ショーウィンドー

「是非共だよ」
「協力してくれたんですか」
「そうだよ、じゃあまた何か面白い話があれば」
「その時はですね」
「言ってくれよ、協力させてもらうから。そして」　
　店主は相手にさらに話した。
「今回のことの顛末もね」
「そのこともですね」
「話してくれるかな」
「ハッピーエンドの時でいいですか？」
「うん、その時にね」
　こう笑顔で話すのだった、そしてだった。
　店でのやり取りは終わった、それから数日の間。
　ユッシはマネキンのことをどうしても忘れられずにいた、ふと思ってしまうことしきりだった。しかし彼が退勤する時にだ。
　彼の前にだ、不意にだった。
　あの服を着たアンネりがいた、その彼女がだ。
　彼の前から歩いてきていた、ただそれだけだったが。
　ユッシはびっくりしてだ、思わず彼女に声をかけた。
「あの」
「はい、何か」
「貴女は何故その服を着ていますか？」
「この服ですか」　
　アンネリは声をかけられて驚いた顔になってユッシに応えた。
「お店で買ったのですが」
「そのお店は何処ですか？」
「jはい、そこはです」　
　アンネリはユッシに素直に話した、だが。
　ユッシはその話を聞いてだ、こう言ったのだった。
「その服はそのお店で私が見たもので。それに」
「それに、ですか」
「貴女はその服を着ていたマネキンにです」
　それこそというのだ。
「そっくりでした」
「そのお話ですけれど」
　アンネリは話を聞く顔だけで言った。
「何かです」
「何か？」
「長いお話になりそうなので」
　それで、というのだ。
「喫茶店でお話しますか」
「そうですね、そこでお話しましょう」
「そうしましょう」
　こうしてだった、アンネリはユッシとだ。
　知り合いになりだ、そこからだった。
　彼の銀行にもよく行き来する様になり親密に話をしていってだった。　
　そのうえでだ、自然とだった。　
　ユッシと交際する様になった、アンネリはこのことに学校で友人達に笑顔で話した。
「いや、上手くいったわ」
「ええ、あの人とね」
「交際出来る様になったのよね」
「作戦は成功」
「そうなったのね」
「本当に何も知らないままだとね」
　それこそとだ、アンネリは友人達に言った。今は昼食の後に大学の中の喫茶店においてコーヒーを飲みながら話している。