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『最低な女』

作者:零那
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『結婚生活』



未桜が此の子を産みたい気持ちは固くて、蒼は困り果てていた。
あからさまに迷惑だと思われるくらいなら一緒になんか居たくない。

別れ話を何回もした。
喧嘩ばっかりの毎日だった。
友達も皆、心配してくれていた。

蒼に腹をくくれと諭す子もいれば、未桜に、蒼の気持ちも解るから覚悟を決めるまで待ってあげて欲しいと庇う子も居た。

正直、此の子を産めるなら、蒼は居ても居なくても関係無いとさえ思っていたのも事実だった。
逆に、蒼が居ることの方が煩わしいとさえ感じていた。
そんな気持ちだと一緒に居るのが苦痛でたまらなくなる。

ツワリが病的に重い。
水すら吐く始末。
体重がみるみる激減していく。
ただでさえガリガリなのに危険な状態だった。
検診の度に安静を言い渡される。

不安でたまらない。
此の選択は間違いじゃ無いのか。
怖くて泣きそうになる。
それでも、同じ気持ちじゃない蒼や友達には何の期待もしない。
何の弱音も吐かない。

こんな意地、此の子にとっては迷惑だろう...。
産まれて来たくないのだろうか。
だからこんなに苦しいんだろうか。
産むなというメッセージなんだろうか。
こんな未桜の元になど産まれたくないと訴えてるんだろうか...。

蒼の両親と何回も逢って話した。
折れたのはアッチ側だった。
そして未桜は蒼の家に引き取られた。

娘のように接してくれる此の人は前から凄く好き。
蒼と分け隔て無く、悪いときは厳しく叱ってくれた。
役に立つことをしたときは褒めてくれた。

まだ現役高校生。
同居してるなんてことが学校にバレれば卒業間近で退学だ。
そんなリスクを背負って迄...
ただ、未桜が家から出ることは限られてるのでバレる心配は殆ど無かった。

日々喧嘩を重ねてく。
蒼は此の子に無関心なまま。
こんなんで本当に良いのだろうか...毎夜毎夜、自問自答の繰り返しで眠れない。

無事、蒼の卒業式を迎えた。
すぐさま入籍。
実感もないまま夫婦になってしまった。

少し、まだ蒼を軽蔑していた。
でも、根本的には優しい蒼の事は好きだった。
だから名前を書いたんだろう。
本気でキライなら、さすがに此の家での生活は耐えられない。
それに、本気でキライなら本当に婚姻届にハンは押さない。

お互いの意志を認めたのか諦めたのか...曖昧な部分は在ったけれど、キライになりきれずマダ一緒に居たいと思えたから夫婦になったんだろう。

此の子の母親としての役割、嫁である役割...色んな事を考え出した。


 
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