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『最低な女』

作者:零那
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『未桜と蒼』



2人が初めて出逢ったのは、未桜の家の前。
未桜が、仕事終わり友達が来るので急いで帰ると、家の前に数人の現役高校生が居た。

友達が、他にも友達を呼んでると言っていた。
何人かは聞いてなかったので正直ビックリした。
その数人のうちの1人が蒼だった。

人見知りをする性格なのか、未桜のサバサバした男勝りな性格が気に入らないのか、此の日、蒼とは挨拶だけで会話が無かった。

次の機会はすぐ翌日だった。
友達曰く、蒼は女が苦手らしい。

黙ってれば女だけど、喋れば女として見られない場合が多い未桜。
女として存在してると改めて解ると痒かった。

未桜は、蒼に近寄る。
おちょくるつもりは無かった。
素直に喋ってみたいと思っただけ。

でも、蒼は目を背けて苦笑いしながら、近寄らないで下さいと言い放つ。
さすがに未桜はショックだった。
他の子達が、蒼にイチャモンを付ける。

未桜は暫く頭を冷やそうと思い、買い出しに行くと言って家を出た。
何が悪かった?
何か無神経なことした?
未桜の存在が迷惑?
皆が来たとき未桜は家を出るべき?

答えが出ないまま買い出しが終わり家に着いてしまった。
入りづらい。
初めて手に入れた自分の居場所(家)なのに...。

本当に思ったよりショックで、友達に、家に入っても良いのかメールしてみた。
そしたらドアが開いた。

何人かが『おかえりーっ』って言ってくれた。
その中で蒼の声もした。
嬉しかった。
嬉し過ぎて蒼に勢い良く飛び付いた。

『ねぇっ!今おかえりって言ってくれたよねぇっ!!未桜おっても迷惑ちゃう?』

蒼は肩に乗った未桜の手を、未桜の服の袖を掴み、肩から離した。
触るなってことね...。
そんなに嫌われてるんや。
そう思った。
リアルに落ち込んだ。

『あの...俺、好き嫌いとか関係なく女に免疫無いんで...喋るのもやっとやのに触るとか無しで...』

うーわー...そっちか!!
それは考えもせんかった!!

でも良かったぁ。
嫌われてないなら良かった。

...ん?
嫌われたくない?
そんな感情、未桜に在ったっけ?
無い無い!!
嫌われて当然な性格やし。
嫌われても痛くも痒くもない。
そんな感じやった筈。

てことは、蒼のことが好きなん?
この時、未桜には30代の彼氏が居た。
不満が結構あったし別れたかった頃だった。

数日後、其の彼氏とは別れることが出来た。

蒼とは少し距離を取りつつ会話も少しずつ増えてきた気がする。
正直、人生で1番他人に気を遣ってる...。


気を遣うって凄く神経すり減る。
妙に癒されたい気分になる。
皆が帰った後は疲れる。

蒼にメアド教えて欲しいと言うと拒否られた。
メールしてる女が居るらしい。
付き合ってるワケでは無いらしい。
それでも、他の女とのメールはしないって...。

ここまで拒否られたら諦めつくのも早いかも。
皆と居ても蒼とは会話が少ない。

未桜は、妻帯者の人と付き合った。
同じ職場の人。
すごくすごく優しくて温かい人。
此の人は30代半ばくらい。
一緒に居る時間は癒される。

この頃の未桜はマダ普通の会社員だった。
朝6時30分に起きて、仕事が終わるのは18時前後。

皆が来るのを解ってても、家に帰る時間が遅くなったりもした。
皆が家に居ても未桜が出て行くこともあった。

蒼が言う。

『家主は居らなあかんやろ!』

『居らんでも変わらんやろ?』

『ええけん、おれやっ!』

何の都合が悪くなるのか...解らないけど一応頷いた。

此の日を境に、蒼から話しかけて来ることが増えたのは、気のせいではないと思う。


 
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