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[クー]な使い魔

作者:七原瑞季
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0.8話

「クーたちのやくめは
ほしのちょーさ」


「たたかうこと ちがう」


「このほしのことはクー よくわかった」

「みんなやさしくて」


「おいしーのがいっぱいあって
クーはこのほしだいすきだ」


全てが終わった後に
[スキ]の友達に言う

沢山の出来事があって
沢山のものを貰った
それは、何にも変えられない大切なもので[やくめ]の中での偶然で手に入れたものだったから


「…だから こんどくるときは
ただのともだちとして」



――おう
山程ドーナツ用意しとくぜ

…またな



友達は快く了承してくれた






友達に別れを告げ
[おうち]へと戻る帰路の中で
それを発見する

「?」

何もない空間から前触れもなく出現した
それは全身を映す大きさほどの鏡だった

「??」

まるで道を阻むかのように鎮座する鏡に疑問が湧くが放っておこうかと考えを巡らせていたときだった

「データ ない」

一見この鏡のようなものは
鏡ではない別の何かで、蓄積している情報の中で一致するものが見付からなかった
これが何物で害を成す存在であるのか見当の付かない未知の物体だった


「さいしゅ すれば わかるか?」


鏡自体に動きは無く気配すらも感じないので、[さいしゅ]する為に近付いたそのとき

「ク――――」

まるで鏡が近付くのを持っていたかのように身体を吸い寄せ、あっという間に鏡の中へと消えていく

全身を飲み込んだ直後、鏡は初めから何も無かったかのように消滅した



異様な雰囲気の中
煙が晴れ、私は己が呼び出した使い魔と邂逅する


「……?」


それは自分と同じような髪の色を持つ少女であり、年はおそらく自分よりは年下

頭には獣の耳のような飾りと手のひら程の水晶の飾りが胸にも付いており、やたら大きな腕輪を付けている
服は淡い桃色のワンピースを着ていた

妙な装飾はひとまず置いといて
それだけならばこの少女は只の平民であることに違い無かったのだが

それを真っ向から否定するかのように少女の腕は異質だった

二の腕のあたりから黒い布らしきもので覆われているそれは身の丈ほどの長さでありながら、両手の部分は人間の比にならないほど巨大で鋭い爪のような形をしていた


「あんた、誰?」



「クー」



その問いに
少女は間の抜けた声で答えた

 
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