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剣士さんとドラクエⅧ

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45話 情報

 
前書き
殺人描写あり。直接的な表現はありません。普段トウカが魔物を切り刻んでいる時のほうがえぐいと思います。その程度です。 

 
・・・・

 姫様と馬車を無事に取り戻した。ゲルダさんは最初、「考えるといっただけだ」と取り付く島もない状態だったけど……ヤンガスが土下座までしてくれて、それに驚いたゲルダさんが返してくれたんだ。頭を下げさせてしまって、本当に申し訳ないな……。

 後でトウカに聞いたのだけど、結構早い段階で姫様は開放されていたらしいから、ゲルダさんは最初から返してくれるつもりだったのかもしれない。あの男の人もそう言っていたし……案外、優しい人なのかもしれないな。

「そろそろ情報屋の旦那が帰っている頃だと思うでがすよ」
「……あ、そっか。じゃあパルミドに行く?」
「それしかないだろ。……いきなりなんだ、トウカ」
「なんでもないよ?」

 嘘つけトウカ。パルミドに行くって聞いた瞬間に怪しくにやっと笑ったじゃないか。ゼシカ、ずざざっと下がったよ?……紳士的に対応すればいいってもんでもないでしょ……誰がパフォーマーみたいにお辞儀して詫びろって言ったよ。なんで同じ気障でもトウカならゼシカは怒らないのかな!

「……ルーラ」

 気まずくなったように目を逸らしたククールがぼそっと呟くように呪文を展開する。茶番は風に吹き飛ばされ、パルミドの前についた時には臨戦態勢のトウカが剣を抜き放っていた。ヤンガス、それは憧れていいものじゃないよ、ただの戦闘狂だよ。ほら、近くにいた魔物を楽しそうに倒してる。あ、帰ってきた。

「わしたちは町の外で待っておるからな」
「承知いたしました。では聖水を」
「……前も思ったんだが、聖水って三つもいっぺんに使うもんか?」
「陛下や姫にもしもがあったらどうしてくれるんだ!」
「……へいへい」

 僕も一つでいいと思うんだけど、このトウカの忠誠心は崇拝を越えた狂信だから言っても無駄なんだよ……重ねがけしても別に効果が上がるわけじゃないのはトウカも承知の上なんだから。気持ちの上の問題なんだろうね。普段は無駄遣いをしないタイプのトウカも陛下と姫の話になれば豹変するから。

・・・・

 前と同じく、ヤンガスの案内で情報屋の所へ向かう。その途中でこそこそと歩くある男を発見した。あいつは……酔いどれキントか。まだ顔に痣をつけているが……ま、あんな奴、どうでもいいか。

 と、思っていたのは俺だけらしい。俺が発見した時にはもう既に他の奴らは見つけていて、先頭を行くヤンガスは拳をぽきぽきと鳴らし、エルトは満面の笑みになり、ゼシカは鼻歌交じりにメラ……じゃねえな、メラミを展開し始め……トウカはキントに駆け寄っていた。

 物凄く偏った見方をすれば、彼を見つけた初々しい彼女みたいな軽いステップ。そのまま、キントを建物の壁に追い詰め、片手をついて、逃げれないようにしていた。あれって、俺みたいな男が可愛い子猫ちゃんにする行動じゃないのか?間違っても殺さんばかりに憎んでいる相手にするもんじゃねぇ……こともねぇな。壁にヒビがいくぐらい強いな。あんなもん、受けたかねえよ。

 ……エルトが笑顔でこっちを見ていきた。見張っておけ?分かった分かった。さっさと行ってこいよ。

 ヤンガスがキントを路地裏に引きずっていった。街行く人はそれを見ても眉一つ動かさないことから、日常茶飯事なんだと思わせる。ま、怒り狂ったリーダーさんに従って見張りはちゃんとするがね。

 ぶわっと路地裏から熱い風が吹く。一緒に感じられるのは強烈なゼシカの魔力。肉が焦げる匂いは特にない。壁にでも当てたんだな……脅しには十分すぎるだろうが。続いて、くぐもった悲鳴。激しく殴りつけたような音がする。これはヤンガスとエルトか。

「見張りありがとう、ククール」
「おい、トウカはどうした」
「嫌だなあ、そんな野暮なことを聞かないでくれよ」
「……あいつ、どうなるんだ?」
「死ぬかもね」

 そんなにさらっと言うことか?殺人は……それはいかんだろうよ?ま、それよりえげつない事をしていた教会にいた俺が言えることでもないかもしれないがな。拷問のほうが個人的にはえげつないと思っているからな……しかし、魔物は確かに猟奇的に殺すトウカだが、お貴族様の彼がそんなことが出来るのか?……なりかねないが。

 ……鋭く巨大なあの大剣で今、あいつを見て怪しく笑っているのだろうか。

「おまたせ」
「……うん、じゃあ、行こう」

 本当にすぐに帰ってきたトウカは別に平素と変わらぬ様子だった。どこにも血痕すら付いていなかっただけではなく、剣は先程と同じく鞘に収められていた。

 ……すれ違った時にした強烈な血の香りにはツッコまないほうがいいんだろうな……。やったのか、やはり。細切れか、首を取ったのかは知らないが。知りたくもないな。にしても俺はなんで、トウカがあいつにだけあの恐怖を煽る笑みを向けたのかと思うといらいらするのか。

・・・・

「おや、ヤンガスくんじゃありませんか」
「情報屋、いきなりで悪いんだが、今すぐ船が必要なんだ。なにか良い手はないか?」
「船、ですか?あのゲルダさんでも手に入れるのに苦労したのですよ?いや、少し待ってくださいね」

 さっきはちょっと怒りに任せて剣を振るってしまった。ああ、私の剣が汚された。もとより師匠なんていないし、軽く型を教わった以外は全部我流なんだから……怒る人もいなさそうだけど、やっぱり嫌なもんは嫌だ。

 殺したくてたまらなかった奴を殺せて、スカったとしたなんて、絶対に皆には言えない。私はとうとう、いや、今更だけど、狂った化け物になっちゃったのかな……。私は、楽しんで人を殺す者を人間だと呼びたくない。だから、私も人間じゃない。いくらアイツが悪くとも、人殺しに快楽を覚えた時点で人間じゃない。

「……そういえば、トロデーンの近くの荒野に船があるそうですよ」
「荒野?」
「そうです、荒野の真ん中に船があるそうです。それは相当大きいそうですし、自由に使えれば世界中のどこへでもいけるでしょうね……まあ、動かせれたら、の話ですが」

 この罪を、背負うのか。私は一生。ああ、ああ重い。でも、「そんなの」、モノトリアとしての方がよほど大きいね。なら大丈夫だ。私は大丈夫だ。次はメダパニを食らってもかからないようになれば大丈夫だ。そうに違いない。

「トウカ?」
「トロデーンの近くの荒野に行くんだろ?」
「うん。ポルトリンク側からね」

 そんなに不安そうな顔をしないでよ。別に私は考え事をしながら全く人の話を聞けないわけじゃないんだから。今回は聞いてたって。

 ポルトリンク側から……ああ、なるほど。トラペッタの方はヤンガスが橋を破壊しちゃったから、行けないもんね。ポルトリンク側は、前に訪れた時は土砂崩れで行けなくなってたけど……流石に今は開通してるよね。 
 

 
後書き
キントが殺られました。細切れです。死ぬ前に男前なトウカの壁ドンが炸裂しました。

ククール「羨ましい……訳ねぇだろ!」


平常時ならば国に喧嘩を売って姫を誘拐したキントが死罪でも変ではありませんし、王の護衛のトウカが内密に処刑してもおかしくはない、と思います。

トウカが汚れなかったのは、服は、上に別の服を着て汚れてから脱いだだけで、剣は別のものを使ったからです。二つとも手袋にインされました。 
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