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がっこうぐらし!The world in confusion

作者:ウィング
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chapter50

「取り合えず、これで悠里達と合流したわけだ…大体の経緯はわかっただろ?」

悠里達との合流するまでの道程を全て語り、既に日が沈もうとしていて…かなり時間がかかった。

「雄也の方はそんなに忙しかったんだな…」

壮絶な経緯をきいた胡桃たちは驚愕するなか悠里が経緯の中にあった若狭家の生存を聞いて涙を流していた。

「よかった…みんな…生きててくれた…本当に…」

今まで安否がわからなかった肉親…それが見つかったのだ、どれだけ安心を覚えるか、それは本人しかわからないが俺にとっても若狭さん達が生きていてくれて本当に嬉しかった。

「さてと、もう夕方だからそろそろお夕飯の支度をしないとね」

「あ、本当ですね、若狭さんそろそろ支度しましょうか」

「はい、腕によりをかけないとですね」

そういって音姉と悠里がご飯の準備に入るのであった。



「ふぅ…本当地下に色々あるな」

夕飯を終えた俺は一度地下区画でなにか使えそうなものを漁っていた。

地下は大勢の避難を想定してたようでかなりの物資が備蓄してあった。

「さてと、これからのことを考えないとな」

悠里達と合流は果たせた、だがまだこの戦いが終わったと言ったわけではない。

ほぼ壊滅状態だが管理局も油断はできない。

まだ奥の手がありそうだし…迂闊に立ち回って窮地に追い込まれかねない。

だが逆に慎重にことを運ばせても未だに市内を徘徊する奴等の犠牲者を増やしたくはない

「攻めるべきか…守るべきか…」

「なにが?」

今後のことを考えていると横からいつのまにやって来ていた悠里が声をかけてくる。

「悠里、いつのまに…浴場の方につかりに行ったんじゃなかったのか」

夕飯後悠里達は別館に存在する体育クラブが使う浴場に入ってくるとそう言い残して別館へ向かったはずだが…

「もう、夕飯から何時間たってると思ってるの?もう夜の11時よ」

「え?もうそんな時間だったのか!?」

流石にそんなに時間が経ってたとは…

「ゆうくん、顔から察するに気づいてなかったみたいね…もうみんな、寝る準備してるのよ」

「あ、ああ、心配かけてすまない」

「もう……そういえば」

「ん?」

「こうやって…二人きりでいるのって…いつ以来だったかな…」

そう、懐かしむ表情で悠里は微笑み、俺はいつ以来か記憶をたどる。

「…二人であったのは…本当にいつ以来だったかな…小さい頃しか思い浮かばねえ」

「本当ね、私が海鳴に行ったときに限ってゆうくんがいないってことが多かったから」

「多分、管理局の仕事でいなかったんだと思う…」

「…そうだったんだ……ねえ」

なにか決心が決まったのか一度口を閉ざして決意した目でこちらを向いてくる。

「…昔…海鳴を出る際に交わした約束覚えてる?」

「え!?約束!?」

まさか、悠里からその言葉が出てくるとは予想できなかった俺は取り乱した表情をしながら悠里を見る。

「…その反応だと覚えてくれてるみたいね」

「…まあ、最近思い出したんだが…あれは昔にした約束だろ、何を今さら…」

冷静になれと俺の心に命令して落ち着かせようとしたが悠里は俺の目の前に立ち

「じゃあ、その約束まだ有効期限でいいわよね」

「え!?それは…つま…っ!?」

つまりと言おうときたとき言葉が途切れる。

悠里は俺の顔に近づき俺の口を悠里の唇で閉ざす。

長く感じる十秒間、そのまま静かな時が過ぎると悠里は唇から離れうっとりとした表情で見つめてくる。

「悠里…お前…」

「…私、ゆうくんのことが好き…幼馴染みとしてじゃなくて異性として…大好き」

「悠里…」

まさか、悠里がこんなに大胆な行動をとってくるとは…だけど

「俺は…その」

「わかってる、祠堂さんにも告白されたんでしょ?…話は祠堂さんから全部きいたから」

…既に聞いていながら告白来てきたというわけか。

「別に私は祠堂さんと一緒でも構わないわよ」

「え!?いやいや!流石にそれは!」

いろいろ駄目だろ!法的に!

「でも、二人のうち一人なんて選べないでしょ?」

「うぐっ!」

悠里の言う通りだ…正直、悲しませたくはないし…

「まあ、ゆうくんは優しいから…仕方がないことなんだけどね」

「…うっ…」

これはもう引き返せる所ではないな

「ねえ…ゆうくん」

「な、なんだ?」

「このまま…しよっか…」

「ウェッ!?」

イキナリナニイイダシテルンデスカコノヒトハ!?

「いきなりでごめんね…けど…不安なの…明日どうなるかわからない日々だから…」

悠里はからだが震えていて、明日生きれるかどうか不安でしょうがないのがよくわかった。

「…わかった…本当にいいんだな」

最後の確認ということで確認をすると彼女は頷き、取り合えずこの地下区画に存在する寝室で俺たちは一夜を過ごすことにした。

一夜が明けて翌朝、全員が学園生活部の部室に集まっていた。

「ふあぁっ…」

「リーさん、寝不足か?」

「え?まあ中々寝つけなくてね」

実際あまり眠れていない…俺もなんだがそこは慣れの違いだ。

「さてと、取り合えず今後の俺達の方針を考えてみた」

「え?此処で留まって外の助けを待つんじゃないんですか?」

この中で現実視している直樹が一番最適な考えを口にする…確かに直樹の言うことは一理あるが…

「それは現状あり得ないといっていい…それは後々話すけど先ず…今俺が考えている方針は、此処を出て自衛隊拠点に向かう…あっちの方が物資も戦力も多いからな」

「そっか、確かに安全っていったらそっちの方がいいしな」

物資、戦力、安全性…どれをおいても確実にそこが一番だろう

「そのあとだ…そこで待ち続けても此処で待っているのと変わらない…この巡ヶ丘を覆っている結界を破壊しないと駄目だ」

「結界?雄也先輩それってどういうことですか?」

「あの空中戦でのことなんだが、巡ヶ丘全体に結界が張られていることに気づいてな、つまり、外から人が来ないのはそれが結界が邪魔をしてるから」

「つまり、雄也くんはその結界を消さないいけないってことだよね」

「ああ、音姉の言う通り…それで結界は何かの装置で発生させていると見て間違いない」

「…なるほど、そういうことか…」

「え?りーさんなにかわかったの?」

悠里は今話した情報を纏めて俺がしようとしていることを理解したようだ。

「つまり、ゆうくんが次に動く目的は…」

「ランダル本社への管理局との完全決着、この事変の終止符を打つってことよ」


 
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