| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

剣士さんとドラクエⅧ

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

53話 魔声

 
前書き
副題 デッドボイス 

 
・・・・

 気のせいか?このもぐらの巣の奥から唸るような、喚くような……不愉快な音が聞こえてくるのは。仲間割れでもしてるのか?

「……うう、なんだか頭が痛い音がする」
「そうだね、なんか聞こえてくるね……」

 トウカとエルトにも聞こえているなら気のせいではなかったか。……どこか嫌な予感がするんだが、当たらないことを祈るべきか。……神よ、どうか俺にこれ以上の受難を与えないで下さい……。

「あいつが、ボス、なのかなぁ?」
「デカブツでがすね」
「あの巨体に突き飛ばされるのだけは嫌だわ」

 ……。遠目に見えてきた、巨大なもぐ公。さっきまで俺達が倒していたもぐらとは比べ物にならない大きさに見える。デンデン竜のほうが小さいようにも思えるな……。なお悪いことに、明らかそのもぐ公の周辺から不快な音が聞こえている。

「ボクの目には、アイツが手に持っている銀色の物が月影のハープじゃないかなって思うんだけど」
「多分、正解じゃないかな」
「アイツを倒すのか?」
「平和的解決を目指すけど、多分……。魔物って言葉は通じても意思疎通を図る前に攻撃してくるし」

 今のうちにスクルトをかけるべきか。もう俺は剣士像の洞窟の時のように、息をつく間もないほどベホイミもベホマも唱えたかないぜ……。最近の俺の役目は動く特薬草だからな……剣は抜いているが、斬りつけるよりも魔法を唱えてばかりで、魔法の聖水の栓を抜く方が板についてきた気もする。

「……、耳栓したい」
「作戦が聞こえないからやめてね、気持ちは分かるけど」
「うん。……ねぇ、もしあの音でボクが錯乱したら躊躇せずに殴ってね」
「そんな不吉なこと言わないでよ」
「直感だけど、月影のハープが普通の楽器じゃない以上、あの破壊音に何か追加効果がありそうでさ……」
「……。ククール、覚悟しておいて」

 そんな引きつった顔でこっちを見るな。恐る恐る魔法の聖水の残数を確認するな。

・・・・

 もぐらとの交渉はそもそもなかった。というか、問答無用でもぐもぐ言いながら襲ってきたし。襲ってきた巨体を前に、反撃をしないという選択肢はないから、盾と剣を両方構えて突撃……しようとしたんだ。

 あのデッドボイスといえる破壊的な歌声、優美な楽器を手荒に扱い、どうやったらあんな音が出るのか分からないようなキーキー音のコンボは……別に私達の精神に影響はなかったみたいけど、しっかり影響は出したみたいで。

「……あれ?」
「まっすぐ立っていられない……」

 確かに私はボスの首筋を狙って飛びかかったはず。でも、平衡感覚とかが麻痺した私は三十センチは狙いが逸れたみたいで、もぐらの毛皮に薄い筋を付けただけに過ぎなかった。ダメージはなさそうだ。

「……数撃ちゃ当たるっ!」
「ベホイ……ベホマッ!無茶するな!」
「ごめん!」

 攻撃が狙い通りに当たらないなら適当に攻撃しまくればいいかな、なんて甘い考えはあっさりと打破されてしまう。傷をつけることなく私の攻撃はもぐらに吹き飛ばされただけに終わった。ゼシカのイオラは当たったみたいだけど……、でも、まともに走れるのは私だけみたいだ。なんとかふらふらと立っている皆が危ない。

 巨体を揺らして、ズンと地面を揺らしてくる攻撃が、ダイレクトに体に響いた。防具の関係ない攻撃に、ただでさえ耐久力のない私は……結構危ないかもしれない。この攻撃、三発耐えれる自信はない。

「芸術スペシャルを聴くもぐっ!」

 ……、あ、やばいかもしれない。だって、もぐらの子分にとっては味方のはずのあのボスもぐらの攻撃なのに、明らかにもぐらの子分たちが真っ青になって後退りしてるし……。
 
 そして鳴り響いた魔声とハープの破壊音に、頭がおかしくなりそうになる。……どうにかこうにか耐えて、隙の出来たもぐらを、初めてまともに斬る事はできたのだけど。

「魔物!いや、これは……なに?えっ、ちょっと……あはは、そっちじゃないですよ、姫様!」
「……えっ?どうしたの、エルト……?」
「ベホイミ、それは俺のアイデンティティー……エルトも使えるが、俺のほうがトウカにかけた回数は多いはずだ、違いない。負けてたまるか、俺がどれだけ唱えたと思ってるんだ、スカラスカラ……」
「くくー、る?」
「ねぇねぇ、兄さん……あたし、将来サーベルト兄さんと結婚する!そしたらずっと一緒に居られるね!えへへ」
「……いや、それやばいから」

 ……前回、トラップボックス戦で混乱したのは私だけだった。そもそも私以外はメダパニを食らっていないんだから、当然。この、ボスもぐらの芸術スペシャルとやらが、混乱作用を持っていて、精神を破壊できるなら……魔法的ではあるけれど、魔法でないこの攻撃が、みんなを混乱させてたら……。

 にしても、なんだよ!みんなして現実から逃げないでよ!

「トウカの兄貴、あっしは大丈夫でがす」
「……ヤンガス!ボク感動した……」
「もう一回芸術スペシャルを聴くもぐ!三人しか感動してないもぐっ!」
「……ゲルダ、なんでお前はそんなに暴力的なんだ……俺が小さかった時は……」
「……、……」

 駄目じゃないか!

 でも、食らいすぎて慣れたから、平衡感覚も戻ってきたし……いける、かな。

 腕につけていた盾を外すと、両手で剣を構えた。巨大な手によって叩きつけられそうになるも、軽々と避ける。平衡感覚があるなら、こっちのもの。動きは巨体の割に素早いけど……トロデーン城に居た、はぐれメタルに比べてみれば大したことないし。ふふふ、ふはははははっ!はぐれメタルの討伐は百発百中!この重たい防具を外せば素早さでは負けないんだし!

 横からどこか夢見心地といった顔つきのエルトに斬りかかられ、それを受け流し、ゼシカの魔法から全力で逃げる。ちょっと掠ったし、もともとダメージが蓄積していたせいで辛いけど……こいつのトドメぐらいはさせるね。

 足に力を込め、全力で直進しながら斬り上げる。のけぞったもぐらの顎を流れるように蹴りあげ、もぐらの赤い血をまき散らしながら、思いっきり肘鉄を食らわせ、剣を振りかぶって、トドメを……。

「……やめて下さい!」
「うん?」

 足元から突然、殺気のない声がした。最早戦うことも出来ないボスもぐらなら、ちょっとぐらい放っておいても大丈夫、かな。

 そう判断して、足元に目線を動かしてみれば……そこにいたのは、もぐらの子分の一匹だった。
 
 

 
後書き
変更点
ドン・モグーラの芸術スペシャルに平衡感覚を失う能力追加。混乱も勿論あり。
ドン・モグーラが呼ばなくてももぐらの子分が沸いてくる。かっこいい指パッチンは出番なし。

ドン・モグーラ「……仕返し痛すぎるもぐ」
エルト「姫ェェェェェ」

普通に戦ったら瞬殺なので、四人混乱させてみました。


読み飛ばし推奨の設定を。
トウカのステータスを。
現在、レベル25、HP90前後、MP0、力233、素早さ289、賢さ200前後、身の守り15。高火力紙装甲のアンバランスですが、守備は防具で何とかなってはいます。しかし、数値がなかなか上がらないのに装備が変わらないのであとあと苦労します。力は驚異的に伸ばします。彼女のアイデンティティです。
力は今の主人公の倍の64レベル(だったはずです、見間違えていなければ)のもの、素早さはゼシカ99レベル、賢さは死にステなので適当です。身の守りは適当に。どうでもいいですが、今回撃破時にトウカが食らったダメージは(地響き)50+(掠ったイオラ)30です。
魔物もボスも強化してなければ瞬殺ですが、高火力はやりたいのに完全無双はしたくなかったのです。故に強化。
防具とか武器はオリジナルになるので、書いてもくどいと思うので需要があれは書きます。序盤では有り得ない性能で最強装備には大きく劣るような感じです。頭装備は無しです。たまに書いている盾は普通の市販ですから今回は青銅の盾でした。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧