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転生とらぶる

作者:青竹
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機動戦艦ナデシコ
  1277話

 ミロンガ改の整備の際に起きた、ムネタケ率いる連合軍の軍人脱走未遂から数日。
 あの騒動以降は特に大きな騒動はなく、ナデシコは真っ直ぐに目的地であるサツキミドリ2号へと向かっていた。
 まぁ、大きな騒動はないが、逆に言えば小さな騒動は結構あったんだけどな。
 例えば、今俺の目の前で行われているような感じで。

「アキト! アキトはちょっと私に冷たくない? 折角愛し合っている恋人同士がこうして再会したのに、アキトってば私に全然構ってくれないんだもの!」
「だー、うっせぇっ! 今はそれどころじゃないんだっての!」

 中華鍋を振って回鍋肉を作っていたテンカワが、厨房の入り口で叫ぶ艦長にそう言い返す。
 その瞬間、テンカワの頭が背後に立っていたホウメイの平手で叩かれるのが、俺の座っているテーブルからでも見えた。

「ほら、テンカワ! 鍋の振りが遅い! もっと中の食材に熱を通すように……空中を舞う具材で熱の対流を生み出して、しっかりと具材に調味料を絡めるんだ。中華は火力が命! それだけに、一気に料理を仕上げないと具材に火が通り過ぎて食べられた代物じゃなくなるよ!」
「はい!」

 ホウメイの指示に従い、中華鍋の振りを大きくするテンカワ。

「あらら、また怒られちゃった。艦長も恋に熱心なのはいいけど、時と場所を考えた方がいいわよねぇ」

 俺の向かいに座っているハルカが、ブルーベリーソースが掛かったアイスをスプーンで掬いながら、笑みと共に告げる。
 現在は午後8時過ぎ。……ま、艦内時間だけど。
 その時間帯であるが故に、ハルカみたいに食後のデザートを楽しんでいる者や、遅めの夕食を食べている者が食堂には存在していた。
 それでも午後6時から午後7時の最も忙しい時間帯はもう過ぎ去ったので、そこまで混んではいないのだが。
 だからこそ、こうして食後のお茶を楽しんでいられるんだし。

「テンカワの料理も、不味くはないんだけど……それでもホウメイと比べるとやっぱり落ちるんだよな」
「そうね。ああやって目を光らせてアドバイスを貰っているのを見る限りだと、結構頑張ってるんだけど……」
「そう言えばハルカは料理をするのか?」

 ふと気になり、ハルカに尋ねる。
 ちなみに俺とハルカが一緒の席に座っている理由は、単純に俺達が食堂に来た時はまだそれなりに混んでいたというのもあるが、それだけではない。
 いや、そこまで複雑な理由じゃないんだけどな。俺の知り合いはそう多い訳じゃないので、どうしても食事をするメンバーは半ば固定されてしまう。
 男だとテンカワ、ウリバタケが親しいくらいだ。ただし、テンカワは食堂で働いてるので、俺が食事をする時間は大抵厨房にいる。
 ジュンとは殆ど会話をする機会がないし、プロスペクターとゴートは仕事関係での話がメインで、一緒に食事をするって感じじゃない。
 フクベ提督は……殆ど話した事がないしな。
 そんな訳でウリバタケが食堂にいる時くらいは一緒に食うけど、あいつはミロンガ改についての説明を聞きたがるんだよな。
 一応その辺を詮索しないようにネルガルとは契約してるんだが。
 で、そういうのがない、普通の相手と食事をする為にはハルカ、メグミ、ルリといったブリッジの三人と一緒の食事になる訳だ。
 エリナの場合は、こちらも仕事の話になりやすいし。

「そうね、こんな風に店で出せるようなものじゃないけど、普通の家庭料理ならそれなりに出来るわよ。もっとも、あまり人に作った事はないけど」

 ハルカの口から出た言葉は意外だった。
 見て分かる通り、ハルカは派手目の美人で男にモテるのは間違いない。
 それだけに、男に対して手料理を作った事も結構あるんじゃないかと思っていた為だ。

「へぇ。それはちょっと意外だな」
「あら、何で?」
「ハルカの事だし、今まで付き合ってきた男に手料理をご馳走するくらいはしたんじゃないかと思ってな」
「……あのね、別に今まで男の人と付き合った事がないとは言わないけど、そんなに経験豊富って訳じゃないのよ? 最近はナデシコの件で色々と忙しかったし、それに私に言い寄ってくる男って結構ワンパターンな人が多かったのよね」

 アイスを口に運びながら、ハルカはそう告げる。
 どうでもいいけど、アイスを食べた後に唇を舌で舐める仕草が凄く色っぽいんだが。
 ただ、エリナの場合は本人に自覚のない天然での行為だったが、ハルカの場合は明らかに俺を誘う……いや、挑発する目的でやっているのが分かる。
 もしかして色仕掛けが効かなかったのが、そんなにショックだったのか?

「ワンパターンか。ま、そういうのもいるだろうけどな」

 そう告げた瞬間、近くのテーブルで火星丼を食べていた男がギクリとしているのが分かる。
 多分そのうちハルカを誘おうと思っていた男なんだろう。
 ハルカの派手な美貌を考えれば、そうなってしまっても仕方がない。

「あら、アクセルは結構自信ありそうね。……そうだ、良かったらサツキミドリ2号に到着して自由時間を貰ったら一緒に遊びに行ってみない? ルリルリを連れて」
「……ルリを? いやまぁ、向こうがいいならいいけど」

 最初に会った時とは違い、俺とルリの関係も以前よりは改善してきている……と、思う。多分。
 けど、それでも一緒に遊びに行くかと言われて行くというかどうかは、微妙なところだろう。
 何しろ、初対面の――正確にはコミュニケの映像スクリーンで顔を合わせたから二度目だったが――印象が悪過ぎた。
 それでも食堂で一緒に食事をしてからも何度か顔を合わせる事もあり、そこからある程度打ち解けてきている……とは思うのだが。

「そ。じゃあルリルリはこっちで誘ってみるわね」
「そうしてくれると、こっちとしても助かるよ。……けど、サツキミドリ2号とかいうコロニーで遊びに行く場所とかあるのか?」
「あるでしょ。コロニーの人達だって、気分を発散させるような場所とかは必要でしょうし。それに、私も久しぶりにナデシコの外に出て、パーッと遊んでみたいし」
「……ナデシコは戦艦として考えれば、十分に生活環境はいいんだけどな」

 純粋な生活環境の場所として考えればシロガネもそれなりに整っていたとは思うが、シロガネの場合は技術班が魔改造している面もあるので比較対象にはならない。
 ニヴルヘイムなんかはそれより更に規格外の存在である以上、シロガネ以上に比較対象にはならないと思う。
 この場合、一般的な戦艦とかと比べるべきなんだろうが……俺が乗った一般的な戦艦となると、SEED世界のアークエンジェルか。ギアス世界のG-1ベースもそれに入るか? いや、地上艦だしこの場合は入らないか。
 マクロス世界のマクロス・クォーターなら勘定に入れてもいいような気がする。
 ともあれ俺が今まで乗ってきた宇宙艦とか戦艦とかその手の艦に比べても、ナデシコは十分以上に生活環境に配慮していると思う。
 ナデシコ食堂で出される食事も美味いし。
 長期間艦の中にいるというのを考えれば、実はこの食事というのは士気を保つ上で疎かに出来ない分野だったりする。
 ネルガルの方でもきちんとその辺を考えて、美味い食事を出せるようにしているといのは褒められるべき事だろう。
 ……まぁ、そのおかげでナデシコに積み込まれている荷物は食材が多くを占めているのだが。

「そうなの? アクセルって他の軍艦にも乗った事あるんだ?」
「ああ、何度かな。それに比べれば、間違いなくこの艦は乗員にストレスを感じさせないようにしていると思う。……俺はまだ利用した事がないけど、VRルームとかあるんだろ? そういうのは使ってるのか?」
「あー……それがねぇ……」

 俺の言葉に、何故かハルカが溜息を吐く。
 何だ? 何か痛い場所を突いたか?

「使ってないのか? 結構面白そうだと思うけど」

 俺の場合はまだ使ってないけど……いや、そうだな。結構暇してたんだし、その時に使えば良かったのか。
 テンカワとかはコックにパイロットと結構忙しくしているんだけど、俺の場合はそこまで忙しくないしな。
 元々このナデシコに搭載予定のなかったミロンガ改だ。当然ナデシコの中にシミュレータの類がある訳でもない。
 エステバリス用のシミュレータに無理矢理ミロンガ改のデータを入力する? いや、そもそも操縦系統が違うという問題もある。
 IFSで操縦するエステバリスと、マニュアルで操縦するミロンガ改。
 そんな全く違う操縦形式の機体を一緒のシミュレータで動かすというのがそもそも最初から無理な話だ。
 その辺を考えると、結局俺が出来るのは生身での訓練に付き合う程度。
 ……模擬戦辺りが出来れば話は別なんだろうけど。

「何だか気が進まないのよね、VRルームって。それに誘ってくれる人もいないし」

 ハルカのその言葉には少し驚く。
 整備員を始めとして、独身の中にはハルカとお近づきになりたい、口説きたいと考えている奴が多くいるのは当然知っていた為だ。
 そうである以上、誰かがハルカをVRルームに誘っても少しもおかしいとは思わないんだが。
 視線を周囲に向けると、どこか気まずそうにしている男が何人か。
 それを見た瞬間、何となく理解する。
 そう、恐らくお互いに牽制し合っている間に誰も誘えなくなってしまったのだろうと。

「そうだ、ねえ、アクセル。この後暇? もし良かったら一緒にVRルームに行ってみない?」

 ざわり、と。
 ハルカが俺を誘った瞬間、先程気まずそうにしていた男達がざわめく。
 まぁ、鳶に油揚げを……的な感じなんだろうな。
 一瞬断ろうかとも思ったが、どうせこの後やる事がないのも事実だ。
 敢えてやるべき事を探すとなれば、格納庫に行ってウリバタケがミロンガ改に妙なちょっかいを掛けていないかどうかを探るくらいか?
 けど、元々ミロンガ改には迂闊に手を出せばきちんと対処出来るように技術班がシステムを組んでくれている以上、俺が行く必要は必ずしもない。
 故に……

「そうだな。なら行くか」

 周囲の男達の声にならない悲鳴を聞きながら、そう告げるのだった。





 周囲に広がっているのは、夕焼けの教室。
 そこに俺は学生服を着て存在していた。
 高校か中学かは分からないが、とにかくそういう設定らしい。
 なるほど、これがVRルームか。……どちらかと言えばなりきりごっこ? シチュエーションプレイ? 何かそんな単語が脳裏を過ぎったが、間違ってはいないと思う。

「アクセル君……その、この手紙を受け取って下さい!」

 そういいながら、セーラー服を着たハルカが俺に手紙を差し出す。
 ご丁寧な事に、ハート型のシールで封をされている。
 つまり、ラブコメ的なシチュエーションな訳か。
 ……それはちょっと無理があるんじゃないか? 俗に言う、ボンッ、キュッ、ボン! なボディラインのハルカがセーラー服を着ていると、こう言ってはなんだがコスプレ……悪く言えば風俗とかそっち関係の人にしか見えない。
 実際、セーラー服の裾やスカートもかなり短く、余計にその印象を強めている。

「あ、ああ。うん。ありがたく受け取るよ」
「それで、その……アクセル君、返事の方はいつ貰えますか?」
「そうだな。出来るだけ早く返事をしようと思っている。それでいいか?」
「私の想いを受け止めてくれるのであれば……はい、よろしくお願いします」

 頬が赤く染まっているのは、決して夕日の影響だけではないだろう。

「じゃあ……一緒に帰るか?」
「はい! 是非! ……私、最近いいお店を見つけたんですよ。アイスが美味しいお店で、とてもいい雰囲気のお店です。どうです?」
「そうだな、アイスか。……それもいいか。じゃあ、行くか」

 そう告げると、ハルカは満面の笑みを浮かべてこっちに手を差し出してくる。
 その手を握り、俺はハルカと一緒に校舎を出てアイス屋へと向かい……





「なるほど、これは色々と恥ずかしい……けど、面白い。面白いけど……」

 VRルームでの時間が終わり、俺とハルカは並んで微妙な表情を浮かべていた。

「そ、そうね。うん。ちょっと面白いのは事実だったわ」
「……でも、ハルカが学生ってのは無理があったんじゃないか?」

 その言葉に、ハルカの頬が赤く染まる。
 ハルカの場合、どう考えても女子生徒じゃなくて女教師の方がらしい。
 それこそ、女教師ならこれ以上ない配役だったと思うけど。

「うるさいわね! それを言うならアクセルだって学生ってのは無理があるでしょ!」
「あー……まぁ、それは否定しない。俺もこの配役にはちょっと無理があると思ったからな。……何だってランダムの設定にしたんだ?」
「初めてだし、折角だから?」

 十代半ばの姿に変われば、学生服に違和感はなかったんだろうが。
 それこそ男子生徒と女教師の道ならぬ恋といったシチュエーションとか面白そうだと思うんだけど。
 そんな風に考えながら、俺とハルカはどこか微妙な表情を浮かべつつVRルームを出るのだった。
 次にVRルームを使う時は、もっとしっかりとシチュエーションを考えてからにしようと思いつつ。 
 

 
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:405
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1188 
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