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4部分:第四章


第四章

「それじゃあね」
「あっ、何か」
 ここで、だった。鵺は今自分がいるその寝台の上で背伸びをした。そうしてそのうえでだった。その口を大きく開いて。
 欠伸をした。その時に口が開いて声が出た。すると。
「!?」
「えっ!?」
 亜実とユウキが気付いたその瞬間にだった。建物、二人がいる研究所が一気に崩れ落ちた。後に残ったのは瓦礫の山であった。
 その瓦礫の中からだ。ユウキは何とか這い出た。全身、白衣は当然ながら汚れきってしまった。見れば亜実も同じ有様であった。
 その彼女にだ。彼は言うのであった。
「あの、まさか」
「そうよ、そのまさかよ」
 埃で汚れてしまった顔で言う彼女だった。
「声を出せばそれだけでよ」
「建物なら何でも破壊するんですね」
「そういうことよ。それでこうなったのね」
「そこまでわかっててなんですか」
「まさかここで欠伸をして声を出すなんて思わなかったわよ」
 前を見ながらだ。こう言う亜実であった。
「そんなことはね」
「そうだったんですか」
「全く。誤算だったわ」
 起こってしまってからの言葉だった。
「これは」
「しかし。どうしますか」
「どうするかって?」
「だからですよ。研究所壊れましたし」
「そんなことはどうでもいいのよ」
 そんなことはというのである。亜実にとってはだった。
「お金ならあるから」
「それが一番大事なんですけれどどうやってお金は工面したんですか」
「植物からお薬を作って売ってるから」
 話が何時に無く危ないものになった。
「あれはね」
「あの、そのお薬って」
「大丈夫よ、麻薬とかそういうものじゃないから」
 それはすぐに否定する亜実だった。
「胃薬とか便秘薬とか下剤だから」
「それだったらいいんですけれどね」
「流石に麻薬は流儀じゃないから」
 それでだというのである。
「しないわよ」
「まあ麻薬なんてやったらすぐに足がつきますからね」
「殺人と麻薬はしないの」
 こうユウキに話す。
「それは守るわ」
「とにかくお金はあるんですね」
「そうよ。だからそれはいいのよ」
「ですか」
「さて、この鵺は」
 見れば寝ていた。何ごともなかったかのようにだ。その場にうずくまって丸くなってである。呑気な顔をして寝ているのであった。
「どうしようかしら」
「あらゆる声が建物を破壊するんじゃどうしようもないですよね」
 ユウキはこのことを真面目に指摘した。
「それはどうするんですか?」
「仕方ないわね。声はもう諦めるわ」
 亜実も真剣に述べた。
「それはね」
「ですよね。無差別破壊なんて洒落になりませんから」
「それはそれでいいけれど」
 ここではマッドサイエンティストだった。
「まあ研究所をいつも破壊されたらたまらないから」
「じゃあどうします?」
「声は普通にして」
 とりあえずそうするというのだ。
 
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