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艦隊コレクション 天を眺め続けた駆逐艦

作者:stk
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第二海

姉さんには攻撃してでも止めろなんて言われたけど、同じ艦娘を攻撃するなんてできるわけないよ。
私も彼女たちも同じで今を生きている、そんな彼女たちの命を奪うなんて間違ってる。
そうだよ!間違ってるのは姉さんなんだよ!だったら止めないとだめだよね!
でも姉さんを止めるなんてどうやってもできないだろうし・・・

「あや姉、どうしたのさ?」

きっと泊地では私たちのことをもはや歓迎してくれそうにはないよね。
戻ったところできっと雁と鷺の二人は解体されてしまう。
私たちは層雲姉か世古姉の下で働くことになる。
そうなると今までのようにはいかない。
ここはいったいどうすればいいのさ?

「綾川さん、僕たちは帰れるのでしょうか?」

戻っても意味がない。
かと言って、人類(むこう)の味方をするつもりもないよ。
本当にどうすればいいのさ!!!

「あや姉、電ちゃんたちが近づいてきてるけどいいの?」
「魚雷発射管・・・うん、いける」

八方ふさがりもいいとこだね。
こんな負け戦をするなんてね、それもあたしのせいなんだけど。

「雁と鷺は威嚇魚雷を発射!川上はあたしと威嚇射撃ね」

「はい!僕の力を見せてあげるよ!」
「威嚇魚雷・・・了解」
「わかりました」

結局、あたしには威嚇しかできないみたいだね。
このあと、魚雷の着水音と主砲の発射音をこの付近一帯に響かせたのです。



第二海    姉妹



「ひびきちゃんは綾川ちゃんについて何か知っていますか?」

「初歩的なところまでかな」

初歩的なところというと建造中止になったことくらいなのでしょうか?
となると綾川ちゃんたちのことを知らなすぎなのです。
彼女たちのことをここで教えるべきなのでしょうか?
でも事実を聞いてから彼女たちと戦えないと困るのです。

「あかつきちゃんもいかづちちゃんも同じですか?」

あかつきちゃんはきっと大丈夫なのですが、いかづちちゃんはきっと知っているのです。
いかづちちゃんもいなづまと同じで艦隊の歴史を調べていたので、もしか知ったら知っているかもしれないのです。

電は雷に向けて「話を合わせてほしいのです」と目で合図を必死に送っているのだが、雷は気づいておらず、これまた危機に陥っているのです。
そこで電は仕方がなく

「それでは彼女たちについては戻ってから教えるのです」

と、自分から話を振っておいては無理やり話を終わらせていました。

「では奥へ進むのです」

綾川ちゃんが本当に撤退してくれたのならいいのですが、きっと近くにいるはずなのです。
そうなると厄介ですが、彼女の目的を知るには避けられないことなのです。
幸いにも4隻以上はいないようなので勝機はあると思うのです。
それと、この海域はあかつきちゃんが詳しいのです。

「それにしても妙よね」

「なにがなのです?」

「何がって、ここ最近は近海に深海凄艦は現れなかったのよ。なのに泊地の電探は今日になって急に深海凄艦が出現したと言ってきたのよ。」

よくよく考えてみるとおかしいのです。
ここ2ヶ月の間、深海凄艦は電探の探索範囲内にいなかっただけで近海にはいたとも考えられます。
たぶんですが、それを沈めてきたのはきっと綾川ちゃんたちなのです。
となると彼女たちはかなり疲労しているはず。
もしそんな状態なら連れて帰る必要があるのです。

「電!魚雷!!」

「えっ?」

油断したのです。
でも、このコースを見る限りだとわざと外して来てるのです。
本来ならばここで沈んでいてもおかしくはなかったのです。

「ひびき!まだ行くの?」

先程まで大人しかった暁が、先程の魚雷をみて危険と感じたのか、響に撤退を具申し始めたのです。
実際に彼女たちの練度では綾川には到底及ばない。

「行くさ。電、大丈夫かい?」

「大丈夫なのです」

損傷はないのです。綾川ちゃんは本当にやさしいのです。
やろうと思えば電を鎮めることもできたはずなのです。
それをしなかったということはやはり優しいのです。
でもそんな綾川ちゃんが人間を恨むなんておかしいのです。
きっと何か理由があるはずなのです。
電はそれがしりたいのです。

「ひびきちゃん、お願いがあるのです」







「魚雷群を回避したようです。」

威嚇で当たってもらっちゃ困るよ。
それに砲撃も届いていないみたいだね。
でも気になるね、なんで進撃してくるのかな?
ここには彼女たちが欲しがるようなものはないはずなのに。
そもそも私たち※※型にしか意味をなさないはずなんだけど。
それとも何も知らずに近づいてきているの?

「川上、あったかい?」

水中探査機で探している川上は首を横に振り、見つかっていないことを告げた。
そもそも彼女たちですらここにあるという確証はないのです。
彼女たちの仲間はいろんなところにいて、それぞれがそれを探しているのです。

「・・・はずれ」
「またかい?」

こんなに探してもないということはここではないのかな?
でもここは多くの軍艦が沈んだところ。
なにかしら手がかりがあるはず!!

「もっと細かく探そう!」

あれがなければ意味がないんだ!
私たちが抵抗する術はあれに託されたいる。
見つけなければ、それは敗北となるんだ!

「綾川ねぇ、後方より3隻接近中。距離!極近!!」

もう追い付かれたの?
まだ見つかっていないのに?
こうなったら仕方がない。

「雁と鷺は主砲にて応戦!
川上は引き続き探して!私は前衛に出て戦う!」

時間は稼げる。でもそのあとはどうだろう?
稼いだところで結局のところ逃げ切れない。

「撃っちゃうよ!」
「・・・当てる」

水雷挺の火力は低いけど、駆逐艦の装甲もそこまで高くはない。
イイトコロマデ持っていけるはず。

『綾川ちゃん!話を聞いてほしいのです!!』

「・・・・・・待って」

この反応はまずい。
近くに※※がいる。
目的は私たちの確保だろうね。
そうなるとこっちには甚大な被害が生まれる。
朝日さんが姉さんに付いている以上、私たちは海上での応急処置ができない。

「神威に連絡してくれ」

せめて洋上補給ができればいいのだけど。

「・・・・・そこまでだよ」

!!!
えっ?
回り込まれていたの?
てことは先ほどの反応は

「あやねぇ、ごめん」

川上のうしろには暁が立っており、川上に向かって、主砲を構えていた。
はぁ~、まさか2人も回り込んでくるなんて。
これはやられたね。

「やってくれたね」

「おとなしくついてきてもらえるかしら」

これ以上は無理なようだね。

「雁、鷺。交戦やめ」

私たちは隙を突かれて敗北したのです。 
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