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ペットマニア

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第六章

「ですから手順まで待ちましょう」
「そうさせてもらうよ」
 卿は仕方ないといった顔で応えてだ、そうして。
 朝食を食べ診察を受けてだ、その診察で大丈夫と言われてだ。
 彼は寝巻きのままで動物達のところに行こうとした、しかし。
 ここでだ、今度は執事やメイド達に言われた。
「まだ寝巻きですよ」
「服は着替えられて下さい」
「それに五日の間入浴をされていません」
「もうお風呂の用意は出来ていますので」
「そちらにお入り下さい」
「駄目かい?」
 いざというところでまたストップがかかってだ、卿は困った顔で返した。
「今すぐは」
「今日はまだお仕事はお休みです」
「ですから落ち着けますが」
「しかしです」
「まずは身なりを正して下さい」
「わかったよ、それじゃあね」
 卿は今回も我慢するしかなかった、そしてだった。
 やはり仕方なく浴室まで行き服を脱ぎ入浴をしてだった、そのうえでネクタイを締めた正装になってだった。
 動物達のところ向かった、だが。
 行くとだ、妻のメアリーがだ。
 犬や猫達を愛でていた、それで。 
 彼はだ、妻に残念な顔で言った。
「先を越されたか」
「おはようございます」
「いや、急いで来たのだがね」
「私もですよ」
「やられた感じだよ」
「そうですか」
「うん、けれどね」
 ここでだ、卿は。
 動物達、妻の周りで楽しそうに集まりじゃれている彼等を見てだった。自然と笑顔になってこう言ったのだった。
「皆元気で何よりだよ」
「そうですね、本当に」
「ならいいね、それじゃあ私もね」
「一緒にですね」
「この子達を愛でるよ」 
 これまでそうしてきたようにというのだ。
「五日ぶりにね」
「この五日の間大変でしたね」
「全くだよ、この子達に会えなくて」
 それで、というのだ。
「辛くて仕方なかったよ」
「私もでした、それなら」
「うん、これからね」
「一緒にこの子達と楽しい時間を過ごしましょう」
「是非ね、それでだけれど」
 卿は自分も犬や猫達の間に入りだ、そしてだった。 
 そのうえでだ、こう言ったのだった。
「今度は猫でね」
「猫を迎えますか」
「日本の三毛猫はどうかな」
「三毛猫ですか」
「うん、休んでいる間日本の言葉を言ってね」
 その時にというのだ。
「今思い出してね」
「日本の猫をですか」
「迎え入れたいって思ったんだけれど」
「そういえば日本の猫は」
 メアリーもだ、夫の言葉を受けて言った。
「奇麗と評判ですね」
「その外見も毛並みもね」
「だからですね」
「うん、三毛猫を迎えよう」
「いいですね、では」
「うん、是非共ね」
 妻と二人で話してだ、そしてだった。
 またペットの話をするのだった、彼等を愛でながら。二人はこの日久し振りに屋敷のペット達の顔を見て愛でて心ゆくまで楽しんだ。
 そのうえでだ、二人でこうも言ったのだった。
「また明日もだね」
「はい、一緒に楽しみましょう」
 ペット達と共にいてだ、こうも話して彼等と共にいる時間を今もこれからも心ゆくまで楽しもうと約束するのだった。彼等を愛する者達として。


ペットマニア   完


                       2015・12・17 
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