| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

発進!!最凶マスコットせん○くん

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

7部分:第七章


第七章

「これから起こることをな」
「あっ、もう最後の一人ですね」
 虐殺はもうクライマックスを迎えようとしていた。今最後の一人がマスコットのうちの一体の両腕の中に完全に捉えられてしまったのである。
「ひ、ひいいいいいいっ!!」
「ナラッ」
 マスコットが掴んだ男の前で一言言った。そうして口を開くと。
「うわあ・・・・・・」
 その口を見て思わず声をあげた小田切君だった。何とその口には三重の無数の牙が生えていたのである。さながら鮫の口の中である。
「あの牙で、ですよね」
「左様、噛み砕く」 
 それだというのである。
「それも頭からのう」
「何か壮絶にえぐいですね」
「だからこそじゃよ」
 博士はここでも平然としたものであった。
「だからこそああしたふうにしたのじゃよ」
「あの牙で頭からですね」
「ほれ、はじまったぞ」
 映像では今まさに。その最後の一人に対してマスコットが禍々しく開いたその口を近付けているところであった。そうしてその口で噛み付き。
「ナラッ」
「あぎゃあああああああああああっ!!」
 男の断末魔の声が響いた。マスコットはそのまま彼の頭を噛み砕いていく。
 鮮血と脳漿が飛び散る。マスコットはそれに構わず男の頭を噛み砕く。肉と骨が砕ける嫌な音が映像からも響いてくる。マスコットの口の周りも身体も服もその鮮血と脳漿で行き悪く染まっていた。
「えげつないですねえ」
「殺すからにはえげつなくじゃ」
 博士の主義である。
「ふむ、頭を完全に食らってしまったのう」
「ええ、確かに」
 頭を食われて失くしてしまった骸はそのまま捨てられる。そうしてマスコット達の行進に踏み躙られ無惨な肉の塊となってしまったのであった。
 マスコット達の行進はなおも続く。最早男達のことはなかったかのようだ。
 小田切君はその行進を見ながら。また博士に問うのであった。
「古都まで進んでいくんですよね」
「左様、生まれ故郷にな」
「それで古都に着いたらどうするんですか?」
 そのことも非常に気になるのであった。間違いなくとんでもないことが起こるであろうとわかっていても聞かずにはいられなかったのだ。
「あのマスコット達は」
「そこからそれぞれ飛んでいってのう」
「えっ、飛べるんですか」
 また一つわかった恐ろしい能力であった。
「あのマスコット。飛べるんですか」
「わしを誰だと思っておる」
 またしてもぞんざいな返答であった。
「IQ二十万の天本破天荒じゃぞ」
「そうですよね。それ位はですか」
「何でもない」
 造作もないことだというのである。
「それでじゃ。空を飛んでじゃ」
「日本中を暴れ回るんですね」
「いや、世界中じゃよ」
 日本だけに留まらないのがこの博士のとんでもないところである。引き起こす騒動は世界規模なのである。国連から危険人物に指定されるのも当然である。
「世界中に飛んでいってな」
「あの不気味な姿で、ですか」
 それだけでもかなりのものである。小田切君はまずこのことに絶句した。
「全世界にトラウマを引き起こさせるんですか」
「そしてわしが気に入らん連中を容赦なく殺戮していく」
 しかも、なのであった。
「ああいったふうにな」
「酷いですね。じゃあ世界中が大変なことになりますね」
「何、大したことはない」
 何故かそうした事態についてもこう言う博士であった。
「所詮ただの殺戮兵器じゃからな」
「いえ、それってただの、じゃないですから」
 小田切君の突込みが正論であった。
「そんなのって」
「わしの発明からすればどうということはない」
 博士の主張はこうであった。
「まあ古都に辿り着くまでも楽しみにしておれ」
「何か今度は目の前にいる暴走族に攻撃仕掛けていますけれど」
 早速であった。先頭のマスコット達が両手の指の機関銃で一斉射撃を加えていた。
 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧