性と思いつつ言う龍馬だった。 
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