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魔法少女リリカルなのは~無限の可能性~

作者:かやちゃ
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第2章:埋もれし過去の産物
  第31話「無限の魔力」

 
前書き
ストーリーの流れは大体GODに沿ってて、今はU-Dが現れてはやてが負けた所です。
なお、U-Dの強さはGODのより強いです。(主に防御力が)
優輝が出しゃばって戦いに出ましたが、正直言ってちょっと強いだけのソロが滅茶苦茶強いレイドボスに挑むようなものです。勝てません。
それでも戦いに赴いたのは、前回もあったように撤退するためです。
ちなみに、優輝一人な理由は、椿&葵は空中戦にまだ慣れ切っていない、緋雪は戦闘技術が高くないため油断するとやられる、ヴィヴィオとアインハルトはまだ実力を把握していないので不用意に前線に出すのは危険...という判断からです。

キャラが多すぎて動かしきれないぃぃ....!
 

 






   ―――■■■■!■■■■っ!!

   ―――うウう...ぅぁああああアあああアアッ!!

   ―――■■■■!僕だ!気づいてくれ!

   ―――............。

   ―――■■■■.....?

   ―――....アハ、血を....血ヲ頂戴....。

   ―――くっ....■■■■!!

   ―――喉が渇くノ...頂戴....!

   ―――っ....正気に戻ってくれよ....!







   ―――はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ....。

   ―――っ....ぁぅ....■■■....?

   ―――っ....よかった。正気に戻ったんだな...?

   ―――っ....!来ないで!

   ―――■■■■...?どうしたんだ?

   ―――また...!また私は.....!

   ―――........。

   ―――もう、もう嫌...!いつも、いつもいつもこんな...!こんなっ....!

   ―――■■■■.....。

   ―――お願い、■■■....私を...殺して....!

   ―――なっ....!?

   ―――早く、殺してよ!もう...もう、耐えられない....!

   ―――■■■■.....お前....。

   ―――お願い...だから....!

   ―――.....っ!■■■■!!

   ―――......えっ?

   ―――...ガッ......!?

   ―――え...ぁ....■■■...?

   ―――ぐ...ごほっ....!

   ―――■■■!?■■■!!

   ―――は...はは...ヘマ...しちゃったな...。

   ―――どうして!どうして私なんか...!

   ―――...そう言うなよ■■■■...。庇ったのは、僕の勝手なんだから...。













       =out side=





  茂みの中に、何かが逃げ込む。

「ぜぇっ、ぜぇっ、ぜぇっ....!」

  その何か....少年は、息も絶え絶えに空の様子を伺う。

「はぁ...はぁ....もう、追ってきてないよな...?」

『多分....大丈夫だと思うけど....。』

  響くような少女の声に、少年は安堵してへたり込む。

「どうして...緋雪さんがあんな....。」

『どう見ても、おかしかったよね....?』

  一息つけると思った少年は、そう言って悩む。

「....様子がおかしかったし、なにより“狂っていた”。緋雪さんに限ってそれはおかしい...。」

『緋雪さん、そういう精神的な事に強いもんね...。』

  本来はありえないという事態に、少年は慌てる。

「っ...あーもう、訳わかんねぇ....!」

『とりあえず、できるだけあそこから離れよう?』

  少女のいう“あそこ”とは、先程まで戦闘...いや、蹂躙をされていた場所の事だ。

「...そうだな。どの道、俺たちじゃ緋雪さんには勝てないんだ。」

  少年も離れる事に賛成する。

「...と言ってもリリィ、どこ行こうか?」

『....ここ、どこかわかんないもんね。トーマ...。』

  ただし、先行きは不安なままのようだ....。









       =司side=



「くっ、ぁ....!」

  迫りくる大きな魔力弾を、体勢を崩すのもお構いなしに上体を逸らして避ける。
  しかし、それでも避けきれず、掠って下の方....海へと叩き付けられそうになる。

「(なんて...魔力.....!)」

  魔力を測ろうとしなくても分かる程の、圧倒的魔力に戦慄する。

「これが...“砕け得ぬ闇”だって言うの....!?」

  私はそう言って、魔力弾を放った人物...少女を見る。

  見た目は私達と変わらない背丈に、ウェーブのかかった金髪。
  白と紫を基調とした防護服に翼のように赤黒い何かが背中に一対ある。
  ...見た目はそれでも、私...私達を圧倒する程の強さを持っているのだ。

  それも、目覚めたばかりの、半分以下の力で。

「冗談じゃ...ないっ!」

〈“Holy Smasher(ホーリースマッシャー)”〉

  砲撃魔法を彼女に向けて放つ。

「....無駄、です。」

  しかし、それは翼のようなものに防がれる。

「...その程度では、“魄翼(はくよく)”を破る事はできません....。」

  魄翼...どうやら、それがあの翼の名称らしい。

「はぁああああっ!!」

「っ....!」

  そこへ、織崎君と奏ちゃんが斬りかかる。
  けど.......。

     ―――ギギギギギギギギィイン!!

「デタラメ...過ぎる...!」

「っ、ガードスキル....“Delay(ディレイ)”....!」

  それは同じく魄翼に...しかも、魄翼が二人の攻撃に細かく対処し、防がれる。
  すぐさま奏ちゃんは反撃を受けないように高速で動き、織崎君を連れて間合いを離す。

「....またアロンダイトを持つ者が現れた時は、なんの皮肉かと思いましたが....期待外れです。この程度では、弱すぎます...。」

「(“また”....?織崎君のアロンダイトを知っている...?)」

  気になる言葉が聞こえたけど、魄翼の動きを見てそれどころじゃないと判断する。

「回避っ!まともに受けないでっ!!」

  瞬間、魄翼が伸びて薙ぎ払われる。
  それを私は防御魔法を利用して弾かれるように躱す。

「(魄翼による圧倒的殲滅力と、私達の攻撃を通さない防壁....!)」

  私はその場で祈る体勢になり、魔法を発動させる。

「聖なる光よ、降り注げ...!」

〈“Holy rain(ホーリーレイン)”〉

「っ!」

  細めの砲撃魔法が雨のように彼女へ降り注ぐ。
  しかし、それは魄翼に防がれる。だけど....!

「アタックスキル....“Fortissimo(フォルティッシモ)”!!」

  さらにそこへ奏ちゃんの砲撃魔法が決まり、魄翼の防御が薄れる。

「織崎君!!」

「だりゃぁあああああああ!!!!」

〈“Penetrate thrust(ぺネトレイトトラスト)”〉

  そこへ、織崎君が魔力を込めて鋭い突きを放つ。

「(でも...それでも....!)」

  魄翼の防御が薄くなった所を狙った、絶妙のタイミングの攻撃。
  けど、それは....。

「....無駄、なんです....。」

「ぐ...!く、そ.....!」

  防御魔法に阻まれる。...貫通力が高い魔法でも貫けない強固な防御魔法。
  こんなの、どうやって突破すれば....!

「....滅せよ、悪なる者を...!」

〈“Saint explosion(セイント・エクスプロージョン)”〉

  織崎君が間合いを取ったのを見計らって、彼女の足元に巨大な魔法陣を展開、爆発させる。

「これでも....!」

〈無駄、でしょうね...。〉

  決して効いているとは思わず、シュラインを構える。

「........!」

「っ....!」

  予想通り、一切効いていなかった彼女が、私に向かってきた。
  魄翼を腕の形にして、私に振りかぶってくる。
  それを迎え撃とうとして―――





「はぁあああっ!!」

「っ!?っぁ.....!」

  横から突っ込んできた志導君に彼女が吹き飛ばされた。







       =優輝side=





「全っ然効いてないなぁ!!畜生!」

  身体強化で思いっきり斬りかかり、それが防がれた所を魔力を放出するように蹴る事で、吹き飛ばす事に成功する。
  ...ただ、吹き飛ばせただけで、ダメージの手応えは一切なかった。

「『司さん!今すぐ撤退を!それまで僕が時間を稼ぐ!』」

「『志導君!?どうしてここに!?』」

「『嫌な予感がした....それだけだよ。』」

  少し離れており、大声で会話する暇もないので念話で会話をする。

「...あなたは...一体...?」

「...時間稼ぎ役さ。....どこまで通じるか分からないが、行かせてもらうぞ!」

  この場で倒そうとするには明らかに戦力が足りない。
  例え、僕や司さんなどの転生者四人で戦っても、それは変わらない。
  ...そう、僕は直感的に悟った。

「(解析....!)」

  初手として、相手を解析魔法でできるだけ解析する。

   ―――識別名、“U-D(アンブレイカブル・ダーク)
   ―――通称、“砕け得ぬ闇”
   ―――人物名、“ユーリ・エーベルヴァイン”
   ―――対象状態、半暴走
   ―――背後の展開物名称、術式“魄翼(はくよく)
   ―――体内保有魔力確認、推定魔力量...エラー
   ―――体内保有魔法物確認
   ―――魔法物名称、“永遠結晶(エグザミア)
   ―――暴走の原因はエグザミアによるものだと推定

「これ、は.....!」

  得られた情報は、予想よりも多かった。
  というか、暴走しててその原因まで分かった。

「魔力が...多すぎて解析しきれない...!?」

  問題は、魔力が多すぎる事だった。

   ―――保有魔力、測定不可能
   ―――原因、エグザミアによる無限魔力供給だと推測

「あーもう!規格外すぎるぞ!?」

  結局、僕はそれを相手にしなければならない訳だが。

「...私を止めるつもりですか?...やめておいた方がいいです。」

「...止めたいのはやまやまなんだけどなぁ...。」

  どう考えても僕では無理です。はい。

「っ....早く撤退を!って言うか下がれ!」

  求めるようにじゃなく、命令するように僕は言い放つ。

「『わ、分かったよ。...無理しないでね。』」

「『そこの二人も!早く!』」

  司さんは何とか納得して、おそらく堕とされた人達を回収しにいった。

「『俺たちも戦う!全員でやれば...!』」

「『勝てないっつってんだろ!!戦って分かってるだろ!!』」

「『っ....。』」

  今までにない危機感から、つい乱暴な口調になる。

「『そんな事ない。私と神夜なら....。』」

「『そんなもん一度攻撃を効かせてから言え!そうでないなら...』っ!?くっ....!」

  念話で怒鳴っている所に、魄翼による薙ぎ払いが迫る。
  それにリヒトを滑らすように添え、上に弾かれるように受け流す。

「ぐっ...!(速いしとんでもなく重い!!僕の防御じゃ、易々と貫かれる...!)」

  たった一撃。それだけで僕はそう悟った。

「...だけど、その程度....!」

  防御が貫かれるからなんだ?そんなの、当たらなければいい。

「らぁああああっ!!!」

  もう一度振るわれた魄翼に全力で逸らすように剣を当てる。
  何とか受け流す事に成功するが、そのまま勢いにつられて回転してしまう。
  ...だけど、その方が攻撃に転じやすい!

「喰らえっ!!」

〈“Aufblitzen(アォフブリッツェン)”〉

  突っ込みながら受け流したため、懐まで入り込み、一回転の勢いもあって強力な一閃を放つ。

「...通じません。」

「ぐ....!堅い.....!」

  しかし、その一閃は防御魔法により防がれる。
  ...一点に集中する力が強いこの技でもびくともしない....!

創造(シェプフング)....(シルト)!!」

  魄翼が僕を狙っていたので、盾をいくつも展開し、受け止める。
  ...もちろん、それでは防御の上から吹き飛ばされるだけなので、僕からも後ろに跳ぶ。

「『早く!逃げろ!!』」

  一度間合いを離せたため、再び念話で呼びかける。
  ...くそっ、実際に撤退しようとしてるの、司さんだけじゃないか...!

「『織崎君!奏ちゃん!逃げるよ!』」

「『だ、だが....。』」

「『志導君なら大丈夫!ちゃんと隙を突いて逃げるから!....そうだよね?』」

「『ああ。その通りだ。...早く行け。』」

  司さんの説得も入り、ようやく織崎は動き出す。

「さて....。」

  それを見てもう少し時間を稼げればいいと判断した僕は、再びU-Dと向き合う。

「(ただでさえ防御を易々と貫く攻撃。それに加え、圧倒的な防御力を誇る障壁。....多分、魄翼自体でも防げるのだろう。)」

  一切攻撃が通じない。だけど相手の攻撃は一つ一つが危険。

「...でも、その程度なら問題ない。」

  防御が堅いなんてさしたる問題にはならない。
  ...攻撃を()()()いいのだから。

「恭也さんとの特訓が活かされる....な!!」

  魔力の足場を強く踏み込み、一気に肉薄する。

「っ....!」

「遅い!」

  振るわれた魄翼に手を添え、跳び越えて躱す。

「『リヒト!魔力運用の割合を身体強化8、創造1、足場1で!』」

〈分かりました!〉

  次々と振るわれる魄翼を躱し、魔力を足場にまた肉薄する。
  ...やっぱり、このやり方の方が躱しやすいな。

「...シッ!!」

「無駄でs....っ!?」

  リヒトを一閃。それは防がれたが、その次に放った掌底は衝撃を徹し、ダメージを与える。

「っ...今、のは...!?」

「どんなに防御力があっても、衝撃を徹されたら意味ないよね。」

  これは御神流にもある技術“徹”だ。
  これなら防御力に関係なくダメージを与えられる。
  ...僕自身扱いきれてないから上手く行かないと無理だし、障壁だから魔力使わないと徹しても届かないけどね。

「っ.....!」

「っと!くっ....!」

  再び振るわれる魄翼を避ける、避ける。
  一発、躱しきれないので、剣を添わせて逸らすようにして躱す。

「『...頑張ってね。志導君。』」

「っ....!?」

  念話で司さんの声が聞こえたと思うと、体が軽くなる。
  見れば、司さんが祈るような体勢のまま、転移で撤退していった。

「....祈りの力か...!」

「ぁ、っ....!」

  軽くなった体で再度肉薄し、至近距離で魄翼を躱してから一閃、攻撃を徹す。

「(攻撃は効いている!これなら....!)」

「....確かに、あなたは他の者よりも強いです。.....でも。」

  何かを呟くU-Dに僕はもう一度一撃を徹そうと迫る。




   ―――それでは....それでは足りない....。



「――――ッ!!?」

  U-Dの魔力が膨れ上がり、途轍もない殺気を感じて離れようとする。
  ...その判断が、僕の命を救った。

     ―――ギギギギギギギィイン!!!

「ぐっ、がっ....ぐ、ぅ....!」

  瞬間、寸前まで僕のいた場所に魄翼が雨のように針状となって通り過ぎた。
  しかも、それだけに収まらずに僕の方にそれが迫ってきた。
  咄嗟に剣を創造し、さらにリヒトも振るって凌ごうとするが、それでも吹き飛ばされた。

「ぐ...がはっ....!?」

  魔力を足場に、体勢を立て直しつつも滑るように後退する。
  そして、ダメージが大きかったのか、吐血する。

「白兵戦モード、開始。....出力、70%...。」

「...やべぇ...本気..ではないけど、殺る気だ...!」

  下手にダメージを与えなかったのがいけなかったのだろう。
  U-Dはついに僕を“敵”と認識したようだ。
  白と紫を基調としていた服は赤と黒を基調とした色に染まり、髪の色も心なしか金色から黄色になったように見える。
  さらに、顔に赤い紋様のようなものが現れ、明らかにやばい。

「(魔力は大気から吸収しているから平気...だけど、ダメージが....!)」

  一応、既に治癒魔法をかけているけど、焼石に水だ。ダメージが大きい。

「...その中途半端な強さが、こうやって早い死を招く。...覚えておくといい。」

「っ...!死んでたまるか...!」

  先程までよりも圧倒的速さで魄翼が振るわれる。
  いくつかは受け流した方が避けやすいが、さっきのでそれも無理だと分かっている。
  つまり、避けるしかない....!

「リヒト!カートリッジロード!三発!」

〈分かりました!〉

  カートリッジの魔力も身体強化に回し、体が悲鳴を上げながらも躱し続ける。

「くっ....!」

「無駄だ...。」

「嘘だろ!?」

  短距離転移で躱しても、転移先を感知した途端魄翼が迫ってくる。
  くそ...!幾重にも枝分かれしているから、躱すのも一苦労だ....!

「(もう皆撤退している!後は僕が撤退すればいいだけなのに....!)」

  あまりにも多く、速い攻撃にその隙も見当たらない。
  少しでも時間を掛ける魔法を使えば、たちまち殺されるだろう。

「(落ち着け...!こういった時に役立つのが導王流だろう...!)」

  相手の攻撃さえ導き、勝利へと繋げる技術。それが導王流。
  U-Dの圧倒的力を前に、いつの間にか相当焦っていて忘れていたようだ。

「リヒト、格闘モードだ!」

Kampf form(カンプフォルム)

  手に付けているガントレットが消え、代わりに黒色のオープンフィンガーグローブのような物になる。...防御力が減ったように見えるが、リヒトがグローブになった事により、防護服よりも強固になっている。

「(....凌ぐっ!!)」

  迫りくる魄翼に対し、僕は目を見開く。
  振るわれた魄翼の一撃一撃を添えるように拳を当て、逸らす。
  力の方向を上手く誘導...導くことで、ほとんど抵抗を受けずに受け流す。

「はぁぁああああああ.....!!」

  ただ凌ぐだけじゃ、足りない。
  僕は魄翼による攻撃を凌ぎながら、着実に彼女の下へと迫る。

「な....!」

「はぁあああっ!!!」

  ついに懐まで入り込み、“徹し”を込めた拳を叩き込む。

「....残念だが、それはもう、届かない。」

「なっ!?くっ....!」

  しかし、それは二重に張られた障壁に防がれる。
  幸い、隙ができないように攻撃したため、すぐさま離れて魄翼を凌ぐ。

「衝撃及び、魔力を徹す。....なるほど、確かに厄介だ。...しかし、一枚目で攻撃そのものを、二枚目で徹された衝撃及び魔力を防げば....届かない。」

「...ここまでっ、あっさり弱点をっ、見抜かれるとはねっ...!」

  魄翼を凌ぎながらそう言う。
  くそっ、今ので隙が出来れば逃げていたのに...!

「(まだだ!次の手を....!)」

  もう一度接近を試みる。
  ほんの少しずつ、攻撃を逸らす拳にダメージが蓄積されていくが、気にしていられない!

「はぁああっ!!」

「...無駄だと言ったはずだが?」

「“解析(アナリーズ)”....!」

  障壁の術式を瞬時に解析し、術式を脆くするように魔力を流し込む。

「なに....?」

「くっ...時間がかかりすぎる!」

  障壁を破れるようにはなる。しかし、魄翼を回避しながらだと時間がかかりすぎる...!

「...次!」

「何をしようと無駄だ。あなたはここで朽ち果てる...。」

「っ....!」

  魄翼による攻撃だけでなく、輪っか状の魔力弾を放ってきた。
  もちろん、当たる訳にはいかない。どうみても異常な魔力が込められているからだ。

「まだ...まだぁああああっ!!」

  魔力弾、そして魄翼を凌ぎつつも再度肉薄する。

「破れないなら...吸収するまで!!」

「っ....!」

  術式はもう解析してあるので、障壁の魔力を一気に吸い取る。
  ただ、術式を見た所魔力を注げば障壁は維持されるので、吸収では障壁は消えない。
  その代わり、大量の魔力が使えるようになる。

創造(シェプフング)....開始(アンファング)!!」

  吸収しながら剣と槍を大量に創造する。
  僕の魔力だけではできないほど創造したため、全てを細かく操るのは不可能だが...。

「これで!!」

  吸収した魔力で創造した武器の三分の二を包囲して射出する。
  隙が少しできるけど、攻撃する事で魄翼の攻撃を薄くする事ができるため、大丈夫だ。

「....この程度の攻撃、効く訳がない。」

「知ってるさ!だから...こうする!!」

  さも当然のように、放った武器群は粉砕され、無傷のU-Dが現れる。
  今度は、残りの剣と槍を()()()()うえで、射出する。

「無駄だと言って.....っ!?」

「それらは、全て魔力を吸収し、その魔力を爆発力に変える術式を込めた!」

「....!」

「自身の圧倒的魔力で...自爆しろ!!」

  瞬間、放った武器群が大爆発を起こす。
  これでだいぶ魔力を削れたはず...!
  ...ただ、僕も大爆発に巻き込まれたため、早く体勢を立て直さなければ...!

「ぐぅぅうう....!!」

  爆発に巻き込まれ、吹き飛ばされる。
  何とか体勢を立て直し、術式を組む。

「次元転そ....っ、ガッ!?」

「....なるほど、確かに....()()()()()()()()。」

  転移魔法で撤退するため魔法を発動させようとした瞬間、魄翼が槍のように僕に迫ってきた。
  咄嗟に上に逸らそうとしたが、逸らしきれずに吹き飛ばされる。

「バカな...!魔力はだいぶ削ったはずなのに...!」

   ―――対峙した時となんら変わりない....!

「しかも“ちょっと痛かった”って....!」

  つまりほとんど効いてないという事じゃないか...!

「これが...無限の魔力....!永遠結晶(エグザミア)....!!」

  その圧倒的強さに、僕は戦慄する。

「...知らなかったか?私からは、逃げられない...。」









   ―――まだ闇は...砕かれる事はない....。







 
 

 
後書き
Fortissimo(フォルティッシモ)…ガードスキルとは違い、攻撃に特化したスキルの一つ。非常に強い砲撃で、単純な直射砲撃にしたら、なのはのハイぺリオンスマッシャーの威力を超える。
Penetrate thrust(ぺネトレイトトラスト)…意味は“貫く突き”。文字通り、貫通に長けており、一気に突貫するには都合のいい技。

いやぁ~、ユーリは強いですね!(小並感)
ちなみに、優輝のあの武器の爆発は、術式の暴発が起きるほど魔力を吸い取ったため、トリプルブレイカ―に匹敵します。 
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