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ペットマニア

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第三章

「解決策が一つあります」
「動物の皆に自分のことは自分でしてもらうかい?」
「それもいいですね」
 卿の二度目のジョークにだ、ディズレーリは再び乗った。
「そうしたら楽ですし」
「自分のことは自分で、が人間だからね」
「食事もおトイレもお散歩も」
「全部ね」
「出来ればですね」
「そもそも放任主義はしないよ」
 卿は自分で自分のジョークを否定した。
「私はね」
「そうですね、旦那様も奥様も」
「深く公平に」
「そういうことですね」
「そう、だからね」
「本当にどうするのか」
「それが問題だよ」
 それこそというのだ。
「この状況でね」
「インフルエンザですから」
 普通の風邪ではない、このことが大きかった。
「厄介ですね」
「全くだよ、五日の間はね」
「安静にですから」
「そうだよ、皆ね」 
 彼だけでなくだ。
「妻も君達のうちのかなりの人も」
「だからこそですね」
「どうしたものかな」
「やはりここはです」
「うん、助っ人を頼むべきだね」
「一旦動物達を出してです」
 そしてとだ、ディズレーリは卿に提案した。
「ペットホテル等に預けましょう」
「皆をだね」
「屋敷の中のインフルエンザが収まるまで」
「皆と別れる」
 彼等をペットハウスに入れる、ディズレーリのその提案にだ。
 卿はこの世の終わりの様な悲しい顔になってだ、こう言った。
「悲しいね」
「お嫌ですね」
「確かに今私は動けないよ」
 自分の部屋からだ。
「しかしね」
「彼等と一緒の場所に住んでいるだけでですね」
「顔を見られなくてもね」
 それでもというのだ。
「それでかなり幸せなんだけれどね」
「はい、旦那様も奥様も皆を愛していますので」
「家族だよ」
 それこそ掛け替えのない、というのだ。
「まさにね」
「そうですね、ですが」
「それでもだね」
「こうするしかです」
 それこそというのだった、ディズレーリも。
「ないかと」
「辛い話だね」
「ですが人手が足りないのも事実、それにです」
「インフルエンザは人のものだけれど」
「万が一がありましたら」
「そういうことだね」
 卿は苦渋の顔で答えた。
「ここは決めるしかないね」
「そうかと」
「よし、では君に任せよう」
「彼等を全てですね」
「金魚や熱帯魚はいいね」
 ここでだ、卿は彼等のことを尋ねた。 
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