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戦国異伝

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第二百四十九話 厳島その九

「壇ノ浦じゃ」
「平家が滅んだ」
「あの場所において」
「最後の戦を挑む」
「そうされますな」
「是非な」
 何としてもと言うのだった。
「その時はな」
「そして何としても」
「勝つ」
「そうされますな」
「平家は敗れた」
 その壇ノ浦でというのだ。
「しかしじゃ」
「我等は勝つ」
「そこにまで至ろうとも」
「最後の最後はですね」
「勝つのは我等」
「そうなのですね」
「そうじゃ、勝ってな」
 そしてというのだ。
「織田信長を滅ぼすぞ」
「必ずや」
 棟梁達も応える、そしてだった。
 魔界衆の者達はまずは傷を癒してだった、それから。
 陣を整えるのだった、そのうえで。
 信長はその彼等の報も聞いていた、そして布陣したその状況もだ。信長はその陣のことを聞いてこう言った。
「ふむ、周防の南のか」
「開けたところにです」
「縦に幾重もじゃな」
「布陣してです」
 竹中が信長に話す。
「山に伏兵を置き」
「海には水軍じゃな」
「そうして守りの陣を敷いています」
「それなりにじゃな」
 ここでだ、信長はこう言った。
「整った陣じゃな」
「左様ですな」
 ここで言って来たのは生駒だった。
「それなりに」
「うむ、しかしな」
「あくまで、ですな」
「それなりじゃ」
 信長は確かな声で言った。
「それだけに過ぎぬ」
「ですな、では」
「ここは振りをするか」
「振りですな」
「そして戦おうぞ」
 そうしようというのだ、こう言って。
 信長は島津四兄弟を見てだ、彼等にこう言ったのだった。
「御主達の様にな」
「では、ですな」
「我等の戦をする」
「そうされますな」
「この度は」
「そうする、先陣はわしじゃ」
 信長自らが出るというのだ。
「本陣は奇妙に任せる」
「では全体の采配は」
「まずは御主が執れ」
 奇妙にも笑みで言う。
「よいな」
「はい、それでは」
「うむ、ではわしが先陣を務め」
 信長はまた言った。
「島津家の様に戦うぞ」
「問題はです」
 ここで四兄弟の長兄である義久が言って来た。
「相手が乗るかどうかですが」
「乗らぬと思うか」
「いえ」
 義久もだ、信長に笑って答えた。
「あの者達ならばです」
「間違いなくじゃな」
「乗ります」
 こう信長に答えるのだった。 
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