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戦国異伝

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第二百四十六話 妖術破りその三

「そしてじゃ」
「jはい、そちらで」
「御主の道を歩め」
「そうさせて頂くやも知れませぬ」
「御主はそうした者じゃからな」
「どうもそれがしはです」
「傾きたいな」
 慶次の傾奇者の資質も言うのだった。
「何があろうとも」
「何処までも」
「なら傾け」
 前田自身も傾奇者だ、それ故に甥の考えをわかってそのうえで言うのだった。
「思う存分な」
「そうしてきます」
「そしてそれを貫け」
「例え何があろうとも」
「そうせよ、よいな」
「さすれば」
「さて、わしはじゃ」
 可児はその慶次の前田とのやり取りを見つつ述べた。
「戦が終われば後は修行三昧か」
「御主はそうして過ごすか」
「竹林を背にしてな」
「笹をじゃな」
「そうしていきたい」
 こう言うのだった。
「槍を振って生きていきたい」
「あくまで武芸に生きたいか」
「笹と共にな」
 可児は笹のことは外さなかった、どうしても。
「そうしていく」
「御主はそうするか」
「これからもな」
 戦が終わってもというのだ。
「それか美麗の島や呂宋まで行ってな」
「戦うか」
「そうも考えておる、別に石高はいらぬ」
 可児にしても慶次にしてもその武勲に比して石高は小さい、二人共かろうじて一万石といったところである。
「大名にしてもらっただけでもな」
「格別じゃな」
「それでよい」 
 地位や石高はというのだ。
「後は思う存分じゃ」
「槍を振るう、傾く」
「そうして生きたいのう」
「御主達の好きなようにせよ」
 前田は可児にもこう言ったのだった。
「ではな」
「まずはこの戦に勝ち」
「それからですな」
「そうじゃ、ではな」
 こう言ってだった、前田は二人と共に飯を食い腹ごしらえをした。そして。
 戦の用意も整えた、そのうえでだった。
 夜明けを待った、既に先陣は幸村と兼続がついていた。その幸村に彼の兄である信之が馬を進めてきて声をかけた。
「ではな」
「はい、日が見えれば」
「すぐに法螺貝が鳴るからな」
「すぐに攻めます」
「用心する様にな」
「そうします、そして」
 幸村はその目の光を強くさせて兄に答えた。
「必ずやです」
「魔界衆の者達を討つか」
「天下を乱すあの者達を」
「うむ、ではわしはな」
「兄上は次ですな」
「そこにおる、まずは御主達が行くな」
「はい、それがしとです」
「それがしがです」
 兼続もここで信之に応えて言った。
「先陣のさらに先陣をです」
「進みます」
「先陣は信玄様と謙信殿じゃ」
 そしてかつて武田家と上杉家にいた者達がいる。赤と黒の軍勢が先陣となっているのだ。信長は戦いを完全に決める為に両家の者達を先陣に配したのだ。 
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