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戦国異伝

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第二百四十七話 待つ者達その二

「そして夜も楽しみましょう」
「それがいいですね」
「それではです」
 こうしたことを話してだった、そのうえで。
 帰蝶は市を励ましつつ安土で信長を待っていた、すると。
 屋島での吉報が届きだ、市は喜んでだった。周りの者達に話した。
「勝ったとのことです」
「幕府の軍勢がですね」
「そうなったのですね」
「はい、殿もです」
 長政もというのだ。
「ご無事とのことです」
「それは何よりですね」
「まことに」
「はい、では茶々達をこちらに」
「茶々様、初様、お江様をですね」
「姫様方を」
「あの娘達に殿のことを話します」
 三人の父でもある長政のことをというのだ。
「無事に武勲を重ねられたと」
「そのことをですね」
「姫様方に伝えられ」
「それで、ですね」
「そうします」
 こう話してだ、実際に。
 市は娘達を呼んでだ、共に安土城の御殿の庭を歩きながら話した。
「殿は勝たれました」
「父上は、ですね」
「勝たれてそして」
「ご無事なのですね」
「そうです」
 まさにと言うのだった、娘達に。
「そして暫くしたらです」
「この安土に戻って来られ」
「そしてですね」
「私達のところに来て下さるのですね」
「それまで待っているのですよ」
「はい」
 娘達は一斉に母に答えた。
「この安土でそうしています」
「父上が帰られる日を待っています」
「母上と共に」
「そうしているのです、そして」
 娘達にだ、市はこうしたことも話した。
「そなた達もそろそろ嫁がなくてはなりませんね」
「母上の様にですか」
「殿方に嫁ぐ」
「そうなるのですね」
「そうです、既に初は京極家のご子息、お江は徳川家のご三男とのお話が決まっていますが」
 しかしというのだった、ここで。
「茶々はです」
「私はまだですね」
「そなたは誰の妻となるのか」
「何かです」
 ここでだ、茶々はこうしたことを言った。
「羽柴の爺が贈りものをしてくれますが」
「筑前殿がですね」
「どうしてでしょうか」
「あの方はそうした方なのです」
 微笑んでだ、市は茶々に話した。
「可愛い娘が好きな方なので」
「私にもですか」
「そうして贈りものをして気を引こうというのです」
「そうなのですか」
「しかしそなたは夫を持つべき身です」
 正室として入ってというのだ。
「筑前殿には既にねね殿がおられます」
「でjは」
「そうです、ここはです」
 市が言うことはというと。 
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