| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

過ぎ去ったもの

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第二章

「的確に攻める」
「その数と装備で」
「それだけですね」
「戦場に着けばだ」
 その時にというのだ。
「油断せずに数で攻めるぞ」
「そして勝ち」
「奴等を退けてですね」
「我等は凱歌を挙げる」
「首都に戻り」
「そうするとしよう」
 ラムセスは油断していなかったがあそれでも彼もまた勝利を確信していた、そのうえで兵を率いて進軍していた。
 エジプト軍は進軍の末敵であるアッシリア軍と遭遇した、彼等は確かに数が少なかった。
 だがその彼等にだ、歩兵だけでなく。
 馬にそのまま乗った者達が多くいた、その彼等を見てだ。
 エジプトの兵士達は目を瞬かせてだ、こう言った。
「何だあれは」
「馬にそのまま乗っているぞ」
「戦車を轢かせずに」
「あんなことが出来るのか」
「馬にそのまま乗るなぞ」
「あんなことをしてもだ」
 それこそというのだ。
「すぐに落ちるぞ」
「馬は戦車を轢かせるものだ」
「自分で乗ってどうする」
「訳のわからないことをする連中だな」
「妙な連中だな」
 ラムセスもだ、その彼等を見て言った。
「アッシリアは確かに強いというが」
「はい、歩兵はいるのは当然ですが」
「ああした者達もいるとは」
「はじめて見ました」
「我々もです」
「あの様なことをする者達ははじめて見た」
 ラムセスはこう自分の周りの士官達に言った。
「馬にそのまま乗るとはな」
「落ちます」
 そんななことをすればとだ、士官の一人がラムセスに言った。
「あんなことをすれば」
「そうなるな」
「馬の速さを受けて」
「そうなるに決まっているが」
「彼等は何を考えているのだ」
「あれで戦うつもりでしょうか」
「わからぬ、しかしだ」
 馬に乗る兵士達については理解出来なかった、だが。
 それでもだ、ラムセスは全軍に命じた。
「進撃だ、陣を整えてだ」
「そしてですね」
「戦車達をですね」
「敵の側面、後方に進ませてだ」
 主力である彼等はというのだ。
「そこから攻めさせる、いいな」
「はい、それでは」
「これより」
「攻撃開始だ、敵の数は少ない」
 それ故にというのだ。
「一気に倒すぞ」
「了解です」
 皆ラムセスの言葉に頷いてだ、そしてだった。
 エジプト軍は巨大な方陣を動かした、それと共に戦車達が素早く動いてだった。 
 アッシリア軍の側面や後ろに向かっていた。だが。
 その彼等にだ、アッシリア軍の馬に乗った兵達がだ。
 向かった、そのうえで。
 馬に乗ったままだ、風の様に駆けながら。
 弓矢を構えてだった、戦車に乗っているエジプト兵達を攻撃しだした。その矢を受けてだった。
 エジプトの兵達は次々に倒れていく、それを見てだった。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧