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ボカロ☆ロマンス

作者:nsk118mk
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第13話 迫り来る大事件の予兆

 
前書き
バトル展開の続きです。今回を含めたこれからの所望《京都編》は今後の話の鍵となる大事な部分なので、全力で創作させていただきます。という訳で時間がかかります。ごめんなさい。 

 
ーレン視点ー

《アンドロイド研究所》それは感情を持つ俺たちのようなボーカロイドにとっては地獄とも言える場所だった。あくまでボーカロイドアンドロイドを道具として扱い、様々な実験を繰り返し、自分たちの利益のためだけに俺たちを使う極悪人の巣窟…想像するだけでもヘドが出る。実際、《アンドロイド研究所》にいた時は俺も地獄の苦しみを味あわされた。《アンドロイド研究所》に至るまでの記憶を全て失ってしまうほどに。
《アンドロイド研究所》には一応、優秀な研究者がたくさんいた。その研究者は代わる代わる恐るべき実験を俺たちボーカロイドに対して実行していった。俺にとっては全員悪魔のような人間だったが、その中でも今俺の目の前にいる大津という男は記憶に残っている。なんとも言えない微妙な関西弁を話し、常にヘラヘラとしている。それだけでも割とインパクトが強いのだが、当時俺やリンと同じ部屋に収監されていた、巡音ルカの感情を完全に喪失させることに成功させた悪魔でもあるからだった。
もちろん、俺もその施しを受けるはずだったがある事件によってその直前に脱出したのである。

大津「鏡音レン…久しぶりやな」
大津「会えてうれしいで…」

大津はニヤニヤとしながら俺に話しかける。その笑顔を見るたびに俺は背筋が凍る思いがする。相変わらずなんて不気味な男なのだろうか。

大津「ほら…ルカも挨拶し」
ルカ「…は…じめまして」
レン「…‼️」

…まさか。巡音ルカは記憶さえも失っているのか⁉️
巡音ルカ…いやルカ姉には大変お世話になった。《アンドロイド研究所》の辛い生活の中でも唯一の幸せな思い出…それはルカ姉との出会いだった。ここではその回想はとりあえず割愛するとして、とにかく俺もリンもルカ姉にはたくさんの幸せを貰ったと覚えておいてほしい。

大津「…鏡音レン。わいはお前にもっとたくさんの実験をしたいと思っているんや。お前もこのまま微妙な人間的感情を残した半人半機になる前に最高のアンドロイドとして生まれ変わりたいと思わんか?」

大津はヘラヘラと笑っている。あの時からなにせ1年以上も経っていたのに大津のやつは変わっていなかった。未だに俺らのことを道具のように扱おうとしている。そんな大津を見て俺は改めて奴の救えなさを実感し、奴に対しての最大限の皮肉を込めて口を開いた。

レン「思うわけないだろ。」
大津「えらいきっぱりと言うなぁ。わいのセンチメンタルな心は深く…ふかーく傷ついたで。」
レン「たいそうな棒読みだな。」

大津はまだヘラヘラとした表情を崩さずにこちらに話しかけている。何がセンチメンタルだ…と一瞬思ったが、俺はあることを思い出した。大津はあんなにヘラヘラしてはいるが実はキレやすいことを。確かに大津は天才だが怒りに呑まれたときの奴は、あまりに感情的になりすぎて俺でも手玉にとることができるくらい単純な奴になる。本当はリンの奴がいれば手っ取り早いのだが、まぁいない者を嘆いてもしょうがない。
俺はとにかく大津を煽り、本来の目的を忘れさせることにした。ちなみに大津の目的は《初音ミクの捕縛》だと予想している。予想の理由は簡単で、《アンドロイド研究所》には初音ミクがそもそも存在しておらず、初音ミクのデータが全くないからである。

レン「しかしお前も老けたな。」
大津「…せやろか?これでもわい28なんやけど。」
レン「…素直に驚いた。40ぐらいだと思った。」
レン「まぁでも誰とは言わないが、お前みたいな老け顔で体もガリガリでブツも小さそうな奴は永遠に童貞きれなさそうだけどな。」
大津「…‼️」
大津「…おいレン。なんでお前そのこと知っとるんや。」
レン「なんのこと?」
大津《…こいつ。言わせる気か‼️》
レン「なんのことかなぁ〜」ニヤニヤ
大津「わいが…わいが…」


大津「童貞やってことや‼️」

大津は何やら大声で叫んだ。しかし奴もタイミングが悪い。ちょうど那覇家の前を女子高生が通ったまさにその時に叫んでしまったのだ。案の定、女子高生にはクスクス笑われている。いやぁ…かわいそう。引かれなかっただけでもマシか。

大津「…おいレン。お前もう許さんで。」
大津「よくもわいに赤っ恥をかかせてくれたな。」
大津「バラバラのスクラップにしてやるで‼️」

すると大津はルカ姉の背中をポンポンと叩いた。何かの合図だったのだろう。その合図を認識したルカ姉は俺に体感で音速を超えるレベルの蹴りを放った。俺は調査用《詳しくは後に説明》として改造されたボーカロイドアンドロイドだった。その為、多少の戦闘なら満足にできる自信はあった。しかし、ルカ姉のそれは多少の戦闘を遥かに凌ぐ領域のモノだった。ルカ姉の全ての攻撃を防ぎきれずモロにくらう。

レン「まさかここまでとは…」

完全な誤算だった。俺は見るも無残にボロボロにされていく。ルカ姉の肉弾戦の技術は恐らくサイヤ人レベルなのだろう。ルカ姉は元々戦闘用ではなかったので、戦ってもなんとかなると思っていた。でも…このままじゃ…いずれ自己回復装置《ボーカロイドアンドロイドに元々埋められている傷等を自動で回復する装置》も機能しなくなって俺は本当にスクラップにされてしまうだろう…そう…さっきルカ姉に瞬殺された大輝さんみたいに。

大津「今なら謝ったら許してやるで。」
大津「まぁそのルカの猛攻から抜けて謝罪できたらの話やがな‼️」
大輝「床を舐めるのはお前の方だ‼️」

…次の瞬間ルカ姉の攻撃は止まった。そして、鈍い音が周囲に響いた。大津が大輝さんにさっき野球で使っていた金属バットで殴られた音だった。

レン「…大輝さん⁉️」
大輝「レン…大丈夫か⁉️」
レン「…はい。って大輝さんはなんで無事なんですか⁉️」
大輝「当たりどころが良かったんだろ。特に怪我もないし。」
レン「いやでも腕が吹っ飛んで…」
大輝「まぁそれも幻覚だったんだろ。」

…大輝さんと話しているとき何かの気配を感じた。振り向くとそこには物凄い形相をした血だらけの大津が立っていた。

大津「ようやってくれたな那覇大輝。油断しとったわ。」
大津「今日のところは引いてやるが、次会ったら容赦せえへんで。」
大津「ほら、ルカ、帰るで。「
ルカ「…ハイ。マスター。」

こうして、正月にやってきた来訪者はまた何処かへと消えていったのである。






ー大輝視点ー

2時間後、俺とレンは木っ端微塵に吹き飛んだドアを修復し、ついでに家の中に入ってテレビを見ながらさっきの来訪者についての話をしていた。

大輝「まぁ聞きたいことは山ほどあるんだけど。」
大輝「まず、《アンドロイド研究所》って何?」

レン「まず、僕達ボーカロイドアンドロイドは全てとある大学の研究室で開発されました。その研究室では《感情を持った人間に近いアンドロイド》についての研究もと開発と同時に行っていました。俺にも当時の記憶は書き換えられてしまったのかぼんやりとしかないんですけど、そこでは割と人道的な実験を行なっていたと思います。ここまでは大丈夫ですか?」
大輝「大丈夫。ついでにその研究室は多分うちの大学だ。」
レン「…‼️」
レン「大輝さんって高校生なんじゃ…」
大輝「正確にはその大学の付属高校に通っている。」
大輝「話の腰を折ってすまなかった。続けてくれ。」

レンは一度大きく深呼吸した。恐らく、これから辛い話でもするのだろう。俺の気持ちも自然にシャンとする。

レン「その研究室はある事件で封鎖されてしまいます。どんな事件だったかは記憶にないですが、死者が出るような大事件だったと思います。それからボーカロイドアンドロイドの一部は先程の《アンドロイド研究所》という施設に連行されました。俺もその一人です。《アンドロイド研究所》ではボーカロイドアンドロイドを人間とも思わないような非道な実験が繰り返されました。改造されて声さえも失った者もいます。」
大輝「さっきの巡音ルカとかだな。確かに彼女は無機質な声だった。」
レン「察しが良くて助かります。巡音ルカは1番の被害者と言っても過言ではありません。彼女は完全に改造されてしまった…感情も全て失うまでに。」

ルカに対して初対面のときに感じた恐怖はそれだったのか。

大輝「巡音ルカの戦闘力改造によるものか。」
レン「…はい。ちなみに俺は偵察用、リンは戦闘用に改造されています。」
大輝「なるほど。」
大輝「ちなみにどうやってそんなとこから脱出したんだ?」
レン「…ちひろ。ちひろさんという方に助けてもらいました。元々本庁の刑事だったらしいんですが、ある日突然現れて僕らを解放してくれました。一年前のことです。」
大輝「…ちひろ…か。」

俺は何か運命みたいなものを感じた。

大輝「やっぱり会わなきゃダメみたいだな。ちひろさんに。」
レン「…⁉️」
大輝「奇遇だな。ちひろさんは実は俺が京都に行ってから会いたかったお前らのマスターの姉だ。」
レン「…‼️」
大輝「…行くぞ、京都に。」


…全ての道は京都に通ずる…

続く



 
 

 
後書き
京都編に続く‼️←る○剣? 
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