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剣士さんとドラクエⅧ

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83話 鏡

 宝物庫にて。とか表現したらどっかのRPGみたいだよね。私は前世ではそういうジャンルがあるんだってことぐらいしか知らなかったけど、なんかたんすや宝箱を漁りまくるゲームがあったような気がする。こういう状況じゃなきゃ普通に犯罪だから探索に憧れたってしかたがないけどさ!

 あ、でも冒険の醍醐味、宝箱ってのはよく分かるね。あと洞窟とかの奥に設置されてる「魔物が設置したもの」とか「魔物の所持品」とか「所有者が不明の人口のダンジョン」の中身の宝箱は積極的に開けていこうって思ってるんだ。もしかしたら伝説の剣とかあったり……?そういうが似合うのはエルトだけどね!

 にしてもなんとも太っ腹なクラビウス王。太陽の鏡だけでなく他のものも持っていっていいってことらしいし遠慮なく頂くことに……とはいえ一応「槍」というジャンルのバトルフォークを使いたくなさそうなエルトとか、マジカルハットを装備するのにはやや勇気がいったのか何故か私の頭に被せようとして……まあ「マジカル」だし無理なわけで、「装備不可」により弾かれているゼシカとか、悪魔の尻尾をこっそり呪いの効かないエルトに装備させようとしてるククールが手を叩かれたり、私も呪いが効かないからしてくると思ったら何故かしてこなかったりとみんなの反応は微妙。うーん、宝物庫というのには大げさで、そんなに素晴らしくはないって言ったらかなり失礼だけど。

 小さなメダルはいいとしても、太陽の鏡以外はなんか大国の宝物庫にあるにしてはおかしな感じだし、そういう褒美を取らせる専用の宝物庫ってことなのかな?それなら納得。名誉を与えるってことだもんね。大国の宝物庫の中身を与えられたって末代まで伝えれそうな名誉だもんね。モノトリアは下手しなくても……末代とか言わないの!分かってるから!

 だから本当の宝物庫は他の場所にあるんだろうね。それこそ金庫とか別の場所だろうし、鍵をかけられるとはいえこんなわかり易い場所に置いとくなんて馬鹿みたいだし。一国の主に比べれば当たり前だけど遥かに劣るモノトリア家だってカモフラージュの宝物庫の一つや二つ、あったし。

 ちなみに私の剣は本物の宝物庫に入れるレベルの価値があるけど警備にバレずに盗めるほど軽くないからセキュリティのせの字もないような私の部屋にあったけどね。まあ、私の目をかいくぐるってことはつまり、私を暗殺できるってことだから今までいなかったんだけど、そんな奴。みんな返り討ちさ。

 それはさておき、これが太陽の鏡……かな?なんか伝説の存在っていうよりは単に魔力を込めることが出来るだけの、「魔法の鏡」って感じにも思える。私はそういう判断ができる魔力がないからただの勘って事になるけどね。うーん、ゼシカ、ククール。魔法の得意な二人にはどう思える?

「勘なの、それ。素晴らしい勘ね。確かに魔力を感じない訳じゃないけど……あんな霧をどうこうできるとは思えないわ」
「同感だ。そこら辺で売ってるというのには豪華すぎだがその程度……ってところか」
「サザンビークは古くから続く竜殺しの大国だし、偽物をこうして後生大事に持ってるとは思えないんだけどなあ……」
「竜殺し……」
「エルト、それはもう終わったことなのよ、遠い目しないの」

 話が逸れてるって。トラウマスイッチになったのかふらっとしたエルトの肩を掴んで支えて、ゼシカが言い聞かせて。意識が帰ってきたエルトは鏡をじっと見てあっけらかんと僕にはよくわからない、なんてのたまった。まあ、それはいいにしても。魔法の専門家にでも見てもらわないと少々不安だよね。

 魔法の専門家……母上、父上、マスター・ライラス……見事に今相談できない人や故人ばっかり頭に浮かぶ。ゼシカに心当たりは……?ないのか。ってないのにそれなのか、すごいなあって、お兄さんが教えてくれた……ごめん。え、ドルマゲスを早く倒しましょう?待ってって。だから、この鏡誰かに見てもらわないと不安だって言ってるの!ルイネロさんは占い専門っぽいし、誰か知り合いに宮廷魔術師とかいないの?一番知ってそうなのは私?トロデーン出身の貴族にトロデーン以外のこと聞いたってさあ……。

 なんて少々話し合いをしてたのだけど、他国の宝物庫の中でわちゃわちゃしてたらあらぬ疑いをかけられそうでよくないし、別のところに行こうということにした。そこのところはリーダーエルト、流石に判断がしっかりしてるね!

 と、意気揚々と宝物庫を出た所で眼鏡の男性に話しかけられた。サザンビークの人、みたいだ。

「おお、それが太陽の鏡ですか」
「ご存知のとおりです」

 エルトが抱える鏡を彼はじっくり見つめている。おお、本物の研究者の目だなあ。こういう真剣な眼差しを見てたらこっちまでいろいろ高まりそう。戦闘に関する研究意欲とか。

「ええ、でも見るのは初めてなんですよ。なにしろ国宝ですからね……おや?」
「お気づきになられました?」
「ええ。魔法の力がほぼ抜けてしまっていますね……」
太陽(ラー)の鏡とは呼べませんよね……」

 二人の会話は続く。彼は宮廷魔術師かそれに準ずる立場、なのかな、なかなか、どうしてなかなか目がいい……ってそういう話じゃなかった。

「そういうことは隠居したあの方ならお分かりになられるのでしょうが……」
「隠居した?」
「前の宮廷魔術師の方です。もう随分お年なので隠居していらっしゃるのですよ……ああ、その人のところに行かれますか?」
「ぜひお願いします!」

 彼は地図を見せるとすぐにその人の場所を指し示してくれた。どうやら少し来た道を戻り、脇道に逸れたその先にある泉のほとりに彼は隠居している、とか。うん、行くっきゃないね。……私がこのパーティについていけるか、この時点では分からないけど。

 ふむふむ、隠居した宮廷魔術師……隠者ってところかなあ?

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