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決戦!!天本博士VS超時空天下人ヒデヨシ

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29部分:第二十九章


第二十九章

「関西か?」
「さあ。何処だろうね」
「何か食べているものもあれだし」
 小田切君は目を凝らしてバラックの粗末な屋台の中の料理を見た。見ればそれは残飯か何かで作ったらしいシチューとすいとん、あと林檎等が売られていた。
「あれじゃあちょっとわからないよ」
「方言これ何処のだ?」
「標準語じゃないのは間違いないね」
 ライゾウとタロは耳を凝らした。
「何だ?たいとかばってんとか」
「そんなこと言ってるけれど」
「ここは博多じゃ」
 博士はこう彼等に対して答えた。
「博多じゃよ、ここは」
「ああ、ここが博多か」
「豚骨ラーメンとかガメ煮の街だよね」
 ライゾウとタロは博多といえばそれであった。
「だからか。屋台が多いのは」
「明太子あるかな」
 彼等はあくまで食べ物を探す。しかし博士は今はそんなものには一切構わなかった。それよりもまずはヒデヨシとの決戦であった。
「そんなもんは元の時代に戻ってからじゃ」
「ちぇっ、今じゃねえのかよ」
「面白くないなあ」
「そもそも君達香辛料とか調理冥加強いの大丈夫なの?」
 小田切君が気になったのはこのことだった。
「そういえば」
「ああ、そんなのは大丈夫なんだよ」
「喋れるようになった時にそういうのも変わったからね」
「ああ、そうだったね」
 小田切君も彼等の言葉からこのことを思い出したのだった。
「だから君達平気だったんだ」
「やっぱりキャットフードがいいんだけれどな」
「僕はドッグフード」
 この辺りはやはり猫と犬だった。だから好みはどうしてもそれに準ずるものになっていた。
「まあそれは元の時代に戻ってからだな」
「そうするか」
 何だかんだでそれで頷く彼等だった。
「それで博士、博多から大阪にですけれど」
「これに乗るのじゃよ」
 何時の間にか何処からかあの車椅子を出してきていた。空を飛び無数の武器を内臓している恐るべき車椅子である。
「これに乗ってすぐに行くぞ」
「一人乗りですけれど」
 小田切君はその車椅子を見てすぐに述べた。見れば確かに座席は一つしかない。考えてみれば車椅子だから当然のことではあるが。
「それに乗るんですよね、僕達も」
「それは幾ら何でも無茶だろ」
「そうだよね」
 ライゾウもタロも常識の観点から語っていた。
「おいら達は絶対に乗れないぜ」
「それで大阪までって」
「安心するのじゃ」
 しかし常識を一切無視する博士は大胆不敵にもこう言い切るのであった。
「これをポチッと押すとじゃ」
「はい」
 小田切君は思わず博士が車椅子の左の肘掛のところにあるボタンの一つを押したのを見てそれに相槌を打った。するとだった。
 車椅子がいきなり変形した。何処からか二本足が出て来て巨大な二足歩行のマシンになったのだ。車椅子の席はそのままにやはり何処からか機首が出て来て肘掛が両腕になった。アメリカ映画に出て来るようなガウォークタイプのマシンになったのであった。
「さあ、これに乗るのじゃ」
「どうやってこんな形に変形したんだ?」
「今凄い形になったけれど」
 ライゾウもタロもその異常な変形をしてガウォークになった車椅子を見て述べた。
「サイドカーがサイド○○シャーになるのはわかるけれどよ」
「これは幾ら何でも大きさが合ってないじゃない」
「大きさや内蔵する武器なぞどうとでもなるのじゃよ」
 だが博士にとってはそんなものは考慮するまでもないことであった。
「知能指数二十万のわしの前にはのう」
「まあそれに乗って大阪までですか」
 小田切君はとりあえず常識のことは考えずに博士に応えた。
「今から行くんですね」
「その通りじゃ。では早く乗るのじゃ。後部座席もあるぞ」
 見れば博士の後ろにしっかりと席があった。人間用の席がだ。
「そこに動物達も入れるのじゃよ」
「シートベルトをちゃんとしてだよな」
「そうだね」
 彼等はかなり安全志向でもあった。
「それで行くか」
「大阪までね」
「よし、じゃあ乗ろう」
 小田切君は早速彼等をその両手に抱いた。するとそのマシンが右手で彼等を器用に抱えてそのうえで後ろにやってくれたのであった。
 
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