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ハイスクールD×D イッセーと小猫のグルメサバイバル

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第5話  魔女と呼ばれし少女、アーシアの悲しき過去

 
前書き
 大変遅くなってしまい申し訳ございません。かなり間をあけていたらお気に入りが200を超えていてビビりました作者のリョウヘイです。この小説を読んでいただき誠にありがとうございます。更新ペースは遅いですが気長に待って頂けると幸いです。 

 
side:イッセー


「はあ…はあ…良し。追手はいないな」
『堕天使の気配もない、逃げ切れたみたいだな』


 気絶したアーシアを連れて家に帰ってきた俺は辺りの匂いを嗅いで追手がいないか確認するがそれといった匂いはしない。ドライグも堕天使の気配を感じないことから無事に逃げ切れたようだ。


「ここにいればとりあえずは安全だな」
『いや、それはどうかな?』


 安堵していた俺にドライグが声をかけてくる、何かあるのか?


『さっきのイカれた神父は堕天使側の人間だ、奴が戻らなければ堕天使共は不穏に思い動き始めるはずだ。それにあの神父は生きている。奴がお前の事を話せば堕天使達はすぐにお前を探し始めるだろう、ここがバレるのも時間の問題だな』
「やっぱりそうだよな…さてどうするか…」


 ドライグの話を聞いて俺は今後どうするか考える。もし堕天使がこの家の事を嗅ぎつけたら問答無用で攻撃してくるだろう、そうなるとここに留まるのは危険だな。


 町を転々とするのも不味い、いっそ小猫ちゃんに頼んでグレモリー先輩に……いやそれも駄目だ、アーシアは堕天使側の人間だ、悪魔の彼女がアーシアに危害を加えないとかぎらない。小猫ちゃんは信用してるがグレモリー先輩達とは余り関わったことがないからな、信用しきれない。さてどうすれば…ん?そうだ!


「あるじゃないか。絶対にバレない場所が…」
『相棒?』


 俺は部屋の隅でケース入っている異次元七色チョウを見ていた。



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ーー-ー



side:アーシア


「聖女様、どうかこの子をお助けください」
「聖女様、私の家内が重傷をおってしまいました、どうか奇跡の力で家内を助けてください」


何時からだったでしょうか、私が聖女と呼ばれるようになったのは…


 この世に生を受けた私は直に実の両親から捨てられました。捨てられた私は教会兼孤児院を運営していたシスターに拾われて育ててもらいました。貧しくも私を愛し育ててくれたシスターに出会わせてくれた主に感謝しながら幸せに生きていました。
 

 でも私が8歳の時運命は大きく変わりました。私には生まれた時から生物を癒す不思議な力が宿っていたのです、ある日町で事故にあって腕に大きな怪我をした子供を見かけた私は癒しの力でその子の怪我を治しました。人々は神の奇跡と驚き私を称えました。そして噂を聞いたカトリック教会の本部に連れて行かれ私は『聖女』と呼ばれるようになりました。
 

 突然の事に私は最初は驚いていました、ですが私の力で誰かの助けになれることが、必要とされることが何よりも嬉しかったんです。私はこの力を授けてくれた主に改めて感謝いたしました。
 

 でも私にはひとつ夢があります、それは一人でもいいから私と友達になってくれる方がほしかった事です。でも私を見る目は異質を見る目…そんな人は現れませんでした。
 

 そんなある日でした、私は怪我をしていた悪魔を見かけました、悪魔は敵だと教わっていましたが怪我をしている人を見捨てたくないと思いその方の怪我を治してあげました。ですがそれを教会の関係者に見られてしまいました。


「悪魔を治しただと!?」
「そんなことはありえない!」
「聖女ではなく魔女だったのか!?」
「汚らしい魔女め、悪魔の手先だったか!」


 人々から聖女と称えられていた私は「魔女」として人々から恐れられ教会から追放されてしまいました、そして行き場を無くした私は堕天使の皆さんに拾われました。
 

 私は主への祈りを忘れたことは一日だってありません、でも私はあっさりと捨てられました、これは主の与えた試練なのでしょうか?そうですよね、私がバカだからこんなことになっちゃったんですよね……
 

 そんなある日私は日本という国に行くことになりました、教会の場所がわからずオロオロしてどうしようと思っていたとき……


「おい、大丈夫か?」


 そう声をかけてくれたのはイッセーさんという方でした、見ず知らずの私に何の躊躇いもなく教会に連れて行ってくれると聞いた私は嬉しくて泣いちゃいそうでした。誰かにやさしくされたのは本当に久しぶりでしたから……
 

 彼は不思議な方でした、私の力を見ても異質と見るどころか何か心配するような目をしていました。私を教会に送ってくれた彼は何の見返りも要求しないで気にするなと言って去っていきました。


 もし教会にいた時にイッセーさんと出会っていたら……



 私と友達になってくれたでしょうか……



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ーーー


「……夢?」


 何だか懐かしい夢を見たような気がします…あれ、私は何をしていたのでしょうか?


 確かフリード神父と悪魔と契約した方の家に行きそこでし、死体を見てそれから……


「……?」


 何があったんでしょうか。ううっ……頭が痛いです、ズキズキとします。とにかく教会に戻らないと。私はベットから出ようとしましたがあることに気がつきました。


「お菓子……ですか?」


 私がいた部屋は至る所がお菓子でできていました。壁はクッキー、チョコの柱、わたあめのベット…子供の頃に見た絵本の世界のような光景が広がっていました。


「私はまだ夢を見ているのでしょうか?」


 目の前の光景が信じられない私は自分のほっぺたをつねってみます…あうっ、痛いです…じゃあ夢じゃないのでしょうか?


「お、起きたのか」


 背後から声を掛けられて少しビックリしちゃいました。あれ、今の声って……私が後ろを振り返るとそこにいたのは……


「イッセーさん!?」


 道に迷っていた私を助けてくれたイッセーさんが立っていました。


「イッセーさん、どうしてここに?」
「どうしてって…ここ俺の家だし」


 家…?このお菓子の家がイッセーさんの…?メルヘンチックなお菓子の家に住むイッセーさん…あ、何だか可愛いかも…


「おいおい、大丈夫か。あの神父に殴られた傷がまだ痛むのか?」


 殴られたって…ああ、思い出しました!あの時何故かイッセーさんがいてフリード神父がイッセーさんを殺そうとして…私はそれを止めようとして神父に殴られて…


「…った…」
「アーシア?」
「良かった…イッセーさんが殺されなくて…本当に良かった…」


 全部を思い出して私はイッセーさんが生きていてくれたことが嬉しくて思わず泣きだしてしまいました。


「全く…自分の事より俺を心配するなって」


 泣いている私をイッセーさんは優しくなでてくれました。私が泣き止むまでずっと…



ーーーーーーーーー

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ーーー


side:イッセー


 その後アーシアは数分間泣き続けてようやく落ち着いてきた。今は顔を真っ赤にして座っている。


「そ、その、ごめんなさい!いきなり泣き出して…」
「気にするなよ、むしろいいもん見れてラッキーなくらいだ」
「あう…恥ずかしいです」


 アーシアは更に顔を赤くしてうつむいてしまった、この子は感情豊かで面白いな。


「所でイッセーさん、ここはどこなんですか?お菓子の家なんて見たことがないのですが…」
「あ~……なあアーシア、これから話すことは信じられないかもしれないが事実なんだ。後このことは誰にも言わないでほしい、いいか?」
「分かりました、誰にも言いません」


 俺はグルメ界について知っていることを全てアーシアに話した、この世界がさっきまでいた世界とは違う異世界だということ、俺の正体、猛獣や食材の事全てだ。


「……というわけだ」
「あう……頭がこんがらがってきました……」


 ……まあいきなりこんな話をして理解しろなんていうほうが無茶だよな。


「信じられないかもしれないが本当なんだ」
「いえ私はイッセーさんが嘘をついてるなんて思いません。だからイッセーさんを信じます。唯ちょっと難しい話が多くて……」
「そうか、ありがとな」


 その時アーシアのお腹からキュウ~ツと可愛らしい音がなった。


「………」
「……アーシア、腹減ってるのか?」
「はわわ!私ったらなんてはしたない!!」


 顔がもはや沸騰してると思うくらい真っ赤になったアーシアはブンブンと顔を振っている。


「はは、まあ少し待ってろ」


 俺は立ち上がり台所に向かう。そして作っていたスープを持ってきた。


「これは…?」
「簡単な野菜スープだ、アーシアは聖職者らしいから肉類は使わなかったが…良かったか?」
「いえ、心遣いありがとうございます」


 あまりそういった事に詳しくないから無難な物にしたがどうやらアーシアはお気にめしてくれたようだ。


「わあ…美味しそうです」


 スプーンでスープをすくいゆっくりと口に運ぶ。音を立てずに上品に飲む姿は綺麗だと思った。


「美味しい!色んな野菜の甘みとコンソメが口いっぱいに広がります!私、こんな美味しい物初めて食べました!」


 満面の笑みを浮かべてスープを飲むアーシアを見て思わず俺も笑みを浮かべてしまう。良かった、『コンソメオニオン』や『ネオトマト』などの野菜を気に入ってくれたみたいだ。



「ごちそうさまでした」
「おう、お粗末様」


 空になった皿を見てアーシアが満足してくれたことが良く分かった、作ってよかったぜ。


「本当にありがとうございます、イッセーさん。助けて頂いた上にこんな美味しい物まで…」
「だから気にするなって、困った時はお互い様だろ?」


 俺がそういうとアーシアは少し沈んだ表情を浮かべた。


「…イッセーさんって本当に優しい方ですね、こんな風に誰かに優しくしてもらったのは本当に久しぶりです」


 嬉しそうなのに悲しそう…アーシアはそんな複雑な表情を浮かべている。


「…アーシア、一つ聞いてもいいか?」
「何でしょうか?」
「なんで堕天使達と行動を共にしてるんだ?あのクソ神父を部下にするような奴だ、決してまともじゃないことくらい俺にも分かる。俺はアーシアのような優しい子があいつらの仲間だとは到底信じられないんだ。あいつらに脅されてるのか?」
「いえ違うんです、全部私が悪いんです…」


 アーシアは話してくれた、自分の力の事、聖女と呼ばれていたこと、悪魔を癒したこと、そのせいで魔女とされて教会を追放されたこと…


「………」
「…きっと、私の祈りが足りなかったんです。ほら、私ぬけている所がありますから。道だって分からないバカだから…」


 アーシアはポロポロと涙を流しながら話す。


「これは主が与えてくれた試練なんです。私がダメなシスターだから……こうやって修行の場を…」
「ふざけんなッ!!」
「イ、イッセーさん……?」


 もう我慢ができなかった!何が魔女だ!何が試練だ!ふざけるんじゃねえよ!!!


「アーシアの何が悪い!悪魔を癒したから魔女だと!違う!悪魔すら平等に癒す本物の聖女様じゃねえか!それをよってたかって悪にしやがって……神だってそうだ、何故この子を救わない!こんなにも助けを求める子の声を何故聴いてやらない!」


 怒りが収まらなかった、この子を聖女に仕立て上げて利用した挙句あっさり切り捨てた教会の連中も誰よりも神を信じて祈り続けるアーシアに答えない神も……何もかもが許せなかった!


「アーシア、君はどうしたい?君の気持ちを聞かせてほしい。主も教会も関係なしにアーシアの本当の気持ちを!」
「わ、私は……」
「もしアーシアがそれでも神を信じているなら俺は何も言わない、堕天使達の元に帰っても構わない。でもアーシアがそうじゃないなら俺はアーシアの力になりたい!」


 俺はアーシアの手を握りながらそう答える。


「……どうしてそこまで私を」
「困った時はお互いさまだろ、それに俺はアーシアを友達だと思っている」
「友達……私がですか?」
「そうだ、アーシアはたった一回しか会っていない俺の為にあのクソ神父に立ち向かってくれたじゃないか、だから俺はアーシアを助けたい。友達として」


 アーシアは口元を手で押さえながら、先ほどよりも大きな涙を流す。だがそれは悲しそうには見えない、むしろ嬉しそうに見えた。


「…イッセーさん、私世間知らずです」
「そんなもの今から知っていけばいい、俺が教えてやる」
「…ドジでダメで泣き虫で、きっと迷惑をかけてしまいます」
「それがどうした、友達なら助け合うもんだろ」
「…本当に私と友達になってくれるんですか?」
「ああ、勿論。むしろこっちから頼みたいくらいだ。俺、まともな知り合いが少ししかいないからな」
「…イッセーさん!」


 アーシアは涙を流しながら俺にギュッと抱き着いてきた。


「嬉しいです!私…ずっと友達が欲しくて…寂しかったです!」
「そうだ、素直に自分の感情をぶつけてこい。俺が受け止めてやる」
「イッセーさん…」


 俺はアーシアの頭をゆっくりとなでる。散々裏切られ孤独な世界にいた少女の悲しみを少しでも和らげるように…


ーーーーーーーーー

ーーーーーー

ーーー


「すう…すう…」


 泣き疲れてしまったのかアーシアは眠ってしまった、俺はアーシアをベットに運ぶ。


「…さてと」
『堕天使の元に行くつもりか?』


 さっきまで黙っていたドライグが話しかけてきた。


「なんだ、ドライグ起きていたのか」
『俺も空気ぐらいは読むさ。そんなことより相棒、お前どうしたんだ?俺達は極力悪魔や堕天使には関わらないようにしてきた、だが今のお前は率先して首を突っ込んでいる。らしくもない、まさかその小娘に本気で惚れたか?』
「違うさ、俺は本当に絶望したときに手を差し伸べてくれる人がいる嬉しさを知っている。次は俺がそうする番だ」
『相棒…』


 あの時俺を助けてくれたあの人のように……今度は俺がアーシアを助ける番だ。



「行くぞドライグ……鴉狩りにな」





 
 

 
後書き
 こんにちは小猫です。ていうか何か月も放置されて出番がこれだけって…とにかく次回予告です。アーシアさんを救う為堕天使の元に向かうイッセー先輩、一人乗り込む先輩をあざ笑う堕天使達…だが奴らは知らない、美食屋イッセーの本当の力を…次回「イッセーVS堕天使!放て、必殺釘パンチ!」次回は私も出ますよ。 
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