| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

サイカイのやりかた #毎週投稿

作者:銀P
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
< 前ページ 目次
 

第1章 始まり
  1.岡崎修一

 
前書き
プロローグ
*次話からは前話のあらすじが入ります
 

 
人生ってのはひどく理不尽なものだ。

ある人には世界一になれるほどの才能を与え、ある人にはいくら努力しても全く成果を出させない。

何が「天才は1%の才能と99%の努力からできている」だよ。その1%がなけりゃいくら努力しても水の泡だろう。昔見た漫画で悪役が言ってた「努力が必ずしも自分に成果を出すとは限らない」ってののほうが心に響く。

努力した人間ってのは結局、天才には勝てない。

それが俺が東京武偵高校で学んだ最初の教訓だった。

俺は中学時代、剣道の世界大会を準優勝した。俺自身、自分はなかなかの強さを持っていて、剣道の天才であると踏んでいた。それもあって中学時代の日々は主に剣道を鍛えることに費やし、それで成果も生んでいった。

その時が一番自分が輝いていた時期だろう。

中学卒業間近、俺の元に多くの推薦状が届く中、一つの学校が目に入った。

東京武偵高校。増加する凶悪犯罪に対抗するため 、武力を行使する探偵・通称武偵を育成する教育機関である。その武力を行使という部分が、自分に酔っていた俺にはかなり響いた。俺の剣道の腕なら、ここでかなりの成績を残すことだってできる。俺にはそれだけの力があると。

それが大きな間違いだった。

入学式に行われた新入生を試す試験にて、俺はものの一分で地面に寝ッ転がっていた。しかもそれをやったのは教官ではなく俺と同じ新入生。何もすることができなかったのだ。その時はなにかの間違いだと自分を律した。今の生徒がたまたま強かっただけだと。そして


俺のランクは強襲科のE。ランク最下位だった。この日初めて本当の意味で敗北を味わった。だがその時の俺はまだ才能があるって思いこんでいたのだ。まだ努力すれば大丈夫。最高ランクのSランクだって夢じゃないさと。

だがそれも半年で終わった。クラスメイトが次々をランクを上げてなか、一人だけ最下位のまま月日だけが流れていった。

そのころにはもう、自分の才能のなさは理解していた。いくら剣道で世界二位を取ろうが戦場じゃ話にならない。人間の反射神経じゃ銃弾は回避することは不可能だ。剣術は敵との間合いを詰めることによって真価を発揮する。相手が銃を持っている時点で、もう負けと言っていいだろう。

だからと言って、俺自身銃を扱うことはできなかった。一般中学から来た俺が銃の扱いに慣れているわけがない。そんな俺が銃を使って行えることなど威嚇くらいだ。

つまりは俺の人生がゴミ、1%の天才を探し出すための燃料にしかならないってことだ。このまま、残りの学園生活も隅っこで何もせずに終わり、俺は普通の仕事について、普通に死んでいくんだろう。


そう、思っていたんだ。

『私は嫌いな言葉が三つあるわ。無理、つかれた、めんどくさい。この三つは人間のもつ可能性を押しとどめるよくない言葉。私の前では二度と言わないこと!』


あいつに会うまでは。



 
 

 
後書き
つまりはダメ人間の誕生です。それだけです。 
< 前ページ 目次
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧