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SAO‐戦士達の物語《番外編、コラボ集》

作者:鳩麦
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コラボ・クロス作品
戦士達×RoH
  Roh×戦士達 《五話─人が信じ合う為に》

「ぁ……あぁ……!」
「…………」
ちらちらと舞い散る雪の中で、ユミルが小さな声を上げた。地面に膝まずいたままの姿勢で呻いたその声は、涙と共に雪原に響き、消える。

「あぁ……っ!」
震えながら伸ばした手が、目の前にある、純白の毛並みに触れた。

「ルビーッ……!」
「────~~~~~ッ!!」
ミストユニコーンと呼ばれるその純白のモンスターは、所謂「泣き声」を持たない。何故かはわからないが、その声はシステム上設定されていないのだ。だが、ユミルが伸ばした手がその身体に触れた瞬間、仔馬は確かに“声”を上げた。
それは音では無く、魂の叫びとでも言おうか。空気ではなく、人の身の内に、或いは全ての生物の根源的な部分に存在する、目には見えない何かの振動。
聞こえる筈のない其れは、間違いなく、リョウの内にも響いていた。

腕を広げたユミルがその腕をユニコーンの首に巻きつけるように抱き、ユニコーンが彼の髪に顔をうずめる。
出会って一日であると聞いていたが、それらの動作や雰囲気はまるで長い時を共に旅してきた愛馬と主人とようであり、ユミルが本当にルビーを大切な友として見ていたのであり、ユニコーンもまたそうなのだと言う事を、強く感じさせる。
だが其れは、感動的であると同時に、奇妙な光景でもあった。本来、ユミルのようなビーストテイマーと行動を共にするルビーのような“使い魔ユニット”には、自身の主から命じられた特定のコマンドを実行するか、もしくはある程度固定化された行動を行うためのロジックしか設定されていない筈であり、例えば今ユミルに抱きしめられているルビーは、命令待ち、もしくは次に行うべき行動を検索している、言ってしまえば単なる待機状態の筈である。しかし間違いなくその瞳には自らの主が浮かべている物と同じ、歓喜の光があり、その瞳にはうっすらとだが涙すら浮かんでいる。
そう言った感情のようなものを表す機能が、使い魔ユニットには有るのだろうか?いや、或いは……

「(ま、今は良いか)おう、感動の再会は済んだか?」
「ッ……」
「ん?」
リョウが二ヤリと笑ってユミルの背中に声を掛ける。途端、その小さな肩がビクリと震えたのを、リョウは確かに見た。その震え方を、彼は一度見ている。始め、自分の服を掴んだ彼の手に触れた時の、自分の手がそのまま振り払われるのではないかと恐れていた、あの時の震え方とそっくりだ。だが何故、それが今ユミルの身体をすくませているのか、リョウは一瞬だけ理解できずに考え、そして即座に……正解へと辿りついた。

────

ルビーが生きている。
生きて、ボクの腕の中で、あの日の夜と何も変わらない温もりを感じさせてくれている。その事実がボクの胸を満たして、冷たい冬の風を忘れさせてくれる。

トクン……トクン……トクン……

小さな心臓の音が、すぐ近くから響いてくる。
抱きしめたルビーが、ボクの髪の中に顔をうずめ、音にならない声を上げる。

もう、絶対に離さない。
ニ度と手放すもんか。

心の底からそう思いながら、ボクは目尻に浮かんだ涙をふくこともしないで、じっとその温もりを身体にしみこませていた。
そんなボクの背中に……

「おう、感動の再会は済んだか?」
「ッ……」
低く、優しげな、リョウさんの声が響いた。
けれどその瞬間だけは、其れまで安心と力をボクに与えてくれていたリョウさんの声は、ボクの心に怯えと、不安を垂らした。
さっきまで抱いていた嫌な予感が、胸の中で風船のように膨れ上がっていく。あり得ないと思っている筈なのに、その疑念が、疑問がボクの中から消えてくれない……。

「……さて、と、これで契約は履行したな」
「え……?」
不意に、リョウさんが淡々とした調子で言った。と、ボクの後ろで何かが地面に落ちる音がする。ゆっくりと振り返ると、其れは転移結晶だった。

「此奴はアフターサービスみたいなもんだ。此処はまだMobがわかねぇから良いが、一人でお前がこんなとこ歩いたら使い魔共々即死っつーのは変わらん。そいつはやるから、どっかの街に適当にどっかの街に飛べ。それと……」
言いながらリョウさんは懐に手を入れて中から一枚の紙切れを取りだした。

「此奴が今回の経費だ。明日、今日と同じ酒場にエギルに来てもらうから、そんときに彼奴と連絡先交換して、以後は彼奴通じて経費は払え。OK?」
「あ……う、うん……」
たたみかけるような言葉に、ボクは曖昧に頷く。急に話が進んだので、頭が追い付かない。けれどそんな事はお構いなしに、リョウさんははっきりと言った。

「んじゃ、これでお前とはひとまずの手切れだ。ま、精々そいつを守りきって暮らすこったな……あばよ」
「え?え、ち、ちょっとまっ……!」
「転移。アルゲード」
有無を言わさないまま、リョウさんは自分の握った転移結晶の効果を使って、ボクの前から姿を消した。其れはあまりに一方的で、別れの言葉や、お礼すらまともに言わせてもらえなかったボクはその場に数秒の間立ちつくす。
それから、ようやく頭の整理が付いて、リョウさんを追い掛けようと転移結晶を取ろうとして、はたと気が付いた。
リョウさんの言っていた《アルゲード》は、現在の最前線の第50層の主街区の名前だ。最前線の主街区は、殆どの時間で……例え今の時間であっても、其れなりの人数の人々が行きかう。特にアルゲードは深夜に営業しているNPCショップも多いため、よりその傾向が強い。逆にいえば、そう言う場所だからこそボクもボクを助けてくれる人を探すためにあの場所を選んだのだ。

だが今ボクがアルゲードに転移してしまったら、ボクに付いてくるルビーの姿を、その多くの人々の目にさらしてしまう事になる。そうしたら、きっとまた……

「……!」
つまり、ボクはルビーと一緒に居る以上、リョウさんを追う事が出来ないのだ。

「(リョウさん……それが分かってて……!)」
だがどうしてそんなことを……そう考えた時、ボクはようやく、最悪のイメージに行きあたる事が出来た。

もしかしたら、リョウさんに、ボクが彼を疑っている事が分かってしまったのではないだろうか……?

ありうる。と思った。
リョウさんは、とぼけているようで実は色々な所で鋭い人だ。或いはボクが自分を疑っているのを、ずっと前からお見通しだったのかもしれない。けれどだとしたら……ボクは、リョウさんにとても酷い事をした事になる。
信じ合っていたと思っていた相手に、最期の最後で裏切られる。其れは、ボクがつい先日、同じレイドパーティのメンバーにされた事その物だ。そんな最も忌むべき事を、ボクは自分の手でリョウさんにしてしまったのだ。

「あ、あぁっ……!」
焦りながら、ボクは転移結晶を握りしめる。
違う、違うのだ。確かに、ボクはリョウさんを信じ切れていなかったのかもしれない。けれど信じたいとはずっと思っていたのだ……いや、殆ど信じていたのだ。なのに……

「こんなのっ……!」
今すぐにでも追いかけて、伝えるべき事を伝えたい。けれど、其れは出来ない。もし同じことを繰り返してしまったりしたら、それこそリョウさんがしてくれたことが無駄になってしまう。

「~~~~ッ……!」
結局ボクは、その場から一歩も動けないまま、ただルビーの身体に縋りつくように、小さな声で泣いていた。

────

2024年5月2日15:26

ボクは佇んでいる。

何時もは持ったままにしている武器をストレージに仕舞い。乱雑で狭い店内をのんびりと眺めながら、ボクの足よりも少し長い椅子に座って、足先をぷらぷらと遊ばせている。
あの事件で出会う事が出来たとある友達と、その人の親友……今となってはボクに取っても友達だと呼べる人に作ってもらった、不本意ながらやや女の子っぽい……けれどこっそりと気に入っている、チュニックを羽織って。

──もう、五か月も経つんだなぁ──

ふとそんな事を思いながら、カウンターで交渉している二人の男を見る。今交渉しているのは、チョコレート色の肌をした強面のおじさん……エギルと、ちょっと気の弱そうな男のプレイヤーだ。

「(だめだよー、エギルに弱い所見せちゃ……)」
心の中でそんな事を言うも虚しく、交渉がエギルの有利に進んでいるのが分かる。あぁなると、きっと限界まで値切られてしまうだろう。
そんな仁義なき商売風景を見ながら、ぼくはこれまでのエギルとの商売を思い出す……そう言えばこの前のアーマード・モールスの鎧皮の値段はあれでよかったのだろうか……?

五か月の時間が過ぎる間に、ボクを取り巻く状況は、すっかり変わって居た。
一番変わったのは……知り合いと、友達が増えた事だ。
あの時出会った三人の商人、エギル、リズ、変t……ハーラインの内、エギルとリズとは、あれからずっと良くしてもらっていた。
エギルは元々商人であると同時に斧使いの、其れも攻略組プレイヤーで、同じ斧使いのボクに色々な事を教えてくれたり、教えたりした。
リズもまた同じ棒系武器であるメイス使いなため、ボクやエギルと話が合い、時折三人で色々な事を話している。
これでもボクは割と人見知りをする方だと自覚していたのだけれど、二人のトークスキルの前ではあっという間に崩されてしまった。

そんな二人とのつながりから、ボクの繋がりはあっという間に広がって行った。エギルの紹介で出会った情報屋《鼠のアルゴ》とは、普通に情報屋としてもよく利用させてもらっていたのだけど、ルビーを救ってくれたあの《思い出の丘》の情報をリョウさんに提供してくれたのが彼女だと言う事をひょんなことから知って感謝を述べて以来は、何となくそれ以前よりも仲が良くなった。

他にも何人か友達が出来た。
同じビーストテイマーだからとリズが紹介してくれたシリカや、リズの親友のアスナはSAOの中でもトップクラスの美人で、初めて会った時は正直何を言ったか全く覚えていない……と言うか、喋って無かったかもしれない。
けれどボクの都合はともかく、アスナ達にボクは何故か気に入られてしまったらしく、それからよく……何と言うか、可愛がってくれるようになった。今は僕の装備や攻略情報なんかの面で相談に乗ってもらったり、お茶に誘ってもらったりして居る。

「(でもボクに服着せて遊ぶのはなぁ……)」
其れと、誰よりも欠かせない人が、第五十二層に居るんだけれど……

「おう、待たせたな」
エギルの低い声が、ボクを現実の世界に引き戻した。と、言っても、本当の現実では無い訳だけど。

「ううん、平気だよ。それより良いの?あんな風にしたらお客さん逃げちゃうんじゃない?」
「相場は押さえても、安く仕入れねーと儲けが出ないんでな」
笑いながらそう言うエギルに苦笑して、ボクは本題を切りだした。

「それで、居場所を教えてくれる人って……」
「おう、そろそろ来ると思うが……」
言いながらエギルが入口を見る。と、まるでタイミング測ったかのように、扉が開いた。

「おーっす。あいかわらず小汚い店だなぁ」
「うるせぇぞ、それよりほら、お待ちかねだ」
店に入ってきたのは、黒いコートに黒いレザーパンツ、黒い髪に黒い瞳と言う……本当に全身黒ずくめの剣士(ソードマン)だった。

「あ、あのっ、は、はじめまして……」
「あぁ。君が、えっと……」
「…………」
「…………」
「……おい、なんでそこで会話が止まるんだお前ら」
自己紹介の途中で会話が止まったボク等を見て、呆れたようにエギルが言った。仕方がないじゃないかと感じて、ボクは若干だけうらめしく思いながらエギルを見た。ボクの人見知りをする癖はどうしても治らないから、初対面の人にはどうしてもこんな風にテンポの悪い会話をしてしまう。

「いやぁ、思ってたよりずっと綺麗な子だったからさ……」
「!?」
「まったく……」
エギルはやれやれと首を振ると、苦笑しながら黒い剣士を指して言った。

「んじゃまぁ、仲介人からのサービスだ。紹介してやるよ。此奴はキリト。一応ウチの常連で、こんなのでも攻略組プレイヤーだ《黒の剣士》とか呼ばれてるんだぜ」
「そのまんまなのは認めるけどあんまり言うなよ……まったく、誰だあんな二つ名考えたの」
エギルの言葉に苦虫をかみつぶしたような顔をしてそう言った剣士……キリトは、やや照れくさそうにしながらボクを見て苦笑する。

「まぁ、そう言う訳で、キリトだ。よろしく」
「あ、は、う、うん!」
とエギルが今度はボクを指して言った。

「で、此奴は同じくウチのお得意様で、ユミルだ。今は中層でも上位。近いうちに攻略組にも入ると思うからな。覚えとけよ」
「へぇ……凄いな」
「そ、そんなこと無いけど……」
頬を掻きながら頭を下げているボクに軽く笑いながら、キリトはうんと一つ大きく頷いた。

「それで、ユミル、キミは兄貴に会いたいって話だったけど……」
「……え?兄貴って……」
「……あぁ!いや、リョウコウの事だよ。俺の義兄弟なんだ」
「義兄弟……」
何となくあまり聞いた事の無い言葉を、ボクは小さく繰り返す。[義兄弟設定]、存在は知っていたけれど実際に設定のある人を見るのは初めて……

「(あ、ちがうや)」
キリトが義兄弟の設定を結んでいる人がリョウさんだったって事は、知らなかっただけで僕がそう言う人と会うのは二度目なのかもしれない。

「兄貴の居る場所なら、別の人に聞いても分かると思うけど……君は兄貴のホームが知りたいんだよな?」
「あ、うん……」
コクリと頷いたボクに、キリトはやや府に落ちないといった表情をして言った。

「あまり疑うつもりも無いんだけど、聞いて良いか?どうしてホームなんだ?普通に合う分なら、此処にだって兄貴は来るはずだ。其れは知ってるよな?」
「うん」
「なら、それこそ此処で待つとか……後は、俺が今から兄貴にメッセージを送っても良い。それくらいの協力ならお安い御用だし……」
「あの、ボク……出来ればリョウさんが絶対会ってくれる場所に行きたくて……それで……」
「絶対?」
「うん、絶対」
「……えーと……」
未だに良く分からなそうな顔をして、キリトは首を傾げながら頭をポリポリと掻いた。

「兄貴なら、行き成り呼んだりしても其処まで嫌がったりしないと思うけど……兄貴が君に会いたがらない理由とかが無い限り……」
「…………」
「あー、れ?」
黙り込んだ僕の様子を見てキリトは困ったように首を傾げる。其れから少し察しが付いたみたいな顔で、苦笑した。

「つまりその……兄貴が会いたがらない理由がある……って事か?」
「直接聞いた訳じゃないんだけど……でも、きっとそうだと思う……それが、ボクがリョウさんに会いたい理由でもあるから……」
「うむむ……」
キリトは頬を掻くと、腕組みをして少しうんうん唸る。少しの間そうしていると、不意に一つ頷いてボクの目を見てキリトは言った。

「なあ、出来れば、聞かせてくれないか?君と兄貴の話……」
「え?」
「これでも、兄貴の事は其れなりに知ってるつもりなんだ。でも、兄貴はそんなに他人を避けたり、遠ざけたりすることは無いと思ってる。どうして君は、兄貴が君に会いたくないと思うんだ?」
「それは……」
やや口ごもりながら、ボクはエギルを見た。エギルは、少しだけ笑って、一つ頷く。少しだけ、背中を押された気がした。

「……ボクは……」

────

「……そうか」
「…………」
全ての話を聞いてから、キリトは深く頷いた。

「うん、成程。……つまり君は、兄貴に謝りたいんだな?」
「……うん」
頷いたボクに、キリトは腕組みをして目をつむり、しばらく唸り……やがて、小さく頷いて小さく笑った。

「……俺には兄貴がどう思ってるかは測れないから何とも言えないけど、少なくとも今の君の気持ちは分かった」
「……!じゃあ……」
「ただ、一つ約束してほしい事があるんだ」
「……?」
笑顔から打って変わって真剣な表情をしたキリトは、真っ直ぐにボクの目を見る。その目と真っ直ぐに向きあいながら、ボクは彼の話を聞いた。

「兄貴のホームには、君のその……使い魔みたいに、兄貴が絶対に守りたい人が住んでる。だから、と言うのもあるんだけど、今から言う兄貴のホームの場所は、絶対に他人には言わないでほしい、約束してくれないか?」
「…………」
リョウさんの絶対に守りたい人……
そんな言葉を聞いて、不思議な気持ちになりながら、ボクは頷いた。

「……うん」
キリトの黒い瞳を真っ直ぐに見返しながらそう言うと、キリトは再び小さく笑って頷く。

「分かった。それじゃ、頑張れ」
言いながら、キリトはストレージから一枚の紙を取り出してボクに渡す。受け取ろうと手を伸ばしたボクの手を掴んで、キリトは言った。

「俺も兄貴の事が大事だから、正直兄貴が会いたくない人と無理に引き合わせたいわけじゃない。でも、ユミルの事情は君のこれからにとっても凄く重要な事だと思うし、直感だけど……兄貴も気にしてると思うんだ、君のこと」
「え……?それ、どう言う……」
「会えば分かると思う。そろそろ兄貴も家に帰ってくる時間だし、今日中に行くつもりなら直ぐに行った方が良いよ」
「あ、う、うんっ!」
最後まで聞くよりも前にキリトがそう言った事で、ボクは急いで店を出る羽目になった。入口の前で振り向いて二人に向けて頭を下げる。

「キリト、ありがとう!エギルも!」
「あぁ」
「おうっ、頑張れよ」
言いながら、店を出て、キリトの紙をチラリと見る。其処には……

「ニ十ニ層……!」
ボクにとっては、ある意味で懐かしく、ある意味では全ての始まりになった階層。どんな偶然かは分からない。けれど確かに、リョウさんのホームは其処にあると書かれていた。

────

「キリトお前、会えば分かるってのはどう言う事だ?」
「ん、あぁいや……実を言うと、一度兄貴から其れっぽい話を聞いてたんだよ。前にあるごと話した時に思い出の丘の話の出どころが兄貴だってのも、なんとなく分かってはいたんだよな」
「んじゃあ、わざわざユミルから話を聞きに来たのは……」
「兄貴がどうして会いたがらないのかが本当に分から無かったってのが半分だな。その当たりの話は実際知らなかったし」
肩をすくめて行ったキリトに、エギルはフムンと息を吐いて、腕組みをしながら聞いた。

「それじゃあ、残り半分はなんだ?」
「それは……」
キリトはユミルが出て行った出口を見ながら、キリトは小さく笑った。

「兄貴にあそこまで気に入られた子ってのに、会ってみたかったからな」

────

「はっ、はっ、はっ……」
ずっと以前……本当は、半年も経っていないのだけど、そう感じるほど前にキノコを探して走りまわって居た森の中を、ただ一カ所を目指して、ボクは走って居た。

「はっ、はっ、はっ……」
あれから五カ月の間、ボクは一度もリョウさんと会う事が出来ずにいた。
……いや、その言い方は正しくは無い、本当は“会おうとしなかった”のだ。一度リョウさんを傷つけてしまったボクは、どんな顔をしてリョウさんに再び会えばいいのか分からなくて、リョウさんを探すことを先延ばしに……結果的に、リョウさんとまた会う事から逃げ出してしまっていた。
けれどボクだってこのままリョウさんとの関係が終わりで良いなんて思ったわけじゃない。ただ、きっかけが無ければ、リョウさんと会う事すら出来ない程ボクが臆病なのもまた真実で……そうしている間にひと月、ふた月が過ぎて……ついこの間、ようやくそのきっかけがやってきた。

ボクがリョウさんから借りたコルを、全て返す事が出来たのだ。
毎週少しずつ返していた残高がようやく終わりだとエギルに告げられた瞬間、ボクはエギルにリョウさんの連絡先を聞こうと思い立った。その機会を逃してしまったら、もう永久にチャンスが失われてしまうような気がしたから。

そして……今に至る。

この五カ月で、ボクは本当に大きく変わった。
さっき思い出していた、人とのかかわりだけじゃない。レベルも上がったし、装備も強くなって、もう自分一人でも思い出の丘を乗り越えられる、後少しで攻略組も手の届く所まで、強くなった。
今なら、五か月前よりもほんの少し、リョウさんに近い場所で話す事が出来るかも知れない。そう思えば、リョウさんにもう一度顔を合わせる勇気も湧いた(そうしないと勇気がわかないのはちょっとだけ情けないけど)だから僕は、今森を駆けている。
ボクがつけなくちゃいけない、最期のけじめをつけるために。

キリトに教えられた森の中の道を走っていくと、その家はそれ程時間を掛けずに見つかった。森の中にひっそりと建っている、一軒の家。
キャンプ場にある、少しばかり豪華なログハウスみたいなそれは、景色の中に静かに溶け込んでいる。

「……ッ」
近付いて、扉をノックしようとして、ボクは一瞬だけ躊躇ってしまう。
本当は、少しだけ怖いと言うのが本音だ。僕自身なんと言って会えばいいのか分からないし、リョウさんがあの時の事をどう思っているのか、分からない。でも……

「(頑張らないと!)」
そんな事、言っていられない。そう思いながら、僕は扉をコンコンと二回叩く。
反応は、数秒後に帰ってきた。

『はい……どちら様でしょうか?』
返ってきたのは、柔らかくては優しげな、女の人の声だった。記憶の中にはっきりと残っているリョウさんの声ではない。きっとキリトが言っていた、リョウさんと同居している人の声だ。

「あ、あのっ!突然お邪魔してごめんなさい!ぼ、ぼく、リョウさん……リョウコウさんに会いたくて、えっと……!」
「リョウですか……?あの……失礼ですが、どちら様でしょう……?」
戸惑ったような声に、ボクは自分が名乗ることすらせずに要件を一方的に相手に叩きつけている事に気が付いて慌てて自己紹介をする。

「す、すみません!ボクはユミルと言います!えと、以前リョウさんにとてもお世話になった事があって……」
「ユミル、さん……あ、キリトの言ってた……」
「は、はい!」
キリトの名前が出たことで、思わず食い気味にボクは返事を返す。数秒の間沈黙が続いて……静かに扉が開いた。

「えっと、いらっしゃいませ……なのかな?それとも、ようこそかな?」
「あ、えと……」
中から顔を出したのは、リョウさんと同じくらいの歳の、女の人だった。
肩くらいまであるセミロングの黒髪に、優しげな眼と顔立ち、それに、右目の下にある、小さな泣きぼくろ……

「私は……サチって言います。ごめんね、今はリョウはいないんだけど……君はどうする?」
「……そ、それじゃあ外で待ってます!」
「あ、まって!」
「?」
留守では仕方が無いので、そのまま玄関先から去ろうとする、と、サチに後ろから呼びとめられた。
すこし恥ずかしそうに微笑んだ彼女が、小さな声で聞いてくる。

「あの、まってるつもりなら、中に入らない?おなか空いてたり……しない?」
「へ?」

────

サチが入れてくれた家の中はとても素朴で、温かい家だった。
家の中は外見と同じ、木造で、玄関から入ってすぐにリビング、奥にキッチンがある。リビングの真ん中にある暖炉は今は火を止めているけれど、冬にはきっと温かい光をともすんだろう。いや、きっとその光景は、ボクも知っている者なんだと思う。ボクが大好きなあの場所に、そっくりだろうから。

「今、そっちにお茶を持ってくね?ちょっと待ってて」
「あ、い、いえ大丈夫ですから……!」
実を言うとボクは、“他人の家でもてなされる”と言う経験を殆どした事が無いのでこういう時どんなふうに動けばいいのか良く分からなくて困ってしまう。後で考えたら、こういう時は「お構いなく」なんだろうけど、其れすら出て来ない。

「あ、あの、サチは、この家にリョウと二人で住んでるの……ですか?」
「ふふっ」
台所の奥から小さな笑い声が聞こえて、ボクはややびくっと反応する。なにか変な事言っただろうか……?

「ね、使いにくかったら、敬語は無理に使わなくても大丈夫だよ?」
「うっ……じ、じゃあ普通にするよ……?二人で住んでるの?」
「うん、そうだね」
お茶の準備をテキパキと進めながら、サチは微笑んで此方を見ながら答える。男の人と女の人が一つ屋根の下で一緒に住んでいる。と言う事は……と想像して、思わずポツリとボクは言った。

「そっかぁ……じゃあサチはリョウさんの奥さんなんだね」
「ふぇ!?わきゃあ!」
「!?」
そう言った途端に今度は台所から堅い物の落ちる音と、変な声が聞こえて来た。もしかして、お皿落とした?

「あ、あの、大丈夫?」
「う、うん大丈夫!ごめんね、ちょっと手が滑っちゃって」
言いながらサチは床に落ちた皿を拾い集めている。この世界の皿は基本的に床に落としたくらいでは割れない。耐久値が0にならないと、壊れる事が無いからだ。幸い今回は皿は割れなかったようで、サチは床に落ちた皿をそのまま拾い上げて別の物と交換していた。待つこと数分。
サチはお盆に乗った紅茶とサンドウィッチを持って、ボクの方へとやってきた。

「はい、お待たせしました。お口に合えばいいんだけど……」
「あ、ありがとう……」
言いながら机の上に皿を並べて行くサチの微笑みはとても優しくて、気持ちがぽかぽかと温かくなる。対面に座った彼女が、水差しに近い形のポットに入った紅茶をボクのコップに入れてくれる。其れは綺麗な紅色の、アイスティーだった。

「い、いただきます……」
「どうぞ。召し上がれ?」
言われてボクは紅茶に口を付けて、驚いた。この世界では、紅茶にしろ何にしろ料理アイテムは例えプレイヤーメイドの物であっても期待できる物を出せる人は殆どいない。けれどサチの入れてくれた紅茶は爽やかな香りと苦みが口の中を駆け抜け、それでいてあまり渋みの残らない、とても美味しい紅茶だった。

「おいしい……」
「そう?よかった」
ほぅ、と安心したように息を吐いているサチを不思議な気持ちで眺めながら、ボクは皿の上に乗って居たサンドウィッチにも手を付ける。そしてそれを一口食べた途端、先程の何倍もの衝撃におそわれた……
味は、普通のチキンサンドウィッチだ。勿論これだって、この世界では、否、現実世界で言ったって相当美味しい部類だ。
ジュウシィに焼かれた鶏肉の肉汁と、スパイシーな少し辛めのソースが合わさって、食べごたえもある最高の味だと思う。けれど、ボクが驚いたのは其処では無い。……ボクは、この味を“知っている”。
あの日、リョウさんがボクに立つ力を与える為にくれた、サンドウィッチ。ボク達の旅の最初の救いになってくれた、一生忘れないと誓った、今も確かに覚えているあの味。
其れと、今食べているこの味は、全くのうり二つだった。

「あぁ……」
そうか、この人だったんだ。

「あぁっ……!」
この人もまた、あの日、ボクとルビーを救ってくれた人の一人……

「だ、大丈夫!?ソース、辛過ぎたかな?ごめんね!?」
「えっ……」
サチの心配そうな顔を見て初めて、ボクは自分が涙を流している事に気が付いた。直ぐに止めようと頑張ったのだけど、拭っても拭っても後から後から溢れて来るその涙を止めて、サンドウィッチの味に問題があったのではと聞いてくるサチの誤解を解くのには結局、たっぷり六分もかかってしまった。

────

「じゃあ、その時私のサンドウィッチを……」
「うんっ。あの時の味も、今日の味も、ボク、一生忘れないよ」
「そっかぁ……嬉しいな、私の料理で、ユミルに元気があげられたなら、とっても」
優しく、はにかむような笑顔でそう言ったサチの眼もとには、うっすらと涙が浮かんでいた。

気が付くとユミルは、サチに自分とリョウが体験した、事の全てを話していた。自身の使い魔であるミストユニコーン、ルビーの事まで、本当に全てだ。初対面の人間にいきなりこの物語を聞かせるのは初めてだったが、それでも良いと思えた。
何故かはわからない。しかしこの少女は信用出来る。そう確信が持てたのだ。きっとサンドウィッチの味が彼女の人柄を色濃く映す、優しい味だったせいだろう。

「あれ?」
と、不意にサチが少しだけ不安そうな表情を浮かばせた。

「でも、それならルビーは今は何処に……」
「え?あぁ……それなら、いるよ?今もちゃんと、ボクの後ろに」
「えっ?」
言われたサチは意味を良く理解できないまま、何処にいるのかと目を点にしてキョロキョロと当たりを見回す、何処となくコミカルなその様子にクスクスと笑いながら、ユミルは明るい声で言った。

「ごめんね、今は見えないんだよ。待ってね……出て来て!ルビー!」
「!?」
其れは唐突な出来事だった。
家の中だと言うのに、突然白い煙……霧が、サチの視界に立ちこめ始めたのだ。其れも当たり一面と言う広い規模では無い。ユミルを中心とする、ごく限られた範囲にだけ其れは発生し、まるでユミルを取り巻くかのようにくるくると渦を巻く。
困惑しながらその様子を眺めるサチをよそに、ユミルは楽しげな笑顔でその霧を見ている。
霧はやがてユミルの後方でまるで雲のように集まり、凝縮すると、一匹の四足動物のシルエットを形作った。やがてその頭に当たる部分に、涙敵方の、やや鋭い朱い光が浮かび──霧が晴れた。

「紹介するね、サチ。ボクの相棒、ルビーだよ」
「わ、ぁ……!」
其処に居たのは、まるで今其処へ走り込んだばかりのように虹色の軌跡を引いた、仔馬の姿から一回り程成長した純白のユニコーンだった。
サチの反応が楽しいかのように小さく微笑んだユミルの後ろで、真っ直ぐに此方を見たその姿は、まさしくしてユミルの守護聖獣と呼ぶにふさわしく、サチは三十秒ほどその姿に目を奪われる。

ミストユニコーン、ルビーと再会を果たしたユミルが初めに選んだ道は、単純にして明快。自身とルビーの、徹底的な強化だった。
本来、ユミルはあまり争い事や暴力を好む性格では無い。だが今回リョウとの出会い、そして協力から、彼は幾つもの確かな事と、不確かな事を学んでいた。その中で確かな物の一つは、自分には間違いなく“力”が必要なのだと言う事だ。

例えば、またルビーを狙う輩が現れたら?
例えば、ルビーと共に危険なダンジョンなどに入ってしまったら?
例えば、また、ルビーを死なせてしまうような事があったら……?

その時は、もうリョウには頼れない。自分だけの“力”で、何とかするしかない。

例えそれを好くにしろ嫌うにしろ、“力”が必要な状況と言うのは、この世界で生きている以上、何時かは確実にやって来るのだ

ルビーの、この[全身霧化能力]は、そんなユミルの力を得る過程で発生した副産物だった。
全身を霧化して空気中に溶け込む事で完全に姿を隠し、必要な時にだけ濃霧にまぎれて一瞬だけ姿を現して攻撃したり、支援したりしてくれる。
本来、普段から主の傍に姿を現し続けている使い魔にあって、異例な程の特殊能力。これが、本当に役に立った。
何しろ其れまでは人前ではルビーのもう一つの能力である、[パートナーとの解離距離無限]の能力を使って離れた安全な場所に居させておくか、或いは誰もいないと確信できるような場所でしか共に居られなかったルビーと四六時中一緒にいられるようになった上に、戦闘中に召喚しても霧にまぎれて何が居るのかは周りには先ず分からない。
かつ、その事を聞かれても「そういう使い魔なんだ」と言っておけば大抵の場合は隠し通せた。
濃霧の所為で視界が制限される為リーダーに誘われたパーティに入るのを別のメンバー断られること等も多々あったが、そう言う手合いは断りたいユミルに取っては寧ろありがたい。

最近では、この特異な使い魔の存在から[幻獣使い(ファンタズマ)]等と言う大仰な二つ名までささやかれ始めるほどである。

「だから、ルビーは大分安全なんだよ、あ、皆には秘密だよ?」
「う、うんっ!」
未だに衝撃が抜けきらない様子でコクコクと頷くサチに微笑んでいると、ルビーが首元に顔を寄せて来た。

「うん?どうしたの?ルビーって、わぁっ!ちょっ、ちょとルビー、止めて!くすぐったいくすぐったい!」
首元でもそもそと動いて甘えて来るルビーに笑いながらそんな事を言う。その様子を眺めて、サチは再び優しげに微笑みながら、言った……

「……よかった、ユミルもルビーも幸せそうで。リョウも、きっと喜ぶよ」
「え?」
何かを思い出すようなその言葉に、ユミルは小さく聞き返す。サチは何処か懐かしむような笑顔で、小さな声で言った。

「時々ね?リョウが、独り言言う時があったんだ。「彼奴等上手くやってんだろうな」「あの馬死んでねーだろうな」ってきっとこれって、ユミル達の事だったと思うの」
「あ…………」
小さく息を吐くように、ユミルは言った。申し訳なさに思わず俯く、が、サチは慌てたようにその先を続けた。

「だから、リョウが帰ってきたら、元気になったユミル達の姿を、思いっきり見せてあげて?きっとリョウには、其れが一番のお土産になると思うから」
「……うん」
小さく、ユミルが頷く。しかしその表情は相変わらず晴れてはいなかった。ルビーも気を使ったように、じゃれるのを止める。

「でも……だとしたらボク、リョウさんに本当に酷い事……」
「……でも、来てくれた」
「え?」
顔を上げた視線の先でサチは手を組んで真っ直ぐにユミルを見ていた。そしてまるで花がほころぶかのように、再びはにかむようなあの笑顔を浮かべる。

「時間がかかっても、君は此処に来てくれた。其れはきっと、君の中で見つかったって事じゃないかな?その時見つけられなかった、リョウを信じても良いって思える理由が……」
「……うんっ」
真っ直ぐに、ユミルはサチを見た。
人が人を信じ合う為に必要な事。その答えを、ユミルはずっと探していた、あの日から、何度も何度も考え、何度も何度も悩んだ。
そして、結論に至った。

「……でも、ホントを言うと、ちゃんとした形のある答えじゃないんだ。だって、ボクの答えは、“自分の経験と直感を信じる”なんて物だから」
そう、結局、万人に等しく適用される、他人を信じる根拠などと言う物は、この世の何処にも存在しないと言うのが真実なのだと、ユミルは悟った。
人が人を信じる、ならば何をどう信じるのか?その答えを求めた時、その回答は決して一つの枠組みには当てはまらない。何故なら其れは人それぞれ違うのだから。
金で信じる者がいれば、長く培った経験で信じる者がいる。積み上げた絆で信じる者がいれば、与えられた恩で信じる者がいる。そんな秩序の無い、とても答えとは言えない答え。

そんな物は答えでは無いと、大人は笑うだろうか?
当たり前のことを捕まえて何を言っているのかと、嘲るだろうか?

だが、ユミルは子供で、それだけのことであっても納得する為には時間が必要だった。かつて、リョウは言った。“他人を信じることを躊躇うのは普通だ”と。
そして、こうも言った。

『信じ合うってのはよ、ユミル、人間が他人を信じたいって思えて、実際に信じるって言うのが二人以上の人間の間で止まる事無く常に相互に循環する……つまり、心の繋がり……輪みたいなもんだってのは分かるよな?』

心の輪。その輪を輪たらしめる、他者と自分の心をつなぐ金具が、全ての人の中にある、その躊躇いを取り除くための物だと言うのなら、その金具の形は決して共通では無いのだ。そして共通では無い規格の金具を持つ相手に信じてもらうには、その相手の金具に合わせて行くしかない。

相手が何を考えていて、何を是として居て、何を否として居るのか。其れはどんなもので、其れに合わせる事が自分に出来るかどうか。
相手の事を考えに考え、それら全てをクリアして初めて、“信じ合う”と言う心理状態は成立する。

そう考えればあの時の自分が誰にも助けてもらえないのも当然だったと言えよう。相手の都合や心情を考えもせず、ただ一方的に助けてくれと鎖を伸ばしていたのだから、金具の合う相手が見つかるはずがない。

そして……それと同時にもう一つ、確かな事がある。

この世界で他人と信じ合うという事は、確かに難しい。だが……それでもこの世界には確かに、信じ合う事の出来る誰かが居るのだと言う事、そしてそうして信じ合う事の出来た人とのつながりは本当に、本当に温かいのだと言う事だ。

そう、人は信じ合える生き物で有り、温かい生き物である。それもまた、ユミルが己の“経験”から導きだした、確かな答えだった。

「……じゃあ、其れをリョウに伝えてあげて?大丈夫。きっと、喜ぶから」
「……うんっ!!」
ユミルが大きく頷く其れと同時に。

「おーう、帰ったぞ~」
木造の家の扉が、飄々とした声と共に、小さなきしみを立てて開いた。


春から夏へと移り変わりゆく風が、森の中の木々を小さく揺らしていた。


Crossing story 《心の輪》 完
 
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