| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

歌集「春雪花」

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

205




 徒然に

  夜更けに想ふは

   恋し君よ

 わが身厭わば

    霧と消へなむ



 手持ち無沙汰な夜更け…そんなときはどうしても彼を想ってしまい…。

 想いを告げることなぞ出来ようもなく…かといって忘れることも出来ず…。

 人は…こんな私を蔑み、躊躇うことなく非難するだろう…。
 親子程も歳の離れた…それも男を想う私を…。

 もし…彼にこの想いが知れて嫌われたらと考えただけで…私は身震いするのだ…。

 こんな私は…この濃い夜の霧に溶けて…消えてしまえば良いものを…。



 暖かき

  春に匂いし

   沈丁花

 想いかわらぬ

   静けき日溜まり



 春らしい麗らかな日和…どこからか爽やかな沈丁花の香りが広がる…。

 去年も…彼がこの町から去った後に香った沈丁花…。今年も…もうそんな時季になったのだな…。

 その香りは…否応なしに去年の思い出を蘇らせ…私の心を揺さぶるのだ…。

 変わらぬ願い…変わらぬ望み…。

 彼といたい…彼と在りたい…彼と共に生きたい…。

 そんな虚しく儚い思いは…あの時と変わらぬ静かな日溜まりの中へと…解けてゆく…。



 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧