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転生とらぶる

作者:青竹
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機動戦艦ナデシコ
  1271話

「ビックバリア?」

 サセボシティを出発し、連合軍の艦と揉めてから数日。
 ネルガルの施設での補給もほぼ済ませ、ミロンガ改に使用するミサイルの方も目処が付き、スキャパレリプロジェクトを行う上でこれからどうするのかというのを相談するという事で俺はブリッジへと呼ばれていた。
 そこには艦長を始めとして主要なメンバーが大体揃っている。
 ……うん? 副長の姿がないけど、どうしたんだ? まぁ、苦労性なあの男の事だし、恐らく何かの作業でもしてるんだろう。
 ちなみに、当然ながらヤマダの姿もない。
 全身骨折した状態がすぐに治る筈もなく、未だに病室のベッドで寝たきりの生活をしているらしい。
 もっとも、治療効果を促進するナノマシンとかいうのもあるらしく、普通に入院するよりは大分早く回復してきてはいるらしいが……それでも限度があるって事だろう。
 ともあれ、時々テンカワが様子を見に行ってるらしいから、そっちはそっちでいい筈だ。
 ちなみに、テンカワも今はこのブリッジにいる。
 まだパイロットとコックのどっちを優先するのかという答えは出てないらしいが、それでも一応パイロットって事もあるんだろう。
 とにかく、そんな訳でこうして主要メンバーが呼び出された後でプロスペクターが口にしたのが、ビックバリアという言葉だった。

「はい。地球を守る防衛ラインは全部で6つあります。まず第6防衛ラインが地上からの戦闘機による迎撃、第5防衛ラインが戦艦による攻撃、第4防衛ラインが地上からのミサイル攻撃、第3防衛ラインが宇宙ステーションから出撃するデルフィニウム部隊、第2防衛ラインが戦闘衛星からのミサイル攻撃、そして第1防衛ラインがビックバリアと」
「バリア衛星により、地球その物を覆っているのがビックバリアだ。……もっとも、チューリップのような大質量の物体は防げないが」

 プロスペクターに続いてゴートが言う。
 なるほど、それで何を問題にしているのかを理解した。

「つまり、ビックバリア以外はどうとでもなる、あるいは出来るけど、地球を覆っているビックバリアはどうしようもないと?」
「そうなんですよねぇ。他の防衛ラインはともかく、ビックバリアだけは……最悪、ナデシコで強行突破するという手段もありますが」
「駄目よ」

 即座に却下したのは、副操舵士……ではなく、ネルガルの会長秘書としてここにいるエリナ。

「ビックバリアはチューリップのような大質量の物質は無理でも、それ以外のバッタを始めとした小型無人機は十分に防いでいるの。今ビックバリアを破壊したりすれば、地球は木星蜥蜴の脅威に晒される事になるわ」

 その言葉に、プロスペクターが難しい表情を浮かべる。
 分からないでもない。このままビックバリアを突破してしまうと、地球が木星蜥蜴の脅威に晒される可能性が高い。
 しかもそれを行った原因がナデシコであるとなれば、ネルガルに対する世間の印象はかなり悪くなるだろう。
 それが原因でネルガルの不買運動とかに発展しようものなら、それこそ色んな意味で最悪といったところか。
 大企業であるが故に、そう簡単に潰れたりはしないだろう。だが、ダメージがあるというのは間違いのない事実なのだから。

「でもさー。じゃあ、そのビックバリア? どうするの? 地球を覆っているってことは、私達は鳥籠の中の鳥な訳でしょ? そんなんじゃ、どうやったって火星にはいけないんじゃない?」
「だから、それをどうにかする為にこうして集まって貰って意見を探してるんでしょ!」

 ハルカとエリナの言葉に、全員が悩む。
 実際問題ビックバリアってのは、聞いた限りだとかなり厄介な代物だ。
 いや、壊すだけなら多分ナデシコでどうとでもなるんだろうが、迂闊に壊してしまうとネルガルに非難が向かう。
 連合軍だって、自分達の防衛網を破壊したナデシコを庇うような真似はしないだろう。
 それどころか、嬉々としてネルガルを悪役にし、民衆の不満を解消しようと考えてもおかしくない。
 だとすれば、ビックバリアを張っているバリア衛星を破壊しないままにしないといけない訳だ。
 ぶっちゃけ、俺がパッと思いつくのはニーズヘッグを使ってシステムXNでそのまま転移してしまうくらいしかない。
 あ、でもそんな真似が出来るんなら、別にビックバリアを転移して跳び越えるとかじゃなくて、そのまま火星に転移してしまえばいいのか。

「あのー……ちょっといいですか?」

 皆が悩んでいる中で、手を挙げて発言を求めてきたのはメグミ。
 声優をやっていただけあって、相変わらずよく通る声だ。
 皆の視線が集まった中で、メグミがルリの方へと視線を向ける。

「そのバリア衛星ですけど、ルリちゃんにどうにかして貰うことは出来ないんですか? その、ハッキングとか」

 メグミの言葉に、その場にいた者の殆どが驚きの表情を浮かべる。
 ルリってそういう真似も出来るのか?
 ああ、いや、でもオモイカネとかいうコンピュータを自由自在に使いこなしてるって事は、ハッキングとかも出来るのか?
 ネギま世界にある電子精霊の類でもあれば、そういう真似も出来るかもしれないが……それと同じ事が出来るのか。
 だが、殆どの面子が希望に目を光らせている中、数人が顔を顰めている。
 プロスペクター、エリナ……そして、ルリ。
 この3人がそんな態度を取ってるって事は、多分何か問題があるんだろう。
 3人を代表するようにプロスペクターが口を開く。

「確かに、私たちもその方法は考えました。実際、最初は一番有力な方法かとも思ったんですが……」
「駄目なのよ。今のオモイカネでバリア衛星をハッキングするには、かなりの距離まで近づく必要があるの。その上、ハッキングが終わるまでにも相当な時間が掛かるという試算結果が出ているし、そっちに集中しているとナデシコの制御が難しくなるわ。その隙にデルフィニウム部隊とミサイルが来たら……」

 首を横に振っているエリナだったが、そこに俺が手を挙げる。

「そっちなら俺が何とか出来ると思うぞ」
「……出来るの? 確かにミロンガ改はかなりの性能があるでしょうけど、1機だけでナデシコを守るのは難しいんじゃない?」
「そうだな。俺だけじゃ難しいかもしれない」
『そこで、俺の出番だな!』

 俺の言葉に割り込むように、映像スクリーンが起動する。
 そこに映し出されているのは、いつものように暑苦しい笑顔を浮かべているヤマダ。

「いや、お前は呼んでない。そもそも、今のお前の状況でエステバリスの操縦が出来ると思うか?」
『そこは、根性で何とでもなる!』
「なる訳ないだろ。そっちの方はテンカワに頼る事になると思う」
「えぇっ!? 俺かよ!」

 自分は無関係と言いたげにしていたテンカワだったが、突然の指名に驚きの声を上げる。
 まぁ、色々と思うところはあるだろうが……今のところまだパイロットを辞めるというのは決めていないのだから、そうなってもおかしくはないだろう。

「でも、ミロンガ改はともかく、エステバリス1機だけで十分な戦力になるの?」

 ハルカが疑問を口にするが……

「大丈夫! アキトならアクセルさんがいなくても、1人だけで十分にナデシコを守ってくれるに決まってます!」

 艦長が全幅の信頼と共にそう告げる。
 いや、テンカワを好きなのはいいけど、出来れば盲目的にはならないで欲しいんだが。
 ……まぁ、今回はエステバリスでも何とかなりそうなのは事実だが。
 ミサイルの迎撃とかには、射撃武器で平気だろうし。
 IFSを使った操縦は、その辺が結構得意……だと思うし。

「待ってちょうだい。確かにその辺を考えると上手くいきそうに思えるけど、ネルガルがバリア衛星にハッキングしたとなると、それはそれで色々と不味いのよ」
「……ま、ハッキングされたのをそのまま使うってのは、ちょっと度胸がいるわよねぇ」
「あー、うん。それはあるか」


 ハルカの言葉に、思わず納得の表情を浮かべる。
 確かに、誰とも知らない相手――この場合はナデシコ、より正確にはルリ――がハッキングをして弄ったバリア衛星を、以後もそのまま使いたいかと言われれば……普通は使いたくないだろう。
 ナデシコがビックバリアを停止して地球から旅立って、その後バリア衛星が問題なく動いていたとしても、一度ハッキングされているだけに、またハッキングされるんじゃないか……または、何か置き土産があるんじゃないかという疑問を抱いても当然だろう。
 しかも、物はバリア衛星。対木星蜥蜴用の防御兵器として重要な位置にあるものなのだから、尚更に。
 そうなると最終的にはハッキングされたバリア衛星を破棄し、新しいバリア衛星を持ってこなければならないという意見が出て来てもおかしくはない。
 で、当然その原因を作ったのはナデシコであり、請求はナデシコの雇い主のネルガルへと向かう訳だ。
 エリナの言いたい事も分かる。分かるんだが……

「けど、じゃあ、どうするんだよ? 正直、バリア衛星を破壊するか、ハッキングして停止させるくらいしか方法はないだろ? まさか、連合軍に一旦ビックバリアを解除して下さいってお願いする訳にもいかないだろうし」

 前回のチューリップとの戦いで、ナデシコはその力を見せつけた。
 それも、連合軍の前で、だ。
 そんな状況でナデシコと、元々の目的でもあったミロンガ改が火星に向かうので、ちょっと邪魔なビックバリアを解除して下さい。そんな風に言われて、はいそうですかと言うとは思えない。
 寧ろ怒って攻撃を仕掛けてくるだろう。

「それは……」

 エリナもその事は十分に分かっているのだろう。言葉に詰まる。

「そう言えば、ネルガルの方から話を通す……ってのは出来ないんすか?」

 テンカワが、ふと思いついたようにそいう口にするが、エリナは首を横に振る。

「可能か不可能かで言えば多分可能でしょうけど、今のネルガルと連合軍との関係を考えれば時間が掛かるでしょうね。それこそ、下手をすれば年単位で時間が掛かるわ」
「ああ、それは……」

 テンカワが言葉に詰まる。
 ……ただ、何だかエリナと話しているテンカワが微妙に照れているような、そんな風に見えるのは俺の気のせいか?
 いや、艦長がテンカワを不満そうな目でみているのを見ると、気のせいじゃないな。
 もしかしてテンカワの趣味はエリナのようなタイプなのか?
 いや、その辺は別に不思議でも何でもないけど。
 じゃなくて……

「あれも駄目、これも駄目……ならどんな手段がいいんだよ?」

 ウリバタケの呆れたような言葉に、エリナは小さく溜息を吐いて口を開く。

「そう言われてもね。ナデシコの事だけじゃなく、ネルガルの事も考えると色々と大変なのよ。ただでさえナデシコには人に見せられない……見せたくない人や機体があるでしょ?」

 そう言ったエリナの視線が向けられたのは、俺。
 まぁ、確かに俺の存在は色々な意味で爆弾のようなものだしな。
 そもそも、過去を洗えなかったり、遺伝子で戸籍を探そうにもそれも不可能だったり。
 自分で言うのも何だが、これ程怪しい奴はそうそういない。
 その上、俺が来たのはこのナデシコ世界とは全く別の世界だ。
 恐らくネルガルやナデシコにいる奴等が予想している斜め上の位置にいるのは間違いない。

「そうは言っても、こうして悩んでいる間にも時間が過ぎるのは事実でして……はい、その辺を何とか考えて貰えませんでしょうか?」

 会長秘書という立場だからか、プロスペクターが腰の低いままに尋ねる。
 それはエリナにとっても確かであり、やがて眉を顰めて何かを考え始めた。
 眉間に皺が寄っているのは、癖になるとか言うけど……
 あ、テンカワがエリナに見惚れてる。
 そして当然のように艦長が不満そうに頬を膨らませていた。
 この場で最大の発言力を持つエリナが黙り込んだ為か、何だかんだでブリッジが沈黙に包まれる。……フクベ提督、何も言う様子がないけど寝てるんじゃないだろうな?
 こうして見る限り目を瞑って寝ているように見えるんだが。
 この提督、聞いた話によると火星で木星蜥蜴と戦った時にはチューリップを落とした人物だって話だったが、そんな英雄には見えないな。
 そんな風に考えていると、やがてエリナが閉じていた目を見開く。

「そう、ね。一番被害が少ないのを選ぶとなると、やっぱりハッキングかしら」
「その被害が少ないって、ネルガルにとっての被害ですか?」
「……それは否定しないわ。ただ、地球の被害という意味でもそれ程間違ってはいないと思うけど?」

 艦長の意地の悪い質問は、やっぱり嫉妬してのものなんだろう。

「ハッキングとなると、バリア衛星に近づいてナデシコは動けなくなるので、アキトとアクセルさんに負担を掛ける事になると思いますけど」
「そうね。でも、現在の状況を考えると多少のリスクは負うべきでしょう。どう? 艦長としては」
「……一番被害が少なくなるというのは事実だと思います」

 嫉妬をしていても、判断はきちんと出来るか。
 この辺、士官学校を主席で卒業しただけの事はあるな。

「じゃあ、詳しい作戦を考えて貰える? そういうのは艦長の専門分野なんでしょ?」
「うー……分かりました」

 こうして、ビックバリアに関してはバリア衛星のハッキングという手段が取られる事になるのだった。 
 

 
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:405
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1188 
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