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普通の刑事の特殊な日々

作者:時雨日和
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第5話

俺が警察署に入って2年、何か長いようで短い2年だったな。それに2年経てば変わることもあるな、恋心は無事家から通える所にある看護学校に入学出来た、夜ちゃんもちゃんと小学校に入学出来た、俺も点字覚えたり家の中なら助けなしで行けるようになったし着替えも用意してあれば1人で着替えれるし最近だと電車にも乗れるようになった、個人的に1番の変化は大和が敬語を使うようになった事が一番の驚きだな、俺に対しては変わらないけどな。今日は6月30日日曜日、今日は休みで恋心と一緒に港に向かった。
響希「…ここは2年経っても変わらないのだろうかな、風とかはあんまり変わんないけど」
恋心「変わってないよいつも通り港だって船だって風だって海だってみんな同じだよ」
響希「そっか、あいつは?」
恋心「来てないね」
響希「いつもは先に来てるのにな」
昼前に到着しその後ちょっと港を回った後に昼を食べた。俺達2人は人を待ちながら過ごした、最近は会ってなかったからこの前連絡したらいつもの日に会おうって話になった。
響希「見えてないと昔の景色が思い出される」
恋心「最初に会った時のこと?」
響希「そう、あいつに会った時…最初はこんなに仲良くなるとは思わなかったよ。あの時の性格と真逆の相手がいきなり話しかけてきたんだからな」
恋心「…そう言えば私その話詳しく聞いてないんだけど、ねえ聞かせて来るまで暇だし」
響希「…話している間に何も言わないことと、怒らないことを約束するんなら話す」
恋心「うん約束する」
響希「わかった」
~~~~6年前~~~~
高校1年の時、色々あってこっちに戻ってきて色々あって俺はイジメ…って言うほど悪質って訳では無かった、こっちから話しかけない限り俺とは話さない、悪質な奴は俺を無視する、基本的に避けられる、変な噂を建てられる、それに伴い変な目で見られる、などなどある程度陰湿ではあるが特に目立った事は無かったし俺も無視することも出来た。ある日…それこそ6月30日いつも通り学校へ行って昼休みの時俺が1度席を離れた時、去年恋心が受験のために学業成就のお守り(手作りのもの)を貰い俺は鞄に付けていた。それを最近俺の反応が無いことに飽きてきた奴が何かアクションでも起こそうと思ったようでそのお守りを見つけてそれをとって俺に見せつけてきた。
響希「返してくれ」
生徒「あ?何だって?人に頼む時はどうすんだよ」
響希「返して下さい」
生徒「足りねぇよ!地に膝つけて頭つけろよ!これ切るぞ!」
俺は無表情のまま土下座した。
響希「返して下さいお願いします」
生徒「はっはっは!!マジでやりやがったぜ!ほら返してやるよ」
俺は顔を上げて立とう思って膝を立てた時、お守りを顔の前で切られた。中身は紙のような物だったためハサミで切られた。頭が真っ白になった、ただ手を出すとかそういうのは無かった。生徒は切られたお守りをそのまま地面に捨て踏み笑いながらその場を去っていった。俺はそれを大事に拾い教室を出て職員室に行き担任に体調不良なので早退する旨を伝えて教室に戻り鞄を持って学校をでた。そして歩いて港まで行った。別に特別な思い入れとかは無いがただちょっと一人になりたかった、家にも何となくすぐには戻れなかった。一人港で座って海を見てた、何も考えてなかったと思う、怒りとかそういうのも考え無かった、と言うより考えられなかった、どっちかというと恋心に申し訳なかった。どれくらいの時間見てたか分かんないが、と言うより見てたとすら感じなかった。そうしていたら。
楓「おーい少年!こんな時間に何してんだー!」
響希「…」
振り返ると割かし体格の良い身長も180くらいはあるような制服きた男の人が出てきた。
楓「どうした少年、そんな世界が終わったみたいな顔して」
響希「俺そんな顔しているんですか?」
楓「死にそうな顔だ」
響希「…」
楓「何かあったのか?少年」
響希「俺は高1ですよ、あと藤原 響希です」
楓「やっぱり少年だな俺は高3だからな、俺は月雨 楓だ。あ、あと2個上だからって敬語要らないからな何か堅苦しくてウザったいからな」
豪快な人だな…それが第一印象だった。
全くそんなテンションに付いていける状態じゃ無かったけど、ただ裏表とか無くて信用…出来たのかな、だから今日のことを話した。
響希「…まあこんな事があって正直に言うとズル休みして来た」
楓「そうかぁ、そんな事もあるんだな。それよりもお前よりも妹の方が可哀想だな、せっかく作ってあげたのにな」
俺その時恋心の事しか頭になかったからその一言で完全に信用したね、俺よりも妹の事を気にかけてくれてめっちゃ嬉しかった。
響希「ありがとう」
楓「は?どうした?別に俺は何もしてないぞ?ただ話を聞いただけ」
響希「妹の事気にかけてくれて…ありがとう」
楓「…お前、妹の事大事にしてんだな」
響希「ああ、俺達兄妹親も親類も居なくて親が死んだ時妹かなりショックだったみたいでな、部屋に篭って泣いてるのが続いていてな、それで俺が妹の事守らないとなって改めて思ってな」
楓「いい兄貴じゃねぇか」
響希「ありがとう、俺の事は話したからな次は楓の話だ。今は2時半だからなお前こそ何でこんな時間にここにいるんだ?」
楓「それはな」
刑事「ここにいたのかい?楓君」
楓「…見つかった」
刑事「また戻って話を聞かせて貰うよ」
楓「わかりましたよ」
響希「お、おい」
楓「また今度俺から連絡するからその時に話すさ」
と言って刑事の人に連れていかれた。その日から休みの日とかはたまにこの港に来た、連絡するとは言っていたが連絡先も聞かないでなら来ないだろ…とか思ってた。それから月日は経ち夏休みに入った、夏休みの間はほぼバイトだったがお盆休みの様なものを貰い何日か休みが取れた。そのとある日、勉強とか経済面について考えてた時携帯に見覚えのない電話番号から着信があった。その時は、そろそろ恋心にも携帯買ってあげないとなとか思ってた。そして携帯に出ると。
楓「よお久しぶりだな響希!元気してたか?」
響希「どうして俺の電話番号が分かるんだ?」
楓「いいんだ、細かいことは気にすんな」
響希「いや細かく」
楓「そんな事より前に言った通りあの時の事を話すからとりあえず病院に来てくれ。衣更市立病院な」
響希「…病院?」
要件を話したようですぐに切られた。とりあえず恋心に話し病院へと向かった、病院に着くと入口の所に楓が立っていた。
楓「意外と早かったな」
響希「そこまで遠くないからな、それより何で病院なんだ?」
楓「とにかくお前に見せておかないとならないと思ってな、付いてきてくれ」
言われるまま付いていった。三階の個室の前まで来た、表示されている名前は時谷 雨と書かれていた。
響希「俺だ入るぞ」
言い方は割と雑だったがちゃんとノックをしてから入った。中にはベッドに女の人が寝ている。寝ているから正確には分からないが体格は別に大きくも小さくもなく肌も色白で綺麗だけどちょっと幼さがある感じ、腕に点滴などを付けていたから病気とかかと思った。
響希「この人は?」
楓「色んなところに書いてあるから分かるかも知れないがこいつは時谷 雨、隣の高校に通っている1年生、お前と同い年だ。そして、こいつは俺の彼女だ」
響希「…お前彼女いたんだな」
楓「付き合ったのは去年だ、それでまあ本題と言うかお前に言いたかったのは…この前お前に会った日あるよな?」
響希「ああ、6月の末な」
楓「その日雨の学校が開校記念日でな、そんで暑かったから雨はあの港に向かったみたいだ。それで港の所から海に落ちて溺れたみたいだ」
響希「!?…」
楓「それで…まあたまたま俺が学校休んでて港に行った時溺れている雨を見つけてすぐに助けて岸に上げて応急処置をしてから病院に連絡してすぐに来てもらってとりあえずは一命は取り留めた…があの日から目を覚まさない」
響希「そうか…でも良かったと思うぞ」
楓「…微妙な心境だな」
響希「命があるだけでも感謝しろよ」
楓「そうだな」
そんな感じの話をしていたら友達であろう男女2人ずつがお見舞いに来た。少し俺と楓を見て驚いていたが俺達が隅の方に避けるとお見舞いのための花を置いて少ししてから挨拶をしてから病室を出ていった。
響希「ちょっとトイレ行ってくる」
楓「ああ」
俺は病室を出るとさっきの男女が少し前に歩いていた。そして全員がトイレへと向かった。俺は足音を立てないように男子トイレのある程度見えない位置に立つ。そして携帯を取り出しトイレでの男子の会話を録音する。そしてバレないように病室に戻る。
響希「戻ったぜ、これからどうするんだ?」
楓「…もう少し俺はいる、今日はありがとなこいつもお前が来てくれて喜んでいると思う」
響希「何か似合わないな楓はもっと豪快な方が似合ってるよ」
楓「ちょっと湿っぽくなってたな悪い悪い、じゃあお前はもう帰っても大丈夫だぜどうする?」
響希「うーん」
と考える振りをしながら窓の外を見てさっきの男女が病院を出ていったことを確認した。
響希「帰る前に話しておかないといけない事がある」
楓「ん?どうした?」
響希「まあ一つだけ忠告な、話を聞いても落ち着いていろよ」
楓「お?おお」
響希「あ、それよりもさっきの男女はよく来るのか?」
楓「まあ、確か週4とかでは来ていたな、ほぼ定期的に俺の記憶が正しければ明日も来るはずだ。雨と仲がいいメンバーらしい」
響希「明日か…わかった。やっぱり話すのは明日だな、明日も同じ時間に来てくれ出来ればこの子の家族も連れてきて欲しい」
楓「はあ?出来ないことは無いが…まあお前の事だから何かあるんだろうがまあ明日な」
響希「宜しくな」
~~~~次の日~~~~
両親の墓参りを明日に迫っていた日、俺は昨日と同じ時間に病室に向かった。入るとそこには楓と何人かの人がいた。
響希「失礼します、私は楓先輩の後輩で友人の藤原 響希と申します」
雨父「そうか君か、私は雨の父だ今日は何のようかね?」
歳はある程度とっているようだがガタイは良く大柄な男性とその隣に女性にしては背が高い大体160後半はあるであろう女性が2人、雨さんの母と姉らしい。
響希「お忙しい中申し訳ありません、そしてありがとうございます。ただ皆さんにどうしても聞いておいて欲しい事がありまして」
雨父「それはどういう」
響希「待ってください、話すのは全員揃ってからお願いします」
そう言って制して待っていた。多分なんだコイツ?とか変なやつだとか思われていたと思う。少ししてから昨日きた男女が入ってきた。昨日以上に驚いていたが男女が皆に挨拶をしてまた花を持ってきていてそれを置いて、帰ろうとした時。
響希「ちょっと待ってください、少し聞きたいことがありまして」
男子A「な、何ですか?」
響希「そんなに緊張しなくても大丈夫ですよ、ちょっとだけ質問するだけなので」
女子A「は、はあ…」
楓「お、おい響希」
まあ待てと楓に手で制し話をする。
響希「君たちとこの子…雨さんとはどのような関係ですか?」
男子B「え?ええと僕と女子Bは高校からの知り合いで他の2人は中学からの友達です」
響希「なるほど、皆さん友達同士ってことですね?雨さんは学校では普段どんな感じなのでしょうか?」
女子A「雨は結構人気がある方なのでいつもみんなと話したり、授業でも真面目に受けているイメージが強いです」
男子B「あと部活も頑張ってますよ僕は同じ部活なので分かります」
響希「そうですかという事は皆さん仲が良い友達なのですね?」
男子A「そうですね、特に女子Bは人見知りであまり話さない性格ですが雨がよく話しかけてあげてたおかげで少しずつ話すようになったほどですから」
響希「そうですか、私は高校では仲の良い友達とかはいないので羨ましい限りです。ではそんな仲の良い友達同士なのになぜ4人で雨さんを突き飛ばしたんですか?」
この場にいる俺と意識がない雨さん以外が驚愕の表情をした。
男子B「は、はあ?」
女子A「ど、どういう事ですか?」
雨父「そうだ、どういう事なんだ?君」
雨さんの母と姉が呆然としていた、楓も何か言いたいようだが声が出ないようだ。相変わらず女子Bは一言も喋らず何か涙目で驚いた顔をしていた。
響希「まあ皆さん少し落ち着いてください」
男子A「そ、そんな事突然言われたらすぐに落ち着けませんよ!な、何で僕達が雨を突き飛ばさなきゃならないんですか!?」
響希「どうしてと言われましても実は私その場にいましたので」
女子A「そ、そんなの有り得ないです!」
響希「ん?どうして言い切れるんですか?」
女子A「あ…えっと…」
響希「その場にいたって事ですよね?そうやって言い切れるのは」
男子B「それはただの言いがかりじゃないんですか?証拠もないのに」
響希「そうですね、証拠はありません」
男子B「は?」
響希「今のはハッパをかけただけですから、嘘ですよ」
男子B「ふ、ふざけてるのか!?」
響希「いいえ、私は至って真面目ですよ。今の事に関しての証拠はありませんが、別のものを」
携帯を取り出し昨日録音した事を聞かせた。
男子A「はあ、だるいなぁ…いつまでこんなことつづけるんだよ」
男子B「しょうがねぇだろこうやんなきゃならねぇんだから」
男子A「ほんとにこんなことして大丈夫なのかよ」
男子B「やらないよりはマシだろ、やっちまったんだから」
男子A「だな…でも死ななかったな、マジ悪運強いわ死に損ないだけどな」
男子B「とにかくこの習慣は続けねぇとな少しでも容疑者候補とか何とかにならないようにしねぇと」
そこで録音したものは終了した。男女4人は青い顔をしていた、楓は歯を食いしばり今にでも襲いかかるような勢いだった。俺は楓を落ち着かせてから続けた。
響希「何か言いたいことはありませんか?」
4人は口をパクパクさせていた、そうしたら。
男子B「こ、これは盗聴だ!!プライバシーの侵害だ!!お前こそ犯罪だ!!」
男子A「そ、そうだ!それに最初に提案したのは女子Aだ!」
女子A「はあ!?何人に擦り付けてんの!それに私じゃないし1番ノリノリでやってたのは男子Bじゃん!!」
男子B「意味わかんねぇよ!!お前こそ人に擦り付けてんじゃねぇか!女子Bもいつまで黙ってんだよ!!」
雨父「みっともねぇことしてんじゃねぇ!!!」
空気が響くほどの大声を出して雨さんの父は4人を叱った。俺はビビりながらも警察に連絡した、もちろん病院から出てから。連絡して戻ろうとした時後ろから車椅子がぶつかってきた、振り返るとブロンド髪の女性だ。
響希「おっと、大丈夫ですか?すいません邪魔をしてしまい」
弥生「いえすみません、それよりも大丈夫ですか?怪我とかしてませんか?」
響希「大丈夫ですよ、それではお気を付けて」
そう言って軽く会釈してから部屋に戻った。病室では4人がわんわん泣いていた。
響希「(何があったんだ…)警察に連絡しておきましたすぐに来るそうです」
雨父「響希君…何とお礼をしたら良いか、本当にありがとう」
響希「気にしないで下さい、ただの気まぐれと楓のテンションが低いと変な感じなんで」
楓「響希ありがとう…何か俺、何も出来なくて心苦しいな…だから今回の代わりにお前が困ってたら今度は俺が助けてやる」
響希「気にすんなって、そういう感じのが似合わないって言ってんだって」
楓「そ、そうだな」
話をしていると警察が到着し4人を連れていった。俺は勝手に盗み聞きした事を注意をされはしたがお手柄って事で少し褒められたりもした。そして後から聞いたことだが雨さんの父は元陸上自衛隊の隊長をやっていたほどの人だったようだ、通りであんな雰囲気の効いた怒鳴り声をするはずだ。
~~~~現代へ~~~~
響希「こんな所だ」
恋心「お兄ちゃん、昔から刑事みたいな事してたんだね、と言うより刑事よりも探偵みたい」
響希「あの後楓に言われたけどなお前は探偵に向いてるなって」
恋心「でもお兄ちゃんカッコイイよ」
響希「それはどうも」
楓「よお、悪いな遅れた」
雨「久しぶり響希と恋心ちゃん」
後ろから楓と雨が来た。雨は楓が20歳をちょっと過ぎた頃に目を覚ました、その後すぐに楓はプロポーズをして半年後に結婚した。俺と恋心も雨が目覚めた頃から交流することがあり4人とも仲良くなり、何回も4人で会うことも多くタメ口で話すほど仲良くなった。4人で話をして陽が暮れる頃に別れた。そして月日は流れ9月の3日仕事が終わり家に帰ると楓から着信が来た。
響希「もしもしどうした?」
楓「なあ響希、お前また目が見えるようになりたいか?」



 
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