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DQ5~友と絆と男と女  (リュカ伝その1)

作者:あちゃ
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31.美人に弱いのは昔から。美人が強いのは何時から?

<山奥の村~滝の洞窟 船上>

いや~昨日は人生で最高の日だった。
色んな意味で!
でもビアンカは凄い!
俺、朝ダンカンさんと顔合わせ辛かったのに、ビアンカは平然としていた。
朝ベットから出る時もぎこちない素振りは無かったし…
俺の方が恥ずかしかったです。


今俺は、いつもの様にプックル枕で寝ている。
他のみんなは忙しそうに船を操っている。
俺とプックルとビアンカは何もしていない。
プックルは俺が巻き込んだので誰も何も言わないが、ビアンカはゲスト扱いされている様だ。
根が真面目なビアンカは、自分も手伝おうとしていたが、マーリンに「こっちは大丈夫じゃから、あの馬鹿のお守りを頼む」って言われて俺の所に来た。

「ちょっとリュカ!」
何か怒ってる?
俺の近くまで来て腰に両手を当て仁王立ちしている。
黒のセクシーパンツがよく見える。
「みんなが働いているのに一人だけサボっちゃダメでしょ!」
きっと、手持ちぶさたの気まずさによる八つ当たりだ。
「ピエール!何かやる気出てきたー!!手伝わせろー!!!」
俺は起きあがりもせずに大声で言う。
「うるさい!黙れ!!お前は何もするな!!!寝てろ!!!!動くな!!!!!」
うん…分かってたけどボロクソに言われて傷付く。

「ね!」
俺は両手を広げ肩を竦め戯けてみせる。
「何すればそんな言われ方するのよ!」
呆れ顔のビアンカも可愛い。
「そんな事よりお嬢さん!」
俺は自分の右横にスペースを作り、
「ご一緒にどうですか?」
プックル枕の共有を促す。
「別に僕としては、この状態もパンツが見れていいんだけど…」
ビアンカは慌ててスカートを押さえる。
「あ、相変わらずエッチね!」
「昨晩、再確認は終わっていると思っていたけど」
ビアンカは顔を赤らめながら俺の隣へ腰を下ろす。
俺も負けないくらい顔赤いだろうなぁ…



<滝の洞窟>
ビアンカSIDE

滝の洞窟は名の如く、滝の裏側にあるキレイな洞窟だ。
ルドマンさんが提示したルールにより、リュカともう一人しか洞窟内には入れない。
必然的に私とリュカだけになるのだが…

「リュカ!十分気を付けて慎重に行けよ!ビアンカ殿を怪我させるなよ!!」
ピエールがくどい程私を…と言うより、リュカを心配している。
この娘もしかして…
「平気だよ。邪悪な気配無いじゃん、この洞窟」
「今この洞窟内で、一番邪悪なのはお前だ!お前がビアンカ殿を傷物にしないかが心配なんだ!」
リュカはもてるわねぇ…ま、格好いいもんね。
「もう手遅れなのに…」
小声で私だけに呟く…恥ずかしいなぁ…もう…
「ともかく僕たちはもう行くから!お留守番よろしく!」
リュカは私の手を引き洞窟内へ入って行く。
…レヌール城を思い出すわぁ…


リュカが言ったとおり洞窟内に邪悪な気配はない。
殆どモンスターがいないのだ。
偶に出てくるモンスターもリュカが一瞬で倒してしまい、私いるだけ…

リュカは強くなった。
昔も6歳にしては強かったが、そう言うレベルではない。
昨日見たリュカの身体は、無駄のない引き締まった身体をしていた。
普通の人生では、こんな身体は造れない。
リュカの壮絶な人生を物語っている。

リュカはもうこれ以上不幸になってはいけない!
幸せになっていいはずだ!
サラボナのお嬢様の事は、私の耳にも届いている。
リュカの話を踏まえても、とても優しそうな良い人だと思う。
何より彼女と結婚しないと天空の盾が…パパスおじさまの遺言が実行出来ない!
私の夢は昨晩叶った…私の初めての相手が…
今度はリュカが自分の夢を叶える番だ…
フローラさんと幸せになってもらう!その為に私は協力を惜しまない。

「あれ!?誰かいる!」
リュカの優しい声が、私を思考の渦から引き戻す。
「あら?本当ね?船もなかったし、どうやって来たのかしら?」
冒険者風の男はこちらに気付くと、軽薄な笑みを浮かべ近づいてくる。
「おいおい…ヒョロいニィちゃんは女連れで冒険ごっこかぁ?」
何こいつ!腹立つ!
「ここにはお宝があるらしいが、おめぇみてーなモヤシには無理だぜ!」
リュカは気にすることなく、私の手を引いて男の横を通り過ぎる。
その時、
「きゃ!」
「ネェちゃん、良いケツしてんな!そんなヒョロいのじゃ無く、俺のぶっといので良くしてやんぜ!」
私はこの下品な男に文句の一つも言ってやろうと思った…瞬間、
私の手を握っていたはずのリュカの手が拳になり、リュカよりも頭1つ程大きい筋骨隆々男の顔面にめり込み、男を5.6メートル離れた岩壁に叩きつけた。
私は言葉を失う。
「ビアンカに汚い手で触れるな!ゲス野郎!」
多分、聞こえてない。
生きてはいるが、聞こえてない。
「リュ、リュカ!行きましょ!」

昔もそうだった。
私がソースまみれになったのを見て怒ってくれた。
今もお尻を触られたのを知ると、すごい怒ってくれた。
リュカの優しさが心を揺らす…
でもダメ!イケナイ事は昨晩一度きり!
リュカは結婚するんだから…フローラさんと結婚して幸せになるんだから…
この冒険が終わったら山奥の村へ帰り、静かに暮らそう。
結婚は…私はいいや…他の人なんて考えられないし…

ビアンカSIDE END



 
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