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おぢばにおかえり

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第二十六話 困った子ですその三

「小柄だけれどそれでもね」
「スタイルいいじゃない」
「ちっちだって同じよ」
「私も?」
 自分ではこのことは自覚していないです。
「そうよ。足奇麗じゃない」
「全体的にもね」
「そうかしら」
「そうよ。同じ女から褒められてるのよ、自信持ちなさい」
「もっともうちの制服って」
 天理高校の制服です。言わずと知れた。
「スカート長いけれどね」
「最近のドラマのそれとは違ってね」
「そうよね、ほら」
 自宅生の娘達がドラマの話をしだしました。
「その北乃きいちゃんよく制服着るけれどね。いつもスカートが」
「短いわよね。有り得ない位に」
「スカートかなりあげてる?」
 天理高校ではそういうのは厳しくて。スカートは下ろさないといけないですしズボンは上げないといけないです。制服には本当に厳しいです。
「ただでさえ短いのに」
「そうみたいね、あれは」
「だから奇麗な足が余計にね」
「そうそう、目立つのよ」
「けれどあれよね」
 制服の話が続きます。
「北乃きいちゃん位だとうちの制服着ても普通に滅茶苦茶可愛いわよね」
「可愛いなんてものじゃないわよ」
 これは同意です。私としては星井七瀬さんなんかも似合いそうですけれど。あの人も足が奇麗だと思います。演技もかなり上手ですし。
「もっともうちの制服ってそんなに悪くないけれどね」
「紺色のリボンがチャームポイントよね」
「ささやかだけれどね」
「それで。どうなの?」
 私はまた皆に尋ねました。
「忘れてるみたいだけれど」
「忘れてるって何が?」
「だから。一年生の男の子のことよ」
 その阿波野君のことです。
「どうなのよ。彼のことは」
「答え出てるじゃない」
「出てるって!?」
「そうよ。面倒見てあげなさい」
「年上のお姉さんとしてね」
 こう言い返されました。
「いいじゃない。これも何かの縁だしね」
「経験にもなるわ」
「結局そうなるのね」
 ある程度予想はしていましたけれど実際に言われてどうにもこうにも。言葉がなくなってしまいました。阿波野君のあのいい加減な笑顔が頭の中に浮かびます。
「それにしても意外ね」
「そうね。同じ大教会っていうのはね」
「まさかって思ったわよ」
 今でもこのことを驚いています。
「奥華って男の人はそれぞれ個性的な人ばかりだけれどね」
「それもいいわよね」
「ねえ。面白いじゃない」
「そういえばそれで迷惑したってことはないわね」
 思えばそうです。皆それでも真面目な部分は真面目ですしひのきしんの時は頼りになりますし。個性がかなりいい方向に出ていると思います。
「会長さん達も一見したらその筋の人に見えないこともない方もおられるけれど」
「大阪に広島だからでしょ」
「両方共それが名物じゃない」
 大阪名物に広島名物といえばお好み焼きとそういう人達です。私の住んでいる神戸も港があるんでそういう人達は昔から多いです。
「柄が悪くて当然じゃないの?」
「大阪弁と広島弁が支配する世界なのも」
「広島弁っていえばそういえば」
 ふと思い出しました。 
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