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発進!!最凶マスコットせん○くん

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5部分:第五章


第五章

「この人間の大きさのロボット達をじゃ」
「動くんですよね」
「無論じゃ。見るのじゃ」
 また見ろと言う博士だった。
「これからのこのロボット達の活躍をな」
「はあ」
「さあ行くのじゃせ○とくん達よ」
「伏字になってないよな」
「だよね」
 今の博士の言葉に密かに突っ込みを入れたライゾウとタロだった。
「まあ見たらわかるけれどな」
「それでもちょっとはね」
 隠して欲しい彼等なのだった。しかしその間にも博士の演説めいた言葉が続く。
「焼き尽くし破壊し尽くすのじゃ!」
「ナラッ!」
 今の博士の言葉に禍々しいロボット達は一斉に両手を仏教式の合掌で応え声を出したのだった。
「今ナラって言いましたけれど」
「うむ、今の言葉か」
「あれ何ですか?」
 小田切君はこのことを博士に尋ねるのだった。
「ひょっとして」
「うむ、まあ気にすることはない」
 それで済ませようとする博士だった。
「ただの常に発する声じゃ。それだけじゃ」
「けれど何であの声なんですか?」
 小田切君はそのことをどうしても問わずにはいられなかった。
「ナラッ、って。かなり危ないですよ」
「危なくなくて何が面白いのじゃ」
 博士にとって平穏なぞという言葉は悪徳と何ら変わらないものである。
「そんなもの何でもないわ」
「何でもないからこの声ですか」
「その通りじゃ。さて、そんなことよりもじゃ」
 博士にとっては声なぞ所詮はその程度のものであった。まさに何事もなかったかのように言葉を続けていくのであった。
「これを一斉に動かしてこれから古都に進むぞ」
「古都にですか」
「このマスコット達の生まれ故郷にじゃ」
 実に楽しげな言葉と共に同じ様に楽しげな笑みまで浮かべていた。
「帰らせてあげるのじゃよ」
「それはいいですけれど」
 小田切君はそのこと自体はまだいいとした。
「けれどこれ二千体ですよね」
「うむ」
 見れば実に不気味なマスコットがずらりと並んでいる。本当に二千あるというのが怖かった。どれも全く同じ顔なのがその恐怖を増幅させていた。
「こんなのがぞろぞろと古都に進んだら」
「当然行く先を阻む者がいれば倒して進んでいく」
 博士はこうしたとんでもないことも平然と言うのだった。
「ありとあらゆる方法でな」
「今からですか」
「そうじゃ。今からじゃ」
 明日から、とかそういう発想もない博士であった。
「見るのじゃ。それではな」
「うわ、遂にはじまったよ」
「はじまらなくてもいいのに」
 ライゾウとタロは一斉に歩きはじめたその人間の大きさのマスコットロボット達を見て如何にも嫌そうな顔で嫌そうな声を出したのであった。
「こんなのがぞろぞろと古都に進んで」
「邪魔をする人がいれば薙ぎ倒していったら」
「ああ、言い忘れておったが」
 ここでまた言葉を付け加えてきた博士だった。
「このロボットは超AIを搭載しておる」
「それ位今時普通じゃないんですか?」
 小田切君は超AIについてはどうも思わなかった。
「博士いつも物凄い超AI使ってるじゃないですか」
「左様、その超AIじゃ」
 まさにそれだというのだった。
「暴力団やチーマや暴走族といったものを見ればじゃ」
「すぐに無差別攻撃を仕掛けるんですね」
 小田切君はそれを聞いただけでわかった。博士は自分の嫌いな存在は徹底して攻撃を仕掛ける主義だ。これを考えれば当然であった。
 
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