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俺と一色の御近所付き合い

作者:時雨日和
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第5話 七夕の願い

七夕の日駅前夕方
八幡「(待ち合わせの30分前に来てしまった…なんだこれ、これじゃあ楽しみで待ちきれなかったみたいじゃないか………はぁ……周りも見るからに『これからお祭り行きますよ』的な奴らばっかだし…はぁ……)」
待ち合わせ30分前に駅前のベンチで座りながら一色を待っていた。今日は七夕祭りに行くようで、何故か駅前集合だった。家1階違いなのに。
~~~~10分経過~~~~
八幡「(…遅いなぁ……あ、俺が早すぎるのか、つーか大丈夫かな? ぼーっとしてるけど通報されないよね? 流石に大丈夫だよね? ……はぁ、自分で思って悲しくなったきた。ん? 何か浴衣きた可愛い人がこっち方向に手振りながらこっち方向に来てる。あ、これはあれだ昔あった自分だと思って手を振り返したら後ろの人だったっていうトラウマだ。とりあえず無視だ)」
いろは「せ~んぱ~い!!」
八幡「(一色の声がするな、どこにいるんだ? あいつ)」
いろは「せんぱ~い!」
目の前にさっきの浴衣着てた人がいた。顔を上げて顔を確認したら一色だった。
八幡「あぁ…一色か」
いろは「他に誰が先輩の事呼ぶんですか!何回も呼んだり手を振ったりしたのに反応ないですし」
八幡「悪いな、ちょっと昔のトラウマが……良くあるだろ、自分だと思ったら後ろの人だったって」
と言いながら立ち上がる。
いろは「いや、良くありますけど…私だって分からなかったんですか?」
八幡「まぁ、いつもと違うし、浴衣着てくるなんて知らないし」ジー
いろは「えへへ、友達に借りてきたんですよ。何ですか?何か変ですかね?」
一色はクルクルと回ったりしながら自分の浴衣を確認している。
八幡「別に、かw……悪くねぇんじゃねぇの」
いろは「え!?先輩今『かわ』って言いかけましたよね?!可愛いって言いかけましたよね!?可愛いですか?」
八幡「ぅ……ま、まあまあじゃねぇの?つーか、可愛い何て言いかけてねぇし」
いろは「先輩はやっぱり捻デレですねぇ~、あざといです」
八幡「お前には言われたくねぇよ」
いろは「もぉ…ま、いいです。それじゃあ行きましょう先輩」
八幡「はいはい」
そこから電車に乗り何駅か通った所で降りると、ほぼ目の前から既に屋台とかが並んでいた。
八幡「へぇ、意外と祭りっぽいのな」
いろは「そうですよぉ、ほら先輩行きますよ!」グイ
八幡「ちょ、何で袖つかんでんの?」
いろは「だって、浴衣着てますしぃ、それに人多いですからはぐれたら面倒じゃないですかぁ。それとも勘違いしちゃいました?ごめんなさいまだちょっと早いので出直してきてくださいごめんなさい」
八幡「ちげぇよ…はぁ、まあいいやそれでどうする?」
いろは「そうですねぇ、それじゃあまずは何か食べましょう。何食べたいですか?」
八幡「定番だが、たこ焼きとかじゃねぇのか?定番とか知らねぇけど」
いろは「そうですねぇ、じゃあそうしましょうか」
たこ焼き屋の前
八幡「すいません、たこ焼き2つください」チャリン
店員「ありがとうございましたー!」
いろは「ぁ…」
八幡「ほらよ」
いろは「やっぱり先輩あざといです」
八幡「何でだよ、別にこれぐらい普通だろ」モグモク
いろは「おいしいですね」モグモク
八幡「ん、まあそうだな、次はどうする?」
いろは「そうですね」
2人で色々な所を寄って、食べたり遊んだりした。
いろは「さて、先輩そろそろ上に行きましょう」
八幡「あ?上で何かあんのか?」
いろは「言ったじゃないですか!最後に花火があるって」
八幡「あぁ…ってか、この時期に花火か結構早いな」
いろは「先輩それ言った時も言ってましたよ。とにかく行きましょう」グイグイ
八幡「引っ張んなって、伸びるから」
一色に連れられ上の丘の所に行き花火が始まるまで待っていた。
八幡「は~、意外と人少ないな」
いろは「結構穴場みたいですね、ほら先輩ここ座りましょう」
八幡「ん」
いろは「ふふん」
八幡「何でナチュラルに隣に座ってんの?」
いろは「逆に何で隣以外に座ると思ったんですかぁ、あ、もしかしてまた勘違いしちゃいました?ごめんなさい結構良いムードですけどまだ早いですごめんなさい」
八幡「もう何度目だよ……まあいいや、好きにしろよ」
いろは「は~い♪好きにしますね」ギュ
八幡「おい、だからって何で腕に抱きつくの? 磁石なの?」
いろは「何ですか?その例え、はっ、もしかして俺から離れられない的な例えですか例えがちょっとくど過ぎるので無理ですごめんなさい」
八幡「おい、数分の内に2回も振られたぞ逆に凄いぞ」
いろは「はいはい、ほら先輩もうすぐ始まりますよ」
そう言うと花火が始まる。始まると一色はおーとかほーとか言ってたな、表情もあざとさも消え素の表情だった。しばらく花火を堪能していると。
いろは「……先輩」
八幡「ん?…」
いろは「…来て良かったですね!」
その表情は笑顔だった。これが、一色いろはの本当の笑顔なのだろう。
八幡「…そうだな……」
いろは「また…来年も来ましょうね」
八幡「…機会があれば…と言うより俺もお前も縁があればな……」
いろは「えへへ、そうですね…」
まったく、こういう時には素の反応なのだろうな…本当に勘違いしてしまいそうだ。しばらくして花火が終わる。
いろは「さ~て、終わりましたし帰りましょうか…っと、きゃっ…」
一色が体勢を崩して転びそうになる。
八幡「っと、おいどうした? 大丈夫か?」
いろは「あ、ありがとうございます。ちょっと…ゲタの緒が切れちゃったみたいで」
八幡「あぁ…しょうがねぇな、ほら」
いろは「え?…」
八幡「おぶってやるよ、ほらそのままだったら歩けないだろ」
いろは「やっぱり先輩はあざといです」
八幡「あざとくねぇよ、ほら早く」
いろは「はい…」
八幡「さて、帰るか」
いろは「はい」
一色をおぶりながら歩いていると。
いろは「あ、先輩何か短冊に願い事書いて吊るすみたいですよ!やりましょう!!」
八幡「子どもかよ、しょうがねぇな」
近くのベンチに一色を降ろし、2人分の短冊とペンを持って片方を一色に渡して書き始める。
八幡「……こんなもんか」
いろは「なんて書いたんですか?」
八幡「脱社畜」
いろは「先輩らしいですね」
八幡「うっせ、お前こそなんて書いたんだよ」
いろは「ひ・み・つです」
八幡「はいはいあざといあざとい」
いろは「もぅ…それじゃあ先輩おぶって下さい、私吊るすので」
八幡「はいはい」
いろは「……はい、ありがとうございます。吊るしましたよ帰りましょう!」
八幡「……そうだな」
そして2人で行きと同じように帰った。もちろんおぶったまま。一色を部屋まで送り、自分の所の鍵を開ける時鍵を眺めながら。
八幡「……一色の願いねぇ……やっぱあいつはあざとい…な」
一言呟きながら鍵を開けた。
 
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