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やはり俺の青春ラブコメは。

作者:panda
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一色いろはは祝ってもらいたい。③

学校を後にし、一色いろはに連れられやって来たのはピンク色の看板がチャーミングなパンケーキ屋さんだった。何、今からここは入るの?
「おい、一色、ホットケーキくらい俺が焼いてやる。だからここはよそう。多分ミルドラース住んでるぞこれ。」
「は?何で今青い狸がでてくるんですか。先輩ただでさえ浮いてるんですからちょっと黙っててください。」
お前どんな聞き間違いしたんだよ。てかその青い狸は浮いてるかも知れないが俺は浮いてねぇぞ。浮いてるのはお前らの方であって…
「2名様ですね?ではこちらのお席へ」
にこやかな店員にいざなわれ、言われるがままへ席へつく。
「ご注文がお決まりでしたらこちらの…」
女子がこのようなふわふわした店に来たがるのはなぜだろうか?ふわふわした店で甘いものを食べる自分かわいいか?なら俺は…
「カレー大盛り福神漬けなしで」
「はっ⁉︎」
恐らく福神漬けあたりは一色の声に阻まれてしまった。言い直すか。
「福神漬け…」
ドンっ‼︎ 俺のスネが鈍く響く。誰だ俺のスネを蹴ったのは。一色か?店員か?怒らないから出ておいで。
「カレーはけっこうですから。三種のベリーのパンケーキ1つとアイスコーヒー2つ。以上で。」
店員は苦笑いしながら去って言った。
「先輩。確かにここのカレーはおいしいです。私も先週ここで三カレーですし。でも今日はパンケーキにしましょう。」
一色が淡々と言う。いや、お前カレー食ってんのかよ。
10分後、先程の店員がパンケーキを運んできた。皿の上には5枚のパンケーキ、鮮やかな赤色のベリー、そして生クリームがタワーのように積まれている。
「先輩‼︎めっちゃ美味しそうですよ、これ‼︎早く食べましょう!」
「おお。いや、本当すげぇな。」
今まで食べたことのあるホットケーキとの違いに感動しながら一口目を頬ばった。パンはまだ暖かく、ふわふわの食感を残している。そして生クリーム。驚くほど甘さ控えめなのだが、奥にわずかなミルクを感じる。ママ…‼︎ この味なら大量に盛り付けられた生クリームも食べられるわけだ。
パンケーキを食べながら談笑し、気付くと一時間がたっていた。
「そろそろ行きましょうか〜。」
「おお。」
テーブルの端に置かれた伝票をとり、レジへ向かった。一色はさっさと外へ出て向こうを向いている。まあ元々出す気だったから良いのだが…。俺は支払いを済ませ、一色の元へ向かった。
「二千円くらいですかー?じゃあ千円出しますよ。足りない分は私に免じて許してください(てへっ)」
最後のてへっは良く分からないが思ってたほど悪女ではないようだ。
「いや、いいよ。」
「だめですって‼︎いいから受け取ってください‼︎」
「いや、いいから…」
「じゃ、じゃあ…私半分出すので、その代わりまた今度どこか連れてってください!」
何今のセリフかわいいな。今度戸塚に言わせてみよう。
「てかお前今日誕生日だろ。ここで自分で払ってどうすんだよ。」
「はっ⁉︎」
一色は千円札を突き出していた手を自分の体へ引き寄せ、頬を赤らめた。
「な、なんで先輩そんなこと知ってるんですか、キモっ、ストーカー…」
「前自分で言っただろ。とにかく今日は奢らせろ。」
「そうですか。じゃあご馳走様で〜す。
まあ…でも、勘違いしないんで欲しいんですけど、べつに奢らせるために連れてきたわけではないですからね。ただ…私友達少ないし…いつも誕生日一人なので…たまには誰かと一緒に過ごしたいなぁって。それで…」

最後の方は良く聞こえなかったが、こいつは俺より非リアなのかもしれない。なぜなら俺は8年連続小町に誕生日を祝ってもらってるから。ちなみにこの文は「小町だけ」としても真である。夕日のせいか、一色の顔はいつもより赤く、そしていじらしく見える。俺はポケットから小さな紙袋を取り出し一色に渡した。
「ほらよ。なんて言うか…まあ…プレゼントだ。」
「ぇっ、ええっ」
一色はプレゼントを受け取りなぜかそっぽを向く。おい、まずありがとう言えよ。母ちゃんに教わってないのか。
「せ、先輩もこういうことするんですね…、意外です。え、ええと、あの、私もう帰らなきゃいけないんで、では。」
一色は結局そっぽを向いたまま、後ろを振り返り帰っていった。睫毛が光って見えたのは気のせいだろうか。俺はなぜプレゼントを渡したのか。一色を喜ばすため、一色からの好感度を上げるために渡したのではない。これは自己満足だ。欲しかったのは「友達の誕生日にプレゼントを渡した自分」。ただそれだけ。
それでもその日の夜の一色いろはからのメールは比企谷八幡の心をくすぐった。

「そういえばお礼言ってませんでしたね‼︎嬉しすぎて忘れてました笑 今日は何もかもありがとうございました! では、おやすみなさいです❤️」



 
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