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Monster Fusion

作者:火蝶 烙
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The first season ~人と獣~
第一章 【獣の勇者】
  第五狩 《説明会って聞いただけで眠くなるよね。....,..なるよね?》

 
前書き
失踪したと思った?残念生きてます。

久しぶりの更新です。前の話忘れた方は、そちらをご覧になってからこの話を読んだ方がよろしいかと思います。

あといつもより長いです。 

 
「まず、君たちは『玉石』は知っとるよね?」


瑞花のその質問に花煽が答える。


「あぁ、それはもちろん。ハンター稼業をやっている奴にとっては、喉から手が出るほど欲しい代物ですからね。」

「主に、大型モンスターの体内で生成される宝石のことですね。紅玉とか蒼玉とか、あまりにも希少だからおとぎ話に出てきたりするぐらいですよね。」


花煽の答えに花澤が付け加えた。


「そうやね、流石。いま小咲ちゃんが言ったように、おとぎ話に出てくるような代物。やけ、それらにはヤバイ力が宿ったりしてることもたまにあるよね。〝玉〟だけに。」

「続きが気になるんでツッコミはやめときますね。それで、玉石がどうしたんです?」

「.....まぁいいや。それで一旦玉石の話は置いといてちょうだい。ゴメンね、話すのが下手で。それでね、今から大体5年前になるのかな。ある町にモンスターの襲来があったんだ。町は荒らされちゃってほぼ壊滅。生存者もそれほど多くなかったよ。その蛮行がたった半日もかからないで行われた。その町はそんなに大きい町じゃなかったとしてもこれは歴史的に見ても類稀ない速さだね。」

「そうですね。町と呼ばれるくらい大きい土地であれば少なくとも守衛は必ず10人は待機していて、しかもその守衛はというとと上位以上の玄人ハンター並の技術に加えて国支給の良い素材使った防具装備してるはずなので彼らがそんな早く全滅させられるというのは俺はその話以外聞いた事ありませんでしたよ。」


それを聞き花澤が意外そうな顔で花煽をみて言う。


「あれ?涼ちゃんこの話知ってたの?」

「あぁ、5年前といえばまだ俺が新米だった頃だから色々情報やら集めて勉強してたんだ。その中でも中々衝撃的だったからおぼえてたんだよ。」

「へ〜!よくそんな過去のこと覚えていられるね!」

「..........」


花煽は褒められているのか、けなされているのか一瞬分からなかったが、その言葉に悪意がないというのは花澤が満面の笑みをこちらに向けていることでわかった。しかし、その言葉に多少自分の顔が引き攣った笑みを浮かべているというのも同時にわかった。瑞花も同じように苦笑いを浮かべている。


(ここはスルーしといてまた今度、会話による言葉の選び方を教えてやろう)


そんな花煽の気持ちも知らず花澤はテーブルの上に置かれていた茶菓子に今更気付いたのか、子どものそれに似た笑顔を浮かべ手を伸ばしていた。

とことんマイペースである。
このまま花澤がお菓子を食べ終わるのを待っていては話が進まないので中々茶菓子の包装袋が開けられず悪戦苦闘している花澤(こども)を横目に見ながら会話を進めようと瑞花に向きなおり、話の続きをはじめる。


「そういえば、あのときは確か何のモンスターにやられたか記されてなかったんですよね.....まぁあれだけの町が壊滅したんだ。たくさんの種類のモンスターの乱戦に巻き込まれたとかそんなところでしょ?......その茶菓子美味そうだな。俺も貰いますね。」


花煽は意外と甘党である。花澤がやっと包装袋からとりだしたお菓子を見て自分も食べたくなったのだ。二人はほぼ同じタイミングでお菓子をほう張り、


「モンスターの数は一匹だ」

「「ブフォッ⁉︎」」


同時に吹き出した。


「グフッ...い、今のマジですか!?」「あ〜、お茶菓子が変なとこ入っちゃった....」


花澤が自分とは違う理由で吹き出したことは横流ししつつ、花煽がまくし立てるように聞く。
そんな慌てる花煽に対し瑞花は、


「あの.....急に言った俺も悪いんやけど.....」

「あ......」


花煽は今の瑞花の状況を見て固まった。
なぜならば、


「モノ吹き出すのは.....次から人がいない方向で.....OK?」


二人が吹いた茶菓子が瑞花に余すことなくすべて降りかかっていたからだ。


「マジすんませんっ!!!!!」



花煽はこの日久しぶりに腰おり90度の謝罪をした。


☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★


「キレイなフォームの謝罪だったね〜。さて、続きを話そうか」


お菓子のクズを拭き取った瑞花が笑いながらそういい、続きを話しだす。


「いやホントすいませんした。.......それで?一匹で衛兵を全滅させて街を壊滅させるなんてどんなモンスターだったんですか?」

「まぁ.....1人っていった方が正しいのかもしれんね」

「いやいや、人じゃないんだから。」

「人であり、モンスターでもある。モンスターであり、人でもある。この場合どう言ったらいいのかねぇ」

「「え......?」」


花煽と花澤が驚き顔になるのは同時だった。

瑞花は続ける。


「街に侵入したのは見た目は普通の恐暴竜だったんだ。しかし、少し様子がおかしくてね。仕掛けた罠に引っかからなかったり、こちらのフォーメーションを理解するような素振りを見せたり、それはさも知能があるようだったらしい。だけどそれでも上手いこと戦ってたんだ。衛士になるほどだからね。実戦でもアドリブがきくほどの実力と経験は兼ね備えていたということだね。しかし、衛士たちがソイツを取り囲んだとき、ソイツは一瞬動きを止めたかと思うと、急に体が光だしたんだ。」


(ん?なんか聞いたことあるような?)


花煽の頭はすぐにその現象を思い出した。

そう、つい昨日のこと、花煽はそれを目の当たりにしていた。

花煽のそんな様子には気付かず、瑞花は続ける。


「そして、その光が晴れたかと思うとそこには、恐暴竜の姿はなかった。しかし、その代わりに...」

「恐暴竜の特徴を備えた人型の生物がいた、ってことですね?」


花煽が瑞花の言葉の続きを遮り言った。

瑞花は意外そうに、それでいて面白そうに笑いながら言った。


「へぇ...察しがいいね......いや、もしかして君は知っていたのか?」

「.....どうせ報告せにゃいかんかったことですしね。つい先日、モンスターのような姿になる奴に出会いましてね。まぁソイツに害はなさそうでしたがね。とても友好的..
.というか精神は人そのものでした。俺はそいつに偶然にも助けて貰ったんです。」

「へぇ、もう見てたんだ。でも友好的ってことは今僕が話してる奴じゃないね、コッチの話のヤツはね、とてもそんな感じじゃあないとよ。声をかける間もなく、ソイツは衛士たちを視認した瞬間襲い掛かってきた。衛士たちはモンスターに対してはプロだが人との戦いとなったら話は変わってくる。それはもう一瞬だったらしい。ソイツは衛士たちの間を走り抜けながら鎧のスキマを的確について一撃で終わらしたらしい......生き残ったただ一人の衛士から聞いた話でした。」

「ソイツは......その後どうなったんですか?」

「......わからんね....行方を眩ましたまんま見つかっちょらん。」

「討伐隊は?」

「もちろん組まれるはずだった。だがね、その時点では情報が少な過ぎた。このまま討伐に向かっても犬死するだけだと判断が下された。幸いソイツは他の所を襲うことは無かったしね。」

「5年も放置してたんですか?そんな危険な存在を?」


花煽の口調はだんだん強くなっていた。そのギルドがだした結論以上に良い意見は花煽には思い浮かばなかった......つい感情的になってしまった。

それは、二人にも伝わっただろう。花澤は少し不安そうな顔になっている。しかし、瑞花は表情をそのままに続きを話し出す。


「そう言われると弱いんだよな.......でもそれだけ慎重だったんだ。なんせその正体がわかるまでに5年もかかるような奴だったんだからさ」


その言葉に反応したのは花澤だった。


「えっと、それじゃあ正体が分かったんですか?」


瑞花は首肯する。

そして話だす。


「人は胸の左がわに心臓があり、それが命の流れをつくりだしている。その代わりは存在しない。それがないと生きていけない。だがどういうわけか、その命の源があるはずの場所に玉石がさも当然のように収まっている人間が存在した.......彼らには生まれつきモンスターの能力が宿っているらしい。」


瑞花は一呼吸おいて続ける。


「しかし、彼らは秘匿主義で通常の人間に悟られぬように僕たちに紛れるものもいれば山奥でひっそりと生きているものもいる。しかし、そのルーツとなりたる場所は世界で数ヶ所、しかも普通の手段では行けない。秘境の先の領域に彼らのルーツがあるらしい.....そりゃ見つけるのに苦労する訳だよ。」


瑞花はやれやれといった感じの様子で話を区切る。


「人であり、モンスターでもある。その存在は一言で言うと神秘。彼らは自分たちを誇りを持って《Monster Fusion》と名乗ってる。」

「まんまですね。モンスターと融合って。」

「おいおい、ひでぇなあ、結構気に入ってんだぜ?俺たちは」

「「⁉︎」」


この場いる全員のモノではない声が急に聞こえ、花煽と花澤は驚く。

花煽が、正体を暴こうと口を開こうとする。
しかし、それより先に瑞花が言った。


「身構える必要はなかよ。ギルドはね、例のM,F捜索にあたって協力者を得ることに成功した。彼もM,Fだよ。」

「いきなり誇りある名前略しやがったよコイツ。ってか大丈夫なんですか協力者って、危なっかしい奴じゃないんですか?」

「気にしたら負け。」

「気にするわ!一番大事な所だろぉ⁉︎」


花煽がツッコミを入れるが瑞花にはあっさり流される。


「大丈夫だよ。例の奴が以上なだけで、本来彼らは穏やかなんだ。君の出会った奴も友好的だったんだろ?彼もやはり遠い所からここに来てくれてね、昨日到着したばかりだ。ついでに言うと君たちと共に行動する仲間だよ。」

「いやちょい待って下さいよ!!共に行動するってなんですか!?俺たちまだ例の事件についてしか聞かされていませんよ!」

「いやここまで聞いたら察せるだろよ?」

「いや察せるか!!」


花煽は声にツッコミを入れる。

すると瑞花のデスクの後ろのバルコニーにかかっていたカーテンをくぐりながら何かがでてきた。

——————————しかし花煽はソイツに見覚えがあった。つい先日見たばかりの容姿だ。


「だからぁ、俺たちがチームを組んでから.....」


ソイツはニヤリと笑みを浮かべ言った。


「例の奴をぶっ飛ばすってことだよ!涼!!」

「.....秋炎⁉︎」


そこにいたのは、大鳳 秋炎......花煽が初めて友達にしたM,Fであった。 
 

 
後書き
ということで、今回は終わりです。

ギャグも少なめのつまらない回にお付き合いいただきありがとうございました。

次回はIDの更新かな?

それでは感想版でお待ちしてます←

それでは、学校なんて爆ぜればいいのにと思ってます。火蝶 烙でした! 
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