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『最低な女』

作者:零那
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『妊娠』



未桜は、またビルの屋上などで夜を凌いだ。
年下に金銭的負担をかけるのは自分的に無理だった。
生きてく為に稼ぐことは蒼達に内緒でしていた。

蒼達の知り合いのオバチャンに相談したところ、住む場所を提供してくれた。
普通の職種はバイトすら雇って貰えない。
未桜に出来ることはひとつ。

付き合いだして1年。
喧嘩をすることも増えた。
本音でぶつかってくれてる証拠だから嫌では無かった。
互いに納得するまで言い合うこともあった。
この頃はマダ理不尽なことを言ってるわけでも無かった...。

けれど、状況が変わった。
未桜の妊娠で蒼が本性を出す。
以前は『赤ちゃんが出来れば産めばいいだけ』って言っていた。
いざ妊娠すると『んなもん無理に決まっとるやん』って言い放つ。

現役高校生ですから、ビビるのは当然なんかな?
それとも男やからビビるのは当然なんかな?
自分の言葉の重みを改めて実感したんかな?

いや、自分の言葉の重みを解ってれば無理とは言い放つまい。

未桜は、蒼の優しさを誤解していたのだろうか。
優しいと思っていたのは、優しさなんかじゃなくて、実際は何も深く考えてなかっただけじゃないのだろうか。

未桜は1人でも産んで育てる覚悟。
いざとなれば母子施設も在るけれど、自分のチカラで産みたかった。

無知すぎた13の頃、憎き獣の子を宿してしまい、残酷にも殺してしまった。
もう2度と赤ちゃんを殺したくは無かった...。
何がなんでも産む。
お金なら稼いでいる。
生きる術なら身に付いてる。

ツワリが病的に重い。
蒼の母親と話した結果、処置を突きつけられた。
親としては我が子が大事。
マダ高校生。
理解は出来た。
けれど、正直ムカついた。

未桜は本心をぶちまけた。
何がなんでも産むという覚悟も在る。
自分のチカラで産みたいけれど、不可能なら母子施設でも何処でも頼みこんで産むと伝えた。

蒼の両親には逃亡の時に相当迷惑をかけたので、困らせたくはないのが本音。
けれど、だからといって未桜の赤ちゃんをまた殺せというのは受け入れられない。


 
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