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DQ5~友と絆と男と女  (リュカ伝その1)

作者:あちゃ
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29.人の過去は気にしない。自分の過去の方が気になるから…

<死の火山>
アンディーSIDE

案の定彼らはスイスイ進んで行く!
モンスターとの戦闘を物ともせず。
僕の存在には気付かず。
狙い通りだ!

しかし不測の事態というのは訪れる。
スライムナイトが唱えたイオラにより殆どのモンスターが吹き飛ばされた。
その中の1匹が、僕のすぐ側に吹き飛ばされ落ちた!
そのボロボロにやられたホースデビルは、まだ息があった。

そして僕と目が合うと、怒り狂って襲ってくる!
「僕じゃありません!僕攻撃してません!僕を攻撃しないで!!」
言ったって聞く訳ない!
僕は転げ回り、這いずり回り、攻撃をかわす。
この原因を作った彼らを見ると…もう、いなーい!!
僕ピンチですよね!
僕ピンチなんですよね!
どうすればいいんですか!?どうすれば切り抜けられますか!?

…落ち着こう!…冷静に!…パニクッたら負けだ!
よく見るとホースデビルは先程の攻撃でかなりのダメージを受けている。
そうだ!こいつは弱っている!
僕は腰から出立前に大枚を叩いて買った、モーニングスター(3000G)を取り出す。
フッ…冷静になればこんなヤツ何て事はない。
僕は距離を詰め、モーニングスター(3000G)を振り下ろす!

(スカ)
ひらりと避けられました。
(ドスン!)
次の瞬間、腹部にものすごい衝撃が走る!
僕の胴回り程ある、ホースデビルの足が僕の腹部を蹴り上げる!
数メートル吹き飛ばされ、岩壁に叩きつけられ大量の血を吐き出す。

冷静に考えて………絶対にムリ!勝てません!
僕、スライムにも勝った事無いんです!
ホースデビルは少しずつ躙り寄ってくる。
僕はモーニングスター(3000G)を投げ付けた。

(スカ)
あっさり避けられる。
しかし構わない。
僕はホースデビルに背を向け、死に物狂いで逃げ出した!
走る!走る!走る!兎に角ヤツから、逃げる!逃げる!逃げる!
しかしこのダンジョンの熱気のせいか、先程の腹部への一撃のせいか息が出来ない!
苦しい!でも、走る!逃げる!
口の中に鉄の味がする!でも、ひたすら走る!ひたすら逃げる!

何処をどう走ったのか、どうやってここまで来たのか分からない。
僕は眼下に溶岩が広がる崖っぷちに立っていた。
後ろを振り向くと…まだ、ヤツがいる!!
彼、しつこすぎませんか!?
僕には心に決めた女性がいるので、諦めてほしいんですが!?

僕は肩で息をし、苦しくて声も出ない。
ホースデビルは僕に近づき、拳を振り下ろす!
恐怖のあまり反射的に後ろへ避けた!
だが、後ろには地面も壁も無い…崖になっている。
僕は崖から転落していく…薄れ行く意識の中で、僕はフローラの事を考える。
フローラ…僕には…君しか…



「うぎゅ!」
ん!?
人が死ぬ時の音はこんな音がするのか!?

アンディSIDE END



<死の火山>

何とか『炎のリング』を手に入れた。
リングを手にしたら、ドロドロの溶岩の化け物に襲われた!
ちょ、聞いて無いッスよ~!
熱すぎて近づけなかったので、バギマを連発していたら『バギクロス』を唱えられる様になった。
『バギクロス』凄ぇッス!3匹いた溶岩野郎が瞬殺ッス!
でもピエールが「お前のそれは、『バギクロス』じゃない!もはや、ハリケーンだ!めったやたらに使うな!」って…
これって褒められてる?怒られてる?どっち…?

まぁ、そう言う訳でサッサと引き上げてひとっ風呂でも浴びたいね。
「そう言えばリュカ」
「ん?」
「あの後を付けてきてた男はどうしたんだ?」
「あれ?そう言えば途中でいなくなったね」
あまりにどうでもよかったので、忘れていた。

「諦めたんじゃね?根性無さそ、うぎゅ!」
ものっそい痛い!
俺の上に何か降ってきた!
「リュ、リュカ!大丈夫か!」
俺は、俺の上に降ってきた物を押しのけて立ち上がる。
「何~これ~!」
見ると、あの男だ。
今まさに話をしていたあの男だ!

「何で降ってきたのぉ?」
「きっと理由はアレだ」
ピエールは崖の上を指さす。
崖の上には(ポニョはいないよ)ボロボロに傷付いたホースデビルが1匹。
「ヤツから逃げ回った挙げ句、逃げ切れず落ちてきた。そんな所だろ」
俺は上を見上げ、ムカついたので石を投げ付ける。
(スコ~ン!)
見事命中!そして絶命!
「何!?あんな弱っちいヤツに相手に、こんなにボロボロになってたの!?」
ヘンリーより弱いぞコイツ…

俺は男を肩に担ぐと歩き出した。
「フローラ…フローラ…」
男はフローラの名を譫言の様に呟く。
「相当フローラ殿の事を愛している様だな。お前と違って!」
俺はふて腐れ歩き続ける。
確かに俺はフローラを愛してはいない。セフレになりたいって感情しかない。
でも、幸せになって欲しいとも思っている。
「じゃぁ!天空の盾も、伝説の勇者も諦めればいいんだろ!」
そう言ってピエールに炎のリングを投げ付けた。
「す、すまん!そんなつもりで言ったのでは…」
ピエールは泣きそうな声で謝罪した。
兜で顔を覆っている為、涙は分からない…
俺、心狭!
この男を送り届けたら、なんか甘い物でも奢って謝ろ!
俺…最低だな…




<サラボナ>
フローラSIDE

リュカが帰ってきた!
しかも『炎のリング』を手に入れて!
リュカのお連れのモンスターさん達と、リュカの事をお話いている時に、その報を聞いた。
私はすぐさま町の入り口方面に走り出した。

リュカがいた!
「リュカ!ご無事ですか?あら?…!アンディー!!」
幼馴染みのアンディーが、大怪我をしてリュカに担がれている。
「フローラの知り合い?」
「はい。幼馴染みのアンディーです。どうしてこんな…」
乱暴な事など出来ない人なのに…
「モンスターにやられたらしく骨折もしている。下手にホイミを使えなかったので早く医者に診せたいのだが…」
聞いた事がある。骨折の部位を、下手にホイミで癒すと骨が間違ってくっついてしまう。
「か、彼の家はあちらです!すぐお医者様を呼んできます!」


どうやらアンディーは命に別状は無いようです。
「リュカ。ありがとうございます。彼は…こんな事には向いてないんです。なのに…」
「君の事が相当好きな様だね。彼は…幼馴染み…なんでしょ?」
アンディーが私を…考えた事もなかったわ…
「はい…」

「僕はルドマンさんにリングを届けたら、すぐに出立するつもりだ。今晩一晩くらい、彼の事を看病してあげてほしい。君にはその義務がある」
「あの!…私…リュカのお連れの方達に、リュカの事を聞きました」
リュカは目を丸くして驚いた!可愛い…
「クス!馬鹿でスケベなお調子者!そんな…所かな」
「いえ!皆さんリュカの事をお慕いしています!…ですから…私の事も知って欲しくて…お時間を頂けませんか?」
私は貴方とお話をしたい。
もっと、もっとよく知りたい。
「残念ですが…早く『水のリング』を手に入れたいので…その後なら、時間が出来るはずです」
そう言い残し、リュカは部屋を出て行った。
リュカならリングを手に入れる。
だから私は待っていればいい。
そう、待っていればリュカと…

フローラSIDE END



 
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